語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【本】井伏鱒二の訳詩

2013年01月01日 | 詩歌

 

 人は元日に何を読むか。その答は知らないが、私は井伏鱒二を読む。井伏は大岡昇平のようには研究心を喚起しないが、その分、気楽に読める。元日のノンビリにふさわしい。繰り返すが、私にとって。
 一冊の本の何処から読み初めてもよいし、どこで中断しても差し支えない。漱石のいわゆる非人情な読み方ができる。
 今年の元旦に手にしたのは、井伏の数ある作品のうち『厄除け詩集』だ。筑摩文庫版も手元にあるが、詩集はやはりハードカバーで読みたい。
 17編の訳詩が狙いだ。高適「田家春望」は訳詩が正月向きだが、余り好みではない。
 好みは、例えば柳宗元「登柳州蛾山」だ。井伏の訳詩を含めて。ただし、読み下し文は『厄除け詩集』にない、念のため。
 柳宗元は昨年岩波文庫に入り、入手しやすくなった。

 荒山秋日午  荒山 秋日 午なり
 獨上意悠悠  ひとり上る 意 悠悠たり
 如何望郷處  いかんぞ 郷を望む処
 西北是融州  西北はこれ融州

 アキノオンタケココノツドキニ
 ヒトリノボレバハテナキオモヒ
 ワシノ在所ハドコダカミエヌ
 イヌヰノカタハヒダノヤマ
 
□井伏鱒二『厄除け詩集』(筑摩書房、1977)
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コメント
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