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あなたの知らない『赤毛のアン』

2019-04-18 | 先住民族関連
Webナショジオ 2019年04月18日 

カナダと聞いて思い浮かぶことと言えば、たいていの人はカナディアンロッキーやナイアガラの滝、メープルシロップに赤毛のアン、ぐらいだろう。しかし、カナダには知られざる奥深い歴史や、国づくりに尽くした人々の営みがあった。世界中から愛される国、カナダの意外な歴史を書籍『カナダの謎 なぜ『赤毛のアン』はロブスターを食べないのか?』から紹介する。
 世代を超えて愛され続ける物語『赤毛のアン』。その舞台はカナダ東部、セントローレンス湾に浮かぶプリンス・エドワード島だ。英語のPrince Edward Islandの頭文字からPEI(ピー・イー・アイ)と呼ばれている。
 実はこの島、もとは別の名前を持っていた。ヨーロッパ人がやって来るまで、ここはミクマック族という先住民から「アヴィグウェイト=波間に浮かぶ揺りかご」と呼ばれていたのだ。
 確かにこの島は、横長で真ん中が少しへこんでおり、「揺りかご」のような形をしている。しかし飛行機もドローンもない時代に、彼らがどうやって島の形を知ったのかは謎としか言いようがない。
 それはともかく、カナダでは英語とフランス語が公用語として使われているのは多くの人が知るところだろう。その理由は、のちにカナダとなるこの地で、まず入植を始めたのがフランス人だったから。このため島は、フランス人によって「揺りかご」ではなく「サン・ジャン島」と呼ばれるようになる。
 その後、進出してきたイギリスがフランスとの戦争に勝利し、島の名前もプリンス・エドワード島に改められた。当時のイギリス国王、ジョージ3世の四男のエドワード王子にちなんだ名前だ。
 しかし、3つの名前を比べてみると、昔々、先住民がつけた「波間に浮かぶ揺りかご」が一番ロマンチックで素敵だと思うのだが、いかがだろうか。
 ただし、アンの物語の舞台として島の名前は日本でも広く知られているし、熱烈なファンにとってはこの上なく愛着のある名前だろう。「揺りかご」の方がいい、などと声高に言うとファンの方々にひどく怒られるかもしれないので、心の中で静かに思っているのが得策かもしれない。
 『赤毛のアン』、原作名『Anne of Green Gables』の作者ルーシー・モード・モンゴメリは、スコットランド系のカナダ人だ。モンゴメリの四代前、曽々祖父母がスコットランドからプリンス・エドワード島にやってきた。ところが、2人の本当の目的地はこの島ではなく、もっと内陸のケベック・シティだったそうだ。
 船で大西洋を渡る際、妻がひどい船酔いになってしまい、給水のために停泊したプリンス・エドワード島で下船すると、夫がいくら説得しても二度と船には乗らなかったという。
 やむを得ずプリンス・エドワード島での暮らしが始まり、四代のちにルーシー・モード・モンゴメリがこの島で生を受けることになる。
 もし船酔いにならずに無事、当初の目的地に着いていたら、アンの物語はどうなっていただろうか。ケベック・シティはイギリスとの戦争に敗れたフランスの拠点だった街。すると、アンの物語には何やらフランス文化の香りが漂うことになったかもしれない。
 あるいは、ケベック・シティからさらに内陸へと進み、カナダ中央部で暮らしていたら、物語の舞台は大平原になっていただろう。
 アンはプリンス・エドワード島のアヴォンリー村の湖や森に、「輝く湖水」や「恋人の小径」、「お化けの森」といった名前をつけていくのだが、もし大平原だったらそれはできない相談だ。なにしろ見渡す限りの小麦畑。アンの想像力をもってしても、360度同じ風景からユニークな名前を紡ぎ出すことは難しかっただろう。
 アンの島でもあり、名前からしておしゃれなイメージがあるプリンス・エドワード島だが、意外なことにその特産品はジャガイモだ。なにしろ、日本の愛媛県ほどしかないこの小さな島が、カナダ全体のジャガイモ生産量の実に3割を占めているのだ。
 おいしいジャガイモを生み出す要因の一つが、鉄分を多く含む島独特の赤い土。アンも初めて見た時、なぜ土の色が赤いのか、しきりに不思議がっている。
 『赤毛のアン』の時代からジャガイモは島の特産品だったようで、今年の出来を話し合ったり、船にジャガイモを積み込んだりする場面も出てくる。また、アン・シリーズの3作目「アンの愛情」では、大柄なアンの友達が、島外の人から、ジャガイモばかり食べて大きくなった島育ちと思われるのではないか、などと心配する場面もある。
 そして、おいしいジャガイモは島の人たちの誇りでもあるようで、島の西部、オレアリーには「ポテトミュージアム」というマニアックな博物館もある。
 建物の前には巨大なジャガイモのオブジェが展示され、入り口には世界的に有名なPEIのジャガイモ、といった文言が見て取れる。ちょっと失礼ではあるが、正直、世界的にはさほど知られていないだろう。
 館内では、押して進むと板が羽のようにバタバタと上下に動き、ジャガイモの葉や茎についた虫を追い払う道具など、興味深い展示品が並んでいる。
 ジャガイモとともに歩んできた島の歴史にしばし思いを馳せるのも悪くない。
この連載はカナダ観光局の提供で掲載しています。
著者 平間俊行(ひらまとしゆき)
ジャーナリスト。1964年、宮城県仙台市生まれ。報道機関での勤務のかたわら、2013年から本格的なカナダ取材を開始。歴史を踏まえたカナダの新しい魅力を伝えるべく、Webサイトや雑誌などにカナダの原稿の寄稿を続ける。2014年7月『赤毛のアンと世界一美しい島』(マガジンハウス)、2017年6月『おいしいカナダ 幸せキュイジーヌ旅』(天夢人)を出版。
カナダの謎
なぜ『赤毛のアン』はロブスターを食べないのか?
知らなかったカナダの魅力を、深く、わかりやすく楽しむ。この本を読むと、絶対にカナダに行きたくなる!
定価:本体1,200円+税
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/19/041200009/041200002/

