漢字の音符

漢字の字形には発音を表す部分が含まれています。それが漢字音符です。漢字音符および漢字に関する本を取り上げます。

音符 「㬎ケン」  <あきらか> と 「顕ケン」「湿シツ」

2020年12月24日 | 漢字の音符
 㬎 [显] ケン  日部

解字 「日(太陽)+絲(いと)」の会意。太陽の下に細い絲がある形(現在、糸と書くが、以前は絲と書いた)。この字は顯(顕)ケンの字から頁を省いて作られた後起の字と思われる。明るい日光の下の糸は、細いがはっきり分かる(あきらか)意で、顕(顯)ケンの音符となる。なお新字体では、㬎 ⇒显に簡略化される。単独で使われることなく「あきらか」のイメージで音符となる。

イメージ 
  「あきらか」 (顕・湿・隰)
音の変化  ケン:顕  シツ:湿・隰

あきらか
 ケン・あきらか・あらわれる  頁部

解字 金文は太陽の下の絲を、目を強調した見に近い形の人が見ている形。あきらかの意に用いて「明顕メイケン」(あきらか)「顕揚ケンヨウ」(表章する)などの語がある。篆文は頁に日と絲がつく。旧字は絲の下部が四点に略された顯になった。新字体は、顯⇒顕に変化する。意味は「あきらか」の他に、太陽の光の下で「あらわになる」。
意味 (1)あきらか(顕らか)。はっきりしている。あきらかにする。「顕著ケンチョ」「顕在ケンザイ」「顕彰ケンショウ」「顕微鏡ケンビキョウ」(微細なものを顕かにする鏡レンズ) (2)あらわになる。あらわれる(顕れる)。「露顕ロケン」 (3)名高い。地位が高い。「顕官ケンカン」「顕貴ケンキ」(名声があり地位が高い)
湿 シツ・しめる  氵部
解字 旧字は濕で 「氵(水)+㬎(あきらか)」 の会意形声。水気があきらかなこと。しめる意となる。新字体は、濕⇒湿に変化する。
意味 しめる(湿る)。しめりけ。うるおす。「湿気シッケ」「湿地シッチ」「湿原シツゲン」「湿潤シツジュン」「除湿ジョシツ
隰 シツ・シュウ  阝部こざと
解字 「阝(おか)+㬎(濕の省形)」の会意形声。丘の付近の湿地。
意味 (1)さわ(隰)。湿地帯。「原隰ゲンシツ・ゲンシュウ」(高原と、低湿地)「隰畔シツハン」(湿地の水際) (2)にいばり。新たに開拓した土地。
<紫色は常用漢字>

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