(1)国際情勢を総合的に理解することが日に日に難しくなっている。新聞、テレビ、インターネットを通じて個々の出来事に関する正確な情報を容易に入手することができる。しかし、相互の関係がどうなっているかを読み解くのが難しい。
それは、国際秩序の構造が急速に変化しているからだ。しかも、異なるパラダイム(位相)の出来事が同時に進行している。
(2)まず、ヒト、モノ、カネの移動が自由になるグローバリズムが影響を強めている。
2015年10月5日、TPP交渉に参加する日米など12か国が閣僚会議後に共同記者会見を行い、大筋合意に達したと表明した。
このニュースに注目すると、ヒト、モノ、カネの動きが自由になるポストモダン的なグローバリゼーションが進行しているように見える。
(3)しかし、尖閣諸島をめぐる係争【注1】で日中、慰安婦問題で日韓の国家間関係が緊張している。これは主権国家を前提とするモダンな現象だ。
(4)さらに、米海兵隊普天間基地の移設に伴い辺野古(沖縄県名護市)に新基地を建設することをめぐって、日本の中央政府と沖縄県との関係がかつてなく緊張している。
2015年9月21日夕刻(現地時間、日本時間同22日未明)、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会総会において、翁長雄志・沖縄県知事が演説し、「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と訴えた。
民族自決の前提とされる自己決定権は、まさにモダンな主張だ【注2】。
これは日本に特有の現象ではない。
今世紀になって、ロンドンの金融街シティーを中心に英国は、グローバリゼーションの機関車になった。しかし、それと同時にスコットランドでは英国からの分離独立運動が深刻になった。2014年9月18日の独立の是非を問うスコットランドの住民投票では、独立支持が44.7%、残留支持が55.3%で、国家分裂は回避されたが、2015年5月7日に行われた英国下院選挙ではスコットランドに割り当てられた59議席中、56議席を独立派のスコットランド国民党が獲得し、英国は国家統合の深刻な危機に直面している【注3】。
こう見ると、沖縄やスコットランドでは、国民国家(ネーション・ステート)の形成に向けたナショナリズムという近代的な現象が強化されているかのようだ。
TPPと沖縄問題、英国経済のグローバル化とスコットランド独立問題では、国家の壁を低くすることと国家の壁を高くすることという別のベクトルを指向する出来事が同時進行している。
(5)シリア危機に関連して難民問題が深刻になっている。これもヒトの移動が自由になるというグローバリゼーションが進まなければ、シリア難民は中東地域に留まることになり、西ヨーロッパに大量に流出し、さらに米州大陸諸国がこれらの難民を受け入れるという事態も生じなかった。
このような大量の難民が発生している原因は、「アラブの春」が失敗したからだ。アラブ諸国に欧米基準での民主主義というモダンな思想を導入すること自体が無理だったのだ。「アラブの春」によってシリアのアサド大統領体制のような特定の部族によってのみ統治される政府が極度に弱体化した隙間に、イスラム原理主義過激派が流入し、国家が破綻してしまった。その結果、アサド政府軍、反アサド政権の武装組織「自由シリア軍」、過激派組織「イスラム国」(IS)が、三つ巴で殺し合いを行うようになった。このまま国に留まっていても、虐待され、殺される可能性も排除されないことになったので、人びとは逃げだし、難民になった【注4】。
日本政府は、中東は距離的に遠いので経済的に難民支援を行うだけで義務を果たすことができると考えているようだが、それは通用しない。なぜなら、
<人間の安全保障に限らず、人権や人道規範の浸透は各国の外交政策に強い影響を及ぼす。なぜなら、難民ガバナンスへの貢献の態度を内外に示すことは国家にとって自国の評判の失墜により国際的な信用を失うという事態を避けることになり利益につながる>【注5】
からだ。日本も欧米諸国と共通のモダンな価値観に立って「アラブの春」を歓迎した。また、米国を中心とする有志連合によるシリア領内のIS支配地域に対する空爆を日本も支持し、難民支援を含む人道面での協力を約束した。
