先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

「ウポポイ」準備着々 開設まで1年

2019-04-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/24 00:59 更新

報道機関に公開されたウポポイの中核施設「国立アイヌ民族博物館」。すでに7割が完成した=23日、胆振管内白老町(西野正史撮影)
 【白老】国が胆振管内白老町に整備するアイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開設まで24日で1年となった。工事発注者の開発局は23日、報道機関向けに整備状況を公開し、中核施設「国立アイヌ民族博物館」が7割まで完成したと説明した。運営主体の公益財団法人アイヌ民族文化財団(札幌)が準備する古式舞踊のプログラムも固まりつつある。
 ウポポイは、道内初の国立博物館となる国立アイヌ民族博物館、舞踊を披露する「体験交流ホール」、伝統的なコタン(集落)を再現する「国立民族共生公園」などを備えた、アイヌ文化の伝統継承と理解促進の拠点。総工費は約200億円で、国は年間来場者100万人を目標に掲げる。
 開発局によると、国立アイヌ民族博物館は、高さ約20メートル、3階建ての外観がほぼ完成し、今後、屋根と内装を仕上げ、展示品を搬入する。団体客が伝統工芸を体験する体験学習館は9割、体験交流ホールの3割が完成。施設はいずれも年内の完成を予定する。
 一方、同財団は、舞踊や口承文芸の公演プログラム制作を急ピッチで進める。1公演約40分のプログラムで、「サロルンチカプリムセ(鶴の舞)」や「ハンチカプリムセ(水鳥の舞)」といった伝統舞踊のほか、アイヌ民族の世界観を表現した物語に沿って演じる創作舞踊の上演を予定する。
 現在は職員55人が、昭和初期にアイヌ民族を撮影した映像や音声資料を元に、舞踊と歌の練習に励む。プログラム制作のグループリーダー山道ヒビキさん(30)は「伝統を確実に継承しながら、多くの人がアイヌ文化に親しみを持てるような演目にしたい」と話している。(金子文太郎)
◆サロルンチカプリムセとハンチカプリムセのプとムは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/299300

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アイヌ施設開設へ準備急ピッチ

2019-04-24 | アイヌ民族関連
共同通信2019年4月23日 / 16:30 / 11時間前更新
 北海道白老町に建設中のアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の整備状況が23日、報道陣に公開された。来年4月24日の開設まであと1年となり、ハード、ソフト両面の準備が急ピッチで進んでいる。
 象徴空間は白老町のポロト湖周辺の約10ヘクタールの土地に、国立アイヌ民族博物館や体験型の施設などを整備する。博物館は3階建ての外観はほぼ完成。作業員らが屋根の仕上げや内装の工事に取りかかっていた。伝統的な住居(チセ)を再現した施設は、まだ着工したばかりという。
 建設を担当する国土交通省の職員は「予定通り進んでおり、年内に主要施設の工事を終えたい」と説明した。
https://jp.reuters.com/article/idJP2019042301001995

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「ウポポイ」建設現場にカメラが…来年4月オープンへ準備急ピッチ 北海道白老町(動画)

2019-04-24 | アイヌ民族関連
HBC 4/23(火) 20:53配信
アイヌ文化を発信する拠点として胆振の白老町に建設中の、民族共生象徴空間=「ウポポイ」。
オープンまでの準備が急ピッチで進んでいます。
「ウポポイ」は総工費およそ200億円をかけて白老町に建設されています。
オープンまで1年となり、23日、報道機関に整備の状況が公開されました。
メインのアイヌ民族博物館は全体のおよそ7割が完成しています。
敷地内には各地の大学で研究目的で保管されているアイヌの人々の遺骨を集約し、慰霊する施設も作られました。
また、施設内のホールで披露されるアイヌ伝統の踊りの練習も進んでいます。
19日にはアイヌの人々を法律として初めて「先住民族」と明記した、いわゆるアイヌ新法が成立し、地元では機運が高まっています。
「ウポポイ」は来年4月24日オープンです。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190423-00000016-hbcv-hok

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北海道白老町に来年オープン アイヌ文化の復興・発展…民族共生象徴空間「ウポポイ」公開(北海道)

