(Q1)日本にもインテリジェンスオフィサーはいますか? いるとしたら外国のように機能しているのでしょうか? それとも外務省職員が兼ねている程度ですか?
A : インテリジェンス機能は日本にもあって、日本には外交一元化という建前がありますから、基本的には外務省の人がやっています。
しかし、対テロとしては警察庁が外国と密に連絡をとりながらやっているし、赤軍対策の伝統があるから能力は高いです。
防衛省の人たちも防衛駐在官として外に出ており、それなりのインテリジェンス能力を持っています。
そもそもインテリジェンス力というのは、国力から著しくは乖離しません。日本は中国にGDPで第二位の座を奪われたとはいえ、世界第三位の経済大国です。経済力というのは、現在は国力とほぼ等しいんです。
だから、日本のインテリジェンス能力が極度に劣るということはならない訳です。たとえば、リチャード・ウィッテルのドローンに関する情報を日本語で誰でも読めるというのが、裾野での日本のインテリジェンス能力です。
仮に私(佐藤優)がタガログ語、もしくは朝鮮語しか知らないということになると、入手できる情報の量というのははるかに少なくなります。
(Q2)20年後、子供一人を大学に出し、その時に両親、妻の親を含め4人の介護、自分と妻の老後の費用を考えると、30代40代50代の時の夫婦の預金はどのくらいあれば人生逃げ切れると思いますか?
A : 50代だったら、1億5千万円だと思います。有料の老人ホームに入るとしてですが。
40代で1億4千万、30代でも1億4千万・・・・。
要するに、今の市場価格でおっしゃるような人生プランですと、1億5千万円というのが目安だと思います。
とすると、何かを諦めなければいけない(笑)。健康に留意して、特養に入りやすい地域に引っ越すとか。
(Q3)最近、本業以外のセーフティーネット、副業ということをよく耳にしますが、いささか容易な気がします。
A : 副業は、できるのだったらやっておいたほうがいいと思います。本業がどうなるか分からないから。
ただ、年の総収入の5%以内にとどめること。それ以上を目指すと副業で済まなくなります。それくらいの感覚で副業をやるのは別の世界のビジネス論理を汁ことが出来るからいいかもしれません。
金儲けだけを目的にしたらいけないけれど、金儲けは悪いことではありません。お金は自律性を担保するために非常に重要です。
実は、それを教えてくれるのがマルクス経済学なんです。全てのものは商品となり、貨幣と交換される。マルクスは、盟友であるエンゲルスという資本家に食べさせてもらっていたんですよ。
(Q4)聖書の言葉で「受けるより与えるほうが幸いである」とありますが、これは個人だけでなく、国家にも適用できるのでしょうか?
A : できません。
聖書に書いてある指針は、集団ではなく、あくまで個人に対して、特定の名前を呼び出されたその人間に対しての、具体的な状況のなかでの言葉だからです。国家とか民族に神様の啓示が降りてくると考えるのはキリスト教の考え方ではありません。
ただ、そういう考え方で勘違いしてキリスト教を受けとめた天才的な神学者がいます。フリードリヒ・ゴーガルテンという人。彼の「我は三一の神を信ず」という戦前の本に私(佐藤優)が解説をつけて新教出版社から復刻しましたが、ゴーガルテンは民族に啓示が降りるという形で自分の論を組み立ててしまったので、結局ナチス・ドイツを支持するドイツ的キリスト者という分派の創設に協力することになってしまったのです。
□佐藤優『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)の「第10講座」の「第二部:来場者の質問に答える」
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~」
「【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次」
「【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次」
「『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』」
★『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』目次はこちら
A : インテリジェンス機能は日本にもあって、日本には外交一元化という建前がありますから、基本的には外務省の人がやっています。
しかし、対テロとしては警察庁が外国と密に連絡をとりながらやっているし、赤軍対策の伝統があるから能力は高いです。
防衛省の人たちも防衛駐在官として外に出ており、それなりのインテリジェンス能力を持っています。
そもそもインテリジェンス力というのは、国力から著しくは乖離しません。日本は中国にGDPで第二位の座を奪われたとはいえ、世界第三位の経済大国です。経済力というのは、現在は国力とほぼ等しいんです。
だから、日本のインテリジェンス能力が極度に劣るということはならない訳です。たとえば、リチャード・ウィッテルのドローンに関する情報を日本語で誰でも読めるというのが、裾野での日本のインテリジェンス能力です。
仮に私(佐藤優)がタガログ語、もしくは朝鮮語しか知らないということになると、入手できる情報の量というのははるかに少なくなります。
(Q2)20年後、子供一人を大学に出し、その時に両親、妻の親を含め4人の介護、自分と妻の老後の費用を考えると、30代40代50代の時の夫婦の預金はどのくらいあれば人生逃げ切れると思いますか?
A : 50代だったら、1億5千万円だと思います。有料の老人ホームに入るとしてですが。
40代で1億4千万、30代でも1億4千万・・・・。
要するに、今の市場価格でおっしゃるような人生プランですと、1億5千万円というのが目安だと思います。
とすると、何かを諦めなければいけない(笑)。健康に留意して、特養に入りやすい地域に引っ越すとか。
(Q3)最近、本業以外のセーフティーネット、副業ということをよく耳にしますが、いささか容易な気がします。
A : 副業は、できるのだったらやっておいたほうがいいと思います。本業がどうなるか分からないから。
ただ、年の総収入の5%以内にとどめること。それ以上を目指すと副業で済まなくなります。それくらいの感覚で副業をやるのは別の世界のビジネス論理を汁ことが出来るからいいかもしれません。
金儲けだけを目的にしたらいけないけれど、金儲けは悪いことではありません。お金は自律性を担保するために非常に重要です。
実は、それを教えてくれるのがマルクス経済学なんです。全てのものは商品となり、貨幣と交換される。マルクスは、盟友であるエンゲルスという資本家に食べさせてもらっていたんですよ。
(Q4)聖書の言葉で「受けるより与えるほうが幸いである」とありますが、これは個人だけでなく、国家にも適用できるのでしょうか?
A : できません。
聖書に書いてある指針は、集団ではなく、あくまで個人に対して、特定の名前を呼び出されたその人間に対しての、具体的な状況のなかでの言葉だからです。国家とか民族に神様の啓示が降りてくると考えるのはキリスト教の考え方ではありません。
ただ、そういう考え方で勘違いしてキリスト教を受けとめた天才的な神学者がいます。フリードリヒ・ゴーガルテンという人。彼の「我は三一の神を信ず」という戦前の本に私(佐藤優)が解説をつけて新教出版社から復刻しましたが、ゴーガルテンは民族に啓示が降りるという形で自分の論を組み立ててしまったので、結局ナチス・ドイツを支持するドイツ的キリスト者という分派の創設に協力することになってしまったのです。
□佐藤優『知の教室 ~教養は最強の武器である~』(文春文庫、2015)の「第10講座」の「第二部:来場者の質問に答える」
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【参考】
「【佐藤優】世の中でどう生き抜くかを考えるのが教養 ~知の教室~」
「【佐藤優】『知の教室 ~教養は最強の武器である~』目次」
「【佐藤優】『佐藤優の実践ゼミ』目次」
「『佐藤優の実践ゼミ 「地アタマ」を鍛える!』」
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