真の解字を改めました。
真[眞] シン・ま・まこと 目部
上は真シン、下は妣ヒ
解字 甲骨文は「腕を曲げている人の側面形=妣ヒ。亡き母)+鼎かなえ」で、[甲骨文字辞典]は祭祀名とする。この鼎は宗廟(祖先のみたまや)の祭祀(祖先をまつること)に用いられる器。妣は亡き母なので、亡き母を追悼する祭祀と思われる(なお、妣のほかに普通の人の形もある)。金文は妣が変化した「ヒ+鼎」の形。西周中期・懿イ王の器《段簋ダンキ》の銘文に「王の十又四(14)祀,十又一(11)月,丁卯,王は真を畢(おわ)る」とあり、真も祭祀の種類であろう。篆文で「ヒが横にのびた形+目+∟+ハ」の眞になった。ヒの下は鼎の変形であり目は鼎に由来する。この字形について[説文解字]は、「仙人が姿を変えて天に昇る」とする。では金文の次にこの字が用いられた春秋戦国時代に、真はどんな使われ方をしていたのであろうか。
老荘思想の影響
道家の祖とされる老子の著書『老子』には、その思想である道ドウについて「窈ヨウ(奥深い)たり冥メイ(かすか)たり。其の中に精(精気)有り。其の精、甚(はなは)だ眞(純粋)」とあり、眞を純粋で混じりけのない意味で用いている。老子の後を継いだ荘子はその著作『荘子(大宗師篇)』で「眞とは精誠ジンセイ(まごころをこめる)なり。精ならず、誠ならざれば人を動かす能(あた)わず」と説き、また「古の眞人シンジンは~」と題して、眞人の意味を説いているが、その本質を「自然の多様な変化に随順しつつ宇宙の生命と一つに同化する生き方が眞人である」としている。つまり、老子に始まる道家思想を体現することを眞という言葉を用いて表現した。眞の字は道家思想によってその新しい定義を与えられたといえる。現在は旧字の眞⇒真となり、意味は道家思想をかなり反映した、①まこと。②自然のまま。③ただしい。④まことに。⑤道教の奥義。などがある。
意味 (1)まこと(真)。ほんとうの。「真実シンジツ」「真理シンリ」(2)自然のまま。本質。「天真テンシン」「純真ジュンシン」「真性シンセイ」(3)ただしい。正式な。「真正シンセイ」「真字シンジ」(漢字の楷書。草書・行書に対する言葉)(4)ものの姿。「写真シャシン」(5)道教の奥義。「真君シンクン」(①万物を主催するもの。②仙人)「真経シンギョウ」(道教の経典)(6)日本語だけの用法。ま(真)。本当の、まったく、などの意味を表す接頭語。「真面目まじめ」(①真剣な態度。②誠実なこと)「真っ赤まっか」(①真から赤い。②まるっきり)「真っ青まっさお」「真上まうえ」
イメージ
真の本来は祭祀なので「まこと」の意味以外は形声字とした。
「まこと(仮借)」(真・槙)
「形声字」(鎮・塡・嗔・瞋・慎・顚・巓・癲)
音の変化 シン:真・槙・慎・嗔・瞋 チン:鎮 テン:填・顚・巓・癲
まこと
槙 シン・まき 木部
解字 旧字は槇で「木(き)+眞(まこと)」の会意形声。日本では真木(まき)とよんで、すぐれた木の意。中国では、こずえの意があった。新字体に準じた槙が通用する。
意味 (1)[国]まき(槙)。古くは杉やヒノキをいい、現在はイヌマキ・コウヤマキなどの総称。「高野槙コウヤまき」(和歌山県の高野山に自生する槙をいい、枝葉を供花の変わりに御仏前に供える習わしがある)(2)こずえ(槙)。樹木のいただき。(眞を顚テン(いただき)の略体とみた使い方)
形声字
填 テン・ふさぐ 土部
解字 旧字は塡で「土(つち)+眞(シン⇒テン)」の形声。土を満たしてふさぐことを填テンという。新字体は填に変化。
意味 (1)ふさぐ(填ぐ)。ふさがる。うずめる。「填塞テンソク」(填も塞も、ふさぐ意。また充満すること)(2)みたす。「充填ジュウテン」「補填ホテン」「装填ソウテン」(中につめこんで装置する)(3)はめる。うめこむ。「填漆テンシツ」(彩漆をうめて飾る技法)
鎮 チン・しずめる・しずまる 金部
解字 旧字は鎭で「金(金属)+眞(シン⇒チン)」の形声。金属の重りでおさえることを鎭チンといい、しずめる意。また、地方の押さえとなる軍隊をいう。旧字の鎭⇒鎮に変化。[説文解字]は「博壓ハクアツ(広範囲におさえる)也(なり)」とする。
意味 (1)しずめる(鎮める)。しずまる(鎮まる)。重みをかけて押さえる。「鎮圧チンアツ」(2)しずめ(鎮め)。「重鎮ジュウチン」(重いおさえ。重きをなす人物)「文鎮ブンチン」(紙が動かないように置く文房具)(3)地方の押さえとなる軍隊。「鎮守チンジュ」(鎮め守る。鎮め守る神)「鎮台チンダイ」(地方を鎮守する軍隊) (4)鎮台が置かれた地方の大きな町。「景徳鎮ケイトクチン」(地名)
嗔 シン・いかる 口部
解字 「口(くち)+眞(シン)」の形声。口から声をだして、いかることを嗔シンという。
意味 (1)いかる(嗔る)。かっとなる。はげしくいきどおること。「嗔訶シンカ」(叱責する)「嗔視シンシ」(怒り視る)(2)とがめる。「嗔怪シンカイ」(とがめる)
瞋 シン・いかる 目部
解字 「目(め)+眞(シン)」の形声。目をいからせる(見開いてにらむ)ことを瞋シンという。いからせる・いかる意となる。
意味 (1)いからせる(瞋らせる)。目をいからせる。「瞋目シンモク」(目をいからす)「瞋目張胆シンモクチョウタン」(目をいからせ、胆きもを大きくする。恐ろしい事態に直面しても気力・胆力をすえて相対する)(2)いかる(瞋る)。「瞋怒シンド」(烈火のごとく怒る)
慎 シン・つつしむ 忄部
解字 旧字は愼で「忄(心)+眞(シン)」の形声。心のなかで気をくばり、あやまちのないようつつしむことを愼シンという。愼⇒慎に変化。
意味 (1)つつしむ(慎む)。念をいれる。気を配る。「慎重シンチョウ」「謹慎キンシン」(①言行をつつしむ。②外出を一定期間ゆるさない)「慎慮シンリョ」(念をいれて考える)(2)つつしんで(慎んで)。決して。いましめ禁じるときに用いる。
顚 テン・いただき・たおれる 頁部
解字 「頁(あたま)+眞(シン⇒テン)」の形声。頁(あたま)の上を顚テンといい頭上の意。なお、頭上は不安定なため頭上から、①おちる。②たおれる。③上下をさかさにする。などの意味がある。
意味 (1)いただき(顚)。頭上。「顚毛テンモウ」(頭上の毛)(2)山の一番高いところ。「山顚サンテン」(山の頂き)(3)おちる。「顚落テンラク」(おちる)(4)たおれる(顚れる)。「顛倒テントウ」「顚跌テンテツ」(ころびたおれる。失敗する)(5)上下をさかさまにする。「顚覆テンプク」(ひっくりかえる。=転覆)「顚墜テンツイ」(さかさまにおちる)(5)精神が正常でなく常軌を逸した人。「狂顚キョウテン」(6)(頂きから転じて)はじまり。「顚末テンマツ」(始まりと終り。一部始終)
巓 テン・いただき 山部
解字 「山(やま)+顚(いただき)」の会意形声。顚(いただき)の意味を山をつけて確認した字。
意味 (1)いただき(巓)。山頂。「山巓サンテン」(2)おちる。墜落する。「巓越テンエツ」(おちる)
癲 テン 疒部
解字 「疒(やまい)+顚(さかさになる)」の会意形声。精神状態が正常でないやまい。
意味 精神が病む。「癲癇テンカン」(発作などを伴う脳の疾患)「瘋癲フウテン」(①精神状態が正常でないこと。②定まった仕事をもたず、ぶらぶらしている人)
<紫色は常用漢字>
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真[眞] シン・ま・まこと 目部
上は真シン、下は妣ヒ
