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【転載記事】【原発事故と国内避難民】「〝自主避難者〟含め全員が『国内避難民』だ」 国連特別報告者・ダマリーさんが都内で会見 〝追い出し裁判〟には「国際法違反」ときっぱり

2022-10-09 22:30:28 | 原発問題/一般
原文=「民の声新聞」2022.10.8付け記事より転載。写真を含めた記事全体をご覧になりたい方は、リンク先へ飛んでください。

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9月26日から訪日調査を続けてきた国内避難民の人権に関する国連特別報告者セシリア・ヒメネス・ダマリーさんが7日午後、日本記者クラブで記者会見。「強制避難か自主避難かを問わず全員が国内避難民だ」、「特に脆弱な人々には住宅支援と基本支援を継続すべき」などと強調した。区域外避難者への〝追い出し裁判〟を続ける福島県知事には「国際法違反」、「国内避難民に対する明確な嫌がらせ」とも。訪日要請から4年を経て、ようやく実現した訪日調査。様々な権利侵害を目の当たりにしたダマリーさんは今日にも離日。来年6月に最終報告書を公表する予定だ。

【「政策決定に参加させるべき」】

 予想した以上の明快な表現だった。

 記者会見で配られた「調査終了報告書」。最後に「あくまで現時点での、とりあえずの考察」としたうえで、原発避難者について次のようにまとめられている。

 「強制避難か自主避難かを問わず全員がIDPs(国内避難民)であり、他の日本国民と同等の権利権限を有する」
 「支援や援助を受ける上での強制避難や自主避難の区別は取り除くべきである」
 「避難を継続する人々へは、特に脆弱な人々には住宅支援と基本支援を継続すべきである」

 報告書でダマリーさんは、原発事故による被曝リスクから逃れようと避難した人々について、「『強制避難者』と呼ばれる人々または強制避難命令の影響で避難を余儀なくされた人々、並びに『自主避難者』と呼ばれる人々または避難命令はないものの避難を余儀なくされた人々は、国際法の基では全てIDPs(国内避難民)と定義されており、災害により避難をする権利は移動の自由に基づく人権である」と明確に述べている。

 そのうえで、原発避難当時者から聴き取った結果として、原発避難者には①安心・安全と住宅に関する権利②家族生活に関する権利(母子避難問題)③暮らしの権利(就労問題)④健康に関する権利(被曝問題)⑤教育に関する権利⑥参加する権利(意思決定プロセス問題)─の6つの権利があり、政府の避難指示有無にかかわらず、等しく扱われるべきだとしている。

 特に⑥の「参加する権利」については、会見でこう強調した。

 「すべての権利を実施するにあたっては、避難者自身に影響を及ぼし得る決定に参加する条件が与えられなければならない。避難当事者の意見が反映されるような権利を堅持しなければならない。意思決定プロセスにおいて、何がどのような動機で決められるのかについて意見を述べる権利も保障されなければならない」

 これは、避難当事者たちが事故発生後、一貫して求めて来たことだ。しかし、福島県の内堀雅雄知事は一度たりとも避難当事者たちとの話し合いに応じていない。

 あくまでも現時点でのものだが、ダマリーさんは初期考察のなかで「強制避難か自主避難かを問わず全員が国内避難民である」、「強制避難や自主避難の区別は取り除くべき」と綴った。最終報告書は来年6月に公表されるという。

【「追い出し裁判は嫌がらせ」】

 現時点での報告書のなかで、原発避難者の住宅問題について、ダマリーさんはこう述べている。

 「残念ながら住宅支援の多くは打ち切られ、暮らしの見通しが立っていない貧困層や高齢者、障害者にとって大きな打撃となった。支援住宅に残る避難民は立ち退き訴訟に直面している。政府は、特に脆弱な立場にある避難民に対して移住先を問わず住宅支援策を再開することが推奨される」