2019-04-24 | アイヌ民族関連
STV 4/23(火) 20:47配信

北海道白老町で建設が進められているアイヌ文化の拠点「民族共生象徴空間・ウポポイ」がオープンまで1年を前に報道陣に公開されました。広大な敷地をいかしアイヌ文化を「見て」「触れて」「感じる」ことを目指しています。
白老町で昔から伝わる伝統的なアイヌ舞踊。「鳥の動き」を表現しています。白老町のポロトコタンには来年4月に、アイヌ文化の拠点が完成します。その名は「民族共生象徴空間・ウポポイ」「ウポポイ」とは、アイヌ語で「大勢で歌うこと」を意味します。札幌ドームおよそ2個分という広大な敷地です。
(岡本記者 リポート)
「三角屋根がかつての民族博物館です、広さが5倍になって新しく生まれ変わります」
およそ200億円で整備される「ウポポイ」。北日本で初めての国立博物館となる「アイヌ民族博物館」や「民族共生公園」などが整備される予定です。先週、アイヌ民族の誇りを尊重する新たな法律が国会で成立。法律には、アイヌ文化を進める自治体などに新たな交付金を創設することが盛り込まれていて「ウポポイ」も対象となりました。きょうは、アイヌ民族の団体の人たちが展示する着物や装飾品の製作の真っ最中でした。新たな国立民族博物館では、こうしたアイヌの文化・生活を「見て」「触れて」「感じる」ことを目指しています。
(アイヌ民族文化財団 竹内隼人さん)
「(アイヌ民族衣装の)繊維がどのように作られていくか、過程とか、そういった物を触って頂いて、より具体的にアイヌ文化を身近に知ってもらえたらなと」
「ウポポイ」は、1年後の来年4月、東京オリンピックに先駆ける形でオープン予定です。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190423-00000273-stv-hok

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北海道白老町に来年オープン 民族共生象徴空間「ウポポイ」公開(北海道)

2019-04-24 | アイヌ民族関連
STV 4/23(火) 16:47配信
来年4月のオープンにむけて白老町で整備が進められている民族共生象徴空間「ウポポイ」が報道公開されました。
「民族共生象徴空間・ウポポイ」は、国がアイヌ文化を復興・発展させる拠点として白老町に建設を進めています。「ウポポイ」には北日本で初めての国立博物館である「アイヌ民族博物館」やアイヌ文化を体感できる「民族共生公園」、さらには「慰霊施設」などが整備される予定で、施設全体が23日報道陣に公開されました。政府は、来年の東京オリンピックの開会式でアイヌ文化を紹介する予定で、それに先駆ける形で4月24日のオープンを目指しています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190423-00000163-stv-hok

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「アイヌ民族いない」とツイート 元札幌市議が渋谷区議に

2019-04-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/23 17:52
 21日に投開票された東京都渋谷区議選で、政治団体「NHKから国民を守る党」から出馬した元札幌市議の金子快之(やすゆき)氏(48)が当選した。金子氏は札幌市議だった2014年8月、ツイッターに「アイヌ民族なんて、いまはもういない」などと書き込み、所属していた自民党から除名された上、市議会が議員辞職勧告を決議。金子氏は辞職せず、15年の札幌市議選に立候補したが、落選した。(柳沢郷介)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/299241

