ギズモード・ジャパン-2020.02.19 13:00

電子顕微鏡でみた「Yaravirus」 Image: Boratto, et al (bioRxiv)
今や、時のウイルスといえばコロナ。
コロナはウイルスの種類のひとつで、今話題の新型コロナは数あるコロナウイルスの中のひとつとか。ウイルスは突然変異をしたり突然発生したりと、まったく見たこともないようなものが突如生まれることがあるのですね。そんなウイルス界にまたもやニューフェイスが登場したようです。
その名もYaraウイルス。どこかやらしい響きもあります(?)が、米ギズモードのサイエンスライター、Ed Caraの報告をご覧ください。
アメーバを宿主とする新種
ブラジルの研究チームがなにやら尋常でない発見をしたと発表しています。
これまで見たこともないミステリアスな謎ウイルスの発見に興奮を隠しきれない様子ですが...でもご安心ください。とりあえず人間が心配する必要はなさそうです。この謎ウイルスはアメーバのみに感染するウイルスとのこと。
この研究は、ジャーナル「bioRxiv」のウェブ版に先月リリースされたもので、ピアレビューこそまだ受けておらず、ウイルスの遺伝的構造やゲノムについても一切公表されていないようです。だからといって胡散臭いのかといえば、ピアレビューされたからといって絶対に信用できるというものでもありませんよね。
この論文によれば、YaraウイルスはDNA型ウイルスで、ブラジルのベロオリゾンテという街のパンプーリャと呼ばれる人口湖の泥水に棲息するアメーバに感染していたものとか。初期に与えられた「Yaravirus brasiliensis」という名は、ブラジル先住民族の間に伝わる伝説上の人物に由来するとのこと。
似た種類がいないレアなウイルス
研究者がウイルスのデータベースを使っていくら探しても、Yaravirusと同じウイルスはついに歴代ウイルスには見つからなかったようです。さらに驚くべきことには、90パーセント以上の遺伝子は今までまったくこの世で発見されたことのない前代未聞の遺伝子だったとも。
進化の歴史において他に相同性を持つ遺伝子がない遺伝子をオーファン遺伝子( ORFan)と呼びます。 Yaravirusはどうやら完全にオーファンなウイルスらしいんです。「起源も系統も不明な、新しいタイプのウイルス、Yaravirusの発見を報告します」と論文にはあります。
アメーバに感染するウイルスは、植物、動物、人間に感染するものよりもサイズが大きく、「巨大ウイルス」というカテゴリーに分類されます。巨大ウイルスは単に大きいというだけでなく複雑でもあり、通常普通のウイルスができないようなことまでできちゃうウイルスだったりするのです。このウイルスの発生の歴史についてはまだまだ謎が残ります。一般的な巨大ウイルスがウイルスの祖先に近いかどうかなど、詳細はまだわかっていないのです。
今回のYaraウイルスを発表した研究者たちは以前にもTupanウイルスという新型の巨大ウイルスも報告しています。ただ、今回のYaraウイルスは巨大ウイルスと呼ぶには小さすぎ、その由来もわかっていません。論文での分析が正しいとすれば、Yaraウイルスは巨大ウイルスの一種類であるか、まったく新しい種類のウイルスである可能性もあるのです。
いずれにせよ、今回の発見は「ウイルスの世界の多様性に光を当てたもので、新たなウイルス遺伝子発見の可能性を示したものである」としめくくっています。
https://www.gizmodo.jp/2020/02/yara-virus-brazil.html

電子顕微鏡でみた「Yaravirus」 Image: Boratto, et al (bioRxiv)
今や、時のウイルスといえばコロナ。
コロナはウイルスの種類のひとつで、今話題の新型コロナは数あるコロナウイルスの中のひとつとか。ウイルスは突然変異をしたり突然発生したりと、まったく見たこともないようなものが突如生まれることがあるのですね。そんなウイルス界にまたもやニューフェイスが登場したようです。
その名もYaraウイルス。どこかやらしい響きもあります(?)が、米ギズモードのサイエンスライター、Ed Caraの報告をご覧ください。
アメーバを宿主とする新種
ブラジルの研究チームがなにやら尋常でない発見をしたと発表しています。
これまで見たこともないミステリアスな謎ウイルスの発見に興奮を隠しきれない様子ですが...でもご安心ください。とりあえず人間が心配する必要はなさそうです。この謎ウイルスはアメーバのみに感染するウイルスとのこと。
この研究は、ジャーナル「bioRxiv」のウェブ版に先月リリースされたもので、ピアレビューこそまだ受けておらず、ウイルスの遺伝的構造やゲノムについても一切公表されていないようです。だからといって胡散臭いのかといえば、ピアレビューされたからといって絶対に信用できるというものでもありませんよね。
この論文によれば、YaraウイルスはDNA型ウイルスで、ブラジルのベロオリゾンテという街のパンプーリャと呼ばれる人口湖の泥水に棲息するアメーバに感染していたものとか。初期に与えられた「Yaravirus brasiliensis」という名は、ブラジル先住民族の間に伝わる伝説上の人物に由来するとのこと。
似た種類がいないレアなウイルス
研究者がウイルスのデータベースを使っていくら探しても、Yaravirusと同じウイルスはついに歴代ウイルスには見つからなかったようです。さらに驚くべきことには、90パーセント以上の遺伝子は今までまったくこの世で発見されたことのない前代未聞の遺伝子だったとも。
進化の歴史において他に相同性を持つ遺伝子がない遺伝子をオーファン遺伝子( ORFan)と呼びます。 Yaravirusはどうやら完全にオーファンなウイルスらしいんです。「起源も系統も不明な、新しいタイプのウイルス、Yaravirusの発見を報告します」と論文にはあります。
アメーバに感染するウイルスは、植物、動物、人間に感染するものよりもサイズが大きく、「巨大ウイルス」というカテゴリーに分類されます。巨大ウイルスは単に大きいというだけでなく複雑でもあり、通常普通のウイルスができないようなことまでできちゃうウイルスだったりするのです。このウイルスの発生の歴史についてはまだまだ謎が残ります。一般的な巨大ウイルスがウイルスの祖先に近いかどうかなど、詳細はまだわかっていないのです。
今回のYaraウイルスを発表した研究者たちは以前にもTupanウイルスという新型の巨大ウイルスも報告しています。ただ、今回のYaraウイルスは巨大ウイルスと呼ぶには小さすぎ、その由来もわかっていません。論文での分析が正しいとすれば、Yaraウイルスは巨大ウイルスの一種類であるか、まったく新しい種類のウイルスである可能性もあるのです。
いずれにせよ、今回の発見は「ウイルスの世界の多様性に光を当てたもので、新たなウイルス遺伝子発見の可能性を示したものである」としめくくっています。
https://www.gizmodo.jp/2020/02/yara-virus-brazil.html