 福島県の内堀知事は、中通りなど政府の避難指示が出されていない区域から県外に避難した区域外避難者(いわゆる〝自主避難者〟)に対する住宅無償提供を2017年3月末で打ち切り。2年間の家賃補助制度を設けたうえで、避難者に「自立」を求めた。2020年3月には、都内の国家公務員宿舎「東雲住宅」への入居を継続している区域外避難者4世帯を「不法占拠者」として福島地裁に提訴。被災県が、避難民に退去と家賃支払いを求めて〝追い出し訴訟〟を起こすという異常事態になった。裁判所は避難当事者も福島県知事も尋問せずに審理を終結。これまでに2世帯について「退去と長期分割支払い」での和解が成立している。

 しかし、そもそも国際法では〝追い出し裁判〟など誤りではないか。質疑でダマリーさんに質すと、こう答えた。

 「どのような試みであれ、人の移動の自由を制限しようということは国際法違反だ。たとえ国内法に基づいたとしても国際法違反となる」

 会見終了後、ダマリーさんと直接、話をした。彼女は「質問してくれてありがとう」と笑顔を見せた。もう一度、内堀知事の非情な権利侵害(〝追い出し裁判〟)について尋ねた。ダマリーさんははっきりと「イエス」と答えた。

 「今回の報告書には字数制限もあって細かく書けませんでした。より詳しくは来年6月の最終報告書に書きますが〝追い出し裁判〟など受け入れられません。国内避難民に対する明確な嫌がらせです。記事に書いて構わないか?もちろんよ。ぜひ書いて下さい」

 明確な国際法違反を続ける福島県知事。それを(一部を除いて)ほとんど追及しない地元メディア。司法も〝追い出し〟に加担している。これが原発避難者を取り巻く現実なのだ。

【4年も要した訪日調査】

 ダマリーさんは2018年8月30日、日本政府に訪日を要請。その後2020年1月と2021年6月にも念押しや督促を意味する「リマインダー」を出している。しかし、日本政府は新型コロナウイルスの感染拡大などを理由に〝放置〟してきた。

 昨年8月には、原発避難者などでつくる「国内避難民の人権に関する国連特別報告者による訪日調査を実現する会」など83団体が外務省に要望書を提出。次のように求めている。

 「国内避難に関する指導原則は、国内避難民である自主的避難者に対する基本的な避難所及び住宅の提供を求めていますから、住宅の無償提供打ち切りをそのまま放置するかのような状況が続くことは、指導原則の趣旨に反するのではないかという懸念を生じさせます。住宅の無償提供打ち切りでは複数の自死者が出ており、緊急かつ重要な問題であると私たちは考えています」

 「それだけではなく、国内避難民の安全、健康の確保、教育の保障、家族の離散防止、差別の防止など、さまざまな問題で人としての尊厳、身体的、精神的、道徳的に健全である権利が尊重されているとは言えません」としたうえで「日本政府としてすみやかにダマリー特別報告者の訪日調査の受入の意思表明を行い、ダマリー特別報告者に連絡をとった上、年内に同氏が訪日した折りには同氏が必要な調査を行うことについて協力をしていただきたい」

 日本政府の〝放置〟は国会でも問題となり、特に立憲民主党の山崎誠代議士は何度も訪日要請を受け入れるよう政府に求めて来た。

 「どうしてこれは受入れが進んでいないのか、お答えいただけますか。どうしてここまで先延ばしになっているんですか」(4月13日の衆議院経済産業委員会)

 「いつまで調整をしているのか、検討しているのか。私もこれは早く決着をつけたいんですが、いつまでたっても変わらない。2018年から続けていますので、もういいかげんに、ダマリーさんの任期も迫ってきているということですので、今日、結論を出していただきたい」(4月27日の同委員会)

 そしてようやく、小田原潔外務副大臣(当時)が今年5月11日の同委員会で訪日実現に向けて踏み込んだ答弁をしたのだった。

 「現地昨5月10日、ジュネーブの日本政府代表部から国連人権高等弁務官事務所に対し、ダマリー国内避難民特別報告者が希望する9月の最終週から10月中旬にかけての訪日を打診する旨、口上書により伝達をしたところであります」

 実に4年も要して実現した訪日調査だった。

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国連「国内避難民の人権に関する特別報告者」セシリア・ヒメネス=ダマリーさん(UN expert Cecilia Jimenez-Damary)会見 2022.10.07

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