語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【本】残暑をしのぐために ~海堂尊『玉村警部補の巡礼』~

2018年08月29日 | 小説・戯曲
 累計1,000万部超のベストセラー「チーム・バチスタ」シリーズの最新刊。前作『玉村警部補の災難』に続き、加納警視正&玉村警部補コンビが主人公の短編集。
 今回の特徴は、四国霊場八十八ヵ所巡礼をBGMとしていること。最初の短編の冒頭で、弘法大師の波乱に充ちた生涯が、海堂尊一流のイキのよい文体で要約され、巡礼モードに引きずり込まれていく。
 玉村警部補はまじめに歩いて巡礼するつもりなのだが、型破りの加納警視正が勝手に割り込んできたせいで、文明の利器を援用し、かつ、弥次喜多的な旅になってしまう。しかも、事件が相次ぐ。
 本書もミステリーの片割れ。ネタバレにならない程度に結末に言及すると、海堂ドクターのライフワークらしいAi(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)が難事件解決に有力な役割を果たす。
 残暑をしのぐにもってこいの、軽快なテンポの喜劇的ミステリー。

□海堂尊『玉村警部補の巡礼』(宝島社、2018)

 
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【佐藤優】迫害される人

2018年08月29日 | ●佐藤優
 <義のために迫害されてきた人たちは、さいわいである、天国は彼らのものである。 --「マタイによる福音書」5章10節

 前にも述べたように義とは、正しいことを指す。イエス・キリストが示した正しい教えに従っているが故に迫害を受ける人を念頭に置いて、イエスはこの言葉を発している。
 イエスは、自らをユダヤ教徒と考えていた。それにもかかわらず、イエスが迫害されたのは、当時のユダヤ教の律法を無視して、神の愛を実践することが救済への道であると語り、実行したからだ。ユダヤ人社会は、寄留する外国人に対しては寛容であったが、ユダヤ人がユダヤ教の枠組みを超えるような発言や行為をした場合には、厳しく対処し、それが迫害に発展することもあった。
 ここで重要なのがパウロの役割だ。パウロは、最初、パリサイ(ファリサイ)派のユダヤ人としてキリスト教徒を迫害していたが、ダマスコ(ダマスカス)に行く途上で光に打たれて倒れ、幻の中でキリストと出会う。このことによって、キリスト教徒になり、今度はユダヤ人から迫害される側になった。いくら迫害されても、死後の復活を信じるキリスト教徒は、信仰を保持することで「神の国」に入ることができると信じているので、そう簡単に屈服しないのである。>

□佐藤優『人生の役に立つ聖書の名言』(講談社、2017)の「苦難に負けない言葉」の「迫害される人」を引用

 【参考】
【佐藤優】平和をつくる人
【佐藤優】心の清い人
【佐藤優】あわれみ深い人
【佐藤優】正しさを望む人
【佐藤優】柔和な人
【佐藤優】悲しんでいる人
【佐藤優】心の貧しい人
【佐藤優】地の塩となれ
【佐藤優】狭い門を選べ
【佐藤優】求めれば与えられる
【佐藤優】明日を思い悩むな
【佐藤優】思い悩むな
【佐藤優】まえがき ~『人生の役に立つ聖書の名言』~
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