8月31日、福島第一原発で、3人の作業員が汚染水を浴びた。すぐ拭きとったので大事に至らなかったが、浴びた汚染水の量が多ければ重大事故につながる可能性があった。
3人中2人は、カッパを着ていなかった。1人は、作業後の放射線測定で10万CPM(1分間当たりの放射線検出回数)を超えた。だが、東電は「問題ない」と開きなおった。
東電が公開したのは今回が初めてだが、これまでにも汚染水を浴びた作業員がいる。被曝量が高すぎて、すぐ帰らされた人もいた。汚染水を浴びなくても、1日2mSvは食う。【浄化装置のフィルター交換作業に携わる協力会社社員】
8月28日、汚染水浄化装置でフィルター交換作業を行っていた東電社員2人が15mSv超を被曝した。作業に、放射線管理要員(「放管」)が同行していなかった。
7~8月、1号機原子炉建屋内の配管作業に就いたが、現場で放管の姿を見たことはない。【60代の下請け作業員】
1時間ほどで約5mSv浴びたこともある。放管は同行しなかったので、自分たちで測定器を持参した。元請け企業との間で取り決めた被曝線量限度の20mSvに達したので福島第一原発では働けなくなった。他の原発に異動後、内部被曝線量を計測したところ、その原発の基準値を大幅に上回った。ために、放射線業務従事者として登録できず、会社を辞めざるをえなくなるかもしれない。行かされるだけ行かされて、線量いっぱいになったら放り出された感じだ。【20代の協力会社作業員】
放管が同行しないのは非常に危険だ。しかし、放射線に詳しい放管ほど福島に行きたがらない。経験を積んだ放管なら、現地の状況が想像できるからだ。私もその一人だ。会社から要請があったが、断った。あちこちに汚染があるので、仕事以外の時間でも大量の放射性物質を体内に取りこむことになる。体に影響が出ない保証はない。実際に影響が出ても「因果関係がない」と片づけられるだろう。【30代の放管専門の派遣会社社員】
8月30日、40代の下請け作業員が急性白血病で死亡した、と東電は発表した。
元請け企業から、医師の診断で「作業との因果関係はない」と報告を受けた。なぜ因果関係がないと診断したか、根拠は聞いてない。作業とは関係ない病気なので、発注者である東電はこれ以上調べない。【松本純一・東電原子力・立地本部長代理】
ずさんな放射線管理とともに、作業員たちの不満の種になっているのは日当の安さだ【注】。
東電は単価を上げていると聞くが、ワシらの日当は普段と変わらん。【関西から来た50代作業員】
【注】「【震災】原発>搾取される作業員~イラクより1.75倍危険な原発~」
以上、大杉泰(ジャーナリスト)「フクシマ下請け労働者も使い捨て 放射線管理員も逃げ出す汚染地獄」(「サンデー毎日」2011年9月18日号)に拠る。
*
稼働中の原発は、1基当たり200~300人で運転されている。年に1度の定期検査に入ると、その10倍に近い作業員が必要になる。
この時、原子炉内などで最も被曝量が高い仕事を担うのは、大半は電力会社の「協力会社」に雇われた作業員、つまり非正規雇用の下請け労働者だ。雇用契約を交わさず、健康保険も雇用保険も加入できない。
全国の原発を渡り歩く作業員にもできない仕事がある。
そこで、定期検査のたびに外国人が来る。圧力抑制プールに溜まっている炉水の中に潜って、内部をチェックする潜水作業だ。プール内のごみを取り除く装置の目視点検が主な作業で、一般的には2人1組で1回2時間。被曝を防ぐために酸素ボンベ付きの気密性の高い潜水服を着て、作業後は除染する。1日の作業員1人当たりの上限は2mSv、とされている。
圧力抑制プールとは、原子炉格納容器の下部にある直径約9mのプールで、水中には放射性物質を含むスラッジ(ヘドロ)が浮游、沈殿している場合もある。
この作業では多量の放射能を浴びる可能性があるので、高額な費用をかけて米国などの海外の企業に委託しているのだ。
下請け労働者や外国人労働者の存在なくして動かせないのが、原発だ。
以上、大杉泰(ジャーナリスト)「原子炉プールの潜水作業」(「AERA」2011年9月26日号)に拠る。
