三津嚴島神社ブログ

愛媛県松山市神田町に鎮座する嚴島神社の神主の記録

丁酉年 新年のご挨拶

2017年01月03日 | 日々のできごと
新年明けましておめでとうございます。

今年は丁酉(ひのととり)年
鳥は「古事記(こじき)」の中で、日本の文献としては初めて登場します。
「古事記(こじき)」には歴代天皇のことが神様の時代から記されており
神主はこれに倣い神事を執り行っています。

登場するのは古事記の話でも有名ないわゆる「天岩屋戸」の話
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天照大御神が天の岩戸に御隠れになると世界が闇に閉ざされます。
(伊勢の神宮にお祀りされている天照大御神は文字通り太陽の神様。
岩の洞窟に隠れることにより暗闇になってしまうのです。)
そこで困った神様たちは話し合い、
「常世の長鳴鳥」を集めて鳴かせ、アメノウズメが躍り、アメノコヤネが祝詞をあげ
天照大御神を誘い出すことに成功したとあります。
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(分かり易くするために話を省略しています)


ここで言う、「常世の長鳴鳥」は今のニワトリをさしていると思いますが
その鳴き声で夜明けを告げる鶏は夜を終わらせ朝を告げるものの象徴とされていたのです。

シェイクスピアの『ハムレット』にも
「聞く所によれば、夜明けを告げる雄鶏は、その張り上げた甲高い鳴き声で日の神を目覚めさせ」とあります。

今でも伊勢の神宮の内宮正宮の御扉が開く際には
「カケカフ」(外宮は「カケロフ」)と三声という言葉が発せられます。

これは
「常世之長鳴鳥を聚(あつ)めて、互いに長鳴(ながなき)せしむ」 (古事記)
という故実に基づく訳です。

ちなみにこの時、鳥が止まっていたのが鳥居の起源とも言われ
今でも神聖な場所の入り口やその境界に鳥居があります。

現在の感覚で言えば夜が明ける頃に鶏が鳴く
と思うかもしれませんが、
時間を知るすべがない時代
鶏が鳴くことで夜が明けると長らく考えられていたのでしょう。

この鶏にあやかり皆様方に幸福の光に照らされることを祈念し
年頭の挨拶とさせていただきます。

本年もよろしくお願い申し上げます。
(画像は今年の初詣の様子です)
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