(1)下請け構造・労働者派遣の構図(一例)
(a)東京電力 → 労働者日当(100,000円弱)
(b)メーカー(日立、東芝) → ・・・・
(c)東電3社(東電工業、東京エネシス、東電環境)など【注1】 → 労働者日当(50,000~100,000円?)
(d)常駐下請会社【注2】 → 労働者日当(20,000円程度【注3】)
(e)2次下請会社 → 労働者日当(17,000円程度【注4】)
(f)3次下請会社(派遣会社) → ・・・・
(g)4次下請会社(派遣会社) → ・・・・
(h)5次下請会社(派遣会社) → 労働者日当(8,000円~6,500円程度【注5】)
(2)危険手当
これもピンハネされている。
震災後、労働者には賃金のほか危険手当が3、4月段階では1日10万円弱支給されていたが、それ以降は1万円程度の人、500~1,000円程度になった人、まったく貰えない人がいる。
(3)下請構造
どの産業でも非正規労働者を「活用」しようとする傾向がある。法律上の「使用者」責任を負わずに労働者を使用できるからだ【注6】。また、景気変動の際には業者との契約解除だけで雇用量を調整でき、一般労働者を安く使えるからだ。【萬井隆令・龍谷大学名誉教授】
原発では、こうした営利企業の一般的習性に加え、(a)被曝労働と癌、白血病などの発症の因果関係が立証されて安全配慮義務違反の使用者責任を問われるのを避けたい、という理由も加わる。また、(b)定期点検時に集中して大量の労働者が不可欠になるが、上限を超える大量の放射能を浴びた労働者はそれ以上就労させられない(線量が高い場所に人海戦術的に送りこまれる労働者の「使い捨て」は必至)。・・・・こうして外部労働力の利用(下請け化ないし請負、派遣依存)が必然となる。【萬井教授】
原発労働に従事せざるをえない労働者、自治体の貧困問題もある。
【注1】(c)と(d)の間に、メーカーが東芝の場合には東芝プラントシステム、日立の場合には日立プラントテクノロジーを「かませる」ケースがある。
【注2】定期検査以外でも日常的に整備を請け負う。ほとんどは東京の業者で、地元業者はあまりいない。それぞれ機械、電気、計測、足場、重機など専門分野ごとのテリトリーがある。
【注3】20年間くらい単価は変わっていない。
【注4】【注3】の15%程度を手数料として常駐下請会社が抜く。
【注5】津波によるがれき撤去作業のアルバイトの日給手取り10,000円より低い。
【注6】川上武志氏は、全国の原発を「放浪」して原発労働に従事した後、03年8月から08年9月まで浜岡原発で働いた。彼は、4次下請のX社に「川上工業」というダミーの偽装出向会社を設立させられ、そこに出向する契約を結ばせられた。X会社は「使用者」の責任を免れていた。川上氏は、ある組合に入り、団体交渉を通じて「解雇」問題を含め勝利解決。現在労災を申請している。9月に実名で『原発放浪記』(宝島社)を刊行。
以上、三浦直子(弁護士)「搾取される原発作業員」(「週刊金曜日」2011年9月9日号)に拠る。
*
作業員の多くは、4次下請より下位で雇われている日雇労働者や個人請負の「一人親方」だ。もっとも危険な原子炉建屋に入って、配線や電気ケーブル敷設作業を行っている作業員ですら、日当は1万数千円というケースが少なくない。
原発敷地内で任務にあたった自衛隊員には、本俸に加えて、42,000円/日の手当【注】が支給される。
【注】これは、陸上自衛隊がイラク・サマワ派遣された時の手当24,000円/日の1.75倍だ。事故った原発はテロが頻発するイラクよりも1.75倍だけ危険、というのが国の見立てらしい。
大杉泰(ジャーナリスト)「フクシマ下請け労働者使い捨て 放射線管理員も逃げ出す汚染地獄」(「サンデー毎日」2011年9月18日号)に拠る。
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(a)東京電力 → 労働者日当(100,000円弱)
(b)メーカー(日立、東芝) → ・・・・
(c)東電3社(東電工業、東京エネシス、東電環境)など【注1】 → 労働者日当(50,000~100,000円?)
