先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

アイヌ新法

2019-04-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/20 05:00
アイヌ文様を見ると、胸の辺りが削られるような思いになる。「アイス」の文字が「アイヌ」に見えて、おびえてしまう―。アイヌ民族の思いを伝えようと、北海道新聞が1990年に手がけた連載「銀のしずく」には、差別に苦しむ人たちの深い悲しみが描かれる▼学校で、就職で、結婚で、差別はあちこちで行われてきた。大昔の遠い国の出来事ではない。わずか数十年前、北海道でのことだ。そしていまも厳然として残る▼2015年の政府調査では、差別や偏見が「あると思う」と答えたアイヌ民族は72%に上ったが、国民全体では18%しかなかった。足を踏んだ人は踏まれた人の痛みが分からない、ということか▼アイヌ民族を初めて法律で「先住民族」と位置づけたアイヌ新法は、差別や権利侵害を禁じる基本理念を掲げる。しかし、実効性には疑問符が付く。明治以降、政府は同化政策を進め、土地や文化、言葉を奪ってきた。こうした経緯に触れていないからだ▼新法には文化や産業、観光振興に向けた交付金制度の創設なども盛り込まれたが、虐げられてきた歴史への理解が深まらなければ、制度は「特権」と映りかねない。新たな偏見につながる恐れすらあろう▼新法はあくまでも、「はじめの一歩」にすぎない。国民全体でアイヌ民族の未来を考えるきっかけにしたい。権利回復の取り組みを、これで終わりにしてはならない。2019・4・20
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298176

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「大きな一歩」高橋知事 アイヌ新法成立受け

2019-04-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/20 05:00
 高橋はるみ知事は19日、アイヌ民族に関する新法の成立を受け「アイヌの人たちの社会的、経済的地位の向上が図られ、民族としての誇りが尊重される社会の実現に向け、大きな一歩となる」とのコメントを発表した。
 「法律制定はアイヌ政策を進める上で大きな力となる」とし、「道としては生活向上に加え、地域の活性化や産業・観光振興を含めた政策を総合的に推進しなければならない」と強調。交付金制度に関して「アイヌ文化振興が図られ、地域活性化にもつながることを期待する」とした。(佐藤陽介)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298167

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ新法審議は生煮え 差別の定義や抑止策なお曖昧 生活支援自治体に裁量

2019-04-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/20 05:00
 19日に成立したアイヌ新法の国会審議は抽象的なやりとりに終始し、議論は深まらなかった。基本理念に盛り込まれたアイヌ民族に対する差別の禁止は、差別の定義や具体的な抑止策が曖昧なまま。交付金の使い道や、特例措置によるサケの捕獲などが現行制度からどう変わるかは市町村に委ねられる面が大きい。
 「ガラス細工のような法案」。アイヌ新法の審議を担当した衆院国土交通委員会のある野党議員は、微妙なバランスで成り立つ新法の性質をこう表現した。
 アイヌ施策の法制化には、保守派に「特権を認めることになる」との慎重意見がある一方、リベラル派は「先住民族の諸権利の保障を目指すべきだ」など、新法では不十分だとする意見が根強い。双方が中身を巡って激しい論戦を展開すれば幅広い賛成が得られなくなる懸念もあり、政府も慎重な答弁に終始せざるを得なかった。
 衆参両院の国土交通委員会もこうした事情から、審議時間を衆参両院とも3時間にとどめ、質疑終了後に採決。共産党の紙智子氏は参院国交委で「国会議員も十分に中身を知らないまま採決しようとしているのではないか」と審議の不十分さを指摘した。
 質疑では、差別発言の事例として「アイヌなんていない」などが該当することを確認したが、差別にあたる言動の定義は、なお曖昧な上、抑止策は決まっていない。内閣官房アイヌ総合政策室の橋本元秀室長は「具体的な差別事案が把握された場合、人権相談窓口等を通じて適切に対応する」と大枠を示すにとどまった。
 アイヌ民族に対するヘイトスピーチ(憎悪表現)への対策を求めてきた東京在住のアイヌ民族の新井かおりさんは「アイヌ民族への差別は法律違反だと明記されたことは大きな意味がある」と評価した上で、「抑止につながる実効策を進めてほしい」と求める。
 新法では、アイヌ文化を生かした観光・産業振興を目指す市町村が地域計画を作成し、国が認めれば交付金が出る。
 産業振興を通じた間接的なアイヌ民族の生活・教育支援や、先住民族の水産資源権に関わるサケ捕獲の拡充もどこまで反映できるかは、市町村の計画に委ねられている形だ。
 新法は、計画作成は「実施主体の意見を聴かなければならない」とし、石井啓一国土交通相も国会質疑で「実施主体はアイヌの人々が中心になることが想定される」と答弁したが、アイヌ民族の参画は明記されていない。アイヌの人たちの中には「自分たちの意思がきちんと反映されるのか」との懸念も根強い。(金子俊介、斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298166

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新法、大樹となれ アイヌ民族先導 故萱野茂さん家族 次男・志朗さん 孫・公裕さん

2019-04-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/20 05:00
 1本の苗木はどう育ったか―。19日に成立したアイヌ新法は、文化施策に特化した1997年のアイヌ文化振興法から、地域振興を含む総合的な民族政策への転換を掲げる。アイヌ民族初の国会議員として振興法の制定に尽力した日高管内平取町の故萱野茂さんは22年前、振興法を苗木の育成に例え、民族の誇りの回復を後世に託した。茂さんの子と孫で、先代からの文化を伝える2人は、アイヌ新法をそれぞれの思いで見つめている。
 茂さんが「苗木を上手に育てれば、やがて枝葉をつけ、美しい花を咲かせることもできるでしょう」と語ってから22年。平取町の萱野茂二風谷アイヌ資料館の館長を継いだ次男の志朗さん(60)は新法について「育ってきた苗木を抜いて、同じ場所に別の苗木を植えるようだ」と憂う。
 父の茂さんは造林業から平取町議を経て参院議員となり、差別の象徴だった北海道旧土人保護法の廃止と振興法制定を実現させた。振興法はアイヌ民族が長年求めていた生活、教育支援が盛り込まれなかったものの、アイヌ文化に関わる個人や団体を助成し、伝承活動を後押ししてきた。「十分ではなかったが、草の根の活動は根づきつつある」と志朗さん。その振興法は、内容を新法に包含したとして廃止となる。
 新法は、アイヌ民族を初めて「先住民族」と明記し差別の禁止も盛り込んだ。民族共生象徴空間(ウポポイ)開設やアイヌ文化を活用した地域・産業振興に取り組む自治体への交付金も新設したが、そこに多くの人や予算が割かれると「これまでの地道な活動への支援がおろそかにならないか」と志朗さんは懸念する。
 志朗さんは16日、茂さんも経験した平取町議に初当選した。新法は先住民族の資源権や教育権など保障が曖昧だとの批判もある。「新法という新たな苗木が掲げる誇りの尊重や共生の精神が、名ばかりでなく大地に根ざすよう力を尽くす」
 萱野茂二風谷アイヌ資料館の敷地内に昨年4月に開業した「ゲストハウス二風谷ヤント」。アイヌ語で「宿」の意。経営するのは茂さんの孫で志朗さんの長男公裕(きみひろ)さん(30)だ。
 新法について「文化振興に地域、産業振興が加わったことで、苗木の幹は確かに太くなったと思う」と公裕さん。一方で「踊りや工芸など単にアイヌ文化を観光に利用するという発想ではなく、人(アイヌ民族)が主体的に関わることが欠かせない」と強調する。
 苫小牧高専を経て首都圏の機械設計会社に勤務。2013年に平取に戻り、アイヌの血を受け継ぐ人が多く住む故郷で、宿泊客と地域の人が交流できるゲストハウスを開いた。「人との出会いには温度がある」と公裕さん。それぞれが醸す雰囲気や言葉に触れることで、アイヌ民族の今を感じてもらえると考えた。
 明治以降の同化政策で生活の糧を奪われ、大学進学率などの格差は今なお残る。差別や偏見を恐れ、ルーツを明かせない人も多い。「アイヌ民族がアイヌ文化に関わり、学ぶことができる環境をいろんな形で増やしてほしい」。そして新法が、アイヌ民族自らで育て、活用できる木になることを願っている。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298135

