語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【本】まず事実、何よりも事実 ~ノンフィクションの魅力(1)~

2013年01月02日 | ノンフィクション
 人は二日に何を読むか。その答は知らないが、私は積ん読を片づける。例えば、「HONZが選んだ150冊」。そこで紹介された事実を幾つか、引いてみる。

●江戸時代の通貨は現在の貨幣価値に換算すると、いくらになるか。【35】
 1文=20円
 1朱=7,500円
 1分=30,000円 
 1両=4,000文=80,000円(公定レート)、=6,000文=120,000円(民間レート)
 ※かけそば=16文=320円、鰻=200文=4,000円、大きめの焼き芋=12文=240円。

●ダチョウの卵はでかい。【61】
 1.5~2kgで、鶏卵の25~30倍もある。
 ダチョウの1個の卵黄から4gの高純度な卵黄抗体(IgY)が精製できる。1羽のダチョウから半年で400gの高純度抗体の生成が可能で、これまで行われてきたウサギの血液から精製する方法で作られる抗体に比べると、1羽のダチョウが半年でウサギ800匹分の抗体を生み出す。しかも、ダチョウの寿命は60年で、土地さえあれば飼育は難しくない(モヤシやオカラで育つ)。1羽のダチョウはまだに「抗体工場」だ。これまでより格段に安く、抗体を大量生産できるようになった。

●江戸の鬼門【81】
 東京スカイツリーは、皇居から見たとき鬼門(北東の方角)にそびえ立つ。
 東京タワーは、裏鬼門(南西の方角)にそびえ立つ。
 ちなみに、江戸の街並みが、裏鬼門に位置する富士山と鬼門に位置する筑波山を手がかりにして造られた(有名な話)。

●漢字を覚えるにはパーツ本来の意味、成り立ちで。【83】
 「道」という字は、「支配の圏外に出るとき、異族神を祓うために、生首を持って進む」という字形だ。
 「舞」の字は、始め雨かんむりがつけられていた。元々神に捧げる雨乞いの踊りを意味した。

●日本赤十字の救い手【86】
 3・11の直後、アクセス数急増のためサーバーダウンしていた日本赤十字を救ったのは、ショッピングサイト最大手のAmasonだった。世界有数のショッピングサイトの構築を通して作りあげたITインフラを日赤を含む重要サイトに無償提供したのだ。

●メソポタミア文明衰退の原因【97】
 20~30万人の人口を抱える中心都市を繁栄させるには、大量のエネルギー(建造物に使われる煉瓦を焼くために必要な薪炭)が必要で、そのために大量の森林伐採を行った結果、土壌粒子迂、灌漑地の塩害が障子、植物が育たなくなってメソポタミアは衰退した。

●インターネットは売上げや雇用をあまり生み出していない。【99】
 インターネットは、社会構造を変えた点でイノベーションだが、自動車やテレビのようには売上げや雇用をあまり生み出していない。インターネットの場合、多くの業務はソフトウェアやサーバーなど無人で行われているため、GDPや雇用者数を押し上げる力は齢。世界中で3億人近いユーザー数を誇るTwitter社は、米国で300人しか雇っていない。あのiPodすら、13,920人しか雇用を創出していない。

 ・・・・これら断片的な事実だけでも興味深いし面白いが、より大きく広い事実の一部にすぎないし、後者のほうがさらに一層興味深くて面白い。

□成毛眞・編著『ノンフィクションはこれを読め! ~HONZが選んだ150冊~』(中央公論新社、2012.10)
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