JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
黒部峡谷鉄道 整理券
平成12年8月に黒部峡谷鉄道宇奈月駅で発行された整理券です。
緑色無地紋の千切り式券で、同駅の発時刻および乗車車両の指定が予め印刷されています。
この券は乗車券を購入もしくは前売乗車券を持ってチェックインした際、乗車車両を予め指定し、旅客は指定された車両に乗車するようになります。これは、同鉄道の旅客列車は車両指定の定員乗車制となっているためのものです。
乗車駅によって券の色が異なっており、欅平駅では桃色の券が発行されていました。
特に確認はしておりませんが、この券は発時刻分すべてが用意されているものと思われ、前売乗車券を所持する旅客にたいしても必要もしくは確認することから、券の在庫で列車の乗車状況を確認し、手持ちの券すべてを発券し終わった時点で「満席」を案内する、至ってマニュアルチックなシステムになっていました。
現在は乗車券類の硬券をすべて廃止して機械発券となっていますので、このような定員管理は行われていないものと思われます。
大山観光電鉄 手回り品切符
平成27年5月に大山観光電鉄(大山ケーブル)阿夫利神社駅で発行された、手回り品切符です。
白色無地紋の軟券で、赤いインクで印刷されています。金額および区間、発行箇所名は記入式となっており、発行駅である阿夫利神社駅と大山ケーブル駅の双方で同じ様式の券が発売されています。
大きさは定期券サイズとなっており、持ち込み品に括り付ける針金は付いていません。
同社では大きな荷物の他にペットの持ち込みをする際にも手回り品料金が必要となっており、片道210円・往復410円の設定になっています。
営団地下鉄 購入済乗車票
昭和62年5月に営団地下鉄(帝都高速度交通営団、現・東京地下鉄)赤坂見附駅定期券発売所で発行された、購入済乗車票です。
桃色無地紋のA型千切り券で、発行箇所は記入式となっています。
営団地下鉄では定期券は主要駅のみの発売となっており、定期券未発売駅では発売駅までの乗車券を購入して乗車し、下車時に改札口で定期券を購入する旨を申告して乗車券に証明印を貰い、定期券購入時に払い戻しを受けるシステムでした。
定期券購入後に定期券未発売駅に戻る場合、購入した定期券が使用できる場合はその定期券を使用しますが、前売や区間外等で使用できないばあい、購入済乗車票を貰って乗車するようになっていました。
発行時には、前売の場合には定期券区間内の任意の1駅を、区間外の場合には定期券区間の入口駅までの駅を指定することができ、着駅欄に駅名スタンプを捺印の上交付されました。
この券は本来使用すれば回収されてしまいますが、手元に残したいがために別途乗車券を購入しています。
蒲原鉄道 五泉駅発行 精算済証明
昭和59年7月に蒲原鉄道(社)五泉駅で発行された精算済証明です。
白色無地紋のA型券で、活版印刷された軟券です。
末期の蒲原鉄道は途中駅であった村松駅~五泉駅間4.2kmのみの運行となっておりましたが、この券が発行された当時は信越本線の加茂駅から五泉駅までの21.9km、途中駅13駅を結ぶ路線でした。
途中駅のほとんどは無人駅であり、終着の五泉駅では降車時に運賃を精算する旅客が多く、五泉駅は構内で国鉄磐越西線の五泉駅と続いている形態から、精算をして乗車券を所持していない国鉄線への乗換旅客に対してこの精算済証明を渡していました。
この券は頂き物ですが、五泉駅で下車した際に頂いたものとのことで、あらかじめ国鉄の乗車券を購入しておいてありましたのでそのまま手元に残すことができたそうです。もし実際にこの券を提示して国鉄で運賃精算をした場合には、恐らく厳密に回収されてしまったかもしれません。
小湊鉄道 養老渓谷駅 入鋏鋏痕変更
本年8月、小湊鉄道養老渓谷駅で使用されているパンチの鋏痕が変更になりました。
昭和24年1月に発行された、上総大久保ゆきの片道乗車券です。
青色JPRてつどう地紋のB型相互式券です。
この当時は国鉄上野駅で使用されていたものと同じ王冠のような特殊鋏痕が使用されていましたが、本年8月15日に桜木町駅で使用されていたものと同じmに似た特殊鋏痕に変更されています。
こちらが現行の鋏痕で、本年11月に発行されたものです。
同社の説明では、今回の鋏痕の変更は月崎駅の簡易委託化による乗車券発売再開によるものということでした。
同駅は本来m型の特殊鋏痕が使用されていましたが、昭和42年の月崎駅無人化以降、月崎駅で使用されていた王冠型の鋏痕が養老渓谷駅に転用されていた経緯から、月崎駅に本来の王冠型の鋏痕を戻し、養老渓谷駅にはかつて使用されていたm型鋏痕のパンチを新規に作成して設備したとのことです。
小湊鉄道ホームページ
東京都交通局 運賃着駅払証
平成12年12月、都営大江戸線勝どき駅で発行された、運賃着駅払証です。
青色とうきょうとこうつうきょく高速鉄道用地紋の千切り券で、発行の都度、ゴム印で発行日を捺印するようになっています。
