北海道新聞 02/07 05:00
今夏の東京五輪開会式のプログラムで、アイヌ民族の伝統舞踊が採用されない方針であることが6日、関係者への取材で分かった。内閣官房アイヌ総合政策室が道アイヌ協会側に1月末に説明した。五輪開催決定後、道や同協会が舞踊の披露を政府に要望。前向きな感触を得て、道内各地で練習会も行われているが、演出上の都合としてプログラムに盛り込まれない見通しとなった。
政府関係者や大会組織委員会関係者は「時間も限られており、演出の都合上、難しい」としている。一方、マラソン・競歩の札幌開催(8月6~9日)に合わせ、発着点となる大通公園の西1丁目広場でアイヌ民族が舞踊を披露する機会が設けられるよう、札幌市と協議するという。
アイヌ総合政策室は、採用の可否について「現時点では答えられない」としている。
開会式のプログラムを巡っては、高橋はるみ前知事や同協会の加藤忠理事長らが2014年から採用を要請してきた。
菅義偉官房長官は18年8月、視察に訪れた釧路市阿寒湖温泉で「積極的に応援したい」と発言。同11月の記者会見でも「アイヌの方々のお気持ちをしっかりと受け止め、関係者のみなさんに伝える」と述べるなど後押ししており、大会組織委の森喜朗会長も「古式舞踊を入れるように頼んである」などと前向きな考えを示していた。
道も採用を目指して関連事業費を計上し、道アイヌ協会が昨年12月から各地で開いている舞踊の練習会などを支援してきた。協会幹部は「アイヌ民族の存在を世界に発信し、権利回復の機運を盛り上げる好機として期待していた。非常に残念」と話す。
過去の五輪開会式では先住民族を尊重する取り組みが実施されてきた。1994年のリレハンメル冬季五輪では、北欧の先住民族サーミが伝統音楽を披露。2000年シドニー五輪でも、オーストラリアの先住民族アボリジニの陸上選手が聖火を点火するなどし、その後の権利回復の動きにつながった例もあった。(藤本卓郎、金子俊介、斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/390859
今夏の東京五輪開会式のプログラムで、アイヌ民族の伝統舞踊が採用されない方針であることが6日、関係者への取材で分かった。内閣官房アイヌ総合政策室が道アイヌ協会側に1月末に説明した。五輪開催決定後、道や同協会が舞踊の披露を政府に要望。前向きな感触を得て、道内各地で練習会も行われているが、演出上の都合としてプログラムに盛り込まれない見通しとなった。
政府関係者や大会組織委員会関係者は「時間も限られており、演出の都合上、難しい」としている。一方、マラソン・競歩の札幌開催(8月6~9日)に合わせ、発着点となる大通公園の西1丁目広場でアイヌ民族が舞踊を披露する機会が設けられるよう、札幌市と協議するという。
アイヌ総合政策室は、採用の可否について「現時点では答えられない」としている。
開会式のプログラムを巡っては、高橋はるみ前知事や同協会の加藤忠理事長らが2014年から採用を要請してきた。
菅義偉官房長官は18年8月、視察に訪れた釧路市阿寒湖温泉で「積極的に応援したい」と発言。同11月の記者会見でも「アイヌの方々のお気持ちをしっかりと受け止め、関係者のみなさんに伝える」と述べるなど後押ししており、大会組織委の森喜朗会長も「古式舞踊を入れるように頼んである」などと前向きな考えを示していた。
道も採用を目指して関連事業費を計上し、道アイヌ協会が昨年12月から各地で開いている舞踊の練習会などを支援してきた。協会幹部は「アイヌ民族の存在を世界に発信し、権利回復の機運を盛り上げる好機として期待していた。非常に残念」と話す。
過去の五輪開会式では先住民族を尊重する取り組みが実施されてきた。1994年のリレハンメル冬季五輪では、北欧の先住民族サーミが伝統音楽を披露。2000年シドニー五輪でも、オーストラリアの先住民族アボリジニの陸上選手が聖火を点火するなどし、その後の権利回復の動きにつながった例もあった。(藤本卓郎、金子俊介、斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/390859