語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>食品>汚染米のチェック機能不全/消費者側の対策

2011年09月05日 | 震災・原発事故
(1)検査の信頼性
 (a)人間に外部被曝と内部被曝があるように、作物にも①直接降りかかる汚染と、②土から吸収される汚染がある。田植えは5月以降だから、問題になるのは②だ。
 国は、福島原発から半径30km圏内などをコメの作付け制限地域と指定している。この地域は、国から補償される。制限をくぐり抜けてまでコメを作るメリットは小さい。

 (b)ただし、作付け制限地域外も汚染されている。国は、自治体に収穫前後の検査を指示した。検査は、収穫の1週間前に水田に稲が植わっている状態で予備調査を行い、基準値を超えた場合、本調査を行う。本調査で暫定基準値を超えた時、出荷制限される。
 8月19日、茨城県鉾田市で初めて52Bq/kgの放射性セシウムが検出された。その後も、千葉県、福島県などで50Bq/kg程度が検出されたものの、今のところ小売りが茨城県産を回避する動きは見られない。

 (c)しかし、検査ポイントが少ない。予備調査で最大5点、本調査で重点調査区域に指定された場合で15haに1点にすぎない。
 予備調査や本調査のポイント選定は、国は県に任せている。県は市町村に指示し、実際の作業は県、市町村、農協の関係者などが行う。制度上は、恣意的にポイントを選んだり、低い数値がでるまで検査することも可能だ。
 福島県内の市町村では、すでに予備調査が終了している。放射性物質は、基準値以下どころか、不検出だったところもある。この結果に、同じ県内の農家自身から疑問の声が上がっている。検査方法の改善が必要だ。 

 (d)収穫から出荷までの二次汚染も問題だ。コメは、脱穀、精米の段階でかなりの放射性物質が取り除かれる。しかし、脱穀機に汚染されたもみがらが残っていれば、次回の作業の際、二次汚染の危険が残る。
 コメ以外の部分の汚染も問題だ。稲の葉、茎、もみがらは食用、飼料として出荷されているが、検査対象になっていない。

(2)産地偽装
 福島県いわき市・浜通りにある大型ホームセンターには、今、一度使用して空いた米袋「一空袋(いちあきたい)」がよく売れている。山積みの栃木県、青森県などの「一空袋」が次々に搬入され、飛ぶように売れているのだ。
 「一空袋」は従来、割安な紙袋として農家が自家消費用のコメや農作物を入れるのに使ってきた。だが、他方、「一空袋」はコメの産地偽装、銘柄偽装の道具としてよく知られている。
 「一空袋」には、コメの産地、銘柄、生産年月日、生産者の名前と住所が記され、集荷した農協と検査員の検印が押されている。農協のお墨付きの米袋だ。悪質な農家やブローカーが違うコメを入れれば、偽装を見破るのはプロでも容易ではない。

(3)流通、販売での検査
 外食最大手ゼンショーは、使用する米について産地ごとに放射性物質の検査を始めた。ロイヤルホールディングスも検査機器を導入、検査を始める。
 しかし、外食、流通企業で独自の検査機器を導入しているのは例外的だ。多くは卸業者の検査証などに頼っている。袋の偽装があれば、絶対に見抜けない。

(4)消費者の対策
 (a)同じ店で長い期間買う。
 (b)一つの産地のコメを買い続ける。  
 (c)スーパーの店頭で、安全性の確保についての取り組み方を訊ねる。納得いく説明が返ってこなかったら、コメの専門店などを回り、なじみの店を見つける。
 (d)楽天などのサイトで、商品や商店に係る購入者の評価を参考にする。
 (e)農家から直接購入する。インターネットで入手できる。農家を直接訪ねてもよい。

 以上、記事「産地偽装も取り沙汰される汚染問題に大揺れの産地」(「週刊ダイヤモンド」2011年9月10日号)に拠る。
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