語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【読書余滴】躍進するスウェーデン企業

2010年08月30日 | □スウェーデン
(1)スウェーデンの国民性
 個性と精神的自立心が強いのがスウェーデンの国民性である。しかも、その個性は、社会民主党政権の自由・平等・共生の理念に裏打ちされている。

(2)スウェーデン企業の戦略
 したがって、企業がスウェーデンで成功するためには、顧客の個性を尊重し、顧客の生活意識の高さに応える企業戦略を展開しなくてはならない。しかも、すべての国民を顧客とする戦略である。
 ここから商品の多様化が生まれ(画一的な商品はつくらない)、商品の低価格が実現する(特定の層のみをターゲットとする商品をつくらない)。
 多様化と低価格とのバランスをはかりながら、全国民を顧客とする・・・・それがスウェーデン企業の戦略である。

(3)企業の社会的責任
 スウェーデンの企業は、社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)をはたすことに熱心である。社会的責任とは、厳格な品質管理と生産過程の監視、企業の説明責任と透明性、被雇用労働者の環境整備、地球環境に対する配慮などである。
 CSRをはたすことで、国民に商品の安全と安心を提供する。
 と同時に、商品のクォリティを高めている。
 CSRによって商品のクォリティを高めることで、商品の競争力を高めている。
 スウェーデンは、CSRで世界第一位、環境分野でOECD加盟国第一位、社会の持続可能性分野で世界第一位の評価を得ている。

(4)H&M
 H&M(Hennes & Mauriz)の創業は、1947年である。婦人服専門の店からスタートして、今日の巨大企業に成長した。2009年度通期決算では、売上高は衣料品専門店で世界第一位(165億8,600万ドル)、世界37か国に1,988店舗、7万6,000人以上の従業員をかかえる。
 H&Mの商品は、世界で支持されている。
 H&Mは、老若男女すべての人の個性に合わせたさまざまなデザインの商品を提供しようとする。一部の金持ち層にのみ受け入れられるようなセレブ志向の商品展開はおこなわない。
 顧客は、H&Mの商品によって、自分が自分であることを主張し、自分らしさを発揮できる。自分の個性を外にむけてアピールできる。
 H&Mの品質のよさ、多様なデザイン、納得のいく価格は、すべての顧客の受け入れるところとなる。
 品質のよさは、高い素材を使って高級仕様の商品をつくることではない。厳しい品質管理と正しい生産工程の構築のみならず、環境への配慮も商品のクォリティを高めている。また、労働者の権利を守り、コスト削減のしわ寄せが労働者に向かうことのない環境づくりも配慮している。
 低価格ではあるが、画一的ではない商品のため、H&Mは、商品構成の企画、仕入生産、物流・配送、店舗のアレンジメント、エネルギー消費など、さまざまなところで工夫をこらし、コストを削減している。
 H&Mの経営陣は、定期的に売り場にでて、顧客にじかに接する。ファッションをリードするのは個性を知る顧客であり、企業側ではない、という認識が底にあるからだ。
 日本のユニクロは、人件費や流通コストを大幅に削減し、低価格商品を展開する。ユニクロに経済的メッセージはあっても、社会的メッセージ性は薄い。また、ユニクロは、最近顧客セグメントの手法を取り入れ、若い女性客をターゲットにした商品開発や店舗展開をおこなっている。他方、H&Mはすべての顧客をターゲットとする。 
 スペイン国内で生産していたZARAの商品展開のコンセプトは、ファッション・トレンドの追求だ。ひとつのアイデアが商品化されるまでのスピードの速さがZARAの特徴である。他方、H&Mも商品化のスピードの速さを競うが、ZARAとちがってトレンドを追わない。個々の顧客のライフスタイルにあった商品展開が基本である。