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アイヌ新法案審議入り 参院委 週内にも成立見通し

2019-04-18 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/17 05:00
 法律で初めてアイヌ民族を「先住民族」と明記したアイヌ民族に関する新法案は16日、参院国土交通委員会で審議入りした。石井啓一国交相が法案の趣旨説明を行った後、有識者らと意見交換した。法案は早ければ18日に質疑を行った後に採決され、週内にも参院本会議で成立する見通し。
 同委は公益財団法人アイヌ民族文化財団が運営する「アイヌ文化交流センター」(東京)を訪れ、北海道アイヌ協会の加藤忠理事長や東北学院大の榎森進名誉教授、蝦名大也釧路市長ら5人と非公開で意見を交わした。
 終了後、同委の羽田雄一郎委員長は記者団に「アイヌ民族の思いが百パーセント盛り込まれた法案になっていないとも改めて感じた」と述べ、参院でも付帯決議を採択する方針を説明した。出席者によると、有識者側からは法案を歓迎する声の一方、生活・教育支援の充実や、アイヌ民族の諸権利の法制化を求める意見も上がった。(金子俊介)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/297055

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屈斜路湖の四季、多彩に 市民団体がカレンダー販売

2019-04-18 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/17 05:00
 【弟子屈】屈斜路湖をテーマに活動する市民団体「チームくっしゃろ」(斎藤敬子代表)は、2019年度版カレンダー「くっしゃろ暦」を販売している。湖の四季の移ろいを12枚のカラー写真で楽しめる。
 メンバーの自然ガイドやアマチュア写真家、釣り愛好家らが写真を持ち寄り作製。湖畔に咲くエゾヤマザクラ、にぎわう砂湯キャンプ場の夕景、湖面で羽を休めるオオハクチョウの群れ、美幌峠からの初日の出など、各月ごとに美しい写真を掲載。松浦武四郎や更科源蔵の文献の一節などを交え、湖畔の自然や歴史、往年のアイヌ民族の人々の暮らしぶりも紹介している。
 A3判で100部作製。一部2千円。問い合わせは斎藤さん(電)090・6876・5393へ。(山本忠彦)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/296972

