乙川優三郎作三部作の中の安穏河原
元郡奉行で没落武士の長女双枝は病気の母の薬代の代わりに女衒に売られてしまう
父は女郎になっても武士の娘としての誇りは失うなと言って娘を送り出した
昔、僕が10代最後の頃アルバイトで大阪の釜ヶ崎に通っていた頃
バイト仲間が仕事帰りに「飛田新地に寄って行かんへんか?」って言われた
「何しに行くんや」って言うと
「えへへ」と言った
飛田新地は現代でもある遊郭であの頃でも「売られた」女性が働いていた
小説家の宮尾登美子さんは実家が女衒屋で宮尾さん自身が女学生の頃
飛田新地に売られて行く娘たちを伴って遊郭に赴いている
自分と同世代の娘たち
売る方と売られる方
遊郭の女将にごちそうになるお金持ちの宮尾さんと苦界に身を沈める貧乏人の娘
この本でも双枝には親の借金を背負いながら武士の娘としての体面を持ち続けた事が書かれている
またこの話の最終頁が泣かすんだよ