人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

【転載記事】<2024衆院総選挙>原発・エネルギーに関する各党の政策・マニフェストについて

2024-10-18 21:52:44 | 原発問題/一般

環境運動団体「FoE Japan」サイトが、2024衆院総選挙における原発・エネルギーに関する各党の政策・マニフェストについて一覧にまとめた上で、解説もしてくれています。以下、ご紹介しますので、投票の参考にしてください。

なお、私は原発を即時または一定の期限までに廃止するとの公約を持つ政党でなければ、投票するつもりはありません。

<衆院選2024>各党マニフェストを比較してみました【原発・エネルギー編】(FoE Japan公式サイト)

投票日を10月27日に控えた衆議院議員選挙。「原発・エネルギー」に関して各党のマニフェストを比較してみました。

自民 再稼働を進める/次世代革新炉の建設/核燃料サイクル推進
立憲 2050年までのできるだけ早い時期に原発ゼロ/新増設は行わない/原発に頼らない地域経済の確立
維新 早期再稼働/審査の効率化/民間の責任を有限化/甲状腺検査の縮小
公明 再稼働を認める/将来的に脱原発 (新増設については記載なし)
共産 2030年度に原発ゼロ/新増設は認めない/核燃料サイクルからは直ちに撤退
国民 早期再稼働/審査の効率化/次世代革新炉の開発・建設
れいわ 即時廃止/「廃炉ニューディール」で立地自治体の「公正な移行」を実現する
社民 2030年までに原発ゼロ/汚染水の海洋放出の中止/被災者・避難者の十分な生活保障
参政 既存原発の活用/次世代原発の推進

自民党

総じて、政府の従来方針の通りで、石破色が打ち出されているわけではないようです。

脱炭素・エネルギーの項目で「徹底した省エネ・再エネの最大限の導入、原子力の活用」をかかげ、脱炭素分野に150兆円の官民投資を引き出すとしていますね。これは政府のGX基本方針と同じです。

原発に関しては「原子力規制委員会により厳しい安全性基準への適合が認められた原子力発電所については、再稼働を進めていく」としています。核燃料サイクル推進、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定を着実に進めるなども。また、「次世代革新炉の開発・建設に取り組む」としています。

火力については、「次世代化、高効率化、水素・アンモニアの混焼やCCUS、カーボンリサイクル等による脱炭素化に向けた取組みを加速度的に推進」としています。

電源ごとの2030年の数値目標などは見当たりません。

参照先:自民党 令和6年 政権公約 (jimin.jp)

立憲民主党

目標とする年限は明記されていませんが従来の原発ゼロ方針は維持し、省エネ・再エネなどについては、目標値も含め具体的に書き込まれたマニフェストになっています。

「2030年の再生可能エネルギーによる発電割合50%及び2050年100%を目指し、2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成を目指す」としています。

また、省エネに関しては、2030年に最終エネルギー消費30%削減(2013年比)、2050年には同60%削減を目指す、2030年までに省エネ・再エネに200兆円(公的資金50兆円)を投入し、年間250万人の雇用創出、年間50兆円の経済効果を実現するとしています。

原子力発電所の新設・増設は行わず、全ての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定を目指す」とし、核燃料サイクルの中止に向けた枠組み構築、原発に頼らない地域経済の確立やそのための支援について盛り込んでいます。

「東日本からの復興」の項目に原発事故被害者の支援について盛り込み、「子ども・被災者支援法」の下、福島県外避難者に対して、その生活実態を踏まえ、支援を継続・拡充するなどとしています。

参照先:立憲民主党 政策集2024「エネルギー」 – 立憲民主党 (cdp-japan.jp)

維新

総じて、原発に関しては前のめりの内容で、原子力事業者の利益を代弁するかのような記述が見受けられます。民間の責任の有限化、原発の国有化の検討、福島県の甲状腺検査の縮小、風評被害の解消などを打ち出しています。

「原子力規制委員会の審査の効率性を重視」しつつ規制委の許可を得た原発の「早期再稼働を進める」、「既存原発の運転期間の延長や次世代革新炉への建て替えを行う」、その際には「国・地方自治体・事業者の責任を法的に明確化」するなどとしています。

「民間の責任を有限化」「国有化も含めた国の責任ある対応の検討」などの文言も見受けられます。「民間の責任の有限化」というのは、現在の原子力損害賠償法では、万が一原発事故が起こった場合、たとえ被害額が巨額にのぼったとしても、原子力事業者がすべて賠償責任を負うとした「無限責任」「責任集中」の原則を見直すことを示唆しています。まあ、現在も福島原発事故の賠償や廃炉については、国や他の原子力事業者からの資金、電気代に上乗せされている託送料金の一部などが入っており、実際には原子力事業者の責任は曖昧にされていますが…。