(d)常駐下請会社【注2】 → 労働者日当(20,000円程度【注3】)
(e)2次下請会社 → 労働者日当(17,000円程度【注4】)
(f)3次下請会社(派遣会社) → ・・・・
(g)4次下請会社(派遣会社) → ・・・・
(h)5次下請会社(派遣会社) → 労働者日当(8,000円~6,500円程度【注5】)
(2)危険手当
これもピンハネされている。
震災後、労働者には賃金のほか危険手当が3、4月段階では1日10万円弱支給されていたが、それ以降は1万円程度の人、500~1,000円程度になった人、まったく貰えない人がいる。
(3)下請構造
どの産業でも非正規労働者を「活用」しようとする傾向がある。法律上の「使用者」責任を負わずに労働者を使用できるからだ【注6】。また、景気変動の際には業者との契約解除だけで雇用量を調整でき、一般労働者を安く使えるからだ。【萬井隆令・龍谷大学名誉教授】
原発では、こうした営利企業の一般的習性に加え、(a)被曝労働と癌、白血病などの発症の因果関係が立証されて安全配慮義務違反の使用者責任を問われるのを避けたい、という理由も加わる。また、(b)定期点検時に集中して大量の労働者が不可欠になるが、上限を超える大量の放射能を浴びた労働者はそれ以上就労させられない(線量が高い場所に人海戦術的に送りこまれる労働者の「使い捨て」は必至)。・・・・こうして外部労働力の利用(下請け化ないし請負、派遣依存)が必然となる。【萬井教授】
原発労働に従事せざるをえない労働者、自治体の貧困問題もある。
【注1】(c)と(d)の間に、メーカーが東芝の場合には東芝プラントシステム、日立の場合には日立プラントテクノロジーを「かませる」ケースがある。
【注2】定期検査以外でも日常的に整備を請け負う。ほとんどは東京の業者で、地元業者はあまりいない。それぞれ機械、電気、計測、足場、重機など専門分野ごとのテリトリーがある。
【注3】20年間くらい単価は変わっていない。
【注4】【注3】の15%程度を手数料として常駐下請会社が抜く。
【注5】津波によるがれき撤去作業のアルバイトの日給手取り10,000円より低い。
【注6】川上武志氏は、全国の原発を「放浪」して原発労働に従事した後、03年8月から08年9月まで浜岡原発で働いた。彼は、4次下請のX社に「川上工業」というダミーの偽装出向会社を設立させられ、そこに出向する契約を結ばせられた。X会社は「使用者」の責任を免れていた。川上氏は、ある組合に入り、団体交渉を通じて「解雇」問題を含め勝利解決。現在労災を申請している。9月に実名で『原発放浪記』(宝島社)を刊行。
以上、三浦直子(弁護士)「搾取される原発作業員」(「週刊金曜日」2011年9月9日号)に拠る。
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作業員の多くは、4次下請より下位で雇われている日雇労働者や個人請負の「一人親方」だ。もっとも危険な原子炉建屋に入って、配線や電気ケーブル敷設作業を行っている作業員ですら、日当は1万数千円というケースが少なくない。
原発敷地内で任務にあたった自衛隊員には、本俸に加えて、42,000円/日の手当【注】が支給される。
【注】これは、陸上自衛隊がイラク・サマワ派遣された時の手当24,000円/日の1.75倍だ。事故った原発はテロが頻発するイラクよりも1.75倍だけ危険、というのが国の見立てらしい。
大杉泰(ジャーナリスト)「フクシマ下請け労働者使い捨て 放射線管理員も逃げ出す汚染地獄」(「サンデー毎日」2011年9月18日号)に拠る。
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