(5)イケア
 H&Mとならんでスウェーデン・ヴァリューを体現しているイケアは、1943年、イングヴァル・カンプラードが17歳のとき始めた雑貨商に端を発する。2009年度末現在、世界25か国に267店舗、従業員数10万人超、売上高2兆4,000億円の巨大企業に成長した。
 カンプラードは、平等と個性の尊重、共生などの価値を経営の基本においている。いまなお社会民主党を支持し、元首相ハンソンの「国民の家」の理念に共鳴している。競争・効率・株主至上主義の米国的企業経営を痛烈に批判していることでも名高い。
 現在、オランダに本社をおくスティヒティング・インカ・ファウンデーションがイケアの持ち株会社インカ・ホールディンッグスを所有している。イケア・グループは、この持ち株会社インカ・ホールディングスの傘下にある。
 スティヒティング・インカ・ファウンデーションは、カンプラードが1985年に設立した慈善団体だ。慈善団体に最終的に会社の支配権を委ねるやり方は、欧米ではよく見られる。「誰にも支配されない会社」をつくろうというわけだ。
 イケアの商品コンセプトは、H&Mと酷似している。イケア製品の特徴は、デザイン性、機能性、廉価にある。
 デザインの多様性は、イケアのセールス・ポイントである。多様なデザインの家具やキッチン用品は、自分らしい生活空間の演出を可能にする。自分にあったファッションは個性の主張だが、自分にあった暮らしの演出も個性の発揮である。
 フラット・バックは、イケアの特徴だ。つまり、商品を分解して販売し、顧客が組み立てる販売方式だ。顧客は、家具の組み立てという能動的な行為によって、みずからの個性を表現するわけだ。
 イケアは、1974年に日本に進出したが、1986年に撤退した。当時の日本では、DIY(Do It Yourself)、自分で家具などを組み立てる販売方法が受け入れられなかったのである。顧客自ら生活空間を演出する楽しさより、組み立てる煩わしさのほうが、当時の日本人には大きかった。国民性のちがいというべきか。
 イケアは、2006年、再度日本に進出した。その後順調に店舗を拡大し、成功をおさめている。日本人も変わりつつあるらしい。

(6)個性と平等
 H&Mやイケアの企業戦略の根底に、徹底した個性の尊重がある。人には、外見のみならず内面的にも異なる価値観、美意識、習慣があって、それらを個性と目するならば、個性の尊重は人間を平等に扱うことを意味する。
 個性の尊重による自由・平等・共生の社会の実現は、戦後、社会民主党政権が推進してきたことだ。こうした長い歴史をへて形成されたスウェーデンの個性的で自立心の強い国民性、そのスウェーデン人を顧客として成長してきたのがH&Mやイケアである。
 H&Mやイケアの商品は、世界共通仕様で、とくに日本向けにアレンジした商品はない。
 イケアは、顧客自ら家具を組み立てるところに価値がある、と考える。しかし、その考えは欧米人には受け入れられても、日本の顧客にはなかなか通用しないようだ。イケアは、「家具を自らつくりあげ、生活空間を演出することの楽しさ」「インテリアを創造することの面白さ」を体感できるイベント、セミナーなどを開催し、日本の顧客を啓発している。
 H&Mやイケアの企業戦略は、現在の世界企業のスタンダードではない。むしろ、株主至上主義の企業経営からすれば異端である。
 しかし、安心で安全な商品の追求、さまざまなレベルで企業の社会的責任をはたすことが企業利益の増大につながる・・・・との認識が先進諸国で広まりつつある。H&Mやイケアが注目されるゆえんだ。

【参考】北岡孝義『スウェーデンはなぜ強いのか -国家と企業の戦略を探る-』(PHP新書、2010)
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【読書余滴】スウェーデンの社会政策ミニ年表

