増訂しました。
吉 キチ・キツ・よい 口部 jí
解字 甲骨文は「建物のような形+口サイ(祭祀儀礼の器うつわ)」であるが成り立ちは不明。この文字の意味は甲骨文字を刻んだ骨を焼いて占うとき、文字の部分にタテに裂けたひび割れが出現すると吉キチとされ、幸運の意味となる[甲骨文字辞典]。金文は上部が士シの形になり意味は、①善・美しい、②月の最初の日、などに用いられた[簡明金文詞典]。篆文以後は吉の形になり、よい・めでたい意味となった。
意味 (1)占いのよいしるし。「吉兆キッチョウ」(よいきざし)「吉凶キッキョウ」(良い事と悪い事)(2)よい(吉い)。めでたい。さいわい。「吉事キチジ」「吉報キッポウ」「不吉フキツ」(3)「吉月キツゲツ」(月の最初の日)
イメージ
「よい・めでたい」(吉)
「形声字」(結・髻・纈・詰・拮・桔・頡・黠)
音の変化 キチ:吉 キツ:詰・拮・桔 ケイ:髻 ケツ:結・纈・頡 カツ:黠
形声字
結 ケツ・むすぶ・ゆう・ゆわえる 糸部 jié・jiē
解字 「糸(ひも)+吉(ケツ)」の形声。紐でむすぶことを結ケツという。[説文解字]は「締(しめ)る也(なり)。糸に従い吉ケツの聲(声)」とする。結ぶ意のほか、しめくくる・まとまる・こりかたまる意に用いる。
意味 (1)むすぶ(結ぶ)。ゆわえる(結わえる)。ゆう(結う)。「結合ケツゴウ」「結束ケッソク」(2)しめくくる。実をむすぶ。「結実ケツジツ」「結果ケッカ」「結願ケチガン」([仏]願かけの日数が満ちること)(3)まとめる。まとまる。「結集ケッシュウ」「結成ケッセイ」(4)こりかたまる。「結晶ケッショウ」「結氷ケッヒョウ」
髻 ケイ・もとどり 髟部 jì
解字 「髟(かみのけ)+吉(=結。むすぶ)」の会意形声。髪の毛をまとめ上げて結ぶことを髻ケイという。
①②
①男性の髻もとどり、②女性の頭上一髻ケイと二髻ケイ(「髪型の歴史・奈良時代」より)
『貞丈雑記』より髻の図①(「日本中世庶民の世界」より)
意味 もとどり(髻)。たぶさ(髻)。髪を頂きに集め束ねること。また、その髪型。ふつうは、その上から冠をつけた。「髻もとどりを切る」(出家する)「髻華うず」(古代、草木の枝葉や華を冠やもとどり(髻)に挿して飾りとしたもの。かざし)
纈 ケチ・ケツ・ゆはた 糸部 xiè
解字 「頁(=頭。あたま)+結(むすぶ)」の会意形声。布や薄い革の表面を、小さな頭を出すように糸で結んで染め、模様を出す方法。
意味 ゆはた(纈)。くくり染め。しぼり染め。「纈革ゆはたがわ」(くくり染めした革)「纐纈コウケツ・コウケチ」(奈良時代に行なわれた絞り染めの名。纐も纈も、しぼり染めの意)「夾纈キョウケチ」(文様を彫った2枚の板の間に布を挟んで多色に染め上げる技法。板の裏側にそれぞれの模様に対応する箇所に小さな穴をあけ、そこから染料を流し込む。奈良時代に流行した)
夾纈の技法(読売新聞「2024.10.29夕刊」より)
詰 キツ・なじる・つめる・つまる・つむ 言部 jié
解字 「言(いう)+吉(キチ⇒キツ)」 の形声。相手を言葉で問いつめることを詰キツという。なじる・せめる意となる。日本では、物をつめこむ、つまる(ふさがる)、つむ(おわる)意でも用いる。
意味 (1)なじる(詰る)。せめる。問い詰める。「詰問キツモン」「詰責キッセキ」(とがめて責める)(2)[国]つめる(詰める)。つまる(詰まる)。つむ(詰む)。「缶詰かんづめ」「詰腹つめばら」(腹をつめる。切腹する)「詰襟つめえり」(えりがつまる。学生服などえりが立つものをいう)「王手を打たれて詰む」(負ける)
拮 キツ 扌部 jié・jiá
解字 「扌(手)+吉(キツ)」の形声。手で物をつめこむことを拮キツという。つめこむ・おしこむ意となる。おしこむ力に対抗する「抗コウ」とともに用いられる。