これは、平成12年12月12日は都営地下鉄大江戸線が現在の変形ループの形となって全線開業した日の夕方、勝どき駅には地下鉄の開通を待ちに待っていた旅客が集中し、数台しか設備されていなかった自動券売機では旅客を捌ききれない状態となってしまったため、溢れかえった旅客をこの券で「取りあえず」改札を通し、着駅に分散させたうえで運賃を支払う形にして混雑を解消するために発行されたものです。
当時、たまたま勝どき駅近くに職場がありましたため、開通当日に見物がてら初乗車した際、偶然このような状況に出くわしたために戴いたものです。
この券は特に珍しいものではなく、混雑時や券売機の故障などの事情により、駅員の判断で発券されるものと思われます。
富山地方鉄道 乗車駅証明書
富山地方鉄道電鉄富山駅で発行された、乗車駅証明書です。
白色無地紋のA型券で、日本交通印刷にて調製されたものではないかと思われます。
この券は出発直前で乗車券を購入する時間が無い旅客に対して交付され、車内もしくは着駅にて精算するために乗車駅を証明するものです。
裏面です。
この券は上の券ではなく、25年くらい前に発行された同社の乗車駅証明書です。紙焼けして見づらいですが、注意書きの1行目に「本券は乗車駅の証明書であって乗車券ではありません。」と、あくまでも乗車券ではない旨の趣旨が記載されていることがわかります。
こちらは1枚目の券の裏面です。2枚目のものと同じことが書かれているハズなのですが、良く見てみますと「本券は乗車券の証明書であって乗車券ではありません。」となっています。本来「乗車駅」とすべきところが「乗車券」と誤植されており、残念な文章になってしまっています。
近畿日本鉄道 普通手回り品切符
平成7年8月に京都駅で発行された、近畿日本鉄道(近鉄)の普通手回り品切符です。
桃色近鉄自社地紋のA型券で、券売機にて発行されています。金額式券のフォームをどうにかしたような様式で、左上に金額式券の「名残」のように「KYOTO」の表記があります。
首都圏の私鉄では手回り品切符を廃止して無料化されているところが殆どであり、普通手回り品切符そのものが珍しい存在となっておりますが、JRでさえ普通手回り品切符は改札などで手売りであるのですが、近鉄では券売機で購入できるようになっており、関東在住の管理人には大変新鮮に感じられます。
近鉄のように券売機で普通手回り品切符を発売している会社は他に高松琴平電鉄(ことでん)に例があり、恐らく気づいていないだけで他にもあるものと思います。
近鉄ではすべての駅に自動改札が導入されており、券面にある「係員にお示し願います」という文言を尊重するには、敢えて有人改札を通らねばならないことになります。
実際、自動改札を通ってしまえば、たとえ有料手回り品を所持していてもそのまま通りぬけてしまえますし、関東在住の旅客においては有料手回り品という意識がないことが多いでしょうから、手回り品料金をきちんと支払う旅客の率は、残念ながらさほど高いものではないかもしれません。
東京都交通局 英国海軍用優待乗車証
ひょんなことから入手したものですが、昭和55年9月に東京都交通局が英国海軍の乗組員用に発行した、都電・都バス・都営地下鉄の優待乗車証です。
定期券サイズの厚紙に印刷されており、駆逐艦アントリムおよびコヴェントリー、補給艦ストロムネスの乗組員用である旨が記載されています。
裏面です。
実際に使用する乗組員には何が書いてあるのかさっぱり分からないと思いますが、裏面には日本語訳が印刷されています。
軍艦については全く疎いのですが、ここに出てきます駆逐艦アントリムは4年後に退役してチリ海軍に売船され、平成22年に中国でスクラップとなっており、補給艦ストロムネスと駆逐艦コヴェントリーはこの2年後のフォークランド紛争に参戦し、駆逐艦コヴェントリーはアルゼンチン空軍のスカイホーク攻撃機の攻撃を受けて撃沈されたようです。
豊橋鉄道 豊橋市内線のりかえ券
平成22年9月4日に豊橋市内線車内で発行されたのりかえ券です。
青色とよはしてつどう自社地紋の千切り券で、前々回エントリーの鉄道線乗車券とは違ってピラピラの軟券となっており、予め大きく日付印が捺印されています。
同線は豊橋駅前から赤岩口までの路線の他に赤岩口の1つ手前の停留所である井原から運動公園前まで1停留所の路線と分岐しており、大人150円(小児80円)の全線均一運賃で乗車することができます。しかし、赤岩口~井原~運動公園前という経路の直通電車が無いため、途中の井原停留所で乗換える必要が出てくることからこののりかえ券が設備されています。
同区間は乗っても2停留所であることと、この区間だけを利用する旅客は殆ど居ないようで、のりかえ券の出番はさほど多くはなさそうですが、運動公園前まで行く旅客が赤岩口ゆきの電車に誤乗してしまった場合にも発行されるようです。
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