『モサド -暗躍と抗争の六十年史-』によれば、イスラエルの「情報コミュニティ」は、次のような組織構成となっている。
首相府のなかに情報担当長官会議(ヴァラシュ委員会)があり、モサド長官がその長をつとめる。委員会の長たるモサド長官は、首相に対して報告する義務があり、首相の指令に従ってうごく。
委員会を構成する情報担当長官は、次の組織の長である。すなわち、モサド、シャバク(旧称シン・ベト)、アマン、ナティーフ、警察公安部、外務省政治分析センター(CPR)である。
モサドには、(1)管理担当副長官の下に総務、防諜、分析、訓練、技術支援、工作調整をそれぞれ担当する課が置かれている。また、(2)工作担当副長官の下に、対外情報収集、偵察・尾行・盗聴、他国情報機関との情報交換、国外ユダヤ人の保護と移住援助、実行部隊、プロパガンダ、技術工作をそれぞれ担当する部門が置かれている。
モサドの具体的任務は、情報収集・特務工作のほか、国外のイスラエル人をターゲットにしたテロリズムの防止、外務省連絡事務所が公式に活動できない地域におけるユダヤ人帰国の支援、非公式の外交関係の維持、などがある。「現在、モサドの活動を規定する法律がないため、法的には存在しない組織であり、そのため任務のためには非合法活動も行えるとされている」
ちなみに、モサドの人員は1,500~2,000人と本書は推定する。CIAの10分の1であり、MI6と比べても少なめである。「従って、モサドは少ない人員の割には、高いパフォーマンスを誇る組織であるということができるだろう」
ちなみに、モサドという名称は1963年に与えられた略称で、「情報・特務工作機関」を意味するヘブライ語「ハ-モサッド・レ-モディイン・ウ-レ-タフキディ-ム・メユハディーム」の冒頭のモサッド(機関)を指す。「この組織の公式名称は、英国流にイスラエル秘密情報部(ISIS)というそうである」
シャバクは、その業務からして米国の連邦捜査局(FBI)、英国の情報局秘密情報部(SIS、旧称MI6)に相当する。ちなみに、モサドは米国の中央情報局(CIA)、英国の情報局保安部(SS、MI5)に相当する。
アマンは軍事情報部で、その業務はモサドと重なっていたが、アマン長官アミットが第3代モサド長官に就任後、モサドと一線を画することとなった。モサドがヒュミントに特化した情報収集であるのに対し、アマンは通信傍受などの技術的な情報収集活動に特化している。さらに、国家レベルの情報分析から政府への提言を受けもつ総合的な情報機関である、とされた。イスラエルのインテリジェンス機関のなかで最大の人員を誇る。
ナティーフは、(旧)ソ連・東欧圏でイスラエルに移住を希望するユダヤ人を支援する組織で、その活動はしばしばモサドと競合する。2000年、人員は徐々に減少することと方向づけられた。ナティーフの人員は500人程度である。
警察公安部、CPRについては、本書にほとんど言及がない。
このほか、本書は1957年に設置された国防省のラカム(科学連絡事務局)、科学・技術の情報に特化した秘密組織にふれるが、本書巻末の「情報コミュニティ」組織図にはその名は見えない。
なお、ウィキペディアによれば、モサドとシャバクは総理府に、アマンは国防省に、警察公安部は国内治安省に、CPRは外務省に属する、とされる。ナティーフの所属はよくわからない。
【参考】小谷賢『モサド -暗躍と抗争の六十年史-』(新潮社、2009)
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首相府のなかに情報担当長官会議(ヴァラシュ委員会)があり、モサド長官がその長をつとめる。委員会の長たるモサド長官は、首相に対して報告する義務があり、首相の指令に従ってうごく。
委員会を構成する情報担当長官は、次の組織の長である。すなわち、モサド、シャバク(旧称シン・ベト)、アマン、ナティーフ、警察公安部、外務省政治分析センター(CPR)である。
モサドには、(1)管理担当副長官の下に総務、防諜、分析、訓練、技術支援、工作調整をそれぞれ担当する課が置かれている。また、(2)工作担当副長官の下に、対外情報収集、偵察・尾行・盗聴、他国情報機関との情報交換、国外ユダヤ人の保護と移住援助、実行部隊、プロパガンダ、技術工作をそれぞれ担当する部門が置かれている。
モサドの具体的任務は、情報収集・特務工作のほか、国外のイスラエル人をターゲットにしたテロリズムの防止、外務省連絡事務所が公式に活動できない地域におけるユダヤ人帰国の支援、非公式の外交関係の維持、などがある。「現在、モサドの活動を規定する法律がないため、法的には存在しない組織であり、そのため任務のためには非合法活動も行えるとされている」
ちなみに、モサドの人員は1,500~2,000人と本書は推定する。CIAの10分の1であり、MI6と比べても少なめである。「従って、モサドは少ない人員の割には、高いパフォーマンスを誇る組織であるということができるだろう」
ちなみに、モサドという名称は1963年に与えられた略称で、「情報・特務工作機関」を意味するヘブライ語「ハ-モサッド・レ-モディイン・ウ-レ-タフキディ-ム・メユハディーム」の冒頭のモサッド(機関)を指す。「この組織の公式名称は、英国流にイスラエル秘密情報部(ISIS)というそうである」
シャバクは、その業務からして米国の連邦捜査局(FBI)、英国の情報局秘密情報部(SIS、旧称MI6)に相当する。ちなみに、モサドは米国の中央情報局(CIA)、英国の情報局保安部(SS、MI5)に相当する。
アマンは軍事情報部で、その業務はモサドと重なっていたが、アマン長官アミットが第3代モサド長官に就任後、モサドと一線を画することとなった。モサドがヒュミントに特化した情報収集であるのに対し、アマンは通信傍受などの技術的な情報収集活動に特化している。さらに、国家レベルの情報分析から政府への提言を受けもつ総合的な情報機関である、とされた。イスラエルのインテリジェンス機関のなかで最大の人員を誇る。
ナティーフは、(旧)ソ連・東欧圏でイスラエルに移住を希望するユダヤ人を支援する組織で、その活動はしばしばモサドと競合する。2000年、人員は徐々に減少することと方向づけられた。ナティーフの人員は500人程度である。
警察公安部、CPRについては、本書にほとんど言及がない。
このほか、本書は1957年に設置された国防省のラカム(科学連絡事務局)、科学・技術の情報に特化した秘密組織にふれるが、本書巻末の「情報コミュニティ」組織図にはその名は見えない。
なお、ウィキペディアによれば、モサドとシャバクは総理府に、アマンは国防省に、警察公安部は国内治安省に、CPRは外務省に属する、とされる。ナティーフの所属はよくわからない。
【参考】小谷賢『モサド -暗躍と抗争の六十年史-』(新潮社、2009)
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