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誕生ウトナイ中>スクールカラーは「ピオニーパープル」 ハスカップの実の色「生徒の夢 たくさん実るよう」

2019-04-18 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/17 05:00
 新設された苫小牧市立ウトナイ中は、学校のイメージを持ってもらいやすくするため、スクールカラーを採用することとし、明るめの紫色の「ピオニーパープル」に決めた。勇払原野で生育するハスカップの実をイメージした色として、中川恵介校長(57)が発案した。ハスカップはたくさんの実がなることから、生徒の成長や夢の実現という願いを込めた。
 中川校長は9日の全校集会でスクールカラーについて説明。ハスカップは「枝の上にたくさん実るもの」を意味するアイヌ語「ハシカプ」に由来することから、「学校という大きな木の枝に生徒や保護者、地域、教職員の願いが実るようにという意味を込めた」と呼び掛けた。
 これに先立ち、5日の開校式では来賓らに配った「開校のしおり」で、「文武両道」の校訓や「目指す学校像」などの各項目をピオニーパープルで色付けして印刷した。今後デザインを決める校章や、部活動のユニホームにもピオニーパープルを取り入れる考えだ。
 中川校長も早速、ピオニーパープル色のネクタイを新調。「校内行事などの節目に、新しい学校を作っていく決意を込め着用していく。深みがあって良い色」と意気込む。2年の渡辺桜葉(さよ)さん(13)は「スクールカラーがあるのは初めての経験。今後、慣れてくれば愛着を持つ色になるのかな」と笑顔を見せた。
 苫小牧市内の中学校で、ウトナイ中の他にスクールカラーを採用しているのは明野中と青翔中で、いずれも青色。明野中は1992年開校、青翔中は2009年開校で、いずれも比較的新しい学校だ。明野中は青色を基調としたジャージーを使用。青翔中は校章の中央部に青色を使っている。(仲沢大夢)
※「ハシカプ」の「シ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/296952

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大人気漫画のアイヌ語監修者が語る「『ゴールデンカムイ』は"アイヌはカッコいい"というイメージをつくってくれました」

2019-04-18 | アイヌ民族関連
ニコニコニュース2019/04/18 06:20週プレNEWS
日露戦争後間もない北海道を舞台に、精鋭軍人、新撰組の生き残り、奇人変人の数々、そしてアイヌと、バラエティに富んだ登場人物が金塊をめぐって冒険とバトルと美食を繰り広げる冒険活劇漫画『ゴールデンカムイ』(野田サトル著、集英社)。
この漫画を「アイヌ語監修」という立場から支える言語学者の中川裕(なかがわ・ひろし)氏の新著『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』(集英社新書)が先月刊行された。
中川氏は東京大学在学中の1976年から北海道に足しげく通い、減る一方のアイヌ語話者を訪ねては話を聞き、研究を続けてきた。今でも毎月のように北海道に行くが、今度は逆にアイヌ語を教える側になっていると言う。
40年以上、アイヌ語を見守ってきた中川氏に、『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修の舞台裏と、言葉への想いを訊いた。
* * *
──まずどういった経緯でアイヌ語に興味を持たれたのでしょうか。
中川 大学の授業でアイヌ語の勉強を始めたのですが、初めから興味があったわけではありません。ある程度理解できるようになってから、面白くなってきたんです。
──その過程で、言語以外のアイヌ文化にも興味が広がっていったのですね。
中川 僕の究極の目標はアイヌ語の辞書をつくることだったので、その言語と文化に関するありとあらゆることを知っていないと記述できないわけです。
学生の頃はそこまで頭が回らなかったのですが、やっていくうちに、日本文化の考え方や知識で測っていてはアイヌ語を記述できないというふうに思えてくる。アイヌの伝統的な世界観の中へ自分も入っていかないと、言葉の意味もわからない、と。

例えば漫画のタイトルにもなっている「カムイ」という言葉にしても、それにぴったり当てはまる単語は、日本語にはありません。一般的には「神」と訳されますが、アイヌの世界観では、人間のために活動しているものは、道具も含めて「カムイ」です。すると日本語の「神」とはちょっと違ってきますよね。
そこで今回の本では「環境」と訳しましたが、それが正しいわけでもない。正確には、「カムイ」は「カムイ」であるとしか言えないんです。
言葉を突き詰めてゆくと世界観もわかるし、逆に言うと世界観がわからないと言葉もわからない。言葉を理解することと文化を理解することは表裏一体なのです。
──中川先生は学生時代からアイヌの方々に直接アイヌ語を学んだそうですね。その人たちの中には『ゴールデンカムイ』の舞台である20世紀初頭に幼少期を過ごした方もいるかと思います。
中川 僕がフィールドワークで話を聞いた人たちは、だいたい1900年前後の生まれなんですが、多くの人が「アイヌ語はこれから必要ないから覚えなくていい、日本語を覚えろ」と親に言われて育ったそうです。そうじゃない人はむしろ少数派です。
じゃあその人たちはなぜアイヌ語を覚えているかというと、親がアイヌ語しかしゃべれないから、どうしても覚えちゃうんですね。アシリパ(『ゴールデンカムイ』のヒロイン)は1890年代の生まれと推測され、この人たちより少し年上だから、アイヌ語を母語としていた世代です。
そして、この世代は日常的に日本語も使え、「覚えなくていい」と言われて育ったから自分の子供にはアイヌ語を教えていません。こうしてアイヌ語の話者は減っていったのです。
──そうしたこともあり、先生がフィールドワークを始めた頃はアイヌ文化を聞き出すのが困難になっていたそうですが、当時と現在とを比べて、アイヌを取り巻く状況はどう変わりましたか?
中川 僕がアイヌ語の勉強を始めた頃、アイヌの方たちの中には差別されている実感を持つ人々が大勢いました。われわれとしても、北海道で「アイヌ」という言葉を使うことさえ憚(はばか)られた時代です。「俺たちは研究材料か」というふうにもろに言われることもありましたしね。
それに比べると今は、そうした状況をあまり体験していない若い世代も増えており、研究や調査に対する抵抗感も以前よりは少なくなっています。アイヌが自身のことをアイヌと言えるようになっている。それが、大きな違いですね。

──『ゴールデンカムイ』単行本の巻末には毎回たくさんのアイヌ文化関連参考文献が記され、細部のリアリティを追求しているのがうかがえますが、「言語」という観点からはいかがでしょう?
中川 この漫画はものすごく言葉にこだわった漫画だといえます。アイヌ語はもちろん、さまざまな日本語の方言が出てきますよね。僕はむしろ(鯉登[こいと]少尉という登場人物が話す)薩摩(さつま)弁とかどうやって調べてるのかなあと思います。
アニメ版も言葉へのこだわりがすごいですよ。秋田・阿仁(あに)マタギ出身の谷垣(源次郎)のかつての友人が登場するのですが、秋田弁の話者で、なんとそこに秋田出身の声優さんをあてるんです。
しかもその人の言葉と阿仁弁もちょっと違うんで、直してもらう。元の漫画が言葉にこだわっているからこそアニメもそうなったのだと思います。
──『ゴールデンカムイ』という作品が人気を博し、結果的にアイヌの言葉や文化が広く認知されました。では、研究者として、アイヌ語を今後も残してゆくためにはどういったことが必要だとお考えですか?
中川 言葉は経済と密接に結びついているので、経済的に活用できない言語は消えてゆくんですね。明治以降、アイヌ語が生き残る経済的な基盤はないに等しかったのだから、とっくに消えてしまっている可能性だってあった。
ところがもう100年も前からなくなる、なくなると繰り返し言われてきているのに、いまだに覚えている人たちがいる。これはどういうわけか。
逆説的ですが、言語はそう簡単になくならない、経済によらずともアイデンティティによって残りうると証明されていることになるのではないでしょうか。
ただし、最終的には経済に結びつかなければ長期的な生き残り策はとれない。早い話、"アイヌ語が生計の一助となる"という状況が必要です。われわれはフィールドワークで話を聞いたおばあさんがたに謝金を払います。
それはわれわれからするとお金で知識を買っていることになるのですが、人によっては、「私は80歳を過ぎてもちゃんと仕事ができるんだ」というプライドにつながることもあります。この関係が確立してしまえば「次は私が」と言葉を一生懸命勉強する人も出てきます。

