人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」の旅(第2日目)

2022-10-22 22:59:25 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
午前6時に起床。直ちにホテルを出る。滞在時間はわずか6時間半だ。睡眠も6時間未満だったが快眠できた。菓子パンサービスへのお礼を述べ、チェックアウト。徒歩で駅に向かう。

だが、昨夜とは違うルートのためか、思いのほか時間がかかり、着いたのは6時半頃。632M発車まで数分しかない。「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」を発券している暇もない。やむを得ずSuicaで自動改札を抜け、632Mへ。6:40、新青森着。

ここから6:49発「はやぶさ8号」に乗車するが、乗換時間はわずか9分! 発券のため、いったん改札外に出ていたらとても間に合いそうにない。当初の予定では発券などとっくに済んでいるはずだったから、余裕時間をまったく見ていなかった。新幹線乗換改札口に行くと、マルス端末がちらりと見える。ここなら何とかなるかもしれないと思った私は、えきねっとの購入記録を係員に見せ、ここまでの事情を説明。「ここで何とか発券できませんか」とお願いしたら、発券してもらえた。ようやく切符を手にし、「はやぶさ8号」へ。

実は、この週末が締切の原稿執筆依頼を3つも抱えている。車内で落ち着く間もなく、移動しながら1本目の原稿(原発政策に関するもの)に着手。何とか完成させ、送信。東北を走りながら原発政策に関する原稿とは因果を感じる。

仙台(8:56着)で下車。朝食後、仙石東北ライン特快5521Dに乗車。仙石東北ラインは路線名ではなく運転系統名だが、2015年に営業開始した塩釜~高城町の連絡線区間は未乗車のまま。ここに乗ることも今回の目的のひとつである。仙台~石巻はすべて電化区間だが、東北本線は交流区間、仙石線は直流区間。常磐線用の特急車両以外、仙台地区には交直流車の配置がないため電車は直通できず、ハイブリッド気動車HB-E210系で運行されている。列車番号も気動車列車を表す「D」だ。

塩釜駅を出た5521Dは東北本線を快調に飛ばす。塩釜発車後、右から徐々に仙石線が接近。下り線から上り線に入った5521Dは、東北・仙石両線の線路が最も近づいたところに新しく設置された渡り線を使ってするすると仙石線に入る。単線となった仙石線では、さすがに東北本線に比べ速度は落ちるが、停車駅を矢本だけに絞り、快調に走る。10:14、石巻着。渡り線区間わずか0.3kmとはいえ、新規に線路が敷かれ、そこに営業キロが設定された場合には、営業線の新規開業として乗らなければならないのが当サイト(汽車旅と温泉を愛する会)の全線完乗ルールだ。我ながら厳しいルールだとは思う。

<写真>石巻駅で、折り返し仙台向け発車を待つHB-E210系


石巻からは、石巻線1631D(10:35発)で女川を目指す。東日本大震災による津波で線路が流され、付け替えられた結果、陸前大塚~陸前小野、浦宿~女川の2区間は営業キロが変更となった。「線路付け替えで営業キロが変更となった場合は、乗り直し」が当サイトの全線完乗ルールだ。決めた当時はそれほど厳しいルールとは思わなかったが、東日本大震災という数百年に一度レベルの災害によって、自分の決めたルールがこんな形で自分の首を絞めることになるとは予想もしていなかった。

付け替え区間(陸前大塚~陸前小野)の途中にある野蒜付近は、都市部でもないのに線路がわざわざ高架化されていた。今後、何度も津波が襲ってくるとの判断だろう。

石巻線には「渡波」(わたのは)という駅がある。過去、何度も津波に襲われた歴史がこの地名に込められている。地名を見ただけで、素人でも津波常襲地帯だと理解できるのに、こんな場所に女川原発を建て「非常用発電機が高台だったから福島第1のようにならなくて良かった」などと呑気にほざいて反省もしない原子力ムラは100回くらい死ぬべきだと思う。


女川でいったん降り、すぐ同じ列車に乗り直す。11:08発1632Dと番号を変えた列車で慌ただしく折り返す。11:34、石巻着。DD200型牽引の貨物列車を見かけた。北海道生活が今年で10年目となる当ブログ管理人は、DD200の実車を今回、初めて見た。

<写真>石巻駅で見かけた石巻線貨物列車


石巻11:55発、仙石東北ライン快速558Dで仙台を目指す。再び「架線下DC」ならぬ「架線下ハイブリッド車」HB-E210系だ。特快は仙石線内の停車駅が矢本だけなのに対し、快速はそれ以外にも停車する点が異なる。12:51、仙台着。

仙台駅では、鉄道150年記念で鉄道模型展が開催され、走行イベントが行われている。駅前に手頃な食堂を見つけたので、ここで昼食とする。

新幹線含め、3日間乗り放題の「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」をフルに生かすには、やはり新幹線で距離を稼がなければならない。全線完乗を進める上で、手頃な未乗車路線を事前に探したところ、上田電鉄別所線が未乗車だった。ここなら話題性もある(後述)。13:45発「やまびこ142号」で大宮に向かう。始発駅からの乗車なので、自由席でも座れると見て、ここは指定券を取らなかった。「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」では、3日間の有効期間中、指定席券発行を受けられるのは4回まで。すでに「はやぶさ」で1回使い、今後、全席指定の列車も控えているのに、こんなところで無駄遣いできない。少し早めにホームに行くと、行列はそれほどでもない。予想通り、自由席を確保。

途中、福島では、「やまびこ142号」の後部に「つばさ142号」が併結される。鉄道ファンなら当然見るべきだ。ホームに降り立ち、併結作業を見る。福島駅に来たのは、福島勤務時代の2012年以来、10年ぶりだ。