2010年08月30日 | □スウェーデン
 注:○はスウェーデンの制度、●はスウェーデンの政治・社会・経済状況、

1397 ●カルマル同盟(デンマーク・ノルウェーと同君連合)
1523 ●グスタフ1世、即位(ヴァーサ王朝開始、スウェーデンの独立)
1734 ○スウェーデン王国法典
1766 ○出版の自由に関する法律
1809 ○統治組織法改正(カール13世、王権と議会との妥協、権力の分立)
        ※「憲法」=統治組織法+王位継承法+出版の自由に関する法律+表現の自由基本法
     ○議会オンブズマン設置 → 1915 2人体制 → 1976 4人体制
     ●フィンランド、ロシアへ割譲
1814 ●対ノルウェー戦役(以後、対外戦争は皆無)
     ●キール条約(スウェーデンとノルウェーの同君連合成立の契機、~1905)
1818 ●カール14世ヨハン、即位(ベルナドット元帥、ベルナドッテ王朝開始)
1819 ○医療任意保険制度(国庫補助あり)
1850 ●人口350万人
1842 ○義務教育制の始まり
        ※各教区(ソッケン)に国民学校、初等教育の義務づけ。
1843 ○救貧令
1853 ○救貧法
1854 ○最初の保育所(託児所:基金や民間団体による慈善事業)     
1862 ○勅令・地方自治規則:
       ランスティング、市/スタード、町/シェッピング)、村/コミューン、教区/ソッケン
       → 1991 新地方自治法(ランスティング、コミューン、ソッケン)
1865-66 代表制改革(身分制議会→近代的二院制議会)
1868 ○国民高等学校
        ※生涯教育の考え方のモデル。
1871 ○救貧法改正
        ※コミューンの救貧対象を孤児から労働不能な高齢社・障害者に拡大。
1874 ○公衆衛生法
     ○建築法
1881 ○児童労働禁止法
1882 ○義務教育制の完成
1884 ○都市計画法
1889 ●社会民主党結成
1891 ○友愛組合法
        ※相互扶助が目的。
     ○最初の健康保険制の萌芽
1894 ○ランスティング議会議長:政府任命、ただし議会議員から選出
1897 ●スウェーデン労働組合全国連合(LO)結成
1900 ○婦人年少者労働法、女性に係る労働安全規則
1901 ○労働者災害補償法 cf.日本の労働者災害補償保険法は1947。
1902 ●スウェーデン経営者連盟(SAF)結成
     ○里子法
1905 ●ノルウェー、分離。
1906 ○全国労使代表による労使関係の協定
1909 ○選挙法改正
        ※下院の男子普通選挙権、比例代表制。
1912 ○労働者教育協会(ABF)
        ※労働組合と社民党との共同。
1913 ○一般国民年金法
        ※「普遍均一の原則」に基づく最初の老齢年金。
     ○アルコール中毒ケア法 → 1980 社会サービス法
        ※患者の強制介護。

 ☆第一次世界大戦(1914年~1918年)

1914 ○「酒類購入帳」制度
        ※一般市民の酒類購入の制限、~1955年。
     ○社会民主党、第一党に。
1917 ○議院内閣制
        ※グスタフ5世、組閣に係る国王制限を放棄。
     ○社会民主党と自由党の連立内閣
1918 ○救貧法改正 → 1957 公的扶助法
        ※救貧院の改善、老人ホームの義務化、コミューンの責任。
     ○週48時間法
1919 ○コミューン:男子普通選挙権実施、人口1,500人超の村まで議会設置義務
     ○女性参政権
     ●エレクトロラックス設立
1920 ○統治組織法改正
        ※女性の選挙権、被選挙権、男性並みに。
     ○最初の社会民主党内閣
        ※選挙で樹立された世界初の社会主義単独政権。
     ○産業民主主義委員会
     ○労使関係法
     ○限定的な児童扶養控除制度
     ○ランスティング議会議長:ランスティング議会自ら任命
1921 ●最初の女性国会議員
1923 ○団体協約法
1924 ○児童福祉法
        ※親による虐待、酷使の防止、子どもの強制労働の禁止。
     ○ランスティング:レーンへの服従義務廃止
1929 ●ボルボ設立
1928 ●社民党首相ハンソン、議会の一般討論のなかで「国民の家」建設構想を演説。
     ○医療制度法(国民の医療に係るランスティングの責任と義務)

 ☆世界大恐慌(1929年~)

