語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>20km圏の大半は居住不可能

2011年09月21日 | 震災・原発事故
 菅直人・前首相は、退陣直前の8月27日、「福島復興再生協議会」で、避難を続ける住民について次のように発言した。
 「帰郷に20年以上はかかります」

 伊藤博敏(ジャーナリスト)「福島原発事故処理の最重要課題に浮上した『除染ビジネス』に海外企業が群がっている」(「SAPIO」2011年10月5日号)に拠る。

    *

 (「週刊朝日」2011年月9日16日号および23日号の今西憲之+本誌取材班によるスクープ映像を見て、)凄まじい破壊が起こったことがよくわかった。
 運転を止めていた4号機は、下のほうまで壁が吹き飛んでいる。使用済み核燃料から水素が発生して爆発したなら建屋上部は破壊されたはずだが、3号機で発生した水素が大工とを通じて流れこんだのかも。4号機には1,535体の燃料集合体が入っている。補強工事が行われたようだが、余震などで建物が崩れ落ちた場合、強い放射線がばらまかれて誰も近づけなくなる【注】。
 1号機から3号機の炉心の核燃料は溶融体となって、何処にあるかも分からない。
 1号機に関しては、溶融体が圧力容器の鋼鉄を溶かして格納容器の下部に落ちている。さらに、格納容器を溶かして外に出ている可能性が高い。もし、コンクリートの土台や岩盤にめり込んでいれば、いくら水をかけても内部は冷やせない。
 冷却システムに高濃度の放射能を含んだ冷却水をためるタンクを遮蔽するものがない。気になる。
 地下に防壁を張りめぐらさないと、溶融体が地下水と接触し、放射能汚染が海に拡大する。
 2号機、3号機も内部の状況が分かってくれば、1号機と同様に燃料の溶融体が格納容器の外に出ていることが明らかになるだろう。
 壊れた建屋全体を覆う工事も必要だ。大気中への放射能汚染が止まっていないから。核燃料の崩壊熱は10年後も10分の1にしかならない。空調を付けて冷やしながらでもやるしかない。
 放射線管理区域を定める現行法を厳密に適用するなら、福島県の東半分、宮城県・茨城県・栃木県の一部、さらに千葉や東京都のホットスポットは無人にするしかない。

 【注】「【震災】原発>3号機も4号機も危機的状態 ~「米軍機密文書」~

 以上、小出裕章「地下に防壁を造らなければ汚染はさらに拡散する」(「週刊朝日」2011年月9日23号)に拠る。

    *

 福島第一原発1~3号機の格納容器を補修し、水を満たした上で上部から核燃料を取り出す、という東電の作業計画は実施不可能だ。
 スリーマイル島原発事故では核燃料を取り出したが、圧力容器が損傷せず健在だった。溶融した炉心は容器内にとどまっていた。他方、福島の場合は圧力容器の底に穴があき、その下部の基礎部分(ペデスタル)にまで核燃料が落ちた可能性があるのだ。
 「石棺」化するしかない。これも30年と持たないかもしれない。原子炉を解体・撤去して緑地化する「完全廃炉」は100年たっても実現しないだろう。
 そうした議論は後回しにして、政府には今すぐやらねばならぬ仕事が山ほどある。
 (a)20km圏の警戒区域の大半を始め、飯舘村も“全村離村”しかない。村ごと除染することはできない。その場を捨てるしかない。人が住めなくなる地域が3km圏で収まる道理がない。居住できなくなる範囲を一刻も早く住民に知らせなくてならない。政府は住民に新たな生活の場を早急に用意すべきだ。
 (b)原発事故をこれ以上進行させないためにどう措置するのか。放射能汚染水や廃棄物をどう処置するのか。 

 以上、小出裕章(談)「居住不能区域を知らせない無能政府」(「サンデー毎日」2011年9月25日号)に拠る。
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする