尃 フ 寸部
解字 金文の上部は、「屮テツ(草木の芽生え)+田(耕作地)」で、耕作地に苗や苗木が植えられている形(甫ホを参照)。それに又(て)がつき、苗や苗木が育つ耕作地で手をうごかして作業をしている形。篆文から「甫+寸」の尃フになった。新字体で使われるとき、甫の下部の用⇒田に変化する。イメージは「苗や苗木を育てる」「(苗や苗木を育てる地が)ひろい」となる。なお、単独での使用は布フ(布をしきのばす)に通じ、しく(敷く)意。
意味 しく(敷く)。
イメージ
「苗や苗木を育てる」(傅・縛)
苗や苗木を育てる地が「ひろい」(博・溥・薄・簿)
「同音代替」(敷・榑・搏)
音の変化 フ:溥・傅・敷・榑 ハク:博・薄・搏 バク:縛 ボ:簿
苗や苗木を育てる
傅 フ・かしづく・もり イ部
解字 「イ(ひと)+尃(苗や苗木を手で育てる)」の会意形声。苗や苗木を手でそだてる人。転じて、苗木を育てるように貴族の幼い子の成長をたすける人。
意味 (1)かしずく(傅く)。つく。つきそう。たすける。「傅育フイク」(守り育てる) (2)もり(傅)。もりやく。「太傅タイフ」(幼い天子を助け国政に参与する職)「師傅シフ」(貴人の子を養育する役目の人)
縛 バク・しばる 糸部
解字 旧字は 「糸(ひも)+尃(苗や苗木を手で育てる)」 の会意形声。育てている苗や苗木を他へ移植するため、まとめてひもでくくること。しばる意となる。新字体は縛に変化。
意味 しばる(縛る)。自由を奪う。「束縛ソクバク」「捕縛ホバク」(捕まえて縛る)「金縛(かなしば)り」(金属の鎖で縛る。身動きできないように縛る)
ひろい
博 ハク・バク・ひろい 十部
解字 旧字は「十(四方に)+尃(ひろい)」の会意形声。四方にひろいこと。転じて、広く通じる意となる。また、古代に博弈ハクエキというサイコロを使うゲーム版があり、これで賭けごとをしたことから、ばくちの意がある。新字体は、博に変化。
意味 (1)ひろい(博い)。広く通じている。「博学ハクガク」「博愛ハクアイ」「博士ハクシ」「博物館ハクブツカン」 (2)大きい。「博大ハクダイ」 (3)かけごと。ばくち。「賭博トバク」
溥 フ・あまねし 氵部
解字 「氵(水)+尃(ひろい)」の会意形声。水がひろくおおうこと。
意味 (1)あまねし(溥し)。広く行きわたる。 (2)ひろい。おおきい。「溥天フテン」(天があまねく地上をおおうところ。天下。=普天)
薄 ハク・うすい・うすめる・うすまる・うすらぐ・うすれる 艸部
解字 旧字は「艸(くさ)+溥(水がひろがる)」の会意形声。ひろがった水面を浮草が広く覆う意で、平らでうすい意味を表す。新字体は、薄に変化。
意味 (1)うすい(薄い)。厚みがすくない。「薄氷ハクヒョウ」 (2)内容が少ない。「薄給ハッキュウ」 (3)味がうすい。「薄味うすあじ」 (4)人情がうすい。「薄情ハクジョウ」 (5)せまる。ちかづく。「肉薄ニクハク」「薄暮ハクボ」(薄明かりの残る夕暮れ) (6)[国]すすき(薄)。おばな。芒ボウとも書く。
簿 ボ 竹部
解字 旧字は「竹(たけ)+溥(=薄。うすい)」の会意形声。竹の薄い札をいう。のち、紙が普及すると紙を綴じたものの意となった。新字体は簿に変化。
意味 (1)文字を書くための薄い竹の札。 (2)文字を書くため、紙を綴じたもの。帳面。「帳簿チョウボ」「簿記ボキ」(金の出し入れを帳簿に書いて整理する方法)「名簿メイボ」
同音代替
敷 フ・しく 攵部
解字 篆文は、「攴(=攵。手の動作)+尃(フ)」の形声。フは布フ(布をしきのばす)に通じる。そこに攵(手の動作)をつけて、しきのばす意を強調した。楷書から寸⇒方(四方に)に変化した。新字体は敷となった。
