とだ*やすこの「いまここ@島本」

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大阪府島本町議会議員
とだ*やすこの活動報告

TPPに反対する理由

2011年04月21日 | とだ*やすこの町政報告
3月議会の報告になります。「『TPP参加反対の意見書』の提出を求める請願」(平成23年第2号請願)に戸田は賛成しました。請願者は「新日本婦人の会」、紹介議員は河野・富永議員。会派を代表して賛成の討論を行いましたので、反対の根拠として、以下にその内容を記しますが、いかんせん長すぎました。

発言の冒頭で「多少長いですが、よろしくご清聴願います」と断ってはいましたが、途中、「論文発表じゃない!」「研究発表とちがう」「賛成か反対かが討論なんだから」「考え方を示して討論を」などと次々に野次が飛び、まるで小学校の学級崩壊状態に・・・

菅議長からは「簡潔にしてください。皆さん、退屈してますから」と注意を受けました(びっくりですが事実です)。本請願の討論では、ベテラン議員に対しても「あんたの演説とちゃう」という野次が飛びました。内容が自分の興味や理解を超えていると、反射的に受け入れられないのかもしれません。

もっと的を絞り、メリハリのある、わかりやすい(論理的な)発言を心がけたいと思いますが、A4にして2枚に満たない内容を聴いていられないのもどうかと思います。もっとも、他人の意見は聴けなくても、自身の主張や要望には「わたし、頑張ってます!」と延々・・・。議員というものの身勝手さには心底呆れます。

いずれにしても、野次を制止するのではなく、発言を制止されるのが我々の宿命(こちらが野次をを飛ばすと、不規則発言は控えてください!と議長より注意を受けます)。終了後、傍聴席の方より「あのような野次の中、よく頑張られました」とお声をかけていただき、住民の方に評価していただけたことについて、素直に喜びたいと思います

◇  ◇  ◇

TPPはTrans-Pacific Partnershipの略であり「環太平洋連携協定」「環太平洋パートナーシップ協定」と訳され、環太平洋における経済連携の交渉を意味します。FTA(自由貿易協定)EPA(経済連携協定)のひとつでありながら、次に述べる点でFTA・EPAとは大きく異なっています。

1)二国間提携ではなく多国間の協定である
2)重要農産物を含め例外なく関税が撤廃される可能性がある

TPPへの参加は、これまで農産物の扱いに関して対立していたために実現しなかったアメリカ・オーストラリア・ニュージーランドとのFTA締結を一気に解決するに等しいものです。実現しなかった二国間の自由貿易協定を、例外のない関税撤廃を含め、同時に複数の国と実現しようとするものです。

このことがどういうことを意味するのかに目を向けようとせず、反対に値しないと判断するのは非常に危険です。今回の請願では、主として農業分野での懸念によりTPP参加を反対されていますが、すべての品目での関税撤廃がもたらすマイナスの影響は、他のいかなるメリットをも覆い隠す深刻な事態をもたらします。

複数の国との自由化協定が地域間の競争を前提にしている以上、自国の優位性が崩れた時点で、たちまち生産拠点の流出を招くという現実が待っています。製造業で問題になった「ドーナツ化現象」が国境を越えて農業で起こります。

自給率が先進国でもっとも低いといわれる日本、もはや農業においては既に充分以上に「開国されている」というのが本当のところではないでしょうか。農業が過度に守られているという指摘がありますが、これは「国内施策」によって解決すべきことで、TPPにその効果を求めるのは間違っています。

「日本が乗り遅れる」という場合、主として韓国との関係が念頭にあります。韓国が米国と自由貿易協定・FTAに合意していることから、対米輸出という点で日本が不利な条件になるのは避けられない。FTA締結と同等の効果をTPP参加によって得たい産業界は、後に日本がTPPに参加するために参加国すべての合意を取り付ける必要があることを懸念しています。

輸出産業界においてTPPがもたらすメリットを否定するものではありません。しかしながら、TPP交渉の24にわたる作業部会のなかには、農業分野のみならず、衛生植物検疫・医療・金融・投資・知的財産権にまでもが含まれており、参加によるマイナス影響は、日本が築きあげてきた暮らしの安心・安全を根底から揺るがすものです。

