今回もアンソロジーという言葉に引かれてこの本を選びました
アンソロジーとは一定の主題・形式などによる,作品の選集。また,抜粋集。佳句集。詞華集。だそうでここでは「江戸時代の武士道」が主題です
細谷正充氏の編で短編が7作あります
その中から白石一郎氏の「元禄武士道」(講談倶楽部昭和60年12月号)のさわりのご紹介です
江戸時代も元禄期(元禄時代1688年~1703年の前後30年位)に入ると徳川家の権力が確立し文治時代となる 各大名もその枠内での行動となる 出る釘は打たれる、大人しいと込みやられる 現代のいじめの原型が出来るのでないかと爺には思える
この頃隣国や幕閣の同僚で親しい間の交際では使者に恥をかかせ日ごろのいさかいの鬱憤を晴らすとの奇妙な風習があった
太平の世でうっぷんやいさかいの吐け口が無い所から、そんな折にでも赤恥かかせ溜飲を下げようとの魂胆であろう
元禄8年11月 佐賀鍋島藩ではご家督相続の祝儀があった 江戸溜池の藩邸は祝儀の使者の到着でごった返すような賑わいである
隣国黒田藩も祝儀の使者を出さねばならない 他藩は何事も無く鍋島藩は黒田藩に絞って悪戯を仕掛けようとしている様子である
それならと黒田藩も正使黒田主膳 3500石をいただき知恵もあり押し出しも立派な人物である 副使には馬廻り150石 風采の上がらぬ星野小五郎と決まった
星野は大喰らいなのである 実際は3升の飯(3升は30合 1合150グラムだから4500グラム 炊き上がった量を考えると今の我々からするとどうやって食べるのかだが)を1日に何度にもわけ食べる程度 本人が隠すから話に尾ひれが付いて噂となる
黒田藩の作戦は三汁八菜の供応膳を見事に平らげて事なきを得るだけでなく祝いの膳には付き物の「目の下一尺は有りそうな鯛」を皿を代え皿を代えして食べ尽くし相手に音を上げさせ溜飲を下げようとの積極的意図である
頃は11月下旬江戸市中といえど目の下1尺の大鯛は数が揃わない季節である
祝儀の使者は12月5日と決まり黒田藩使者は鍋島藩用人原田勘左衛門以下がてぐすね引いて待ち構える赤坂溜池の藩邸へ向う 幾つかの嫌がらせは黒田主膳の機知で切り抜け供応の膳が出される
膳の首尾は如何にと待つ原田の下に驚く知らせが「あの星野という副使はとんでもない大喰らいで御座る 膳をあっという間に片付け鯛の代わりを言いつけて折り申す」
目の下1尺の大鯛はまだ19枚残りが有りホッとすると同時にどんどん出して困らせろと言いつける 間もなく「10枚目」との知らせ 原田は台所奉行を呼び大鯛の買出しに市中へ出向かせる 大鯛を食いつくし鍋島藩を笑いものにとに作戦が読めてきたから真っ青 黒田藩留守部隊の方にも台所出入りの商人から「只今14枚 後5枚」という風に伝令が走り一喜一憂 そうこうする内に市中買い入れの数匹が増える 星野は20枚を過ぎる頃からかえって腹の具合が気にならなくなり家族の事など思いながらひたすらに「鯛を代えて食べまくる」
何十枚目かの皿が出て行った後かなりの時間が経った
やがて、皿を運ぶ武士の変わりに怒りと恥辱で青黒い顔になった原田用人が入ってきた 「鯛はもはや市中になし はなはだ申しにくい事だが平目ではいかが?それでご容赦を」といった
「ご当家が大家と安心しつい度を過ごした 誠に失礼」とは黒田主膳 止めとけばよいものを星野は「平目は無用 折角の鯛の味を消してしまうので、口直しに膳を少々」と15椀の飯を食い酒を2升のんだ
面目大いにあげ取り敢えず星野はご褒美に銀子20枚を頂戴して帰宅してから半病人となってしまう
のちに200石の加増を賜ったが35歳で胃病により早死にした
さて皆さんは昨晩12チャンネル 大食い選手権見ました ギャル曽根ちゃんの食欲というか胃袋の出来は凄いですね 決勝戦でハワイのラーメン大どんぶり18杯完食でしたっけ ギャル曽根ちゃんは2年元気だからこちらが星野より上かもね