意味 (1)ひろげてゆきわたらせる。のべる。のばす。「敷衍フエン」(のべひろげる。展開) (2)しく(敷く)。設置する。「敷設フセツ」 「座敷ざしき」(本来は板の間に敷いた円座。のち畳を敷いた客間などをいう)「屋敷やしき」(家屋の敷地。また、家屋と敷地)「敷物しきもの」「敷金しきキン」(保証金)
榑 フ・くれ 木部
解字 「木(き)+尃(=敷。しく)」の形声。日本では敷フ(しく・しきのべる)に通じ、板状にして床(ゆか)や屋根などに敷き詰める木の板材や、桶の胴部の材をいう。中国では榑桑フソウ(東方のはての巨木)の意味で用いる。
意味 (1)[国]くれ(榑)。くれき(榑木)。山出しの板材。平安時代の規格では、長さ12尺、幅6寸、厚さ4寸[広辞苑]。「榑縁くれえん」(細長い板を張った縁側)(2)[国]くれ(榑)。薄板。へぎいた。板屋根などを葺くもの。「榑葺(くれぶ)き」(薄い榑板で葺いた屋根)(3)[国]くれ(榑)。桶や樽の胴板に用いられる材。「桶の榑くれ」(4)「榑桑フソウ(=扶桑)」とは、中国の伝説で東方のはてにある巨木をいう。またその巨木の生えている土地を扶桑(榑桑)国という。後世、中国における日本の異称となった。
搏 ハク・うつ 扌部
解字 「扌(て)+尃(ハク)」の形声。ハクは拍ハク(うつ)に通じる。拍の白ハクは物をたたくとき出る音の擬声語。搏は手であらあらしくうつこと。
意味 (1)うつ(搏つ)。たたく。なぐる。「搏撃ハクゲキ」(うちたたく)「搏闘ハクトウ」(なぐりあって闘う) (2)うごく。動悸をうつ。「脈搏ミャクハク」(動脈の流れが定期的に血管を搏つこと)
<紫色は常用漢字>
バックナンバーの検索方法
※一般の検索サイト(グーグル・ヤフーなど)で、「漢字の音符」と入れてから、調べたい漢字1字を入力して検索すると、その漢字の音符ページが上位で表示されます。
解字 金文の上部は、「屮テツ(草木の芽生え)+田(耕作地)」で、耕作地に苗や苗木が植えられている形(甫ホを参照)。それに又(て)がつき、苗や苗木が育つ耕作地で手をうごかして作業をしている形。篆文から「甫+寸」の尃フになった。新字体で使われるとき、甫の下部の用⇒田に変化する。イメージは「苗や苗木を育てる」「(苗や苗木を育てる地が)ひろい」となる。なお、単独での使用は布フ(布をしきのばす)に通じ、しく(敷く)意。
意味 しく(敷く)。
イメージ
「苗や苗木を育てる」(傅・縛)
苗や苗木を育てる地が「ひろい」(博・溥・薄・簿)
「同音代替」(敷・榑・搏)
音の変化 フ:溥・傅・敷・榑 ハク:博・薄・搏 バク:縛 ボ:簿
苗や苗木を育てる
傅 フ・かしづく・もり イ部
解字 「イ(ひと)+尃(苗や苗木を手で育てる)」の会意形声。苗や苗木を手でそだてる人。転じて、苗木を育てるように貴族の幼い子の成長をたすける人。
意味 (1)かしずく(傅く)。つく。つきそう。たすける。「傅育フイク」(守り育てる) (2)もり(傅)。もりやく。「太傅タイフ」(幼い天子を助け国政に参与する職)「師傅シフ」(貴人の子を養育する役目の人)
縛 バク・しばる 糸部
解字 旧字は 「糸(ひも)+尃(苗や苗木を手で育てる)」 の会意形声。育てている苗や苗木を他へ移植するため、まとめてひもでくくること。しばる意となる。新字体は縛に変化。
意味 しばる(縛る)。自由を奪う。「束縛ソクバク」「捕縛ホバク」(捕まえて縛る)「金縛(かなしば)り」(金属の鎖で縛る。身動きできないように縛る)
ひろい
博 ハク・バク・ひろい 十部