たとえば衛生植物検疫、いわゆるSPS措置。アメリカは遺伝子組み換え食品の表示やBSE全頭検査などを「非関税障壁」とみなして撤廃を求めます。これがTPPの目的だからです。

国家は自国民の生命・身体の安全や健康を守る主権的権利を有しています。グローバル化の進展の中で十分なSPS措置(Sanitary and Phytosanitary Measures:衛生植物検疫措置)が確保できなくなれば食の安全が脅かされるという消費者の不安を、既に日本は経験しているはずです。

また、NZとの交渉で問題になっているという「海外投資管理制度」。海外の企業や個人が土地を自由に売買できないようにする制度を、アメリカ側は投資の障害になるものとして撤廃を求めています。日本でも中国資本による森林買収が現実化しており、林野庁のホームページにはアメリカ人が個人で北海道の森林を購入している事例が複数報告されています。

飲料水・農地確保を目的に、海外の土地を購入する動き、いわゆるランドラッシュが盛んになっており、土地が自由競争に飲み込まれようとしている現実を直視しておく必要があります。

医療においては国民皆保険の崩壊や自由診療拡大による医療格差が懸念されています。日本の関心は専ら農業への影響に注がれており、これによって一般国民の関心が非常に薄いことを危惧します。報道されていない分野にこそ本当の狙いが潜んでいる、知らされていない危機が迫っていると考えておく必要があります。

この度の請願ではTPPを「環太平洋戦略的経済連携協定」とされています。実際このように表現されているのですが、これは恣意的であり、Trans-Pacific Partnershipに「戦略的」という意味は存在しません。まるで環太平洋諸国がすべて参加するような錯覚をもちますが、そうではありません。

中国に加盟の動きはありません。韓国においては、日本に対する関税撤廃で日本からの輸入が増大することを産業界が警戒しているともいわれ、なにより、すでにEU・アメリカとのFTA合意を実現している韓国にはTPP参加の大きなメリットがありません。

環太平洋地域のすべての国が参加するものではなく、TPPに参加しなければ「世界に乗り遅れる」というのは間違いです。

TPPはご承知のように、シンガポール、NZ・チリ・ブルネイの4カ国で2006年発足しています。合計人口2600万人ほどの小さな経済交渉に、2008年アメリカが参加を表明。以降、環太平洋におけるアメリカ通商政策の戦略的な交渉に姿を変えたのです。菅政権がTPP参加に向けて「協議を開始する」としたのは、アメリカの通商政策と密接に関わってのことで、唐突なものではありませんでした。

交渉参加9カ国のうち、アメリカ・オーストラリア・NZを除いた6カ国と、日本は既にFTAを締結しています。なにより、TPPは、日米で参加予定諸国の総計GDPの9割を占めるという点でも、実質的には日米条約といえるものになっています。

農林中金総合研究所が示している外務省JETORO資料の2009年データによると、アメリカが67%、日本が24%、オーストラリアが4.7%、他の7カ国合計は4.2%に過ぎません。

もともとは内需の小さな国が集まって創設した経済交渉であり、広域連携によるサービス・関税手続き・知的財産権などの幅広い分野の徹底的な自由化を目指すものでした。
これに着目したのがアメリカです。アメリカ参加の背景には、東アジアがアメリカ抜きで結束すること、特に中国中心で東アジアの枠組みが形成されることへの警戒があるとされています。

医療分野に目を向けてみれば、自由に診療料金が設定できる自由診療が拡大すれば、日本の誇る平等な医療は崩壊、国民皆保険制度の終焉をも招きます。これは外資系医療保険の参入を可能にするものです。医療保険輸出、これこそ狙いといっても過言ではないでしょう。

海外で「医療格差」の現実を目の当たりにした経験から述べますと、医療を市場経済にさらすことは日本人にとって幸せな結果を生まないと断言できます。食の安全安心も同じです。TPPは、命と暮らしに関わる農・食・医の重大な問題を含みながら必要な情報が公開されていません。

WTOなどとは異なり、TPP交渉が公開されずに行われているという不透明さも問題。少ない情報のもと、大枠の印象によって参加を決めるにはあまりに危険です。



画像は、JR山崎駅ホームのツツジと空(4月17日撮影)
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