日本政府が難民問題でもたついていると、欧米のNGO、NPOが日本経由で中南米諸国に渡る航空券をシリア難民に渡し、成田空港の国際線トランジットエリアに日本入国を求めて滞留するよう勧めるような事態が生じかねない。成田空港に滞留するシリア難民の数が300~500人に膨れ上がり、その様子がCNNやBBCによって報じられるようになれば、国際圧力が急速に強まり、日本政府はシリア難民の受け入れを余儀なくされる。
マスメディアやインターネットを通じた情報が短時間で国際世論に影響を与え、国境を越えて国家に影響を与えるのは、ポストモダンな現象だ。
(6)これに対してロシアは、19世紀初頭から20世紀にかけての帝国主義を髣髴させるような直接的な軍事介入というモダンな手法でシリア問題に対処している。
特に深刻なのは、ロシアがシリア軍に最新の近距離対空防御システム(高射ミサイル砲複合)「パンツィーリ(鎧)SI(NATOコードネームではSA-22グレイハウンド)」を供与したことだ。この兵器は有人、無人を問わず固定翼機、回転翼機、精密誘導爆弾や巡航ミサイル、弾道ミサイルも迎撃できる。航空目標だけではなく、地上目標(<例>軽装甲車両など)も撃破可能だ。シリアがこのシステムを運営することはできないので、実際にはロシア兵が戦闘に従事している。ロシアによる軍事支援の結果、「イスラム国」と反政権の自由シリア軍による二正面作戦を強いられ、権力基盤が脆弱になっていたアサド政権が態勢を建て直しつつある。「パンツィーリSI」の配備によって、シリア軍は米軍の空爆に対抗可能になった。
(7)ロシアがシリアへの介入を本格化させているもう一つの理由は、イランに対する索制だ。イランはアサド政権に対する軍事的、経済的支援を強化することを通じ、シリアを事実上の保護国にしつつあった。そして、シリア経由でレバノンのシーア派民兵組織ヒズボラに対する梃子入れを強化していた。
それだけではない。イランは、中東地域から米国の影響が減少しえできる力の空白を最大限に利用し、帝国主義政策を展開している。そして、イエメンのフーシー派、バハレーンやイラクのシーア派に対する支援を強化している。
イランが中東地域で影響力を拡大すると、その影響はコーカサス地域にも及び、ロシアの当該地域への影響力を低下させる。したがって、シリアに対する軍事支援を、イランよりも質量ともに圧倒的に増大することで、アサド政権を事実上のロシアの傀儡にすることにより、イランの中東における影響力拡大を索制しようとしている。シリアではモダンな帝国主義原理に基づいてロシアとイランの間でグレート・ゲームが展開されているのだ【注6】。
(8)イランは、プレモダンな原理も最大限に活用して、中東をはじめとするイスラム世界への影響力拡大を図っている。この点で注目されるのが、2015年9月24日、サウジアラビアのメッカ周辺のミナ(メナー)で巡礼者が将棋倒しになった事件だ。
過去にも例がある事故であるにもかかわらず、このたび、イランは激しい反応をしている。ハメネイ師・イラン最高指導者は、10月1日までにサウジアラビアをかつてない厳しさで批判した。
ロウハニ・イラン大統領は、9月26日、ニューヨークで潘基文・国連事務総長と会談し、サウジアラビア政府を批判した後、国連滞在を短縮し、28日に帰国の途についた。イランで直接指揮をとって外交的にサウジアラビアを追い詰めるためだ。イランは、「サウジアラビアは聖地を管理する意思も能力もない」という点を徹底的に宣伝し、シリア、イラク、イエメンなどでイランとつながるシーア派勢力の反サウジ感情を煽り立てている。
イランの狙いは、イスラム教の聖地であるメッカ、メディナの管理権をサウジアラビアから奪い取り、イランの国教である十二イマーム派のシーア派が獲得することだ。ミナ事件によってスンニ派とシーア派の宗教的対立が一層深刻化することになる【注7】。
(9)従来、国際関係は、
・主権国家を基本とする近代国際法
・自由、民主主義などの人権
・資本主義の前提となる市場経済
を基本的な分析道具とし、それらが形成する普遍的価値観から乖離する論理については、
・共産主義
・ナチズム
・ファシズム
・権威主義
などの特殊要因として扱うことで、理解することができた。
