既にリリースから1年も経つ、SING LIKE TALKINGのアルバム「EMPOWERMENT」。今日も会社帰りの我がiPodセレクトはこのアルバムだったんですが、1年経っても色あせることもなく、聴ける作品なのです。じゃあいい曲、すなわち小生の琴線に触れるようなメロディやリズムが揃っているか、というと必ずしもそうでもなかったりして。もちろん悪くはないんだけど、これぞという良さ、というのももう一つ感じられない。だけど聴き始めるとその世界に引き込まれてしまう、不思議な魅力を持っているのです。
それは聴く度に心に突き刺さる言葉。以前にも書いてますが、SING LIKE TALKINGの歌詞って、日本語的に変なフレーズが多々あるんだけど、とにかく選りすぐられたであろう一つ一つの言葉に重みがあって、その一言一言に心が揺り動かされるのです。
例えば3曲目「飾りのないX’MAS TREE」。
「待つのは帰りのBUS それとも偶然」
6曲目「きみの中に輝くもの」。
「不器用ってことは 誰より一番 ひたむきな証拠さ」
9曲目「硝子の城」。
「思いのままにって 多分 意味を履き違えて育った 明日の大人たち」
「たとえ どんな厳しさを 今 歩んでいるとしても 笑うだけでは解決などしないから」
何が、ということでもないんだけど、その言葉が小生に圧し掛かって来るのです。わかるな~、わかってるよね、という共感なのか、願いなのか。
そして極めつけが7曲目の「祈り」。
歌詞そのもの全てはこちらを見ていただくとして、やっぱりわかってくれてるな…としか言い様がない。
人間、絶対どこかに弱さを持っているものです。その弱さと思いを的確に言葉として表現してくれているのがこの歌詞ではなかろうか。世の中勝ち組ばかりではない。だけど生きていかなければならないんです。そんな失意と孤独感、そして生に対する重圧と緊張感はわかる人にしかわからないものかもしれない。でも、そんな気持ちを理解して、共感してもらえる可能性がそこに見出される。決して励ましでも前向きな言葉でもない、だけど、自分だけではないという安心感。それこそが明日に生きることを後押ししてくれるんじゃないかな。
心が弱っている時、こんな言葉を聴いたら涙が出てしまいます。
そう、まさにそんな精神状態にあるのです。
今日の通勤音楽
MELLOW MADNESS / QUINCY JONES
EMPOWERMENT / SING LIKE TALKING