意味 つめこむ。おしこむ。「拮抗キッコウ」(勢力がほぼ等しく相対抗して互いに屈しないこと。拮は押しこむ意、抗は押し返す意。)「拮抗筋キッコウキン」(一方が収縮するとき他方が伸びる一対の筋肉)
桔 キツ 木部 jú・jié
はねつるべ「和泉名所図会」
解字 「木(き)+吉(=拮)」の形声。拮抗キッコウ(勢力がほぼ等しい)に木へんをつけ、拮抗する木の意で、はねつるべの桔槹キッコウに当てた字。はねつるべは、支点と重りで力を拮抗させており、小さな力で水を汲み上げることができる。また、秋の七草の「桔梗キキョウ」に当てる。
意味 (1)はねつるべ。「桔槹キッコウ・ケッコウ」(はねつるべ)。(2)秋の七草の「ききょう」に使われる字。「桔梗キキョウ」(多年生の草本植物。夏秋のころ青紫または白色の美しい花を開く。根は桔梗根といい生薬となり鎮咳・去痰などの効用がある)
桔梗(「暦生活・桔梗」より)
頡 ケツ・キツ 頁部 jié
解字 「頁(あたま)+吉(=拮)」の形声。拮抗キッコウ(勢力がほぼ等しい)に頁をつけ、「頡頏ケッコウ」という語に用いる。
意味 (1)「頡頏ケッコウ」とは、①勢力に優劣がなく互いにはりあうこと。=拮抗。②鳥が飛びあがり、また舞い降りること。「燕燕エンエン于(ここ)に飛び、之を頡ケツし之を頏コウす」(詩経・燕燕)(2)「頡滑ケッコツ・ケツカツ」(入り乱れるさま)(3)人名。「倉頡ソウケツ」(鳥の足跡を見て文字を発明したという伝説上の人物)
黠 カツ・わるがしこい 黒部 xiá
解字 「黑(くろ⇒悪い)+吉(キチ⇒カツ)」の形声。黒に悪のイメージがあることから、わるがしこいことを黠カツという。また、我が子の聡明なることを逆説的にわるがしこいということがある。
意味 (1)わるがしこい(黠い)「黠獪カツカイ」(悪がしこい)「黠智カツチ」(悪智恵)「黠奴カツド」(悪がしこい奴)(2)「黠児カツジ」(賢い子供)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
吉 キチ・キツ・よい 口部 jí
解字 甲骨文は「建物のような形+口サイ(祭祀儀礼の器うつわ)」であるが成り立ちは不明。この文字の意味は甲骨文字を刻んだ骨を焼いて占うとき、文字の部分にタテに裂けたひび割れが出現すると吉キチとされ、幸運の意味となる[甲骨文字辞典]。金文は上部が士シの形になり意味は、①善・美しい、②月の最初の日、などに用いられた[簡明金文詞典]。篆文以後は吉の形になり、よい・めでたい意味となった。
意味 (1)占いのよいしるし。「吉兆キッチョウ」(よいきざし)「吉凶キッキョウ」(良い事と悪い事)(2)よい(吉い)。めでたい。さいわい。「吉事キチジ」「吉報キッポウ」「不吉フキツ」(3)「吉月キツゲツ」(月の最初の日)
イメージ
「よい・めでたい」(吉)
「形声字」(結・髻・纈・詰・拮・桔・頡・黠)
音の変化 キチ:吉 キツ:詰・拮・桔 ケイ:髻 ケツ:結・纈・頡 カツ:黠
形声字
結 ケツ・むすぶ・ゆう・ゆわえる 糸部 jié・jiē
解字 「糸(ひも)+吉(ケツ)」の形声。紐でむすぶことを結ケツという。[説文解字]は「締(しめ)る也(なり)。糸に従い吉ケツの聲(声)」とする。結ぶ意のほか、しめくくる・まとまる・こりかたまる意に用いる。
意味 (1)むすぶ(結ぶ)。ゆわえる(結わえる)。ゆう(結う)。「結合ケツゴウ」「結束ケッソク」(2)しめくくる。実をむすぶ。「結実ケツジツ」「結果ケッカ」「結願ケチガン」([仏]願かけの日数が満ちること)(3)まとめる。まとまる。「結集ケッシュウ」「結成ケッセイ」(4)こりかたまる。「結晶ケッショウ」「結氷ケッヒョウ」
髻 ケイ・もとどり 髟部 jì
解字 「髟(かみのけ)+吉(=結。むすぶ)」の会意形声。髪の毛をまとめ上げて結ぶことを髻ケイという。
①②
①男性の髻もとどり、②女性の頭上一髻ケイと二髻ケイ(「髪型の歴史・奈良時代」より)
『貞丈雑記』より髻の図①(「日本中世庶民の世界」より)
