毎日新聞2016年9月11日 地方版
この夏、アイヌの遺骨にまつわる二つの慰霊儀式を取材した。北海道大から浦河町杵臼の遺族らに返還された12体の再埋葬と、北大納骨堂で開かれた毎年恒例のイチャルパ(慰霊祭)。19世紀後半以降に研究名目でコタン(集落)の墓地などから持ち去られた遺骨は、北大だけで約1000体にのぼる。
遺骨返還に際し、北大は「和解内容に無い」として謝罪しなかった。イチャルパでは、山口佳三学長がこれまでの遺骨の扱いなどがアイヌ民族の尊厳への配慮に欠いたとして「反省」を口にしたが、当事者意識に欠けているように思えた。
確かに、不適切な遺骨収集があった当時の研究者は大学に残っていない。しかし、アイヌの人々の訴えを受けて納骨堂ができるまで不適切な保管を続け、現在も返還が進まないことを、大学はどのように受け止めているのか。報道陣の問いかけにもほとんど答えない対応は残念だった。
国内外の博物館や研究機関で、続々とアイヌの遺骨が見つかっている。国が整備する慰霊施設への集約を前に、全容解明と当事者の真摯(しんし)な対応に期待したい。
http://mainichi.jp/articles/20160911/ddl/k01/070/183000c
この夏、アイヌの遺骨にまつわる二つの慰霊儀式を取材した。北海道大から浦河町杵臼の遺族らに返還された12体の再埋葬と、北大納骨堂で開かれた毎年恒例のイチャルパ(慰霊祭)。19世紀後半以降に研究名目でコタン(集落)の墓地などから持ち去られた遺骨は、北大だけで約1000体にのぼる。
遺骨返還に際し、北大は「和解内容に無い」として謝罪しなかった。イチャルパでは、山口佳三学長がこれまでの遺骨の扱いなどがアイヌ民族の尊厳への配慮に欠いたとして「反省」を口にしたが、当事者意識に欠けているように思えた。
確かに、不適切な遺骨収集があった当時の研究者は大学に残っていない。しかし、アイヌの人々の訴えを受けて納骨堂ができるまで不適切な保管を続け、現在も返還が進まないことを、大学はどのように受け止めているのか。報道陣の問いかけにもほとんど答えない対応は残念だった。
国内外の博物館や研究機関で、続々とアイヌの遺骨が見つかっている。国が整備する慰霊施設への集約を前に、全容解明と当事者の真摯(しんし)な対応に期待したい。
http://mainichi.jp/articles/20160911/ddl/k01/070/183000c