しかし、モダン、ポストモダン、プレモダンというパラダイムを異にする事象が相互に、影響を与え合い、短期間にダイナミックに変化を引き起こす国際関係の現状分析、未来予測を行うことはほぼ不可能になっている。
ここで重要になるのは、視座の転換だ。比較的長期間にわたって変動する要素が少ない地理的制約条件が、人びとの思考、行動様式に意図的または無意識的に与える影響を重視することだ。
地理には、
・イランならペルシア帝国
・ロシアならビザンツ(東ローマ)帝国の継承者としての「第三のローマ」
・沖縄なら琉球王国
という歴史の記憶も含まれる。地理が、プレモダン、モダン、ポストモダンな要素と結びつき形成する地政学という物語が21世紀の国際関係を読み解く鍵になる【注8】。
【注1】
「【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~」
「【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~」
【注2】
「【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~」
【注3】
「佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず」
【注4】
「【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~」
「【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~」
「【佐藤優】米国とイランの接近 ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~」
「【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~」
【注5】中山裕美『難民問題のグローバル・ガバナンス』(東信堂、2014)
【注6】
「【佐藤優】シリアで始まったグレート・ゲーム ~「疑わしきは殺す」~」
【注7】
「【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~」
【注8】
「【佐藤優】地政学の目で中国を読む ~昭和史(9)~」
「【佐藤優】これから重要なのは地政学と未来学 ~昭和史(8)~」
□佐藤優「異なるパラダイムが同時進行 激変する国際秩序を読み解く」(「オピニオン 2016年の論点」(文藝春秋社、2015)
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それは、国際秩序の構造が急速に変化しているからだ。しかも、異なるパラダイム(位相)の出来事が同時に進行している。
(2)まず、ヒト、モノ、カネの移動が自由になるグローバリズムが影響を強めている。
2015年10月5日、TPP交渉に参加する日米など12か国が閣僚会議後に共同記者会見を行い、大筋合意に達したと表明した。
このニュースに注目すると、ヒト、モノ、カネの動きが自由になるポストモダン的なグローバリゼーションが進行しているように見える。
(3)しかし、尖閣諸島をめぐる係争【注1】で日中、慰安婦問題で日韓の国家間関係が緊張している。これは主権国家を前提とするモダンな現象だ。
(4)さらに、米海兵隊普天間基地の移設に伴い辺野古(沖縄県名護市)に新基地を建設することをめぐって、日本の中央政府と沖縄県との関係がかつてなく緊張している。
2015年9月21日夕刻(現地時間、日本時間同22日未明)、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会総会において、翁長雄志・沖縄県知事が演説し、「沖縄の人々は自己決定権や人権をないがしろにされている」と訴えた。
民族自決の前提とされる自己決定権は、まさにモダンな主張だ【注2】。
これは日本に特有の現象ではない。
今世紀になって、ロンドンの金融街シティーを中心に英国は、グローバリゼーションの機関車になった。しかし、それと同時にスコットランドでは英国からの分離独立運動が深刻になった。2014年9月18日の独立の是非を問うスコットランドの住民投票では、独立支持が44.7%、残留支持が55.3%で、国家分裂は回避されたが、2015年5月7日に行われた英国下院選挙ではスコットランドに割り当てられた59議席中、56議席を独立派のスコットランド国民党が獲得し、英国は国家統合の深刻な危機に直面している【注3】。
