今月15日の言葉は沢庵(たくあん)禅師(ぜんし)の言葉と言われる
「心こそ 心迷わすこころなれ 心にこころ 心許すな」です。
いかにも禅宗(ぜんしゅう)のお坊さんらしい言葉です。
生まれながらに持っている「ややこしいもの」のひとつ、それは「こころ」です。
自然に沸き上がる感情ほど、自分でコントロールするのが難しいものはないでしょう。
考えてみますと心には次から次へと様々なことが浮かんできます。
過去に失敗したことが心に浮かんでは「ああすれば良かった、こうすれば良かった」と後悔の念にかられ、
お昼が近づくと「今日は何を食べようか」とあれこれ悩み、
上司や友人の機嫌が悪いと「何かまずい事でも言ったかな」と不安になりします。
これは心に浮かんだ事に心がとらわれてしまっているからです。
車窓からながめる景色は前方から後方へとただ流れていきます。
心に浮かぶ様々な思いも自分で注意を向けなければそのまま過ぎ去っていきますが、
自分でその思いにとらわれてしまうと後悔の念や不安な心が沸き上がってくるのです。
「心こそ 心迷わす心なれ 心に心 心許すな」
この言葉は
「人はいっときの感情によって、本来の心が惑わされる。
本当の心を見失わないように、いっときの感情には気をつけなさい」
そう気づかせてくれます。
心配や不安だったことも過ぎてしまえば、どうしてあんなに悩んだのか不思議なくらい、何でもない事ばかりです。
ご神前に静かに手を合わせながら、後悔や雑念にとらわれず、心の平安に努めましょう。
いっときの感情を振り払って、本当に大切な事に目を向けることが出来れば、一日一日がより充実したものになるでしょう。
今日一日一生懸命に生きれば、明日は自然に見えてくる
稲盛和夫 (京セラ KDDI 創業者)