原発事故対策では、被ばく影響の否定が目につきます。たとえば、福島県で事故当時18歳以下であった人たちに対して行われている甲状腺検査を「希望者のみとする」と縮小し、「過剰診断と風評による負の影響を無くす」としています。ちなみに、現在、甲状腺検査は対象者全員に案内は出されているようですが、実際に検査を受けるのは希望者のみです。原発事故と甲状腺がんは関係はないという見解を打ち出していますが、一方で、原発事故後、甲状腺がんが多く発生していることは事実であり、これを「過剰診断」によるものとすることに対しては、さまざまな反論が示されています。こうした点は考慮されているのか疑問です。

参照先:マニフェスト全文 | 衆院選2024 (o-ishin.jp) エネルギーは135以降

公明党

「原子力規制委員会が策定した世界で最も厳しい水準の基準を満たした上で、地元の理解を得た原子炉の再稼働を認めます」とする一方、「可能な限り原発依存度を低減しつつ、将来的に原子力発電に依存しない社会をめざします」という路線を維持しているところが、自民党との違いです。原発の新増設については書いていません。その他はほぼ同じように見えます。

再エネに関しては、「最大限の導入」を打ち出し、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力等の技術開発、全国規模での 系統整備、蓄電池の導入加速化等を盛り込んでいます。2030年の電源構成などについては触れられていません。

参照先:manifesto2024.pdf (komei.or.jp)

共産党

岸田政権のもとで進められた原発回帰政策を批判し、「再稼働させず、新増設も輸出も認めない」としています。また、核燃料サイクルはすでに破綻していると指摘し、「原発・核燃料サイクルからただちに撤退する」としています。

原発事故対応としては、汚染水の海洋放出の中止、広く英知を集めた汚染水対策や廃炉、被害実態に見合った賠償指針の見直しと全面賠償などを訴えています。

また、省エネと再エネの組み合わせで、2030年度に CO2排出50~60%削減(2010年度比)という目標を掲げています。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなう、2030年度に原発と石炭火力の発電量はゼロとするなどとしています。一方、近年、電力需要拡大の理由の一つとして言われているデータセンターについて、再エネ電力利用、立地をできるだけ寒冷地域に、省エネの徹底などが求められているとしています。

参照先:日本共産党の政策│日本共産党中央委員会 (jcp.or.jp)

国民民主党

原発推進姿勢が鮮明です。

原発はエネルギー安全保障に寄与するとして、地元同意を得た原子力発電所は早期に稼働させる、次世代軽水炉や小型モジュール炉(SMR)、高速炉、浮体式原子力発電など次世代革新炉の開発・建設(リプレース・新増設を含む)を進める、などとしています。

また、原子力施設への武力攻撃を想定し、自衛隊によるミサイル迎撃態勢や部隊の配備などを可能とする法整備を行うとしています。

電力自由化については、「全面自由化が国民や経済・社会にとって真に有益な施策となっているかの検証が必要」としています。2030年代には電源構成比で再エネ比率が40%以上としつつも、再エネ賦課金については、必要な見直しを行うとしています。

参照先:政策各論2. 自分の国は自分で守る | 国民民主党 第50回衆議院議員総選挙 特設サイト (new-kokumin.jp)

れいわ新選組

原発については即時廃止し、「廃炉ニューディール」で立地自治体の「公正な移行」を実現するとしています。福島第一原発の汚染水の海洋投棄の中止、被災者に対する医療費の無償化の継続・拡大を掲げています。

2030年に温室効果ガス排出量を70%以上削減、2050年までのできるだけ早い時期に脱炭素達成を目指す、屋根への太陽光パネル設置、地域の自然と暮らしと調和した分散型の再エネの促進、断熱基準の引き上げなど省エネルギ化と光熱費削減をすすめるなどとしています。

また、「官民合わせて10年間で200兆円をグリーン産業に投資し、250万人の地域分散型グリーン雇用を創出する」としています。

参照先:2024 reiwa election manifesto (reiwa-shinsengumi.com)

社民党

岸田政権のもとで進められた原発回帰政策を批判し、脱原発、老朽原発の稼働に反対、汚染水の海洋放出中止、被災者・避難者の十分な生活保障と被ばく管理などを掲げています

2030年の温室効果ガス削減を2013年比60%減、最終エネルギー消費削減を40%減、2030年の電源構成として、原発ゼロ、石炭火力ゼロ、再エネ50%としています(重点政策p.26)。

参照先:https://sdp.or.jp/2024-50-policy/#04

参政党

公約で「脱炭素政策と行き過ぎた再エネ推進を見直す」としています。

「3つの重点政策」「新しい国づくり10の柱」には、既存原発・化石燃料の活用、安全な次世代原発の推進、再エネよりも脱炭素火力の推進、再エネ賦課金の見直しなどが盛り込まれています。

参照先:公約 | 第50回衆議院選挙-50th House of Representatives Election- 日本をなめるな! (sanseito.jp)

公約は重要ですが、その根拠や背景にある考え方も重要ですね。また、言うまでもなく、選挙終了後、公約実現のために何をしたのかも…。みなさんはどの政党を選びますか?

(満田夏花)


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 輝く季節の中で夢は藍く染ま... | トップ | 【転載記事】<2024総選挙>... »

原発問題/一般」カテゴリの最新記事