──経済とアイデンティティ、この両輪で言語は生きてゆくのですね。
中川 はい。今われわれは、2020年に開館予定の国立アイヌ民族博物館、これの展示を全部アイヌ語にする作業を進めています。アイヌ語、日本語、英語の順に併記し、アイヌ語の作文は全部、アイヌの方にやってもらう。われわれ研究者が協力して、です。
僕の理想としては博物館で出すパンフレットや図録など、全部この方式でやってほしい。アイヌ語を知っていれば、作文の作業で謝金が得られる。そういうシステムができるといい。
これは言語を経済に結びつけているのですが、国立の博物館でアイヌ語が使われるということでアイデンティティ、プライドにも結びついていくわけです。
そしてアイデンティティという面では、「アイヌはカッコいいんだ」というイメージも大事です。『ゴールデンカムイ』はアイヌ=カッコいいというイメージをつくり出せたほぼ初めての一般向け作品ではないでしょうか。
現実にもアシリパなみにカッコいい女のコ、男のコは大勢いるので、そういう人たちがもっと芸能界などに進出してくれるといいですね。そういう形でアイデンティティと結びついた部分が発展してゆけばと思っています。
●中川裕(なかがわ・ひろし)
1955年生まれ、神奈川県出身。千葉大学文学部教授。東京大学大学院人文科学研究科言語学博士課程中退。95年、『アイヌ語千歳方言辞典』(草風館)を中心としたアイヌ語・アイヌ文化の研究により金田一京助博士記念賞を受賞。野田サトル氏の漫画『ゴールデンカムイ』では連載開始時からアイヌ語監修を務める。著書に『アイヌの物語世界』(平凡社ライブラリー)など多数
■『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』
(集英社新書 定価900円+税)
2018年の手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した冒険活劇漫画『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修者にしてアイヌ文化研究の第一人者である著者が、同作の名場面をふんだんに引用しながら解説を行なった唯一の公式解説本にして、アイヌ文化への最高の入り口となる入門的新書。原作者・野田サトル氏によるオリジナル描き下ろし漫画も収録!

https://news.nicovideo.jp/watch/nw5169221

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「ポロト湖物語」発行 ふるさと再発見シリーズ第3弾-白老町教委