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

苦しみの歴史から一歩 道アイヌ協会メンバーら10人 国会傍聴

2019-04-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/20 05:00
「歴史の大きな一ページになる」―。アイヌ民族に関する新法が19日、参院本会議で可決、成立すると、民族衣装を身にまとい、本会議場で傍聴していた北海道アイヌ協会のメンバーら10人はがっちりと握手を交わし、涙をぬぐって喜びを分かち合った。
 アイヌの人々の誇りが尊重される社会の実現など、議場で新法の趣旨説明が始まると、同協会の加藤忠理事長(80)は何度もうなずいて聞き入り、涙があふれた。国会近くで取材に応じ「抱えきれないような苦しみ、悲しみ、歴史があった。これからも一歩一歩、国民の理解を得て進んでいきたい」と語った。
 共に傍聴した阿部一司副理事長(72)は「国が初めてアイヌのことを先住民族と認めて法律にしてくれた。(国に認められるよう訴えてきた)先輩たちに感謝したい」と話した。
 一方、新法に対しては、アイヌ民族が長年求めてきた先住権や生活、教育支援が盛り込まれなかったことへの落胆の声もある。日高管内平取町の「平取アイヌ遺骨を考える会」の木村二三夫共同代表(70)はかつての同化政策から大学進学率などに格差が残る現状を踏まえ、「新法では不十分。差別をなくすためにも、スタートラインの差がなくなる施策を進めてほしい」と訴えた。(尾張めぐみ)
■札幌大・本田教授に聞く 経済的な自立こそ重要
 新法をどのように活用するべきか。アイヌ民族の現状や文化に詳しい札幌大の本田優子教授に聞いた。
 アイヌ民族の経済的な自立につなげることが何より大切です。特に市町村が対象の交付金事業は、目先の利益や短期的な成果を目標とせず、例えばアイヌ民族が伝統的に活用してきた植物や木を育て加工品を商品化するなど、10年後や20年後を見据えたグランドデザインを明確にすべきです。
 交付金を受ける市町村は、アイヌ民族や文化への理解を深めるとともに、アイヌ民族による専門的な役職や部署を設けるなど、当事者が主体となる仕組みを整えてほしい。
 新しい挑戦に意欲的なアイヌ民族の若者も増えています。交付金の地域計画策定に携わる組織を各地のアイヌ協会につくるのも良いでしょう。アイヌ文化に関わる事業を自治体や企業に助言するアイヌ民族のコンサルティング会社など、事業を広く受注遂行するアイヌ民族の企業ができることも期待したい。
 新法に足らざる点が多いのは事実です。ただ、アイヌ民族を先住民族と位置づけたことで国際的な先住民族政策のレベルを意識していくことになる。一足飛びに権利を保障することが難しいとしても、まずは新法が次世代のために有効に活用されることが大切です。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298133

