学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

感傷

2007-03-30 21:36:47 | Weblog
春は出会いと別れの季節。
私の勤務する美術館でも、2人のアルバイトさんが退職します。

随分長く、そして大変お世話になった方々ですので、
とても寂しい気持ちで一杯です。
本当にどうもありがとうございました。

仕事を終え、美術館を出ると、近くに立っているこぶしの白い花が
闇夜にぼんやりと光っているようにみえました。
あの白い花を見ていると、なんだか妙に別れが辛くなり、
本来新しい出発を祝福してあげるべき立場なのに、
素直になれない自分が居ました。

桜が満開になるころには、心の整理がつくことを祈って。
なにやら感傷的な一日でした。

スケッチブックを発掘する

2007-03-30 00:03:50 | Weblog
4月からの展示、何とかメドがたちましたので、
ちょっと残業して作品の調査をしていました。

学芸員といえば、調査・研究が第一と思われる方も多いと思います。
(実際、学生時代の私はそう思っていました)
ところが、日々の業務は、HPの運営やワークショップの段取り、
公募展の準備などで時間を取られ、勉強の時間はほとんどありません。
ほとんどの学芸員が、時間外や休日を使って研究に励んでいるようです。
私も例外ではなく、早く仕事が終わったときには、
今日のように収蔵庫へこもって勉強をしています。
学芸員は、本当に好きでないと出来ない仕事ですね(笑)
どの仕事でもそうか!

今日は未整理になっているスケッチブックを整理しつつ、
実際の作品と見比べて、相違点などについてメモを取っていきました。
大抵のスケッチブックには、その日付が書かれているのですが、
いらなくなったチラシや紙の裏側にスケッチしているものも
あり、書かれた年代がはっきりと特定できないものも多く・・・。
微妙な鉛筆のラインから、どの時期なのかを判断するしかありません。
シャーロックホームズの如く、タッチや筆圧、用紙から
判断するのですから、まるで探偵のようです。

スケッチブックは、作品の基となるだけではなく、
完成した作品同様に、むしろそれ以上に作者の気持ちを
感じることがありますし、創造に苦闘した様子も垣間見ることができます。
一人の人間が必死に絵と格闘した様子が想像されて、
とても興味をそそられるものです。

もしも、他の美術館に行かれたときに、
何かしらのスケッチブックと出会うことがあったのなら、
完成した作品と見比べたり、作者の心のうちを想像してみると
面白いのかもしれませんね。