2019-04-18 | アイヌ民族関連
苫小牧民報 2019/4/17配信

ポロト湖の歴史などが詰まった冊子
 白老町教育委員会はこのほど、2016年度から毎年編集しているふるさと再発見シリーズの第3弾となる「ポロト湖物語」を発行した。来年4月に民族共生象徴空間が開設するポロト湖畔の地理や歴史などを紹介。ポロト湖の自然、観光や産業など、ポロト湖が紡いだ歴史を掲載している。
 町教委ではこれまで、ふるさと再発見シリーズとして16年度に「地域学講座」、17年度に「白老人物伝1」を発刊。第3弾となる18年度は、象徴空間が開設されるポロト湖畔にまつわる歴史や自然、文化などを取りまとめた「ポロト湖物語」を発行した。
 冊子では、ポロト湖の自然的特徴として湿原やウツナイ川、西側に位置するポント湖、自然休養林などから成り立ち、多くの植物が自生していることやレクリエーションの森づくりとして整備された休養林の状況を紹介。また、縄文時代には現在よりも5メートルも海水面が高く、JR室蘭本線の辺りが海岸線だったこと、五つの遺跡が発見されていることなども掲載している。
 歴史としては、ポロト観光や各種イベントの開催、産業としては、かつてポロト湖において採氷業が盛んだったこと、物産では木彫りグマに代表される伝統工芸の土産品、また町制施行10周年式典としてポロト湖の観光地化が始まり、民俗資料館とアイヌ民族博物館による文化伝承の拠点についても紹介している。
 冊子は白老観光協会や白老コミュニティセンター、仙台藩白老元陣屋資料館、JR白老駅などで配布中。
 問い合わせは陣屋資料館 電話0144(85)2666。
https://www.tomamin.co.jp/news/area2/16106/

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「アイヌ新法」はアイヌの先住権を葬る欠陥法

2019-04-18 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2019年04月17日 杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