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ新法成立 民族復権へ不断の改善を

2019-04-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/20 05:00
 法律に初めて、アイヌ民族を「先住民族」と明記した。その意義は大きい。
 アイヌ民族の誇りを尊重し、共生社会の実現を目指す新法がきのう、参院本会議で与野党の賛成多数で可決、成立した。
 しかし、新法成立はゴールではない。今なおアイヌ民族への差別は残り、肝心の先住民族の権利を巡っては、国際水準に大きく後れを取っているからだ。
 政府と国会は、新法を第一歩と位置づけ、今後も権利保障に向け不断の改善を図る必要がある。
■主体的意思を第一に
 新法は、従来の文化、福祉施策から、地域振興を含めた総合施策へと踏み出す根拠法となる。
 特例措置として、文化伝承を目的とした国有林の林産物採取やサケ捕獲、アイヌ文化関連の商品に関する商標登録の手数料軽減を盛り込んだ。
 また、アイヌ文化の保存や継承、観光や産業振興、交流促進を含む地域計画を市町村が作成し、国が認定すれば交付金が出る。
 重要なのは、新法がこうした計画について、「アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ行わなければならない」と定めていることだ。
 計画の内容に、アイヌ民族の主体的な意思が確実に反映されなければ、復権にはつながるまい。
 国や自治体はこの点を常に念頭に置き、計画づくりを後押しするべきだ。
 胆振管内白老町に2020年4月開設予定の「民族共生象徴空間(ウポポイ)」は、アイヌ文化振興拠点と位置づけられている。
 ただ、政府の姿勢は観光に偏りすぎてはいないか。
 政府は、ウポポイ開設を20年の東京五輪前にこだわり、「年間来場者100万人」の目標を設定した。安倍晋三首相も1月の施政方針演説で、ウポポイを「観光立国」の項目の中で触れている。
 ウポポイは、アイヌ民族の権利と尊厳を発信し、息長く復権活動を支えていく場である。この基本を忘れてはならない。
■歴史を直視すべきだ
 アイヌ民族が求めた生活・教育の支援策は明文化されなかった。
 道が道内に住むアイヌ民族を対象に17年度に行った生活実態調査によると、その地域平均と比べ、生活保護率は4ポイント高く、大学進学率は12・5ポイント低かった。
 「差別を受けたことがある」と答えた人も2割を超える。
 新法は、基本理念でアイヌ民族に対する差別や権利侵害を禁じたが、実効性を確保する具体策が欠かせない。支援策の明文化に向けた再検討も求められよう。
 明治以降、政府は狩猟漁労によるアイヌ民族の生業を奪い、同化政策を進め、土地や文化、言葉などを奪ってきた。
 格差や差別がなくならない背景には、こうした歴史的経緯があるのは明らかだ。
 ところが、新法には法制化を必要とした理由が記されなかった。このため、「アイヌ民族にだけ特権を与えている」といった偏見を生むとの懸念も出ている。
 アイヌの人々が虐げられてきた歴史を考えれば、「特権」批判などできないはずだ。政府は過去を直視して心から謝罪し、国民に丁寧に説明を尽くす責務がある。
■国際水準へ高めたい
 権利保障に関し、衆参両院の国土交通委員会は、07年に国連総会で採択された「先住民族の権利に関する国連宣言」の趣旨を踏まえることを付帯決議に盛り込んだ。
 国連宣言には、自治権や教育権、土地やサケなど自然資源の利用権などが含まれており、日本も賛成票を投じている。
 これを受け、08年に衆参両院は「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」を採択し、新法を制定する流れができた。
 この過程を振り返れば、付帯決議を空文化させることがあってはならない。政府は国連宣言に沿って、施策の充実を図るべきだ。
 日本の先住民族政策の貧弱さは国連などで指摘されてきた。
 カナダは、儀式や文化伝承だけでなく、自家消費のためのサケの漁業権を認めている。
 米国は自治権や居留地での狩猟や漁業を認め、ノルウェーは先住民族の言語を公用語化し、独自の大学や議会を設けた。
 2000年のシドニー五輪では、オーストラリアの先住民族アボリジニが先住権などの問題を提起して復権が進んだ。
 これを参考に、オーストラリア国立大のテッサ・モーリス・スズキ名誉教授は、東京五輪をアイヌ民族による発信の機会とすることを提言している。
 アイヌ民族の声に真摯(しんし)に耳を傾け、国民一人一人が先住民族の権利に関する理解を深め、権利回復を前進させなければならない。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298124

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「先住民族」初の位置付け アイヌ新法が成立

2019-04-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/20 00:57 更新
 法律で初めてアイヌ民族を「先住民族」と位置付けたアイヌ民族に関する新法は19日の参院本会議で、日本維新の会・希望の党を除く与野党各会派の賛成多数で可決、成立した。交付金制度創設などを通じ、従来の福祉、文化施策から地域振興を含む総合施策に踏み出す転換点となる。菅義偉官房長官は成立後の記者会見で「アイヌ民族の意見を尊重しながら、実効性のあるアイヌ施策を実施できるようさらなる検討に努めていきたい」と述べた。
 新法はアイヌ民族の誇りを尊重し共生社会を目指すことを目的とし、差別を禁ずる基本理念を盛り込んだ。交付金制度は、アイヌ文化継承や観光振興などにつながる事業を含んだ地域計画を策定した市町村が対象。文化伝承を目的としたサケの捕獲、国有林内の樹木採取などにも特例措置が施される。すでに道内の約40市町村が交付金制度に関心を示しており、政府は法施行後、速やかに制度の基本方針を作る考えだ。
 胆振管内白老町に2020年4月に開設する「民族共生象徴空間(ウポポイ)」についても「アイヌ文化の振興などの拠点」と位置付け、管理規定を明記。政府は年間来場者100万人を目指す。また、内閣に関係閣僚でつくるアイヌ政策推進本部を置き、官房長官が本部長に就く。
 一方で、新法には生活向上施策のほか、土地や資源に関する具体的な権利や自決権などは盛り込まれておらず、アイヌ民族や専門家から不十分さを指摘する声も根強い。菅氏は会見で、こうした課題を今後の検討対象にするか問われ、「創設する交付金制度を活用しつつ、地域振興を含む多岐にわたる施策を総合的に推進する」と述べるにとどめた。
 参院国土交通委員会は18日にアイヌ施策のさらなる検討に努めるよう政府に求める付帯決議を採択している。(金子俊介)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/297861

