実家は漁師とみかん農家を兼業していた。
みかんの方は主に爺さんが作り婆さんは洋服店を営んでいた
この時期になるとみかんの取入れで一家総出で働いた・・
と言えば聞こえが良いが子供たちはほとんど手伝わなかった
みかんを収穫すると農協に出荷せずほとんど自家で売りさばいた
その為見栄えの良いみかんを作るのに丹精した
肥料をふんだんにやり必要以上に摘果をし
それでうちのみかんはそれはもう他所で見た事が無いような立派なみかんだった
だから多く顧客が付いて
国道沿いに俄の店を開いて売りさばき固定客には宅配便で届ける
みかんの選定に袋詰め箱詰めと母親はいつ寝てるんだろうかと不思議に思った
働き者の両親に怠け者の息子
実家を離れてから母親からしょっちゅうみかんが送られて来た
箱の中にみかんの他に芋や干物それに幾らかの現金
現金はすぐにパチンコ屋に持って走り自家製の干物はすぐに悪くなり
みかんは小さい頃から食べ飽きてるんでほとんど食べずに腐らせた
「もう送って来んでもええ」と言っても
母親はせっせと送って寄こし
所帯を持って独立すると仕送りのみかんの箱は5~6個に増えて
母親は「近所にやりなさいお客さんにやりなさい」と綴ってあった
僕は億劫なのでいつもほとんどのみかんを腐らせた
両親も数年前に亡くなりみかんが送られてくる事も無くなった
最近、何故かスーパーに行くとみかんを買う
いっぱいあると食指が出ないけど無いとなんだか無性に食べたくなる
僕がスーパーで買うみかんは一袋数百円の安いみかんで
昔、実家で作られていたデパート向きの高いみかんは食べられない
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