WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

マイ・フェイヴァリット・シングス

2007年08月27日 | 今日の一枚(C-D)

●今日の一枚 195●

Don Friedman

My Favorite Things

Watercolors0010_4  トマトジュースが好きだ。素面の時はもちろんだが、酒を飲んで夜の街を彷徨い歩く時も、二軒目あるいは三軒目で駆けつけトマジュー1杯という具合だ。水のように一気に飲むのが好きだ。近頃流行の「無塩」のやつより、どちらかというと塩の入ったやつが好みだが、それにこだわるということはない。特定のブランドに固執することはないが、飲めばこれはうまいこれはイマイチだなどと判断できる程度に舌は肥えていると思う。今日飲んだトマトジュースが美味かった。今日生協から届いた、「北海道びらとり町 ニシパの恋人(食塩無添加)」というやつで、あの食用トマト「桃太郎」を搾ったものらしい。食塩無添加なのに甘さが引き立っており、トマトの味がしっかりしている。妻に、このトマトジュースは美味いじゃないか、というと、「北海道で飲んで、美味しいと言ってたやつと同じものよ」という答えが帰ってきた。ちょっと、うれしい気分だ。妻にはいつも怒られっ放しだが、そういうことを気に留めていてくれたことはとても嬉しいことだ。

 今日の一枚は、ドン・フリードマンの2003年録音作品『マイ・フェイヴァリット・シングス』である。エヴァンス派といわれる中でも特にエヴァンス的なピアニストと評価され、まるでエヴァンスの忠実なフォロアーの如くいわれる観もある彼だが、近年になってよりオリジナリティーを主張するようなアルバムを連発している。これら近年のドン・フリードマンの作品については、さまざまな見解があろうが、私は基本的に好きである。美しい流れるようなアドリブのラインはそのままに、一音一音のタッチがより力強くなり、音が鮮明になった。やや攻撃的になったといってもよい。進歩した録音技術が、その新しいドンの演奏をよりリアルで鮮明に記録している。

 1935年生まれのドンはもう72歳だ。恐らくは人生の黄昏の時期ということになろう。いつまでも元気で活躍することを祈るのはもちろんだが、残された日々でエヴァンスの追随者ではない、独自の評価を確立してもらいたいものだ。