毎日新聞2019年4月20日 10時47分(最終更新 4月20日 13時59分)
19日に成立したアイヌ新法。アイヌを「先住民族」と法律として初めて明記する内容に、北海道のアイヌからは喜びの声が上がる一方、「具体的な支援策が不十分だ」などと課題を指摘する声もあった。
「苦しみと悲しみの歴史があったが、ようやく先住民族と認めてもらった。感動で涙が出た。対話の土台ができた」。北海道アイヌ協会の加藤忠理事長(80)は19日の新法成立を受けて、そう声を震わせた。一方で協会が求めていた個人への生活支援は盛り込まれなかったことについては「差別と経済格差は今もある。対話を重ねる」と述べた。
2020年4月にオープンするアイヌ文化の振興拠点「民族共生象徴空間」(白老町、愛称・ウポポイ)の地元、白老アイヌ協会の山丸和幸代表理事(70)は「アイヌの歴史や文化を伝え、若いアイヌが誇りを持てる拠点にしてほしい」と歓迎。新たに設けられる地域振興交付金は「アイヌだけでなく地域全体の生活が良くなる」と期待を込めた。
一方で、新法には土地や資源の回復など先住民の権利は明記されていない。伝統的儀式のための自由なサケ漁を求めてきた紋別アイヌ協会の畠山敏会長(77)は「アイヌから奪った権利に踏み込んでおらず現状と変わっていない」と批判した。
北海道大アイヌ・先住民研究センターの常本照樹センター長は「アイヌ文化振興・地位向上を実現し、地域も受益者とすることで新たな差別を生じさせなくしている。立法の趣旨を生かすため、関係自治体とアイヌとの緊密な連携が必要になる」としている。【山下智恵】
https://mainichi.jp/articles/20190420/k00/00m/040/056000c
19日に成立したアイヌ新法。アイヌを「先住民族」と法律として初めて明記する内容に、北海道のアイヌからは喜びの声が上がる一方、「具体的な支援策が不十分だ」などと課題を指摘する声もあった。
「苦しみと悲しみの歴史があったが、ようやく先住民族と認めてもらった。感動で涙が出た。対話の土台ができた」。北海道アイヌ協会の加藤忠理事長(80)は19日の新法成立を受けて、そう声を震わせた。一方で協会が求めていた個人への生活支援は盛り込まれなかったことについては「差別と経済格差は今もある。対話を重ねる」と述べた。
2020年4月にオープンするアイヌ文化の振興拠点「民族共生象徴空間」(白老町、愛称・ウポポイ)の地元、白老アイヌ協会の山丸和幸代表理事(70)は「アイヌの歴史や文化を伝え、若いアイヌが誇りを持てる拠点にしてほしい」と歓迎。新たに設けられる地域振興交付金は「アイヌだけでなく地域全体の生活が良くなる」と期待を込めた。
一方で、新法には土地や資源の回復など先住民の権利は明記されていない。伝統的儀式のための自由なサケ漁を求めてきた紋別アイヌ協会の畠山敏会長(77)は「アイヌから奪った権利に踏み込んでおらず現状と変わっていない」と批判した。
北海道大アイヌ・先住民研究センターの常本照樹センター長は「アイヌ文化振興・地位向上を実現し、地域も受益者とすることで新たな差別を生じさせなくしている。立法の趣旨を生かすため、関係自治体とアイヌとの緊密な連携が必要になる」としている。【山下智恵】
https://mainichi.jp/articles/20190420/k00/00m/040/056000c