アンソロジーとは一定の主題・形式などによる,作品の選集。また,抜粋集。佳句集。詞華集。だそうでここでは「江戸時代の武士道」が主題です
細谷正充氏の編で短編が7作あります
その中から白石一郎氏の「元禄武士道」(講談倶楽部昭和60年12月号)のさわりのご紹介です
江戸時代も元禄期(元禄時代1688年~1703年の前後30年位)に入ると徳川家の権力が確立し文治時代となる 各大名もその枠内での行動となる 出る釘は打たれる、大人しいと込みやられる 現代のいじめの原型が出来るのでないかと爺には思える
この頃隣国や幕閣の同僚で親しい間の交際では使者に恥をかかせ日ごろのいさかいの鬱憤を晴らすとの奇妙な風習があった
太平の世でうっぷんやいさかいの吐け口が無い所から、そんな折にでも赤恥かかせ溜飲を下げようとの魂胆であろう
元禄8年11月 佐賀鍋島藩ではご家督相続の祝儀があった 江戸溜池の藩邸は祝儀の使者の到着でごった返すような賑わいである
隣国黒田藩も祝儀の使者を出さねばならない 他藩は何事も無く鍋島藩は黒田藩に絞って悪戯を仕掛けようとしている様子である
それならと黒田藩も正使黒田主膳 3500石をいただき知恵もあり押し出しも立派な人物である 副使には馬廻り150石 風采の上がらぬ星野小五郎と決まった
星野は大喰らいなのである 実際は3升の飯(3升は30合 1合150グラムだから4500グラム 炊き上がった量を考えると今の我々からするとどうやって食べるのかだが)を1日に何度にもわけ食べる程度 本人が隠すから話に尾ひれが付いて噂となる
黒田藩の作戦は三汁八菜の供応膳を見事に平らげて事なきを得るだけでなく祝いの膳には付き物の「目の下一尺は有りそうな鯛」を皿を代え皿を代えして食べ尽くし相手に音を上げさせ溜飲を下げようとの積極的意図である
頃は11月下旬江戸市中といえど目の下1尺の大鯛は数が揃わない季節である
祝儀の使者は12月5日と決まり黒田藩使者は鍋島藩用人原田勘左衛門以下がてぐすね引いて待ち構える赤坂溜池の藩邸へ向う 幾つかの嫌がらせは黒田主膳の機知で切り抜け供応の膳が出される
膳の首尾は如何にと待つ原田の下に驚く知らせが「あの星野という副使はとんでもない大喰らいで御座る 膳をあっという間に片付け鯛の代わりを言いつけて折り申す」
目の下1尺の大鯛はまだ19枚残りが有りホッとすると同時にどんどん出して困らせろと言いつける 間もなく「10枚目」との知らせ 原田は台所奉行を呼び大鯛の買出しに市中へ出向かせる 大鯛を食いつくし鍋島藩を笑いものにとに作戦が読めてきたから真っ青 黒田藩留守部隊の方にも台所出入りの商人から「只今14枚 後5枚」という風に伝令が走り一喜一憂 そうこうする内に市中買い入れの数匹が増える 星野は20枚を過ぎる頃からかえって腹の具合が気にならなくなり家族の事など思いながらひたすらに「鯛を代えて食べまくる」
何十枚目かの皿が出て行った後かなりの時間が経った
やがて、皿を運ぶ武士の変わりに怒りと恥辱で青黒い顔になった原田用人が入ってきた 「鯛はもはや市中になし はなはだ申しにくい事だが平目ではいかが?それでご容赦を」といった
「ご当家が大家と安心しつい度を過ごした 誠に失礼」とは黒田主膳 止めとけばよいものを星野は「平目は無用 折角の鯛の味を消してしまうので、口直しに膳を少々」と15椀の飯を食い酒を2升のんだ
面目大いにあげ取り敢えず星野はご褒美に銀子20枚を頂戴して帰宅してから半病人となってしまう
のちに200石の加増を賜ったが35歳で胃病により早死にした
さて皆さんは昨晩12チャンネル 大食い選手権見ました ギャル曽根ちゃんの食欲というか胃袋の出来は凄いですね 決勝戦でハワイのラーメン大どんぶり18杯完食でしたっけ ギャル曽根ちゃんは2年元気だからこちらが星野より上かもね