●今日の一枚 151●
Johnny Hartman
Songs From The heart
おとといから、静かに聴くジョニー・ハートマンにちょっとはまってしまった。
ジョニー・ハートマン初期の作品、1955年録音の『ソングス・フロム・マイ・ハート』(Bethlehem)。若々しいジョニー・ハートマンの声がいい。ハートマンは1923年生まれなので、32歳の時の作品ということになる。古い録音だが、24bit Remaster のCDだからだろうか、音量を上げて聴くと彼特有の張りのある低音ヴォイスがびんびん響いてきて気持ちいい。コーン紙の震えがそのまま空気を伝わってきて、私の身体を共振させているかのような感覚を覚える。
けれども一方、音量を絞って聴くハートマンもまた格別である。低くつぶやくように歌うクルーナー唱法がじわじわと身体にしみこんでくるようだ。バラードを中心とした構成とスモールコンボのバックがそれをより際立てている。ハワード・マギーのトランペットが大きくフューチャーされており、これがまたなかなかいい雰囲気をだしている。寛いだ、しかも繊細なフィーリングの音だ。夜中に、酒でも飲みながらじっくりと時間をかけて聴きたい一枚である。
私はときどき思うのだけれど、ハイエンド・オーディオの臨場感溢れる音だけがいい音なのではない。時と場合によっては、あるいは聴く音楽によっては、古いラジオのスカスカのスピーカーからでてくる音の方が心に響くということもあるのだ。