解字 旧字は「十(四方に)+尃(ひろい)」の会意形声。四方にひろいこと。転じて、広く通じる意となる。また、古代に博弈ハクエキというサイコロを使うゲーム版があり、これで賭けごとをしたことから、ばくちの意がある。新字体は、博に変化。
意味 (1)ひろい(博い)。広く通じている。「博学ハクガク」「博愛ハクアイ」「博士ハクシ」「博物館ハクブツカン」 (2)大きい。「博大ハクダイ」 (3)かけごと。ばくち。「賭博トバク」
溥 フ・あまねし 氵部
解字 「氵(水)+尃(ひろい)」の会意形声。水がひろくおおうこと。
意味 (1)あまねし(溥し)。広く行きわたる。 (2)ひろい。おおきい。「溥天フテン」(天があまねく地上をおおうところ。天下。=普天)
薄 ハク・うすい・うすめる・うすまる・うすらぐ・うすれる 艸部
解字 旧字は「艸(くさ)+溥(水がひろがる)」の会意形声。ひろがった水面を浮草が広く覆う意で、平らでうすい意味を表す。新字体は、薄に変化。
意味 (1)うすい(薄い)。厚みがすくない。「薄氷ハクヒョウ」 (2)内容が少ない。「薄給ハッキュウ」 (3)味がうすい。「薄味うすあじ」 (4)人情がうすい。「薄情ハクジョウ」 (5)せまる。ちかづく。「肉薄ニクハク」「薄暮ハクボ」(薄明かりの残る夕暮れ) (6)[国]すすき(薄)。おばな。芒ボウとも書く。
簿 ボ 竹部
解字 旧字は「竹(たけ)+溥(=薄。うすい)」の会意形声。竹の薄い札をいう。のち、紙が普及すると紙を綴じたものの意となった。新字体は簿に変化。
意味 (1)文字を書くための薄い竹の札。 (2)文字を書くため、紙を綴じたもの。帳面。「帳簿チョウボ」「簿記ボキ」(金の出し入れを帳簿に書いて整理する方法)「名簿メイボ」
同音代替
敷 フ・しく 攵部
解字 篆文は、「攴(=攵。手の動作)+尃(フ)」の形声。フは布フ(布をしきのばす)に通じる。そこに攵(手の動作)をつけて、しきのばす意を強調した。楷書から寸⇒方(四方に)に変化した。新字体は敷となった。
意味 (1)ひろげてゆきわたらせる。のべる。のばす。「敷衍フエン」(のべひろげる。展開) (2)しく(敷く)。設置する。「敷設フセツ」 「座敷ざしき」(本来は板の間に敷いた円座。のち畳を敷いた客間などをいう)「屋敷やしき」(家屋の敷地。また、家屋と敷地)「敷物しきもの」「敷金しきキン」(保証金)
榑 フ・くれ 木部
解字 「木(き)+尃(=敷。しく)」の形声。日本では敷フ(しく・しきのべる)に通じ、板状にして床(ゆか)や屋根などに敷き詰める木の板材や、桶の胴部の材をいう。中国では榑桑フソウ(東方のはての巨木)の意味で用いる。
意味 (1)[国]くれ(榑)。くれき(榑木)。山出しの板材。平安時代の規格では、長さ12尺、幅6寸、厚さ4寸[広辞苑]。「榑縁くれえん」(細長い板を張った縁側)(2)[国]くれ(榑)。薄板。へぎいた。板屋根などを葺くもの。「榑葺(くれぶ)き」(薄い榑板で葺いた屋根)(3)[国]くれ(榑)。桶や樽の胴板に用いられる材。「桶の榑くれ」(4)「榑桑フソウ(=扶桑)」とは、中国の伝説で東方のはてにある巨木をいう。またその巨木の生えている土地を扶桑(榑桑)国という。後世、中国における日本の異称となった。
搏 ハク・うつ 扌部
解字 「扌(て)+尃(ハク)」の形声。ハクは拍ハク(うつ)に通じる。拍の白ハクは物をたたくとき出る音の擬声語。搏は手であらあらしくうつこと。
意味 (1)うつ(搏つ)。たたく。なぐる。「搏撃ハクゲキ」(うちたたく)「搏闘ハクトウ」(なぐりあって闘う) (2)うごく。動悸をうつ。「脈搏ミャクハク」(動脈の流れが定期的に血管を搏つこと)
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