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3人中2人は、カッパを着ていなかった。1人は、作業後の放射線測定で10万CPM(1分間当たりの放射線検出回数)を超えた。だが、東電は「問題ない」と開きなおった。
東電が公開したのは今回が初めてだが、これまでにも汚染水を浴びた作業員がいる。被曝量が高すぎて、すぐ帰らされた人もいた。汚染水を浴びなくても、1日2mSvは食う。【浄化装置のフィルター交換作業に携わる協力会社社員】
8月28日、汚染水浄化装置でフィルター交換作業を行っていた東電社員2人が15mSv超を被曝した。作業に、放射線管理要員(「放管」)が同行していなかった。
7~8月、1号機原子炉建屋内の配管作業に就いたが、現場で放管の姿を見たことはない。【60代の下請け作業員】
1時間ほどで約5mSv浴びたこともある。放管は同行しなかったので、自分たちで測定器を持参した。元請け企業との間で取り決めた被曝線量限度の20mSvに達したので福島第一原発では働けなくなった。他の原発に異動後、内部被曝線量を計測したところ、その原発の基準値を大幅に上回った。ために、放射線業務従事者として登録できず、会社を辞めざるをえなくなるかもしれない。行かされるだけ行かされて、線量いっぱいになったら放り出された感じだ。【20代の協力会社作業員】
放管が同行しないのは非常に危険だ。しかし、放射線に詳しい放管ほど福島に行きたがらない。経験を積んだ放管なら、現地の状況が想像できるからだ。私もその一人だ。会社から要請があったが、断った。あちこちに汚染があるので、仕事以外の時間でも大量の放射性物質を体内に取りこむことになる。体に影響が出ない保証はない。実際に影響が出ても「因果関係がない」と片づけられるだろう。【30代の放管専門の派遣会社社員】
8月30日、40代の下請け作業員が急性白血病で死亡した、と東電は発表した。
元請け企業から、医師の診断で「作業との因果関係はない」と報告を受けた。なぜ因果関係がないと診断したか、根拠は聞いてない。作業とは関係ない病気なので、発注者である東電はこれ以上調べない。【松本純一・東電原子力・立地本部長代理】
ずさんな放射線管理とともに、作業員たちの不満の種になっているのは日当の安さだ【注】。
東電は単価を上げていると聞くが、ワシらの日当は普段と変わらん。【関西から来た50代作業員】
【注】「【震災】原発>搾取される作業員~イラクより1.75倍危険な原発~」
以上、大杉泰(ジャーナリスト)「フクシマ下請け労働者も使い捨て 放射線管理員も逃げ出す汚染地獄」(「サンデー毎日」2011年9月18日号)に拠る。
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稼働中の原発は、1基当たり200~300人で運転されている。年に1度の定期検査に入ると、その10倍に近い作業員が必要になる。
この時、原子炉内などで最も被曝量が高い仕事を担うのは、大半は電力会社の「協力会社」に雇われた作業員、つまり非正規雇用の下請け労働者だ。雇用契約を交わさず、健康保険も雇用保険も加入できない。
全国の原発を渡り歩く作業員にもできない仕事がある。
そこで、定期検査のたびに外国人が来る。圧力抑制プールに溜まっている炉水の中に潜って、内部をチェックする潜水作業だ。プール内のごみを取り除く装置の目視点検が主な作業で、一般的には2人1組で1回2時間。被曝を防ぐために酸素ボンベ付きの気密性の高い潜水服を着て、作業後は除染する。1日の作業員1人当たりの上限は2mSv、とされている。
圧力抑制プールとは、原子炉格納容器の下部にある直径約9mのプールで、水中には放射性物質を含むスラッジ(ヘドロ)が浮游、沈殿している場合もある。
この作業では多量の放射能を浴びる可能性があるので、高額な費用をかけて米国などの海外の企業に委託しているのだ。
下請け労働者や外国人労働者の存在なくして動かせないのが、原発だ。
以上、大杉泰(ジャーナリスト)「原子炉プールの潜水作業」(「AERA」2011年9月26日号)に拠る。
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