財務省が管轄する「国債整理基金」は、国の特別会計の一つだ。「将来の国債償還を円滑に行う」という名目で毎年積み立てられている。
これが、毎年10兆円以上、平成20年度は11.1兆円、平成21年度は12.5兆円もの余剰金が発生している。
この基金は、年度中に天災など「不測の事態」が生じ、国債が償還できなくなった場合に備えて政府に歳出権が与えられている。
余剰金は、これまでは「不測の事態」が起きていないから、という理由で基金に繰り入れられていた。
だが、いま、まさに「不測の事態」が発生している。いまこそ使うべきだ。
と・こ・ろ・が・・・・
<例1>
川内博史 : 「不測の事態」如何?
財務省主計局司計課長 : 天変地異のことです。
川内 : 東日本大震災は天変地異にあらずや?
課長 : いや、明日もっと大きな天変地異が起きるかもしれません。たとえば東京で大地震が起き、財務省の建物が倒壊するような事態です。
<例2>
江田憲司・みんなの党幹事長 : この剰余金を使うべし。
岡田克也・民主党幹事長(4月17日現在) : 国債整理基金への(剰余金)繰入があるおかげで国債の信認が保たれているので、できない。
<例1>については、明文規定がない【注1】。
<例2>については、国債償還のための基金を積み立てる制度があるのは、OECD加盟国などの先進国で日本だけだ。それに、国債整理基金を知った上で国債を購入する投資家はほとんどいない【注2】。
使えるカネがあるのに、国民の、被災者の懐にまで手を突っ込んで税金をとるのか。
日本政府が保有する資産は、約750兆円ある。政府保有の資産を活用して予算を組むのが当然ではないか。
【注1】・・・・と川内は言っているが、財務大臣(そして内部委任された司計課長)に「国債整理基金」に係る有権的解釈の権限があるならば、どの事態が「不測の事態」であるかは司計課長の判断による。たとい、その解釈に内在する矛盾があろうとも(<例>司計課長の言いまわしに従うならば、仮に「財務省の建物が倒壊するような事態」が起こったときにも、より一層の巨大な事態(<例>東海大地震の発生、浜岡原発の倒壊)が今後生じ得るから今は使用しない、と先送りすることができる)。司計課長の判断を動かすのは政治だが、川内にはそうした政治力はないらしい。
【注2】「はっきりいおう。今年度の日銀引受12兆円を30兆円に増額して18兆円の復興財源を捻出しても、今年度の予算の範囲内の話である。国債整理基金の10兆円を復興財源に回しても、過去に何度も行われてきた話だ。これらを実行しても、年率30%のインフレにはならないし、通貨の信認も国債の信認も失われない」【高橋洋一「「復興増税」論の隠された意図を暴く 「通貨」の信認と「国債」の信認の正体 ~高橋洋一の俗論を撃つ 【第12回】 ~」(2011年4月21日 DIAMOND online)】
以上、インタビュイー:川内博史・民主党衆議院議員/インタビュアー:古川琢也「国債整理基金の余剰金10兆円で復興増税は不要だ」(「週刊金曜日」2011年9月16日号)に拠る。
*
【参考】
「【震災】増税で復興できるか? ~『官僚の責任』~」
「【震災】原発>3兆2千億の原子力埋蔵金~補償に回すべき隠し金~」
「【震災】復興資金調達>財務官僚の観点と日本経済の観点」
「【震災】消費税臨時増税は不公平で経済を攪乱 ~復興経費と社会保障経費の財源~」
「【震災】日本にベストな復興資金調達法、それを阻害する2つの要因」
「【震災】復興の財源(案) ~社会資本整備特別会計と農林漁業関係公共事業予算の統合など~」
「【震災】増税も嫌、円高も嫌、ということなら消費者が復興の費用を負担することになる」
↓クリック、プリーズ。↓
これが、毎年10兆円以上、平成20年度は11.1兆円、平成21年度は12.5兆円もの余剰金が発生している。
この基金は、年度中に天災など「不測の事態」が生じ、国債が償還できなくなった場合に備えて政府に歳出権が与えられている。
余剰金は、これまでは「不測の事態」が起きていないから、という理由で基金に繰り入れられていた。
だが、いま、まさに「不測の事態」が発生している。いまこそ使うべきだ。
と・こ・ろ・が・・・・
<例1>
川内博史 : 「不測の事態」如何?
財務省主計局司計課長 : 天変地異のことです。
川内 : 東日本大震災は天変地異にあらずや?
課長 : いや、明日もっと大きな天変地異が起きるかもしれません。たとえば東京で大地震が起き、財務省の建物が倒壊するような事態です。
<例2>
江田憲司・みんなの党幹事長 : この剰余金を使うべし。
岡田克也・民主党幹事長(4月17日現在) : 国債整理基金への(剰余金)繰入があるおかげで国債の信認が保たれているので、できない。
<例1>については、明文規定がない【注1】。
<例2>については、国債償還のための基金を積み立てる制度があるのは、OECD加盟国などの先進国で日本だけだ。それに、国債整理基金を知った上で国債を購入する投資家はほとんどいない【注2】。
使えるカネがあるのに、国民の、被災者の懐にまで手を突っ込んで税金をとるのか。
日本政府が保有する資産は、約750兆円ある。政府保有の資産を活用して予算を組むのが当然ではないか。
【注1】・・・・と川内は言っているが、財務大臣(そして内部委任された司計課長)に「国債整理基金」に係る有権的解釈の権限があるならば、どの事態が「不測の事態」であるかは司計課長の判断による。たとい、その解釈に内在する矛盾があろうとも(<例>司計課長の言いまわしに従うならば、仮に「財務省の建物が倒壊するような事態」が起こったときにも、より一層の巨大な事態(<例>東海大地震の発生、浜岡原発の倒壊)が今後生じ得るから今は使用しない、と先送りすることができる)。司計課長の判断を動かすのは政治だが、川内にはそうした政治力はないらしい。
【注2】「はっきりいおう。今年度の日銀引受12兆円を30兆円に増額して18兆円の復興財源を捻出しても、今年度の予算の範囲内の話である。国債整理基金の10兆円を復興財源に回しても、過去に何度も行われてきた話だ。これらを実行しても、年率30%のインフレにはならないし、通貨の信認も国債の信認も失われない」【高橋洋一「「復興増税」論の隠された意図を暴く 「通貨」の信認と「国債」の信認の正体 ~高橋洋一の俗論を撃つ 【第12回】 ~」(2011年4月21日 DIAMOND online)】
以上、インタビュイー:川内博史・民主党衆議院議員/インタビュアー:古川琢也「国債整理基金の余剰金10兆円で復興増税は不要だ」(「週刊金曜日」2011年9月16日号)に拠る。
*
【参考】
「【震災】増税で復興できるか? ~『官僚の責任』~」
「【震災】原発>3兆2千億の原子力埋蔵金~補償に回すべき隠し金~」
「【震災】復興資金調達>財務官僚の観点と日本経済の観点」
「【震災】消費税臨時増税は不公平で経済を攪乱 ~復興経費と社会保障経費の財源~」
「【震災】日本にベストな復興資金調達法、それを阻害する2つの要因」
「【震災】復興の財源(案) ~社会資本整備特別会計と農林漁業関係公共事業予算の統合など~」
「【震災】増税も嫌、円高も嫌、ということなら消費者が復興の費用を負担することになる」
↓クリック、プリーズ。↓