語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>除染効果の有無(1) ~効果あり~

2011年09月25日 | 震災・原発事故
 除染は1回では終わらない。最も緊急性が求められる保育所、幼稚園をきれいにした後、きれいな地区をだんだん周囲に拡げていく。両親の自宅もきれいにしていく動きにつながっていく。「子どもと妊婦を守る」のは、受動的なものではなく、子どもと妊婦を軸にして地域全体を再生していくものだ。そういう考え方にできれば、希望をもてる。【児玉龍彦・東京大学教授/東大アイソトープ総合センター長】

 児玉教授は、5月下旬からほぼ毎週末、南相馬市を訪れ、放射線測定と除染指導をしている
 8月27日の測定結果は、除染が順調に進んでいることを示した(原町地区の北町保育所)。雨樋の下では10μSv/時だったが、室内では0.1μSv、(1mSv/年)だった。子どもが生活しても大丈夫だ。

 南相馬市では、5月に小中学校の線量測定や除染活動が始まった。そして9月1日、全国で初めて「除染対策室」が誕生した。
 自治体の除染対策室が関連情報を蓄積する情報センターとなり、その情報を参考にしながら住民主体の除染計画を具体化し、実績のある専門企業と地元業者に発注していく・・・・というのが、児玉教授が構想する「あるべき除染」だ。
 しかし、中央主導の動きが出て来た。<例>原子力ムラの外郭団体(原子力機構など)を通さないと除染費用がでない。
 「事業仕分け」を旗印にしていた民主党が、除染で外郭団体が焼け太るようなことをやったら、明らかな公約違反だ。日本はおしまいだ。利権や焼け太りがないように、地方自治体に除染の予算が回り、地域住民がベストな企業を選べるようにしなくてはならない。【児玉教授】

 南相馬市でも測定値が低い所もあれば、高い所もある。ボーダーラインの所は今すぐ除染すれば避難しなくてよいかもしれない。高い所は避難を勧める。【桜井勝延・市長】
 避難か除染かを決める際の判断材料は提供するが、決定/選択権は住民が有する。放射線に関しては学会にコンセンサスがないにもかかわらず、これでないといけない、という議論が多い。現実の住民を助ける議論が少ない。避難ないし除染を言う場合、一軒ごとに見ていかないと言えない。住民と一緒に考え、住民をよく知った上で発言することが大事だ。【児玉教授】

 原爆20個以上の放射能が広範囲に放出された今回の原発事故は、日本で過去最大の公害事件になるのは確実。イタイイタイ病などでの除染費用をもとに推定すると、除染費用は数十兆円から100兆円以上に達する。これほど巨額の損害賠償を請求される東電は、既に債務超過に陥っている可能性がきわめて高い。【金子勝・慶応大学教授】
 たしかに、除染費用は数十兆円から100兆円以上かかると思う。国土を再生させ、日本の世界に冠たる環境技術を作る機会と捉えることが大事ではないか。【児玉教授】

 以上、横田一「原子力村に焼け太りさせない福島の除染作業を」(「週刊金曜日」2011年9月16日号)に拠る。
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【旅】島根県立美術館 ~震災復興支援特別企画 ふらんす物語~

2011年09月25日 | □旅
 「湖畔の、このあたりに立つて、宍道湖に於て見るべきものはただ一つしか無い。荘麗なる落日のけしきである。そして、これのみが決して見のがすことのできない宍道湖の自然である。雲はあかあかと燃え、日輪は大きく隅もなくかがやき、太いするどい光の束をはなつて、やがて薄墨をながしかける空のかなたに、烈火を吹きあげ、炎のままに水に沈んで行く。おどろくべき太陽のエネルギーである。それが水に沈むまでの時間を、ひとは立ちながらに堪へなくてはならない」(石川淳『諸國畸人傳』)
 島根県立美術館の湖側に臨めば、小林如泥が目の当たりにした光景が甦る。

 美術館の湖畔側には、ナゾの彫刻が陳列されている。
 何とみるか。私には古代出雲大社の本殿と地表をつなぐ階段のように見える。
 一説によれば、かつての本殿は現在よりもはるかに高く、中古には16丈(48m)、上古には32丈(およそ96m)であった。

   

 いま、島根県立美術館では、「震災復興支援特別企画 ふらんす物語 ~愛知県美術館コレクション展~」が開催されている。
 会期は、2011年9月17日(土)から11月7日(月)まで。

 このたび、目を引いた作品は6点。
 アメデオ・モディリアーニ「カリアティード 」(1911-13年 )は、パリで画商ポール・ギヨームと知己になり、当初志した彫刻を捨て、絵画に専念し始めた頃の作品。ギリシア建築の梁を支える女像柱「カリアティード」がモデル。やや右方向に傾いた姿勢、背後の石壁の不均衡が画の全体に動きをもたらす。杏仁形の目、突き出た鼻、まん丸く盛り上がった胸はシンプルで力強く、質感に満ちた両上下肢とあいまって、生命感に満ちている。

  

 その他、ジャン・デュビュッフェ「二人の脱走兵」、高田博厚「女のトルソ」、海老原喜之助「雪山と樵」、金山康喜「静物」、三岸節子「落書」。
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