学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

国立新美術館へ行く

2007-03-02 20:49:35 | Weblog
今日は東京の国立新美術館へ行ってきました。
乃木坂駅に直結しており、駅から延々と歩く心配はなし。
交通の便は良いといえるでしょう。

この美術館の特徴は、収蔵作品を全く持たず、
他館からの借用により企画展を組み立てている
ことが挙げられます。
この方針に対して、これまでの美術館の在り方とは
大きく異なるため色々と批判もあるようですが・・・。
話題の美術館、果たして実際はどうなのかを判断すべく
見学に向かった次第です。

さて、その展覧会の内容は「異邦人たちのパリ」と
題し、芸術の都フランス・パリに集いし芸術家と
そこから生まれた珠玉の作品を紹介するものです。

私は、どんな企画展も学芸員の血と汗と涙が
見えないところに隠れているのを痛いほど理解していますが、
あえて、疑問に思ったことを書きます。

どうしてこけら落としに、「パリ」を 取り上げたのか、ということ。
日本の国立の美術館が、開館記念に「パリ」という舞台を選んだ理由が
よくわかりませんでした。
日本画を展示するべきだった、とは言いませんが、 例えば世界の第一線で
活躍する日本の作家たちを紹介する、という展示内容は考えられなかったの
でしょうか。
次回の展覧会も印象派の「モネ」です。
パリ、モネ、日本人が最も興味をそそられるところ。
やはり借用作品に頼る企画展では、スポンサーの意見が強く、
お客様を呼び込める内容の展覧会になってしまうでしょうか。
私は少し寂しい感じを抱きました。

展示作品については、藤田嗣治、ピカソ、
シャガールあたりまでは楽しめましたが、
それ以降は抽象画の勢いに負けてしまいました。
抽象画は気持ちに余裕があるときはいいのですが、
こう気持ちの落ち込みがあると、その気持ちを増幅させる
効果があるようで、私はあまり見られないのです。

国立新美術館。
私には良い印象を与えませんでした。
でもまだ開館したばかりの美術館ですから、
おそらく今後素晴らしい美術館活動を展開して
くれることでしょう。

以上が私の率直な感想です。