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日本遺産2年目

2019-04-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/23 17:00
 「シマフクロウはアイヌ語でコタンコロカムイと言って偉い神様なんだよ」
 上川管内上川町の観光施設「北の森ガーデン」で民芸品店を営む伊沢修一さん(71)が、東京から訪れた少年に優しく教える。
 昨年5月に認定された日本遺産の事業として、上川・十勝管内の12市町でつくる協議会が中学生向けに作る漫画教材の一場面だ。3人の中学生が上川地域のアイヌ文化と大雪山系の自然に触れ、関心を深めてゆく物語で5月末にも7千部発行する。
 監修した旭川の川村カ子(ネ)トアイヌ記念館の川村久恵副館長(47)は最終章のせりふにこだわり、「アイヌの人たちはユニークな文化と優しさを持っています。あなたの身近にも暮らしていますよ」と加えた。「文化は過去のものではない。観光に生かすなら、日々の生活を成り立たせる仕組みを考えてほしい」という思いからだ。
 日本遺産の取り組みは2年目に入る。協議会の事務局を小人数で切り盛りする上川町の担当者は「チセ(家)で子供向けの体験キャンプを開きたい」と構想を練る。
 北の森ガーデンにあるササぶきのチセは、「小さい頃から造り方を教え込まれた」という伊沢さんら上川アイヌ協会の人たちが3年前に建てた。防虫のため毎日まきをたき、室内をいぶす作業を絶やさずにきたこのチセは、キャンプ会場にふさわしい。
 文化はたゆまぬ営みの蓄積。「日本遺産は応援する。都合のいいときだけアイヌの名を使うのはだめだけど」。伊沢さんは木彫の手を休めずに話した。(佐藤 洋樹)
※「コタンコロカムイ」のロは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/299154

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妖精、ハト“冬眠”からお目覚め からくり時計「果夢林」稼働 留辺蘂・道の駅おんねゆ温泉

2019-04-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/23 05:00

親子連れなどが見守る中、約半年ぶりに稼働した果夢林
 北見市留辺蘂町の道の駅おんねゆ温泉で、冬期間休止していた高さ約20メートルのからくり時計「果夢林」が21日、今季初めて稼働した。1時間おきに音楽に合わせて踊る森の妖精やハトの人形が登場し、親子連れなどを楽しませた。
 果夢林は1996年に設置された道の駅のシンボル。
 午前8時~午後6時の毎時0分から約4分間、笛や太鼓を手にした妖精の人形5体が前後左右に動き、最後に青いハトが現れる仕掛けだ。
 妖精の衣装は昨年、留辺蘂特産の白花豆の花やアイヌ民族の文様をイメージしたデザインに一新された。家族で見物した北見市の谷藤真紀ちゃん(3)は「人形の動きと衣装がかわいかった」と笑顔で話した。
 今季の稼働は11月3日まで。(水野富仁)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/298940

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森崎ウィン×STUDIO4℃『トゥレップ~「海獣の子供」を探して~』6月公開

2019-04-24 | アイヌ民族関連
シンラドットネット 2019/04/23 17:00

STUDIO4℃の映画『トゥレップ~「海獣の子供」を探して~』が、6月15日から東京・アップリンク吉祥寺ほか全国で順次公開される。
6月7日にアニメーション映画『海獣の子供』の公開を控えるSTUDIO4℃が手掛けた同作は、「海獣」「海」「生命」「神話」「対話」「宇宙」といったタイトルが付けられたビデオテープを残して行方不明になった男の行方を追う「ドキュメント・オデッセイ」。それぞれのタイトルに沿った専門家へのインタビュー映像、男のボイスメモ、「21世紀の日本の街の風景」などで構成される。「トゥレップ」は、ミクロネシアのマーシャル語で「航海や目的のある旅」、アイヌ語でアイヌの主食オオウバユリを指し「神様の贈り物」として大切にされてきた「命をつなぐもの」を意味するという。
謎の失踪を遂げた男役に『海獣の子供』でアングラードの声を担当した森崎ウィンがキャスティング。インタビュー映像には、『海獣の子供』の原作者・五十嵐大介、水中表現家の二木あい、人類学者の中沢新一、生物学者の長沼毅、宇宙物理学者の佐治晴夫、精神科医の名越康文らが登場する。
https://www.cinra.net/news/20190423-turepkaijunokodomo