こう見ると、沖縄やスコットランドでは、国民国家(ネーション・ステート)の形成に向けたナショナリズムという近代的な現象が強化されているかのようだ。
TPPと沖縄問題、英国経済のグローバル化とスコットランド独立問題では、国家の壁を低くすることと国家の壁を高くすることという別のベクトルを指向する出来事が同時進行している。
(5)シリア危機に関連して難民問題が深刻になっている。これもヒトの移動が自由になるというグローバリゼーションが進まなければ、シリア難民は中東地域に留まることになり、西ヨーロッパに大量に流出し、さらに米州大陸諸国がこれらの難民を受け入れるという事態も生じなかった。
このような大量の難民が発生している原因は、「アラブの春」が失敗したからだ。アラブ諸国に欧米基準での民主主義というモダンな思想を導入すること自体が無理だったのだ。「アラブの春」によってシリアのアサド大統領体制のような特定の部族によってのみ統治される政府が極度に弱体化した隙間に、イスラム原理主義過激派が流入し、国家が破綻してしまった。その結果、アサド政府軍、反アサド政権の武装組織「自由シリア軍」、過激派組織「イスラム国」(IS)が、三つ巴で殺し合いを行うようになった。このまま国に留まっていても、虐待され、殺される可能性も排除されないことになったので、人びとは逃げだし、難民になった【注4】。
日本政府は、中東は距離的に遠いので経済的に難民支援を行うだけで義務を果たすことができると考えているようだが、それは通用しない。なぜなら、
<人間の安全保障に限らず、人権や人道規範の浸透は各国の外交政策に強い影響を及ぼす。なぜなら、難民ガバナンスへの貢献の態度を内外に示すことは国家にとって自国の評判の失墜により国際的な信用を失うという事態を避けることになり利益につながる>【注5】
からだ。日本も欧米諸国と共通のモダンな価値観に立って「アラブの春」を歓迎した。また、米国を中心とする有志連合によるシリア領内のIS支配地域に対する空爆を日本も支持し、難民支援を含む人道面での協力を約束した。
日本政府が難民問題でもたついていると、欧米のNGO、NPOが日本経由で中南米諸国に渡る航空券をシリア難民に渡し、成田空港の国際線トランジットエリアに日本入国を求めて滞留するよう勧めるような事態が生じかねない。成田空港に滞留するシリア難民の数が300~500人に膨れ上がり、その様子がCNNやBBCによって報じられるようになれば、国際圧力が急速に強まり、日本政府はシリア難民の受け入れを余儀なくされる。
マスメディアやインターネットを通じた情報が短時間で国際世論に影響を与え、国境を越えて国家に影響を与えるのは、ポストモダンな現象だ。
(6)これに対してロシアは、19世紀初頭から20世紀にかけての帝国主義を髣髴させるような直接的な軍事介入というモダンな手法でシリア問題に対処している。
特に深刻なのは、ロシアがシリア軍に最新の近距離対空防御システム(高射ミサイル砲複合)「パンツィーリ(鎧)SI(NATOコードネームではSA-22グレイハウンド)」を供与したことだ。この兵器は有人、無人を問わず固定翼機、回転翼機、精密誘導爆弾や巡航ミサイル、弾道ミサイルも迎撃できる。航空目標だけではなく、地上目標(<例>軽装甲車両など)も撃破可能だ。シリアがこのシステムを運営することはできないので、実際にはロシア兵が戦闘に従事している。ロシアによる軍事支援の結果、「イスラム国」と反政権の自由シリア軍による二正面作戦を強いられ、権力基盤が脆弱になっていたアサド政権が態勢を建て直しつつある。「パンツィーリSI」の配備によって、シリア軍は米軍の空爆に対抗可能になった。
(7)ロシアがシリアへの介入を本格化させているもう一つの理由は、イランに対する索制だ。イランはアサド政権に対する軍事的、経済的支援を強化することを通じ、シリアを事実上の保護国にしつつあった。そして、シリア経由でレバノンのシーア派民兵組織ヒズボラに対する梃子入れを強化していた。
それだけではない。イランは、中東地域から米国の影響が減少しえできる力の空白を最大限に利用し、帝国主義政策を展開している。そして、イエメンのフーシー派、バハレーンやイラクのシーア派に対する支援を強化している。
