北海道新聞 04/01 16:00
イコロ新演目「ロストカムイ」
【阿寒湖温泉】阿寒湖アイヌシアターイコロ(釧路市阿寒町)で上演中のコンピューターグラフィックス(CG)とアイヌ舞踊を連動させた新演目「阿寒ユーカラ『ロストカムイ』」は、アイヌ民族がモデルの幻想的なポスターも注目されている。世界の先住民族を追う東京の写真家・ヨシダナギさんが撮影。アイヌ文化と阿寒の大自然をダイナミックに表現し、光り輝く神話の世界を再現した。(佐竹直子)
撮影のヨシダナギさん 手作りサケ皮靴を絶賛
朝日を浴び金色に輝く氷の阿寒湖に、胸を張りたたずむアイヌ民族たち―。3月18日にイコロで行われたロストカムイのオープニングセレモニーで、ポスターの写真がスクリーンに投影されると、出席者約150人から大きな拍手が湧いた。写真は、ヨシダさんが今年1月、氷点下20度を下回る寒さの中、湖西部のヤイタイ島近くで撮影した。
モデルは、ロストカムイの上演を担う阿寒アイヌ工芸協同組合の6人。そのうちの一人、西田正男代表理事は「アイヌ民族の神話では、万物に宿る神々『カムイ』は光に包まれている。この写真は湖も人も光に包まれ、神話の世界が再現されている」と喜ぶ。
撮影では6人が、樹皮の繊維で織った反物に刺しゅうをほどこした民族衣装「アットゥシ」などをまとい、シカ皮やサケ皮の靴をはいた。いずれも、かつて先人が愛用した工芸品の複製だ。
このうちサケ皮の靴3足は、床州生(とこしゅうせい)理事らロストカムイ制作チームが、アイヌ文化の担い手を育てる「札幌大学ウレシパクラブ」の協力で手作りした。材料のサケ皮は、産卵前より皮が厚い産卵後のサケの皮を1週間かけて乾燥させた。靴底には滑り止めの代わりに背びれを使い、靴の片足分に7時間かけて手縫いした。
18日のオープニングセレモニーではヨシダさんと床さんのトークショーも開催。ヨシダさんは「世界の先住民族の衣装を見てきたが、断トツでサケ皮の靴に心を奪われた。サケ皮は防水性で雪の上を歩いても靴下がぬれなかったと聞く。背びれが滑り止めとは素晴らしいアイデアだ」と絶賛した。
「ロストカムイ」には、現代音楽やダンスも取り入れられ、プロのミュージシャンやダンサー、ディレクターも制作に参加した。トークショーで床さんは「アイヌ民族ではない芸術家らが、アイヌ文化に可能性を感じ制作に参加してくれたことが光栄。民族や国籍の壁なく、みんなでアイヌ文化を発信する取り組みにつなげたい」と力を込めた。
ロストカムイのホームページ(https://www.akanainu.jp/lostkamuy/)にヨシダさんの写真6点が紹介されている。16日から東京の西武渋谷店で開催される「ヨシダナギ展」(5月12日まで)など、全国で開催されるヨシダさんの個展にも出品される予定だ。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/292257
イコロ新演目「ロストカムイ」
【阿寒湖温泉】阿寒湖アイヌシアターイコロ(釧路市阿寒町)で上演中のコンピューターグラフィックス(CG)とアイヌ舞踊を連動させた新演目「阿寒ユーカラ『ロストカムイ』」は、アイヌ民族がモデルの幻想的なポスターも注目されている。世界の先住民族を追う東京の写真家・ヨシダナギさんが撮影。アイヌ文化と阿寒の大自然をダイナミックに表現し、光り輝く神話の世界を再現した。(佐竹直子)
撮影のヨシダナギさん 手作りサケ皮靴を絶賛
朝日を浴び金色に輝く氷の阿寒湖に、胸を張りたたずむアイヌ民族たち―。3月18日にイコロで行われたロストカムイのオープニングセレモニーで、ポスターの写真がスクリーンに投影されると、出席者約150人から大きな拍手が湧いた。写真は、ヨシダさんが今年1月、氷点下20度を下回る寒さの中、湖西部のヤイタイ島近くで撮影した。
モデルは、ロストカムイの上演を担う阿寒アイヌ工芸協同組合の6人。そのうちの一人、西田正男代表理事は「アイヌ民族の神話では、万物に宿る神々『カムイ』は光に包まれている。この写真は湖も人も光に包まれ、神話の世界が再現されている」と喜ぶ。
撮影では6人が、樹皮の繊維で織った反物に刺しゅうをほどこした民族衣装「アットゥシ」などをまとい、シカ皮やサケ皮の靴をはいた。いずれも、かつて先人が愛用した工芸品の複製だ。
このうちサケ皮の靴3足は、床州生(とこしゅうせい)理事らロストカムイ制作チームが、アイヌ文化の担い手を育てる「札幌大学ウレシパクラブ」の協力で手作りした。材料のサケ皮は、産卵前より皮が厚い産卵後のサケの皮を1週間かけて乾燥させた。靴底には滑り止めの代わりに背びれを使い、靴の片足分に7時間かけて手縫いした。
18日のオープニングセレモニーではヨシダさんと床さんのトークショーも開催。ヨシダさんは「世界の先住民族の衣装を見てきたが、断トツでサケ皮の靴に心を奪われた。サケ皮は防水性で雪の上を歩いても靴下がぬれなかったと聞く。背びれが滑り止めとは素晴らしいアイデアだ」と絶賛した。
「ロストカムイ」には、現代音楽やダンスも取り入れられ、プロのミュージシャンやダンサー、ディレクターも制作に参加した。トークショーで床さんは「アイヌ民族ではない芸術家らが、アイヌ文化に可能性を感じ制作に参加してくれたことが光栄。民族や国籍の壁なく、みんなでアイヌ文化を発信する取り組みにつなげたい」と力を込めた。
ロストカムイのホームページ(https://www.akanainu.jp/lostkamuy/)にヨシダさんの写真6点が紹介されている。16日から東京の西武渋谷店で開催される「ヨシダナギ展」(5月12日まで)など、全国で開催されるヨシダさんの個展にも出品される予定だ。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/292257