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アイヌ支援法が成立 多様な歴史性育むために

2019-04-24 | アイヌ民族関連
毎日新聞2019年4月23日 東京朝刊
 文化の継承や地域振興を後押しするアイヌ民族支援法が成立した。1997年に制定されたアイヌ文化振興法に代わるものだ。
 アイヌの人々は北海道を中心に独自の文化を形成してきた。明治維新以降に始まった開拓で、土地資源や狩猟、漁労といった生業を奪われた。困窮に追い込まれ、いわれなき差別を受けた。
 文化的にも、アイヌ語が制限されるなど、同化政策が推し進められ、大きな打撃を受けた。
 支援法はそういった苦難を強いられてきたアイヌの支援を目的としている。この法律の意義は初めて「先住民族」として明記されたことだ。
 政府が当時の政策の誤りを正し、多様な文化を尊重する共生社会の実現を目指すのは当然だ。
 ただし課題は残る。先住権の問題だ。2007年に国連総会で採決された「先住民族の権利に関する国連宣言」は、収奪された土地の原状回復や補償などを明記している。ニュージーランドや北欧などでは先住民族の権利回復が進む。
 日本では、国連宣言の翌年に衆参両院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択された。だが、支援法に先住権は盛り込まれなかった。
 先住権をどう具体的に考えるかは確かに難しい問題だ。しかし、「国連宣言の趣旨を踏まえ」という支援法の付帯決議にもあるように、引き続き検討していくべきではないか。
 北海道アイヌ協会が求めてきた個人への生活支援や教育支援も見送られた。居住地域を対象に実施した道の生活実態調査(17年)では、アイヌの人々の大学進学率が居住地域に比べ低い。生活保護受給率は減少しているものの、格差は残る。支援策の拡充が求められる。
 独自文化の維持、振興の拠点となる「民族共生象徴空間」(北海道白老町)の管理も柱だ。中核区域には「国立アイヌ民族博物館」が来年4月にオープンする。豊かなアイヌ文化を未来へ引き継ぎたい。訪れる国内外の人々に触れてもらう意義は大きい。
 同時にアイヌの人々が歩んできた苦難の歴史と現状を理解する場にもしたい。多様性を包摂するところに社会の豊かさもある。
https://mainichi.jp/articles/20190423/ddm/005/070/093000c

