語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【芭蕉】大垣 ~奥の細道むすびの地~

2017年01月28日 | 詩歌
 <露通(ろつう)もこのみなとまで出(い)でむかひて、みのの国へと伴(ともな)ふ。駒(こま)にたすけられて大垣(おおがき)の庄(しょう)に入(い)れば、曽良(そら)も伊勢(いせ)より来たり合い、越人(えつじん)も馬をとばせて、如行(じょこう)が家に入(い)り集(あつ)まる。前川子(ぜんせんし)・荊口父子(けいこうふし)、そのほかしたしき人々日夜とぶらひて、蘇生(そせい)のものに会ふがごとく、かつ悦(よろこ)び、かついたはる。旅(たび)のものうさも、いまだやまざるに、長月(ながつき)六日(むいか)になれば、伊勢(いせ)の遷宮(せんぐう)おがまんと、また舟にのりて、 

  蛤(はまぐり)の ふたみにわかれ 行(ゆ)く秋ぞ>

□頴原退蔵・尾形功『おくのほそ道』(角川ソフィア文庫、2003)の本文校注「大垣」
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 【参考】
【芭蕉】獅子庵 ~各務支考~
【芭蕉】奧の細道の結びの地 ~大垣~
【芭蕉】奧の細道の石山 ~那谷~

奥の細道むすびの地記念館

【旅】三次の霧 ~松本清張『神々の乱心』~

2017年01月28日 | ミステリー・SF
 <庭に向かった広縁側の戸はまだ入れてなかった。障子の窓ガラスは部屋の湯気や煖気に曇って一面の霧となり、その中に近いところは庭の立て雪洞(ぼんぼり)の明りがあちこちに滲み、山間の下には遠い三次の灯がかたまって茫々と霞んでいた。
 春子が立って障子の傍に寄り、懐紙を出して曇ったガラスを拭った。
「だめです」
 ふり返って笑った。
「外が霧なんですの」
 泰之は眺めて、
「渓底(たにぞこ)の灯の上に山の夜霧が流れる。仙境だな」
「ほんまにきれい」
 と、まさ子。
「明日の朝おめざめになったら、朝霧でいっぱい包まれています。ここがまるで雲の上にあるようです」
「ここは霧が名物ですか」
「夏は鵜飼い。秋の暮れから春さきにかけては霧です。川が三つも流れていますから」
「霧は万物を霊化しますね」
「不浄を隠します。悪人も霧の中に」>

□松本清張『神々の乱心』(上下)(文藝春秋、1997/後に文春文庫、2000)
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【南雲つぐみ】タイの天ぷら ~徳川家康の死因考~

2017年01月28日 | 医療・保健・福祉・介護
 昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」では、徳川家康も憎々しさが出た半面、人間らしさが描かれていて魅力的だった。
 家康が大阪夏の陣で豊臣勢に攻め勝ったのは、慶長20(1615)年のこと。大戦(おおいくさ)を生き延びた家康は、駿府に戻るが、翌年の元和2(1616)年に亡くなった。享年75歳。
 きっかけとされているのが同年の旧暦1月21日、冬のさなかに出かけたタカ狩りである。「徳川実紀」などによると、陣中見舞いとして作らせたのが当時珍しいタイの天ぷらだった。食通の家康はたくさん食べて、その晩にひどい腹痛に襲われた。自分で薬学書を読み、薬を調合するほどだったそうだが、そのまま同年4月に死去した。
 死因は胃がんともいわれ、タイの天ぷらによる食中毒が、直接の原因とは考えられていない。ただこれ以来、寝込み始めたのは確かで、体力に自信があったがゆえ、用心が足りなかったのかもしれない。中国医学には、「春の不調を防ぐには冬の養生が肝心」という言い方もある。今年一年間、ご自愛のほどを

□南雲つぐみ(医学ライター)「タイの天ぷら ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年1月21日)を引用
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 【参考】
【南雲つぐみ】アボカドの栄養とその調理法
【南雲つぐみ】フェリチンに注目 ~貧血対策~
【南雲つぐみ】ショウガを飲む ~その薬効~
【南雲つぐみ】ナマコとコノワタ ~三河湾では今が旬~
【南雲つぐみ】寒たまご ~1日2個以上も可~
【南雲つぐみ】安納芋の栄養価と味わい ~焼くか蒸す~
【南雲つぐみ】小正月には小豆がゆ ~むくみによる体重増の対策~
【南雲つぐみ】「おなかの風邪」の予防と事後処理 ~ノロウイルス、「ロタウイルス」~
【南雲つぐみ】食事制限だけのダイエットは危険 ~運動が大事~
【南雲つぐみ】温泉の安全な入り方
【南雲つぐみ】七草がゆ
ミカンのうんちく ~延命長寿の果実~
【南雲つぐみ】鍋で養生 ~今年1月5日は小寒~
【南雲つぐみ】お雑煮の食べ方 ~事故の防止法~