記者会見でアイヌ新法案に異議を唱えるアイヌのNGO「コタンの会」代表の清水裕二さん(左)たち=2019年3月1日
 本年4月11日、衆議院は政府提出の「アイヌ新法」案を議決し、参議院に送った。一部のアイヌ関係者・支援者から反対意見が出されていたのに(朝日新聞「北海道版」2019年4月10日付)、はたして十分な議論がつくされたのかどうか、はなはだ疑問である。
 だいいちこの法案には、始めから問題が多すぎた。衆議院通過後になってしまったが、法案の問題点を論じておきたい。
 なお本州以西・以南に住む人にとって、「アイヌ問題」はあまり関心を引かないかもしれないが、例えば首都圏だけでも、少なく見つもって数千人のアイヌが居住する。また総じて先住民族・少数民族問題は、近年、多様性尊重につながる非常に重要な国際的問題とも理解されている。それゆえ、この問題にいくらかでも関心を持ってもらいたいと念願する。
「先住民族」という言葉はあるが
 新法案が「基本理念」を掲げ、そこでアイヌ――本稿では「人間」しかも「誇りある人間」というその語義をふまえ、新法案のように「アイヌの人々」ではなく単に「アイヌ」と記す――に対する差別を禁じたのは重要である(第4条)。だが、アイヌを「先住民族」と認めながら(第1条)、その先住権を保障する条文を一切持っていない点は、大いなる欠陥である。
 確かに、先行する「アイヌ文化振興法」(1997年制定施行、以下「振興法」)と比べたとき、先住民族という用語がともあれ使われた事実は、一歩前進であると評価できる。だが新法案では、先住民族との認知はただの言葉にとどまっている。本来なら、先住民族と明記されれば、それがおのずと権原(法的権利の根拠)となって、先住民としての固有の法的権利すなわち先住権の認知と保障がなされるべきである。だが新法案では、その過程がすっぽり抜け落ちている。
 振興法の施行以降、国連において「先住民族の権利宣言」が採択され(2007年)、先住権に関する認識ならびに保障が進んだはずだが、その事実が踏まえられているとは思われない。翌年には衆参両議院において「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」がなされ、内閣官房長官が、この趣旨を活かした総合的な施策の確立に取り組むという談話を発表した(2008年)のに、新法案はそれを反映していない。
 新法案には、「近年における先住民族をめぐる国際情勢に鑑み」という文言が見られるが(第1条)、日本政府が十分に「国際情勢」(後述)を鑑みた形跡はない。
アイヌの歴史について記されず
 そもそも法案には前文がなく、したがって立法趣旨が、ひいては歴史認識が示されていない。だから自ずと、アイヌに対し日本政府がとってきた「同化政策」について、反省も謝罪もない。
 これは少々異常ではないか。それは、例えば本年3月に成立した「強制不妊救済法」の場合と比較してみると際立つ。後者も責任の主体を曖昧にした点で欠陥が大きいが(朝日新聞2019年3月15日付)、アイヌ新法案の欠陥はそれとは比較にならない。同化政策とは、一種の民族絶滅政策だったのであるから。
 なるほど第1条は、新法の目的にふれつつ、「アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統及びアイヌ文化(……)が置かれている状況……に鑑み」と記している。だがこれでは、「アイヌの伝統及びアイヌ文化」の置かれた状況、つまり激しい衰退状況は、まるで自然現象であるかのようではないか。新法案には、伝統・文化の「振興」が依然として求められる状況を、誰が、どのような方針の下に、どのようにして作り上げてきたのかについての反省は、何ら見られない。つまりこの状況を、明治期以降の和人政府が、「同化政策」という明確な方針の下に、アイヌの土地と生業を奪うことで作り上げた、という事実についての反省が見られないのである。
 こんなことだから、たとえ新法案が「アイヌ文化」のなかに、アイヌ語およびアイヌの音楽・舞踊・工芸等のみならず「生活様式」を含ませたとしても(第2条第1項)、新法案は、その本質において振興法と変わらないのである。
先住権とは何か
 振興法を超えた真の新法とするために求められるのは、先住民族アイヌに対する先住権の保障である。
 先住権とは少々不分明な用語だが、もちろん先住する権利ではなく、先住民族の有する権利を意味する。国連「先住民族の権利宣言」に見るように今日それは多様な仕方で定式化されうるが、世界の先住民運動の歴史から最大公約数を取り出せば、それは一般に、
(1)先住民が居住していた土地に対する所有権、
(2)領域(土地のみならず水域・海域等を含め)の自然に対する管理権、
(3)領域における各種自然資源の入手権
 をさす。時にはこれに、
(4)政治的な自治権(ただしこれは先住民の置かれた歴史的条件下で多様な形をとりうる)が加えられることもある。
 アイヌに即して、また他民族の例にも言及しつつ、以下まず個別的権利である(3)について、その後に、(3)を可能にする包括的な権利である(1)(2)について論ずる。そして最後に、(1)~(3)の権利保障を得るもしくは強固なものにするための権利でもある(4)について論ずる。
アイヌの先住権としての自然資源の入手権
 まず、(3)自然資源の入手権にふれれば、アイヌが先住民としてもつのは、各種の自然資源、すなわちサケなどの水産資源、熊・鹿などの動物資源、ヤナギその他の植物資源それぞれの入手権(漁労権・狩猟権・採集権)である。
 だが「新法」案では、これを先住権として部分的にせよ保障する姿勢は見られない。それは新法の体裁をとった旧法にすぎない。
「国有林野」の限られた利用のみ
 アイヌはその社会生活において各種の植物資源を用いる。
 アイヌ社会にはいたるところに神(カムイ)がおり、アイヌはそのカムイとの交流を通じて、物質的および精神的な生活を組織してきた(元々「アイヌ」=人間も、カムイに対する名称である)。カムイを祀り祈る儀式には、イナウとよばれる木幣が重視される。ちょうど和人社会の神棚等に見られる垂(しで)や幣(ぬさ)と同様に、イナウはたいていの家に置かれるという(萱野茂『おれの二風谷』すずさわ書店、1975年、33頁)。これはふつうヤナギから作られる。
 あるいは、アイヌはアットゥシと呼ばれる伝統的な衣装をしばしば身に着けるが、これはオヒョウニレなどを素材とする、等。
 けれども、これら植物資源の採集は、私有林の場合でなければ法律で禁じられている。新法案もけっきょく、申請があった場合に「国有林野」の一定の「使用」を認めるだけである(第16第1項)。そこには、植物資源の「採取」をアイヌ民族固有の権利と見なす姿勢は見られない(そこに「権利」という言葉はあっても、それは契約によって生じる権利の意味を出ず、先住民族の集団的権利とは見なされていない(杉田「先住権への配慮を欠いたアイヌ政策」https://webronza.asahi.com/culture/articles/2018080900009.html)。
 だからもちろん新法案は、アイヌへの、(1)「国有林野」の返還も、その長期間の「貸与」(後述)も、全く視野に入れていない。(2)コタン周辺に位置する領域(森林等)に対する管理権も同様である。
 かつてアイヌは、北海道で自由に生きた。北海道は ・・・ログインして読む
(残り:約1484文字/本文:約4564文字)
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2019041700006.html