1931 ○任意の健康保険制度 → 1946 国民年金法
     ○予防的母子保護システム
        ※一部の地域、以後段階的に拡大。
1932 ○社会民主党の第一次単独内閣
1933 ○住宅社会調査委員会
     ○一般アパート建設に係る国の貸付金。
1934 ○住宅建設に補助金
1935 ○任意の失業保険組合認可、補助金交付
     ○基礎年金法
        ※国の補助金増額、保険方式の廃止。
     ○家族手当(児童手当)創設(ミーンズテストあり)
     ○都市部の低所得者多子家族に対する特別住宅のための融資および補助制度
1937 ○先払養育手当(児童扶養手当)
1938 ○個人住宅建設に係る国の貸付金。
     ○「サルッショ(サルトシェ)-バーデン協定」
       ※LOとSAFによる労使の基本協約。
     ○コミューン:人口700人超の村まで議会設置義務
     ○予防的母子保護システム(全国に拡大)

 ☆第二次世界大戦(1939年~1945年)

1941 ○児童に対する限定的な現物給付制度
     ○家賃補助創設
1942 ○職場の安全に関する全国労使協定
1943 ○高齢者向け在宅ケア、ホームヘルパー制度導入
1944 ○公的保育施設の制度化(保育所と幼稚園に補助金交付)
     ○保育所に公的補助
1945 ○アルコール中毒患者のリンク運動、設立。
     ○住宅の質に係る公衆衛生法と住宅建設資金融資基準の内容が建築法に移行
1946 ○国民年金法(国民基礎年金の原型) → 1947法施行
     ○労使協議会を各企業に設置することに関する全国労使協定
     ○全国の村コミューンの地域区分変更に関する新法 → 1952 法施行
1947 ○児童手当法(16歳以下のすべての児童が対象) → 1948 法施行
     ○同一職種、同一賃金の原則、確立。
1948 ○労働研究に関する全国労使協定
     ○子ども手当(所得審査なし、16歳以下全員)
     ☆チェコスロバキア政変 → 北大西洋条約機構(NATO)、ワルシャワ条約機構(WTO)
1949 ○労働者保護法(労働安全法)  cf.日本の労働安全衛生法は1982。
     ○児童ケア委員会、「社会政策としての保育政策」提言
     ●高齢化率:10%
1950 ○9年制基礎学校の抜本的改革
1952 ●第一次コミューン統合
     ●北欧理事会創設
1953 ○コミューン関連法規の改正
        ※コミューン:全市町村、ランスティングに議会設置義務。
1954 ○高齢者の住宅手当支給
     ○ランスティングについても自主性の拡大
     ○難民の地位に関する条約(1951国連採択)批准
1955 ○国民医療保険(健康保険法)施行 → 1970 「7クローナ改正」
        ※所得喪失原則給付。
1956 ○生活保護(公的扶助)法 →1957 法施行 ←救貧法改正
        ※ノーマライゼーションに基づく子ども・高齢者・障害者支援。
1959 ○病院法改正
        ※高齢者医療の展開の契機。
1960 ○国民付加年金法
        ※ATP制度、所得比例給付、「補助と付加の制度」の付加に係る制度。
     ○児童福祉法
        ※子どもの養育に地域が責任をもつことを強調。
     ○旧型売上税の導入(税率4.2%) → 1969 付加価値税に改組(11.11%)
       → 1988 20.6% → 1980 23.46% → 1990 25%
1962 ○地方医務官をランスティング所属に統一。
     ○国民保険法
        ※医療保険、年金保険の充実。
     ○医療サービス法
        ※老人ホーム建設中止。
     ○学校教育体系の基本
     ●高齢化率:13%
     ○市町村「高齢者福祉計画」(ケア付き住宅増設、ホームヘルプ拡充)
1963 ○社会保険法(国民基礎年金、国民付加年金、医療保険の枠組み)
     ○女性の労働力化率55%
1964 ○コミューンに対し国庫補助金、ホームヘルプ事業の拡大
1966 ○均等化制度 → 1993 交付金改革 → 1996 新しい均等化制度
1968 ○コミューン運営の成人教育の開始
        ※コンブックス=成人のための学校。
     ○知的障害者援護法
1969 ○統治組織法改正
        ※二院制から一院制へ。
     ○プレス・オンブズマン設置