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アイヌ新法 歓迎と注文

2019-04-24 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2019年4月22日09時38分
参院本会議場の傍聴席で、アイヌ新法の成立を喜ぶアイヌの人たち=岩下毅撮影
「先住民族」明記・固有の権利ふれず
 「先住民族であるアイヌの人々」。こう明記したアイヌ新法が19日、成立した。アイヌ施策を国と自治体の責務と定め、差別を禁止している点などを評価するアイヌの人々は国会で成立を見守った。一方、先住民族固有の権利に一切触れていないなど、国際的な水準にはほど遠いという指摘もある。
 (芳垣文子、片山健志)
差別や貧困、いまも
 アイヌ民族にかかわる法律としては「北海道旧土人保護法」(1899年)、「アイヌ文化振興法」(1997年)に続く3代目となる。アイヌ民族を初めて「先住民族」と認め、差別禁止を明記したほか、アイヌの伝統を守り発展させる施策を国や自治体の責務と定めた。
 具体的には、民族の儀式や文化伝承を目的にした国有林の利用、サケの採捕などに特例措置を設けた。国が白老町に「アイヌ文化の振興拠点」として整備を進め、来年4月にオープンする「民族共生象徴空間」の運営などについても定めている。
 明治政府は約150年前、蝦夷地を北海道と名付け、本州などからの入植を奨励し、先に住んでいたアイヌの人々の土地を奪った。生業であった狩猟や漁労などを制限し、慣れない農業などへの従事を強いた。
 以来、アイヌの人々に対する差別や貧困は続く。北海道の2年前の調査では、アイヌの人々の大学進学率は居住自治体の平均より12・5ポイント低く、千人当たりの生活保護率は4ポイント高かった。差別も2割以上が経験していると回答している。
 2007年には、先住民族が土地や資源などについて固有の権利を有しているなどとする「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択された。アイヌの人々は国際的な議論や過去の歴史を踏まえ、先住民族固有の権利を認めるよう、長年、政府に求めてきた。教育や生活などでも支援の手をさしのべるよう訴えてきた。
 だが、政府提出の法案にこうした点は盛り込まれなかった。国会の質疑では、指摘もあったが、修正されることなく成立した。代わりに衆参両院の付帯決議には「多くのアイヌの人々が苦難を受けたという歴史的事実を厳粛に受け止める」「アイヌの人々の生活支援、教育支援の事業に努める」という言葉が盛り込まれた。ただ、いずれも法的拘束力はない。
「感謝、涙出た」「歴史認識の記述を」 関係者
 アイヌ新法の成立に、関係者からは歓迎の声のほか、注文や反発も上がった。
 国会で成立を見届けた北海道アイヌ協会の加藤忠理事長は、報道陣の取材に語った。「明治から150年、民族にとってこれから永久に続く法律に、いまここまでたどり着いた。感謝しかない。どっと涙出てきましたよ、うれしくて」
 他の人たちにはどう報告するか問われると、「地域の振興を、アイヌ民族と一緒にやっていくということだと、私は思う。その上で国民の理解を得て、これから先も一歩一歩、進んで行きたい」とした。
 新法に差別禁止が明記されたが「口先だけで禁止といっても、差別は簡単にはなくならない」と訴えるのは紋別アイヌ協会会長の畠山敏さん(77)だ。子どものころは差別に苦しんだという。許可申請をせずに儀式のためのサケを採捕しようとして、警察と押し問答になったこともある。「新法は『先住民族』とうたいながら、土地や資源などの権利を認めないのはおかしい」と批判する。
 札幌アイヌ協会の多原良子副会長は「歴史認識を書き込んでほしかった」と残念がる。かつての土地政策により、アイヌ民族は等しく貧困に苦しんできた、との思いが元にある。「大変な思いをしてきた人たちが等しく抜本的な救済を受けられるよう、教育や生活に結びつく法律であってほしい」と語る。
 萱野茂二風谷(にぶたに)アイヌ資料館館長の萱野志朗さん(60)は、衆参両院でそれぞれ採択された「付帯決議」に注目する。「法的拘束力はないが、どのように実現するかは重要」と指摘。また、施行後5年経過した時点で検討を加えるとする付則についても、「よりよい方向になるよう見守りたい」と話した。
「伝統受け継いで」 学生
 アイヌ新法の成立を若者はどうみるか。北星学園大学(札幌市厚別区)で聞いた。
 経済学部4年の大沼友香さん(21)は法律の名前は聞いたことがあった。アイヌ民族の血を引くとわかっている人は身近にいない。「元々北海道にいたのはアイヌの方々。内地から来た私たちのほうがよそ者なのに差別していたなんておかしい。法律ができたのはいいことだと思う」と感想を述べた。
 同4年の和田梨々花さん(21)は海外旅行先で現地の人と話した苦い思い出がある。北海道から来たと話すと、アイヌ民族について「差別はあるの」「アイヌ文化をどう思う」などと聞かれたが、知らなかったので何も答えられなかった。それが今も恥ずかしい。
 同4年の鳴海日向子さん(21)は「ゴールデンカムイ」のアニメを通じて、アイヌ民族や文化への興味が広がった。「アイヌ民族の伝統が今後も受け継がれていくことにつながればいい」と期待を語った。
国が前面、評価できる
 中村睦男アイヌ民族文化財団理事長・元北大総長(憲法学) 今後の国のアイヌ政策の足がかりともなる手堅い立法といえる。22年前には旧土人保護法が存在していた歴史を考えれば、先住民族の明記まで進歩を遂げた意味は大きい。民族共生象徴空間が法律で規定されたことも重要だ。先住権の保障はこれからの課題だが、国がアイヌ政策で前面に出た点は評価できる。自治体とアイヌ民族が、新法が定める交付金や特例措置を、どれだけ有効活用できるかが問われる。
権利保障の認識欠ける
 上村(うえむら)英明恵泉女学園大教授(国際人権法) 新法には「先住民族」という文言はあるが、アイヌ民族固有の権利を保障するという認識に欠けている。海外では、土地を含めた資源管理権など、奪われた先住民族の権利回復を試行錯誤しながらも前に進めており、残念だ。国際社会では、法案を示した上で丁寧な合意形成の手続きが認められているのに、今回の制定過程には疑問が残る。新法ができても、アイヌ民族の権利に関する議論が終息するものではない。
https://digital.asahi.com/articles/CMTW1904220100005.html?_requesturl=articles%2FCMTW1904220100005.html&rm=150

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