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奄美の風 東京お台場に 朝崎さんらミニライブ タワーレコード企画

2019-04-18 | ウチナー・沖縄
奄美の南海日日新聞 4/17(水) 13:40配信
 東京都江東区の商業施設内にあるCDショップで14日、鹿児島県奄美群島の唄者らによるミニライブが開催された。「アイヌと奄美」と題したCD集の発売記念イベント。CD集に自身の唄が収められている朝崎郁恵さん、森田美咲さん、里歩寿さんが特設ステージで収録曲などを披露した。都内の人気観光スポットお台場に隣接した会場は観光客や買物客でにぎわった。
 ライブを主催したCDショップチェーンのタワーレコード(株)で統括部長を務める真井純也さん(龍郷町出身)は「約10年前に新宿で朝崎さんのインストアライブを企画したのが始まり。昨年は川崎市や鹿児島市で牧岡奈美さん、指宿桃子さんにも出演いただいた。演奏後に聴衆から寄せられた『感動した』『涙が出た』との声がライブ企画の原動力となっている」とイベントを振り返った。
 富山県から来場した40代女性は「偶然聞こえてきた三味線と歌声に足を向けた。説明を受け、演奏が奄美の唄だと知った。私のように予備知識やなじみのない者でも、心で聴き、心で感動することができた。私の中に奄美からの風が吹いた」と興奮を隠せない様子だった。
 ライブ後は今年3月に発売された「アイヌと奄美」(5枚組CD、=アイヌ編31曲、奄美編34曲、コラボレーション編)が販売され、出演者らにサインを求める姿が見られた。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190417-00010002-nankainn-l46

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【映像】豪北部準州にコインランドリー 疥癬予防対策の一環で新設

2019-04-18 | 先住民族関連
AP 4/15(月) 13:00配信
バルンガ、オーストラリア、4月15日(AP)― 疥癬(かいせん)はヒゼンダニがヒトの皮膚に寄生して起こる激しいかゆみを伴う感染病で、南半球オーストラリアのノーザンテリトリーの先住民コミュニティーでは、一部の住民に慢性的な心臓障害を引き起こす可能性がある深刻な問題になっている。
 同国保健省によれば、ノーザンテリトリーは疥癬罹患率が世界一高いといわれる地域で、北部アーネムランドのクリニックが診察した1歳児からの子どもの7割が感染していたという。
 疥癬は激しいかゆみを伴い、かきむしることで患部が傷つき、それが原因でリウマチ熱、リウマチ性心疾患や、深刻な場合は腎臓病に至る危険性があるという。
 そこで、疥癬の伝染予防対策として、先住民が運営するアボリジナル投資グループが、オーストラリア北部の遠隔地にコインランドリーを設置するプロジェクトをスタートさせた。
 約17万米ドル(約1900万円)の予算で、輸送用コンテナをコインランドリーに改造。その1号機が3月1日、ノーザンテリトリーのバルンガに設置された。
 1回の洗濯と乾燥にそれぞれ2.85米ドル(約320円)かかるが、連邦政府の助成金と州政府の洗濯費用補助金で、住民の負担はなくなる。同投資グループは、今後6カ所にコインランドリーの設置を計画しているという。
(日本語翻訳 アフロ)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190415-00010000-aptsushinv-asia

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