意味 もとどり(髻)。たぶさ(髻)。髪を頂きに集め束ねること。また、その髪型。ふつうは、その上から冠をつけた。「髻もとどりを切る」(出家する)「髻華うず」(古代、草木の枝葉や華を冠やもとどり(髻)に挿して飾りとしたもの。かざし)
纈 ケチ・ケツ・ゆはた 糸部 xiè
解字 「頁(=頭。あたま)+結(むすぶ)」の会意形声。布や薄い革の表面を、小さな頭を出すように糸で結んで染め、模様を出す方法。
意味 ゆはた(纈)。くくり染め。しぼり染め。「纈革ゆはたがわ」(くくり染めした革)「纐纈コウケツ・コウケチ」(奈良時代に行なわれた絞り染めの名。纐も纈も、しぼり染めの意)「夾纈キョウケチ」(文様を彫った2枚の板の間に布を挟んで多色に染め上げる技法。板の裏側にそれぞれの模様に対応する箇所に小さな穴をあけ、そこから染料を流し込む。奈良時代に流行した)
夾纈の技法(読売新聞「2024.10.29夕刊」より)
詰 キツ・なじる・つめる・つまる・つむ 言部 jié
解字 「言(いう)+吉(キチ⇒キツ)」 の形声。相手を言葉で問いつめることを詰キツという。なじる・せめる意となる。日本では、物をつめこむ、つまる(ふさがる)、つむ(おわる)意でも用いる。
意味 (1)なじる(詰る)。せめる。問い詰める。「詰問キツモン」「詰責キッセキ」(とがめて責める)(2)[国]つめる(詰める)。つまる(詰まる)。つむ(詰む)。「缶詰かんづめ」「詰腹つめばら」(腹をつめる。切腹する)「詰襟つめえり」(えりがつまる。学生服などえりが立つものをいう)「王手を打たれて詰む」(負ける)
拮 キツ 扌部 jié・jiá
解字 「扌(手)+吉(キツ)」の形声。手で物をつめこむことを拮キツという。つめこむ・おしこむ意となる。おしこむ力に対抗する「抗コウ」とともに用いられる。
意味 つめこむ。おしこむ。「拮抗キッコウ」(勢力がほぼ等しく相対抗して互いに屈しないこと。拮は押しこむ意、抗は押し返す意。)「拮抗筋キッコウキン」(一方が収縮するとき他方が伸びる一対の筋肉)
桔 キツ 木部 jú・jié
はねつるべ「和泉名所図会」
解字 「木(き)+吉(=拮)」の形声。拮抗キッコウ(勢力がほぼ等しい)に木へんをつけ、拮抗する木の意で、はねつるべの桔槹キッコウに当てた字。はねつるべは、支点と重りで力を拮抗させており、小さな力で水を汲み上げることができる。また、秋の七草の「桔梗キキョウ」に当てる。
意味 (1)はねつるべ。「桔槹キッコウ・ケッコウ」(はねつるべ)。(2)秋の七草の「ききょう」に使われる字。「桔梗キキョウ」(多年生の草本植物。夏秋のころ青紫または白色の美しい花を開く。根は桔梗根といい生薬となり鎮咳・去痰などの効用がある)
桔梗(「暦生活・桔梗」より)
頡 ケツ・キツ 頁部 jié
解字 「頁(あたま)+吉(=拮)」の形声。拮抗キッコウ(勢力がほぼ等しい)に頁をつけ、「頡頏ケッコウ」という語に用いる。
意味 (1)「頡頏ケッコウ」とは、①勢力に優劣がなく互いにはりあうこと。=拮抗。②鳥が飛びあがり、また舞い降りること。「燕燕エンエン于(ここ)に飛び、之を頡ケツし之を頏コウす」(詩経・燕燕)(2)「頡滑ケッコツ・ケツカツ」(入り乱れるさま)(3)人名。「倉頡ソウケツ」(鳥の足跡を見て文字を発明したという伝説上の人物)
黠 カツ・わるがしこい 黒部 xiá
解字 「黑(くろ⇒悪い)+吉(キチ⇒カツ)」の形声。黒に悪のイメージがあることから、わるがしこいことを黠カツという。また、我が子の聡明なることを逆説的にわるがしこいということがある。
意味 (1)わるがしこい(黠い)「黠獪カツカイ」(悪がしこい)「黠智カツチ」(悪智恵)「黠奴カツド」(悪がしこい奴)(2)「黠児カツジ」(賢い子供)
<紫色は常用漢字>
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