        ※プレスクラブ、議会オンブズマン、弁護士会の協議任命。
1970 ○「7クローナ改正」
        ※医療費自己負担上限、当時約530円。 
     ○普通科高等学校および各種の職業学校を総合性高等学校に一本化
       ↑ 1955 健康保険法施行 ←1928 医療制度法
1990 ●労働力率(15~64歳)は、女性80.4%、男性84.9%。
1971 ○消費者オンブズマン設置
     ○市町村→コミューンに単一化 → 1974 278 → 1977 277
     ●一院制議会の誕生(定数350)
1972 ○サービスハウスの指針
        ※老人ホームの代替物。
     ●第1回地球サミット「国連人間環境会議」(ホスト国)
1973 ☆第一次オイルショック ←第四次中東戦争
     ○国会、児童ケアサービスを大幅に拡張する法案、可決。
1974 ○健康保険制度の抜本的改正
        ※両親手当/親保険の導入=親手当+一時看護手当。
     ○就学前学校法
        ※全日制保育所、時間制の幼稚園。
     ○統治組織法改正
        ※国家の基本構造、市民の権利。
     ○雇用保護法
        ※解雇を規制し、雇用の安定を図る。
     ●第二次コミューン統合
     ○分割法
        ※コミューン統合の修正。
1975 ●国会決議・・・・居住を許可された外国人はスウェーデン人と同じ権利を有する。
     ○児童ケアに関する法律
     ○6歳児すべてを収容する一般幼稚園の開設。
     ○建築法にバリアフリー条項を盛りこむ(車いす利用者にアクセシブルな住宅)。
1976 ○共同決定法 → 1977 法施行
     ○児童保護(児童保育)法 → 1977 法施行
        ※学童保育を含む全保育体系。
     ○一院制議会の定数変更(定数349 ←350)
     ○新外国人法 → 1989 現行法に改正
     ●選挙:ブルジョア・ブロック3党連合政権
1977 ○統一地方自治法
     ○年金給付開始年齢67歳→65歳、部分年金制の導入
1978 ○24時間在宅ケア制度導入
     ● 選挙:3党連合政権崩壊 → 国民党単独政権(社民党、44年ぶりに下野)
     ☆第二次オイルショック ←イラン革命
1979 ● 選挙:3党連合政権
1980 ○社会サービス(社会福祉)法 → 1982 法施行
     ○雇用平等法/機会均等法施行(機会平等委員会)
     ○機会均等オンブズマン設置(男女機会均等法適用状況の監視)
     ○新外国人法
1981 ☆国連「国際障害者年」 → 国連「障害者の十年」(1983-1992)
1982 ○保健・医療サービス法(医療サービス法の改正) → 1983 法施行
     ○労働者基金
     ○社会サービス法施行
        ※24時間対応ホームヘルプ、補助器具センター、デイサービス拡充。
     ●高齢化率:16%
     ●選挙:社会民主党単独政権
1983 ○女性の就労制限撤廃。
1984 ○人工授精法 →1985 法施行 →2003 法改正施行
1985 ○知的障害者等特別援護法(知的障害者はGHに居住が主流)
1986 ○人種差別オンブズマン設置(人種差別法の適用状況の監視)
     ●パルメ首相暗殺
1987 ●財政支出、黒字転換
     ○同性愛者の同棲に関する法律
     ○自然資源の管理等に関する法律
1988 ○体外受精法 →1989 法施行 →2003 法改正施行
1989 ○外国人法改正
1990 ○歳入中立の税制改革
        ※付加価値税25%、所得税率の原則フラット化、炭素税の導入。
1991 ○地方自治法改正(均衡予算原則撤廃、「健全な財政維持」要請へ) → 1992 法施行
     ○教育法改正(権限を中央政府から市町村へ分権化、、「教育バウチャー」制度の導入)
     ○住民登録業務、教会から切り離し。
     ●選挙:4党連合政権
     ☆ソ連解体。
1992 ○エーデル改革
     ○エーデル改革に伴う社会サービス法一部改正
        ※GH増設、介護付き特別住宅増設、サーラ条項、要介護認定、バウチャー制度。
     ●高齢化率:18%
     ☆「アジア太平洋障害者の十年」(1993~2002)
1993 ○地方交付金制度改正 → 1996 新しい均等化制度
