WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ビル・エヴァンスのエクスプロレイションズ

2006年08月16日 | 今日の一枚(A-B)

●今日の一枚 32●

Bill Evans     Explorations

Scan10007_7  今日は、身体の調子が悪く、午後休みをとった。過労だろうか。ところが、家についてみたら、だいぶ具合がよくなたので、音楽でも聴くことにした。

 Bill EvansExplorations 。説明する必要もあるまい。リバーサイド4部作のうちのひとつ、Bill Evans(p)、scott La Faro(b)、Paul Motian(ds) という伝説のトリオの2作目だ。録音は1961年。インタープレイを主体とする現代のピアノトリオのフォーマットを決定づけた作品だ。

 リバーサイド4部作のうち、どの作品が最もすぐれた作品かは、なかなか難しいところであり、いろいろな意見があろうが、少なくとも私が一番よく聴く作品はこのアルバムである。ピアノとベース、ドラムが最もよく絡み合っいる作品だと思うのだ。

 お目当ては、⑤ Nardis 。感動的な演奏だ。ジャズ喫茶「いーぐる」の後藤雅洋さんは、このアルバムについて「彼(エヴァンス)の耽美的な美意識が極限までいってしまったような作品」といい、⑤ Nardisについても「ナルディスの世紀末的な美しさは、ギュスターヴ・モローの描いた、サロメの青白い裸体を思わせるものがある」と評したが(後藤雅洋新・ジャズの名演・名盤』講談社現代新書)、至言であろう。「ギュスターヴ・モローの描いたサロメの青白い裸体」という部分は知的スノビズムを感じさせやや鼻につくが、「ナルディスの世紀末的な美しさ」という表現は、あまりにぴったりで私の頭から離れない。私はこの演奏を聴くたび、このことばを思い出してしまう程だ。