イランが中東地域で影響力を拡大すると、その影響はコーカサス地域にも及び、ロシアの当該地域への影響力を低下させる。したがって、シリアに対する軍事支援を、イランよりも質量ともに圧倒的に増大することで、アサド政権を事実上のロシアの傀儡にすることにより、イランの中東における影響力拡大を索制しようとしている。シリアではモダンな帝国主義原理に基づいてロシアとイランの間でグレート・ゲームが展開されているのだ【注6】。
(8)イランは、プレモダンな原理も最大限に活用して、中東をはじめとするイスラム世界への影響力拡大を図っている。この点で注目されるのが、2015年9月24日、サウジアラビアのメッカ周辺のミナ(メナー)で巡礼者が将棋倒しになった事件だ。
過去にも例がある事故であるにもかかわらず、このたび、イランは激しい反応をしている。ハメネイ師・イラン最高指導者は、10月1日までにサウジアラビアをかつてない厳しさで批判した。
ロウハニ・イラン大統領は、9月26日、ニューヨークで潘基文・国連事務総長と会談し、サウジアラビア政府を批判した後、国連滞在を短縮し、28日に帰国の途についた。イランで直接指揮をとって外交的にサウジアラビアを追い詰めるためだ。イランは、「サウジアラビアは聖地を管理する意思も能力もない」という点を徹底的に宣伝し、シリア、イラク、イエメンなどでイランとつながるシーア派勢力の反サウジ感情を煽り立てている。
イランの狙いは、イスラム教の聖地であるメッカ、メディナの管理権をサウジアラビアから奪い取り、イランの国教である十二イマーム派のシーア派が獲得することだ。ミナ事件によってスンニ派とシーア派の宗教的対立が一層深刻化することになる【注7】。
(9)従来、国際関係は、
・主権国家を基本とする近代国際法
・自由、民主主義などの人権
・資本主義の前提となる市場経済
を基本的な分析道具とし、それらが形成する普遍的価値観から乖離する論理については、
・共産主義
・ナチズム
・ファシズム
・権威主義
などの特殊要因として扱うことで、理解することができた。
しかし、モダン、ポストモダン、プレモダンというパラダイムを異にする事象が相互に、影響を与え合い、短期間にダイナミックに変化を引き起こす国際関係の現状分析、未来予測を行うことはほぼ不可能になっている。
ここで重要になるのは、視座の転換だ。比較的長期間にわたって変動する要素が少ない地理的制約条件が、人びとの思考、行動様式に意図的または無意識的に与える影響を重視することだ。
地理には、
・イランならペルシア帝国
・ロシアならビザンツ(東ローマ)帝国の継承者としての「第三のローマ」
・沖縄なら琉球王国
という歴史の記憶も含まれる。地理が、プレモダン、モダン、ポストモダンな要素と結びつき形成する地政学という物語が21世紀の国際関係を読み解く鍵になる【注8】。
【注1】
「【佐藤優】日中を衝突させたい米国の思惑 ~安倍“暴走”内閣(10)~」
「【佐藤優】国際法を無視する安倍政権 ~安倍“暴走”内閣(9)~」
【注2】
「【佐藤優】沖縄の自己決定権確立に大貢献 ~翁長国連演説~」
【注3】
「佐藤優】スコットランド「独立運動」は終わらず」
【注4】
「【佐藤優】スンニー派とシーア派 ~「イスラム国」で中東が大混乱(4)~」
「【佐藤優】サウジアラビア ~「イスラム国」で中東が大混乱(3)~」
「【佐藤優】米国とイランの接近 ~「イスラム国」で中東が大混乱(2)~」
「【佐藤優】シリア問題 ~「イスラム国」で中東が大混乱(1)~」
【注5】中山裕美『難民問題のグローバル・ガバナンス』(東信堂、2014)
【注6】
「【佐藤優】シリアで始まったグレート・ゲーム ~「疑わしきは殺す」~」
【注7】
「【佐藤優】聖地で起きた「大事故」 ~イランが怒る理由~」
【注8】
「【佐藤優】地政学の目で中国を読む ~昭和史(9)~」
「【佐藤優】これから重要なのは地政学と未来学 ~昭和史(8)~」
□佐藤優「異なるパラダイムが同時進行 激変する国際秩序を読み解く」(「オピニオン 2016年の論点」(文藝春秋社、2015)
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