解字 甲骨文は「腕を曲げている人の側面形=妣ヒ。亡き母)+鼎かなえ」で、[甲骨文字辞典]は祭祀名とする。この鼎は宗廟(祖先のみたまや)の祭祀(祖先をまつること)に用いられる器。妣は亡き母なので、亡き母を追悼する祭祀と思われる(なお、妣のほかに普通の人の形もある)。金文は妣が変化した「ヒ+鼎」の形。西周中期・懿イ王の器《段簋ダンキ》の銘文に「王の十又四(14)祀,十又一(11)月,丁卯,王は真を畢(おわ)る」とあり、真も祭祀の種類であろう。篆文で「ヒが横にのびた形+目+∟+ハ」の眞になった。ヒの下は鼎の変形であり目は鼎に由来する。この字形について[説文解字]は、「仙人が姿を変えて天に昇る」とする。では金文の次にこの字が用いられた春秋戦国時代に、真はどんな使われ方をしていたのであろうか。
老荘思想の影響
道家の祖とされる老子の著書『老子』には、その思想である道ドウについて「窈ヨウ(奥深い)たり冥メイ(かすか)たり。其の中に精(精気)有り。其の精、甚(はなは)だ眞(純粋)」とあり、眞を純粋で混じりけのない意味で用いている。老子の後を継いだ荘子はその著作『荘子(大宗師篇)』で「眞とは精誠ジンセイ(まごころをこめる)なり。精ならず、誠ならざれば人を動かす能(あた)わず」と説き、また「古の眞人シンジンは~」と題して、眞人の意味を説いているが、その本質を「自然の多様な変化に随順しつつ宇宙の生命と一つに同化する生き方が眞人である」としている。つまり、老子に始まる道家思想を体現することを眞という言葉を用いて表現した。眞の字は道家思想によってその新しい定義を与えられたといえる。現在は旧字の眞⇒真となり、意味は道家思想をかなり反映した、①まこと。②自然のまま。③ただしい。④まことに。⑤道教の奥義。などがある。
意味 (1)まこと(真)。ほんとうの。「真実シンジツ」「真理シンリ」(2)自然のまま。本質。「天真テンシン」「純真ジュンシン」「真性シンセイ」(3)ただしい。正式な。「真正シンセイ」「真字シンジ」(漢字の楷書。草書・行書に対する言葉)(4)ものの姿。「写真シャシン」(5)道教の奥義。「真君シンクン」(①万物を主催するもの。②仙人)「真経シンギョウ」(道教の経典)(6)日本語だけの用法。ま(真)。本当の、まったく、などの意味を表す接頭語。「真面目まじめ」(①真剣な態度。②誠実なこと)「真っ赤まっか」(①真から赤い。②まるっきり)「真っ青まっさお」「真上まうえ」
イメージ
真の本来は祭祀なので「まこと」の意味以外は形声字とした。
「まこと(仮借)」(真・槙)
「形声字」(鎮・塡・嗔・瞋・慎・顚・巓・癲)
音の変化 シン:真・槙・慎・嗔・瞋 チン:鎮 テン:填・顚・巓・癲
まこと
槙 シン・まき 木部
解字 旧字は槇で「木(き)+眞(まこと)」の会意形声。日本では真木(まき)とよんで、すぐれた木の意。中国では、こずえの意があった。新字体に準じた槙が通用する。
意味 (1)[国]まき(槙)。古くは杉やヒノキをいい、現在はイヌマキ・コウヤマキなどの総称。「高野槙コウヤまき」(和歌山県の高野山に自生する槙をいい、枝葉を供花の変わりに御仏前に供える習わしがある)(2)こずえ(槙)。樹木のいただき。(眞を顚テン(いただき)の略体とみた使い方)
形声字
填 テン・ふさぐ 土部
解字 旧字は塡で「土(つち)+眞(シン⇒テン)」の形声。土を満たしてふさぐことを填テンという。新字体は填に変化。
意味 (1)ふさぐ(填ぐ)。ふさがる。うずめる。「填塞テンソク」(填も塞も、ふさぐ意。また充満すること)(2)みたす。「充填ジュウテン」「補填ホテン」「装填ソウテン」(中につめこんで装置する)(3)はめる。うめこむ。「填漆テンシツ」(彩漆をうめて飾る技法)
鎮 チン・しずめる・しずまる 金部
解字 旧字は鎭で「金(金属)+眞(シン⇒チン)」の形声。金属の重りでおさえることを鎭チンといい、しずめる意。また、地方の押さえとなる軍隊をいう。旧字の鎭⇒鎮に変化。[説文解字]は「博壓ハクアツ(広範囲におさえる)也(なり)」とする。
