語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【佐藤優】明日を思い悩むな

2018年08月12日 | ●佐藤優
 <あすのことを思いわずらうな。あすのことは、あす自身が思いわずらうであろう。一日の苦労は、その日一日だけで十分である。 --「マタイによる福音書」6章34節

 精神科医で哲学者の木村敏氏は、人間の時間間隔とうつ病の間に連関があると考える。「ポスト・フェストゥム(祭りの後)」という発想をする人にうつの傾向があると言う。ラテン語で、祭りは「フェスト」で、後が「ポスト」だ。即ち、祭りが終わってから「ああすればよかった」「取り返しのつかないミスをしてしまった」とくよくよ悩むことだ。こういう人は、「決して後悔しないように」と先回りして完璧な準備をしようとする傾向がある。その結果、いつも思い悩んでいることになる。
 もちろん誰にだって反省機能はある。しかし、それがあまり過剰になり、いつも思い悩んでいるとうつ病になってしまう。昨日の悩みは昨日悩めば十分、今日の悩みは今日悩めば十分、明日の悩みは明日悩めば十分と割り切って考えることだ。神は、この世界だけでなく、時間も支配している。それで何とかなると楽観的に生きていけばいい。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「苦難に負けない言葉」の「明日を思い悩むな」を引用

 【参考】
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~




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