仕事を取り巻く環境が悪化の一途をたどっていて
こうやっていつまで自営を続けていられるだろうか・・
ピューピューと京都の町に比叡おろしの冷たい北風が吹いて。
師走の河原町の雑踏を忙しなく人々が歩いていた。
ミカドと言う名のパチンコ屋から外に出ると
ビルの谷間の先に鬱蒼とした八坂の森が見えた
安いビニール製の黒いジャンバーの襟を立て
穿き古したジーパンのポケットに手を入れて
祇園さんに向かってふらふらと歩き出した
19歳の年の暮れ京都に通い続けた
いつも一人で
向かった先はいつものパチンコ屋
木屋町を過ぎると四条大橋にたどり着いた
橋の中ほどで加茂の流れを眺めたら
川の流れにネオンの光が瞬いていた
その月
母に送って貰った成人式のスーツ代20万を皆、パチンコにつぎ込んだ
その日はとうとう帰りの電車賃まで入れあげた
いくら川をのぞき込んでも金は出てこない
まぬけづらから鼻水が出て来た
冷たい風にふるえた
街にもんた&ブラザーズのダンシングオールナイトが流れてた
確か昭和56年の暮れ
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