2022.10.22 やまびこ142号・つばさ142号併結シーン(福島駅)


ふたたび「やまびこ142号」に乗る。定刻通り福島を発車した「やまびこ142号・つばさ142号」で大宮へ移動中、2本目の原稿(こちら)を書き上げる。せっかく列車に乗ったのに、車窓さえ楽しむ暇がない。やれやれ。

大宮には定刻の15:23着。北陸新幹線「あさま617号」(15:29発)まで乗り換え時間はわずか6分だが、そこは勝手を知っている大宮駅。難なく乗り継ぐ。今回は途中駅からの乗り継ぎで、自由席に座れない可能性があると見て、ここで指定席枠2回目を使う。原稿はまだ1本、残っているが、上田まではわずか1時間。速筆に自信のある当ブログ管理人でも、さすがにこれでは完成は無理で、ここでの執筆はせず、初めて車窓をまじめに見た。上田、16:36着。北陸新幹線に乗ったのはいつ以来だろうか。思い出せないほど昔だが、記憶をたどると、2000年代初頭に、某サイトの鉄道研究会オフ会で長野の温泉を訪れた際に乗っているはずである。

上田からは、いよいよ上田電鉄別所線に初の乗車である。新幹線、しなの鉄道、上田電鉄は同一駅舎内で乗り継ぎは楽だった(しなの鉄道は元JRなのだから当然だが)。別所線といえば、まだ忘れもしない2019年、千曲川にかかる鉄橋が大雨で流され、最近復旧したばかり。経営体力のない地方私鉄だけに一時は廃線も選択肢に上ったが、鉄橋部分の線路だけ所有者を上田電鉄から上田市に変更する「上下分離」を実施。復旧費のうち97.5%が国費負担となることで、復旧にこぎ着けた。

その熱気が冷めないうちに、話題の鉄橋を見ておきたかった。上田発車後、すぐに現れた。地元の人の言葉通り、穏やかな川で、荒れ狂う姿は想像もできなかった。

日本一の長さを誇る信濃川は、長野県内では千曲川と呼ばれ、信濃川とは呼ばれない。信濃川と呼ぶのは新潟県側だ。「下流側の地域が、豊かな水の恵みを与えてくれる上流地域に対する謝意を込めて、上流地域の地域名を当てて信濃川と呼ぶ」(根津東六・元新潟県十日町市議会議員)のだと教えられた。

その話を直接、根津さんから聞いたのは、もう10年も前に開催された「千曲川・信濃川エコツアー」(報告記事)でのことだった。このツアー参加中に、根津さんらとともに参加した新潟県津南町でのシンポジウム「3・11以後の地域づくりの課題―自然との包括的な関係を築くために―」で、20代の若手ながら物怖じせず熱弁を振るっていたパネリストの1人、桑原悠さんが、今、津南町長2期目を務めている。桑原さんの初当選のニュースも、当ブログ2018年7月9日付記事で取り上げている。大半の読者はもうお忘れかもしれないので、再度、述べておきたい。

夜の帳が降りる頃、列車は別所温泉に到着(17:34)。温泉地にベストの時間に着き、もちろんここで1泊……としたかったのだが、観光シーズンまっただ中の土曜日のためか、この日、残念ながら別所温泉の旅館・ホテルはまったく取れなかった。明日、都内で迎える「本来の所要」の準備もあり、仕方なく確保している都内のホテルに戻ることにする。

別所温泉駅は、温泉観光地の玄関口となる駅だけに、歴史を感じさせる木造ながらもきちんと手入れが行き届き、暖かみが感じられた。このあたりが、災害でも復旧する鉄道と、廃線になってしまう鉄道の違いなのではないだろうか。

<写真>別所温泉駅


宿泊がかなわなかった魅惑の温泉地、別所温泉を後ろ髪引かれる思いで後にする。駅舎撮影後、17:39別所温泉発の列車で慌ただしく折り返す。18:08、定刻に上田着。

本来ならここで夕食とする予定だったが、駅前はいわゆる典型的な「飲み屋」ばかり。病気をきっかけに断酒した自分には合わないと思ったので、19:20上田発の「あさま630号」に乗る予定だったのを、急遽、18:35上田発「はくたか572号」に変更する。「あさま630号」に乗る予定で、自由席でもまぁ座れるだろうと想い、ここで指定席の発券はしていなかったが、「はくたか」は金沢発で乗車率が高い。通路側の自由席に何とか座れた。

東京に20時ちょうどに着く。東京駅地下街で購入した駅弁「八ヶ岳高原の鶏めし」を夕食とする。それでも菓子パンしか食べられなかった昨夜と比べれば恵まれている。京急蒲田駅前の「アイホテル京急蒲田駅前」に投宿。



<完乗達成>仙石東北ライン(東北本線)松島~高城町、仙石線〔奪還〕、石巻線〔奪還〕、上田電鉄別所線

奪還とは、過去に一度、全線完乗した路線に延長や線路付け替え等の理由で再び未乗車区間が発生した場合に、当該未乗車区間の全部に乗車し、全線完乗の記録を取り戻すことを指す当ブログ独特の表現である。前述の通り、仙石線・陸前大塚~陸前小野、石巻線・浦宿~女川は震災からの復旧過程で線路が付け替えられ、営業キロが変更となったため、乗り直しの必要が生じていた。

上田電鉄別所線は、廃線にならず復旧でき、本当に良かったと思う。この上下分離による災害復旧が、今後しばらくは災害復旧のモデルケースになるに違いない。

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