     ○障害者福祉改革
     ○機能障害者を対象とする援助およびサービスに関する法律(LSS法) → 1994 法施行
     ○パーソナル・アシスタンス補償金に関する法律 → 1994 法施行
     ○児童オンブズマンの設置(児童の権利に関する条約の履行状況の監視)
     ○エコサイクル法
        ※物資の循環、再利用を社会の目標に。
     ●失業率:8.2%(ピーク)
1994 ○障害者オンブズマン法
     ○精神医療のエーデル改革
        ※精神障害者への支援もコミューンの責任。
     ●選挙:社会民主党政権
     ●高齢化率:17.6%
1995 ○精神保健福祉改革
     ○学級編成基準の廃止
     ○社会サービス法改正
        ※両親が就労・就学している1~12歳児童に対する保育の保障。
     ○財政法 ← 1994 憲法の財政関係規定の改正
        ※新たな予算編成システム。
     ●欧州連合(EU)に加盟
     ○統治組織法改正(EU加盟に伴うもの)
1996 ○新しい均等化制度 ← 1993 交付金改革 ← 1966 均等化制度
     ○児童手当:減額
     ○多子加算制度の廃止
1997 ○親保険給付率の引下げ
     ○国会、移民政策から統合政策へ、可決
1998 ○幼稚園と保育所、就学前学校に一元化(エデュケア=エディケーション+ケア)
     ○新年金法 → 1999 法施行
        ※任意所得比例保険+基礎保険で全失業者がカバー。
     ○社会保険料被用者負担(年金についてのみ負担)7%に引上げ
     ○児童手当:引上げ(750クローナ)
     ○多子加算制度の復活 → 2000 増額 →2001 増額
     ○社会統合庁設置
1999 ○歯科保険制度改革(歯科医が自由に価格設定、定額を社会保険事務所が歯科医に補助)
     ○性的傾向による差別防止オンブズマン設置
     ○職場における障害者差別禁止法
     ○ランスティング20に。 ← 23
        ※ゴットランドにランスティングはないが、コミューンがランスティングの業務も行う。
2000 ○社会サービス法改正(高齢者・障害者の家族支援策義務づけ)
     ○脱施設化完遂
     ●出生率:分娩する女性、50%が30歳以上に。
     ○児童手当:引上げ(850クローナ)
2001 ○市民権法改正(二重市民権の取得可)
     ●失業率年4.0%(知識集約産業における顕著な雇用)
     ○児童手当:引上げ(950クローナ)
     ○就学前学校:親が失業中の子どもは最低1日3時間、週15時間通学可
     ●養子:831人(うちスウェーデン市民は125人、国際養子は706人)
     ●難民受け入れ約23万人(1992~)
2002 ○就学前学校:親が親休暇中の子どもは最低1日3時間、週15時間通学可
     ○就学前学校:保育所その他の児童ケアの料金に上限を設定するマックスタクサ制度導入
     ○保育料上限措置の導入(子ども一人:所得の3%、二人、三人:追加費用それぞれ2%、1%)
     ●女性国会議員:国会議員349人中158人(45.3%)
2003 ○親子法改正施行
     ○人工授精法改正施行
     ○体外受精法改正施行
     ○早期年金・医療手当の廃止
       → <所得保障>活動補償金(19~30歳未満)・疾病補償金(30~60歳未満)
         <介助支援>介護助成金(障害・病気のある子ども)、障害補償金(19歳~)
         <移動支援>自動車購入・改造費助成
     ●乳児死亡率:3.1%
     ●出生率:1.75
     ○就学前学校:すべての4歳児および5歳児は、年間最低525時間、無料で通学可
     ●家族ヘルパー、全国で2,100人
2005 ○児童手当:引上げ(1,050クローナ)
     ○多子加算制度(第三子以降→第二子以降に拡大)
2006 ●社会統合・男女平等省設置
        ※初代大臣:N.A.サブニ。
2008 ●人口930万人。
     ●1月1日現在、総人口の21%が外国生まれである。
     ☆リーマン・ショック。世界的な金融危機。
2009 ●金融危機において財政赤字はGDP比2%程度。
2010 ●早々と不況克服。成長率3%台を達成する見こみ。財政は黒字(2010.8.1.付け朝日新聞)。