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「さらなる施策検討」参院委が付帯決議 アイヌ新法19日成立

2019-04-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/19 05:00
 法律で初めてアイヌ民族を「先住民族」と位置付けたアイヌ民族に関する新法案は18日、参院国土交通委員会で日本維新の会・希望の党を除く各会派の賛成多数で可決された。今後も施策の検討に努めるよう政府に求めた付帯決議は、全会一致で採択された。アイヌ民族や有識者の中に法案の課題を指摘する声が根強くあることを踏まえた対応だ。法案は19日の参院本会議で成立する見通し。
 付帯決議は10項目。項目の一つで「(2007年の)『先住民族の権利に関する国連宣言』の趣旨を踏まえるとともに、わが国のアイヌ政策の国連人権条約監視機関による勧告や、諸外国の先住民族政策の状況にも留意し、施策のさらなる検討に努める」と明記。衆院の付帯決議にはなかった表現を盛り込んだ。
 ただ、採決に先立つ質疑で石井啓一国交相は、先住民族の権利を記した国連宣言に関し「国の特殊性、多様な歴史的、文化的な背景が考慮されるべきだと明記され、法的拘束力は有しない。宣言の内容は全て実施すべきだというものではない」と強調。法案は、文化に関する権利や差別を受けない権利などに対応しているとし「国連宣言で果たすべき責務はおおむね措置されている」と述べた。
 また、石井氏は、土地や資源の権利について「アイヌ民族のみを対象に一般的な権利として措置を講ずるのは国民理解が得られず、新たな差別につながる恐れなどがあり、適切でない」と説明。法案がサケ捕獲や、国有林の樹木採取に関し特例措置を規定していることを挙げ、理解を求めた。
 維新などは、胆振管内白老町に開設予定のアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が「旧来のハコモノ行政になる」などとして法案に反対した。
 法案はアイヌ民族への差別や権利侵害を禁ずる基本理念を明記。地域計画を策定した市町村に交付金を出す制度も創設する。(金子俊介)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/297789

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

1泊8万円から 支笏湖「碧の座」 鶴雅が5月開業

2019-04-20 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/20 05:00
 【支笏湖畔】道内ホテル大手、鶴雅ホールディングス傘下の鶴雅観光開発(釧路市)は19日、千歳市支笏湖温泉で5月1日に開業するホテル「しこつ湖鶴雅別荘碧(あお)の座」を報道関係者に公開した。1人1泊8万~22万円とグループ最高級ホテルに位置付け、国内外の富裕層取り込みを図る。
 内部は縄文文化とアイヌ文化をコンセプトにしたデザイン。270平方メートルの特別室や縄文土器をイメージした高さ約6メートルの暖炉、アイヌ民族衣装を試着できるカルチャーラウンジなどを備える。
 建物は鉄筋コンクリート造り4階建てで、延べ床面積は6770平方メートル。グループの宿泊施設としては13カ所目。全25室(100~270平方メートル)で、全ての客室に支笏湖を見渡せる展望風呂と内風呂を備える。総事業費は30億円。当初は2018年7月に開業する方針だったが、デザインの見直しなどで開業時期が延びていた。
 小川寛支配人は「気兼ねなくくつろげる世界基準のおもてなしを提供したい」と話している。(三坂郁夫)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298146