意味 (1)しずめる(鎮める)。しずまる(鎮まる)。重みをかけて押さえる。「鎮圧チンアツ」(2)しずめ(鎮め)。「重鎮ジュウチン」(重いおさえ。重きをなす人物)「文鎮ブンチン」(紙が動かないように置く文房具)(3)地方の押さえとなる軍隊。「鎮守チンジュ」(鎮め守る。鎮め守る神)「鎮台チンダイ」(地方を鎮守する軍隊) (4)鎮台が置かれた地方の大きな町。「景徳鎮ケイトクチン」(地名)
嗔 シン・いかる 口部
解字 「口(くち)+眞(シン)」の形声。口から声をだして、いかることを嗔シンという。
意味 (1)いかる(嗔る)。かっとなる。はげしくいきどおること。「嗔訶シンカ」(叱責する)「嗔視シンシ」(怒り視る)(2)とがめる。「嗔怪シンカイ」(とがめる)
瞋 シン・いかる 目部
解字 「目(め)+眞(シン)」の形声。目をいからせる(見開いてにらむ)ことを瞋シンという。いからせる・いかる意となる。
意味 (1)いからせる(瞋らせる)。目をいからせる。「瞋目シンモク」(目をいからす)「瞋目張胆シンモクチョウタン」(目をいからせ、胆きもを大きくする。恐ろしい事態に直面しても気力・胆力をすえて相対する)(2)いかる(瞋る)。「瞋怒シンド」(烈火のごとく怒る)
慎 シン・つつしむ 忄部
解字 旧字は愼で「忄(心)+眞(シン)」の形声。心のなかで気をくばり、あやまちのないようつつしむことを愼シンという。愼⇒慎に変化。
意味 (1)つつしむ(慎む)。念をいれる。気を配る。「慎重シンチョウ」「謹慎キンシン」(①言行をつつしむ。②外出を一定期間ゆるさない)「慎慮シンリョ」(念をいれて考える)(2)つつしんで(慎んで)。決して。いましめ禁じるときに用いる。
顚 テン・いただき・たおれる 頁部
解字 「頁(あたま)+眞(シン⇒テン)」の形声。頁(あたま)の上を顚テンといい頭上の意。なお、頭上は不安定なため頭上から、①おちる。②たおれる。③上下をさかさにする。などの意味がある。
意味 (1)いただき(顚)。頭上。「顚毛テンモウ」(頭上の毛)(2)山の一番高いところ。「山顚サンテン」(山の頂き)(3)おちる。「顚落テンラク」(おちる)(4)たおれる(顚れる)。「顛倒テントウ」「顚跌テンテツ」(ころびたおれる。失敗する)(5)上下をさかさまにする。「顚覆テンプク」(ひっくりかえる。=転覆)「顚墜テンツイ」(さかさまにおちる)(5)精神が正常でなく常軌を逸した人。「狂顚キョウテン」(6)(頂きから転じて)はじまり。「顚末テンマツ」(始まりと終り。一部始終)
巓 テン・いただき 山部
解字 「山(やま)+顚(いただき)」の会意形声。顚(いただき)の意味を山をつけて確認した字。
意味 (1)いただき(巓)。山頂。「山巓サンテン」(2)おちる。墜落する。「巓越テンエツ」(おちる)
癲 テン 疒部
解字 「疒(やまい)+顚(さかさになる)」の会意形声。精神状態が正常でないやまい。
意味 精神が病む。「癲癇テンカン」(発作などを伴う脳の疾患)「瘋癲フウテン」(①精神状態が正常でないこと。②定まった仕事をもたず、ぶらぶらしている人)
<紫色は常用漢字>
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私はキリスト教徒ではありませんが漢字には結構、聖書関連な事が多く含まれております。
例えば徳は十字架を意味する十と目と心と彳(行く、行動の意味)を合わせて徳って言うのは十字架を目で見て心で感じて行動をする意味ではありませんか。
真は十字架を目で見て机の上でお祈りをする形で
お祈りをすれば真理の聖霊で身が詰まる意味と看做せば面白く漢字を勉強することが可能だと思います