原始時代並みの日本のひどい人権状況について調査するため、訪日していた国連自由権規約委員会が、去る11月3日、「審査・総括所見」を公表した。この所見は、入国管理局における外国人に対する非人道的取り扱いなど、多岐にわたる内容になっている。
全文はとても紹介しきれないが、当ブログは、このうち原発事故避難者に関する部分について、信頼できる学者による日本語訳を入手したので、以下ご紹介する。
なお、日本語訳を行っている人は翻訳業の平野裕二さんなど複数いるが、当ブログが入手したのはこれとは別の方の翻訳である。平野さんの翻訳はこちらから見ることができる。表現は異なるが、意味はほとんど同じである。避難者など、まるで存在しないかのように振る舞い続けてきたこの間の日本政府に猛省を迫る内容である。
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自由権規約委員会第 7 回日本政府報告審査・総括所見(CCPR/C/JPN/CO/7, Advance unedited version, 3 November 2022, paras. 22-23.)
22. 締約国が、「自主」避難者か「強制」避難者かという区別に関係なく、福島原子力災害を理由とするすべての国内避難民に対して支援を提供することを認めたことを歓迎する一方で、委員会は、締約国が福島において設定した放射線被ばくレベルに関する高い閾値と、避難区域の一部を取り消す締約国の決定が、人々が高度に汚染された地域に帰還せざるを得なくさせていることに引き続き懸念を表明する。また、委員会は、避難区域外で居住する避難者に対する無償の住宅支援の終了を懸念するとともに、すべての国内避難民が彼ら/彼女らの土地に帰還する決定をするかどうかにかかわらず、実質的に、すべての国内避難民が必要な支援を利用することができることを確保するために実施される措置に関する情報がないことを懸念する。さらに、委員会は、福島の多くの子どもたちが、福島原子力災害以降に甲状腺がんと診断された、又は甲状腺がんに罹患していると考えられるという報告に懸念を表明する(6 条、12 条及び 19 条)。
23. 委員会は前回の勧告を繰り返し述べつつ、次の点を勧告する。すなわち、締約国は、
(a)福島における原子力災害によって影響を受けたすべての人々の生命を保護するとともに、放射線レベルが住民にリスクを与えない場合にのみ、避難区域としての汚染地域の指定を解除すべきである。
(b)放射線レベルの監視を継続するとともに、時宜にかなった方法で、影響を受けた人々に対して放射線レベルに関する情報を公開すべきである。
(c)すべての国内避難民が、「自主」避難者か「強制」避難者かという区別に関係なく、又は彼ら/彼女らの土地に帰還する決定をするかどうかにかかわらず、避難区域外で居住する避難者に対する無償の住宅支援の再開を含む、必要な財政的支援、住宅支援、医療支援及びその他の支援のすべてを利用することができることを確保すべきである。
(d)子どもの中で見られるがんの高い罹患率との相関関係の可能性を含む、放射線にさらされた人たちの健康に福島原子力災害が与えた影響の評価を継続するとともに、無償で、定期的で、かつ包括的な健康診断を、子どもたちを含む放射線にさらされたすべての人々に提供することを検討すべきである。
全文はとても紹介しきれないが、当ブログは、このうち原発事故避難者に関する部分について、信頼できる学者による日本語訳を入手したので、以下ご紹介する。
なお、日本語訳を行っている人は翻訳業の平野裕二さんなど複数いるが、当ブログが入手したのはこれとは別の方の翻訳である。平野さんの翻訳はこちらから見ることができる。表現は異なるが、意味はほとんど同じである。避難者など、まるで存在しないかのように振る舞い続けてきたこの間の日本政府に猛省を迫る内容である。
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自由権規約委員会第 7 回日本政府報告審査・総括所見(CCPR/C/JPN/CO/7, Advance unedited version, 3 November 2022, paras. 22-23.)
22. 締約国が、「自主」避難者か「強制」避難者かという区別に関係なく、福島原子力災害を理由とするすべての国内避難民に対して支援を提供することを認めたことを歓迎する一方で、委員会は、締約国が福島において設定した放射線被ばくレベルに関する高い閾値と、避難区域の一部を取り消す締約国の決定が、人々が高度に汚染された地域に帰還せざるを得なくさせていることに引き続き懸念を表明する。また、委員会は、避難区域外で居住する避難者に対する無償の住宅支援の終了を懸念するとともに、すべての国内避難民が彼ら/彼女らの土地に帰還する決定をするかどうかにかかわらず、実質的に、すべての国内避難民が必要な支援を利用することができることを確保するために実施される措置に関する情報がないことを懸念する。さらに、委員会は、福島の多くの子どもたちが、福島原子力災害以降に甲状腺がんと診断された、又は甲状腺がんに罹患していると考えられるという報告に懸念を表明する(6 条、12 条及び 19 条)。
23. 委員会は前回の勧告を繰り返し述べつつ、次の点を勧告する。すなわち、締約国は、
(a)福島における原子力災害によって影響を受けたすべての人々の生命を保護するとともに、放射線レベルが住民にリスクを与えない場合にのみ、避難区域としての汚染地域の指定を解除すべきである。
(b)放射線レベルの監視を継続するとともに、時宜にかなった方法で、影響を受けた人々に対して放射線レベルに関する情報を公開すべきである。
(c)すべての国内避難民が、「自主」避難者か「強制」避難者かという区別に関係なく、又は彼ら/彼女らの土地に帰還する決定をするかどうかにかかわらず、避難区域外で居住する避難者に対する無償の住宅支援の再開を含む、必要な財政的支援、住宅支援、医療支援及びその他の支援のすべてを利用することができることを確保すべきである。
(d)子どもの中で見られるがんの高い罹患率との相関関係の可能性を含む、放射線にさらされた人たちの健康に福島原子力災害が与えた影響の評価を継続するとともに、無償で、定期的で、かつ包括的な健康診断を、子どもたちを含む放射線にさらされたすべての人々に提供することを検討すべきである。