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「先住民族であるアイヌの人々…」新法に明記、万感の声

2019-04-20 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2019年4月19日22時49分
参院本会議場の傍聴席で、アイヌ新法の成立を喜ぶ北海道アイヌ協会の加藤忠理事長(前列左)ら=2019年4月19日午後0時8分、岩下毅撮影
 アイヌ民族を法律上初めて「先住民族」と位置づけたアイヌ新法が19日、参議院本会議で可決され、成立した。アイヌ文化を守り育てる施策を国の責務と定めたことに「一歩前進」という評価がある一方、土地や資源など先住民族としての権利に触れていないなど課題も残す。
 「先住民族であるアイヌの人々」。新法の第1条はこうした表現で始まる。アイヌ民族にかかわる従来の法律と大きく異なる点だ。差別禁止を明記し、アイヌ施策を国や自治体の責務とした。民族の儀式や文化伝承を目的にした国有林の利用、サケの採捕などに特例措置を設けた。
 政府が公式に「先住民族」と法律で認めたことは評価する声も多い。
 参議院の傍聴席では、北海道アイヌ協会の加藤忠理事長(80)が何度もうなずきながら笑顔を見せた。一緒に成立を見守った協会の人たちと握手を交わしながら、喜びを分かち合った。
 加藤理事長は「泣いています。うれしくて。北海道旧土人保護法からアイヌ文化振興法、そして今の新法へと、抱えきれないような苦しみと悲しみの歴史があり、長い時間がかかった。いま先住民族と認めていただき、今日から出発できるということは、歴史の大きな一ページ。感謝しています」と話した。
 だが新法の目的はあくまで文化や経済、観光の振興。国連の「先住民族の権利に関する宣言」に盛り込まれ、アイヌの人々が長年求めてきた「先住権」は明記されず、生活や教育の支援も含まれなかった。
 国は北海道白老町に「アイヌ文化の振興拠点」として「民族共生象徴空間」を整備しており、来年4月にオープンする。年間100万人の来場者を目標にしており、来年の東京五輪・パラリンピックを見据え、政府の先住民族政策をアピールする狙いもある。
 こうした国の姿勢に反発する人々もいる。新法に反対するアイヌ民族の団体「コタンの会」代表の清水裕二さん(78)は「生身のアイヌを観光の飾り物にすることは賛成できない。学校でアイヌの歴史や文化をきちんと教え、生活支援を考えてほしい」と訴える。(芳垣文子、松山尚幹)
https://digital.asahi.com/articles/ASM4M5H8TM4MIIPE021.html?_requesturl=articles%2FASM4M5H8TM4MIIPE021.html&rm=607

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ新法が成立 「先住民族」と初めて明記

2019-04-20 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2019年4月19日13時48分 松山尚幹
 アイヌ民族を「先住民族」と初めて明記したアイヌ新法が19日、参院本会議で採決され、賛成多数で成立した。アイヌ文化振興法に代わるもので、差別の禁止を定め、観光や産業の振興を支援する新たな交付金制度の創設などが盛り込まれている。
 新法は、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重される社会の実現を目的に掲げ、伝統的な漁法への規制の緩和なども盛り込んだ。先住民族への配慮を求める国際的な要請の高まりも背景にある。
 石井啓一国土交通相は19日の閣議後会見で「アイヌの人々が民族としての名誉と尊厳を保持し、これを次世代に継承していくことは多様な価値観が共生し、活力ある共生社会を実現するために重要だ」と述べ、新法の意義を強調した。
 18日の参院国土交通委員会では「近代化の過程で多くのアイヌの人々が苦難を受けたという歴史的事実を厳粛に受け止める」ことなどを盛り込んだ付帯決議が、全会一致で採択された。(松山尚幹)
https://www.asahi.com/articles/ASM4M33SVM4MUTFK004.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ新法成立…「先住民族」明記

2019-04-20 | アイヌ民族関連
読売新聞 2019年4月19日
読者会員限定です
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190419-OYT1T50197/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「先住民族」初めて明記 アイヌ支援新法が成立

2019-04-20 | アイヌ民族関連
東京新聞2019年4月19日 夕刊
 法律として初めてアイヌを「先住民族」と明記し、独自の文化の維持・振興に向けた交付金制度を創設する新法「アイヌ民族支援法」が十九日、参院本会議で可決、成立した。政府や自治体の責任で産業や観光の振興にも取り組み、アイヌ以外の国民との共生や経済格差の是正を図る。
 先住民族への配慮を求める国際的な要請の高まりに応えた。ただ二〇〇七年の国連宣言で民族の権利とされた自決権や教育権などは盛り込まず、付帯決議で宣言を尊重するよう政府に求めるにとどめたため、アイヌ関係者から批判も出ている。
 石井啓一国土交通相は同日の記者会見で「国会審議や付帯決議を踏まえ、確実な施行に努める」と述べた。
 新法の正式名称は「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」。
 政府はアイヌ政策推進本部を設置し、基本方針を策定。これに基づいて市町村が文化、産業、観光振興のための地域計画を作ると、関係事業に交付金が支出される。
 民族儀式に使う林産物の国有林での採取や、河川での伝統的なサケ漁の許可も簡素化する。政府は北海道白老町でアイヌ文化施設「民族共生象徴空間」の整備を進めている。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201904/CK2019041902000296.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アイヌ支援新法 成立 地域振興に交付金

2019-04-20 | アイヌ民族関連
会員限定有料記事 毎日新聞2019年4月20日 東京朝刊
 法律として初めてアイヌを「先住民族」と明記し、独自の文化の維持・振興に向けた交付金制度を創設する新法「アイヌ民族支援法」が19日、参院本会議で可決、成立した。政府や自治体の責任で産業や観光の振興にも取り組み、アイヌ以外の国民との共生や経済格差の是正を図る。
 先住民族への配慮を求める国際的な要請の高まりに応えた。
 ただ2007年の国連宣言で民族の権利とされた自決権や教育権などは盛り込まず、付帯決議で宣言を尊重す…
この記事は有料記事です。
残り334文字(全文541文字)
https://mainichi.jp/articles/20190420/ddm/041/010/044000c

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「生活支援」は見送り アイヌ新法、法の実効性課題に

2019-04-20 | アイヌ民族関連
毎日新聞 4/20(土) 8:38配信
 19日に成立したアイヌ新法では、文化振興の拠点となる「民族共生象徴空間」(北海道白老町、愛称・ウポポイ)の管理や地域振興のための交付金制度が盛り込まれた一方、北海道アイヌ協会が求めてきた個人への生活支援や教育支援は実現しなかった。今後、法の実効性などが課題となる。
 道が実施した2017年の「アイヌ生活実態調査」では、大学進学率は33.3%で、居住地域の平均より12.5ポイント低く、生活保護受給者の割合も地域平均の1.1倍と、経済格差は解消していない。
 また、道が把握するアイヌも06年調査の約2万4000人から昨年は約1万3000人となり、アイヌを名乗り調査に協力する人が4割以上減っている。
 道アイヌ協会は、現在も差別や貧困が解決されていないとして、個人に対する生活支援などを求めてきた。新法の議論が始まったころは、生活・教育支援を目的とした内容も検討されたが、法案では見送られた。
 北海道大アイヌ・先住民研究センターの常本照樹センター長は「現状ではアイヌ個人の特定が難しく、アイヌ個人を対象とする政策を全国的に実施するのは難しい。(新法は)民族共生の理念に基づき、アイヌ民族が地域の人々と共に豊かになることを目指す日本型先住民族政策」と評価する。
 また、土地や資源の回復など具体的な権利についても踏み込まなかった。新法には、資源回復・補償を明記した先住民族の権利に関する国連宣言の趣旨を踏まえるとした付帯決議が付いたが、法的拘束力はない。
 国はアイヌに対し、土地や資源の権利回復、補償を一律に行うのは「国民理解が得られず新たな差別につながる」としている。
 平取町のアイヌで、研究のために発掘された遺骨の返還問題に取り組んできた木村二三夫さん(70)は「奪った権利を回復する。当たり前のことに理解が得られるようにするのは、国の責任と義務ではないのか」と憤る。
 創設された地域振興のための交付金は、市町村が計画を立案する。今年度の予算措置として10億円が盛り込まれているが、具体的な使い道などは今後の検討で決まる。高橋はるみ知事は「交付金の活用で、各地のアイヌの人たちに寄り添った施策が展開され、アイヌ文化振興と共に地域活性化につながることを大いに期待したい」とコメントした。【山下智恵、真貝恒平】
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190420-00000007-mai-soci

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする