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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

<ちとせ冬ザケ考>4 ワイズユース 人との関わり、未来見据え

2020-02-29 | アイヌ民族関連
北海道新聞 02/29 05:00
 千歳市中央にある縄文後期(約3200年前)の遺跡・キウス周堤墓群。世界遺産登録を目指す「北海道・北東北の縄文遺跡群」の一角をなすこの巨大な墓ができた背景に、千歳川のサケの存在がある。市埋蔵文化財センター長だった高橋理(おさむ)(61)は、こんな「試論」を論文で展開している。
 周堤墓はドーナツ状の盛り土の内側に墓穴を複数設けた集団墓だ。キウス周堤墓群は、約11ヘクタールに最大直径75メートルの9基が集まる。それ以前の時代の周堤墓より圧倒的に大きいが、巨大化した理由は未解明だ。
 高橋の見方はこうだ。当時、キウス周堤墓群の西には広大な長都沼があって千歳川が分流して流れ込み、サケの漁場だった。気候が寒冷化した縄文後期、サケの産卵の適期が長期化して遡上(そじょう)が大幅に増える。多くのサケを効率的に捕り、交易に使うため集落を越えて人々が協業し、その構成員を埋葬する墓も大規模化した―。
 重要な食資源であり交易資源でもあったサケが、地域社会の変容のカギになったというのだ。「人とサケの関係は、日本の歴史と常に密接な関わりを持ってきた」と高橋は語る。
■教育や観光も
 約390ヘクタールに及ぶ長都沼は戦後の干拓で消え、農地に姿を変えた。環境改変などにより千歳川でのサケ親魚の捕獲数は1950年代、1万匹に満たない危機的水準に陥る。増加に転じるのは、人工ふ化の技術改善や海洋環境の好転があった70年代以降だ。
 こうした中でも冬ザケは捕獲の対象とならずに上流部で自然産卵し、命をつないできたとみられる。それを可能にしたのは産卵に適した上流部の自然環境だ。
 水が澄み川底に小石が多く、湧き水が豊富だ。支笏湖が「水がめ」の役割を果たしているため流量が安定し、護岸もない。市街地に近いが、豊かな自然の中で冬ザケをはじめ野生生物を観察でき、環境教育や体験観光の場となり得る。
 ただ利用の度が過ぎれば、環境への負荷は高まる。冬に上流部でワシの観察会を開く市民団体「しこつ湖自然体験クラブ*トゥレップ」の高橋直宏(60)は「環境に応じてイベントの定員を調整している。環境への配慮は当然だが、見てもらわないと素晴らしさは伝わらない。バランスが難しい」と話す。
■新たなルール
 冬ザケが上る千歳市蘭越地区の約4キロ区間の流域は、市が条例で「自然環境保全地区」に指定している。このうち、自然産卵の多い1キロ区間は道の委員会の指示で魚類の捕獲が禁じられていたが、2010年に解除され、危機感を強めた「トゥレップ」など4団体が市と対策協議会を作り、12年に地区指定された。
 著しく自然環境を壊せば罰則もある。ただ魚の捕獲は禁止ではなく、「釣りの自粛」の呼びかけにとどまり、冬ザケの産卵期も釣り人が川に入る。教育や観光に利用するには、さらなる「ワイズユース(賢い利用)」の知恵が必要だ。
 サケのふるさと千歳水族館(市花園)館長の菊池基弘(52)は「自然産卵する冬ザケが命がけで戦い、子孫を残す姿は見る者の心を強く揺さぶる。千歳川上流部は環境教育や体験観光の場として価値が高い」と語り、こう提言する。「環境を守りながらどう利用するか、関係者でルールを作る時ではないか」(敬称略)=おわり=
■<インタビュー 冬ザケを考える>4 菊池基弘さん(52)=サケのふるさと千歳水族館館長 観察窓の向こう、圧巻の冬ザケ産卵
 千歳川の中流域にある当館の売り物は、川の中をのぞき見ることのできる全国でもまれな水中観察窓です。秋、千歳川に帰り、窓の前で群れるサケの迫力は圧倒的です。年間約25万人の来館者の多くはこの時期のサケが目当てですが、実は来館者が窓の前にとどまる時間が長いのは、秋の遡上(そ じょう)がヤマ場を越えた冬です。
 あまり知られていませんが、12月から1月にかけて、窓の前では冬ザケが自然産卵します。館に隣接するサケの捕獲施設インディアン水車の稼働が終わり、サケは上流の産卵場所へ行ける時期ですが、湧水と同じように河川水より温かく、産卵に適した伏流水が川底にあるためでしょう。多い時で20匹ほど並びます。
 秋サケより一回り大きい雄が雌を巡ってかみつき合い、体をぶつけ合う音さえ聞こえます。運が良ければ雌雄並んで体を震わせ、産卵・授精する瞬間が見られます。窓の前で1時間粘って、産卵の場面は5秒ほど。それでも来館者へのインパクトは絶大です。「うわー」と声が上がり、涙ぐむ人や感動が忘れられず冬場に何度も来る人もいます。
 秋に窓の前で自然産卵が確認されたのは開館から26年で1度だけ。自然産卵は冬ならではの売り物です。
 野生の生き物が懸命に命をつなぐ姿が、見る人に伝えるものは大きい。上流部で産卵を終えたホッチャレが野生生物に食われる姿を通して「命のつながり」を体感できることを含め、冬の千歳川は教育や観光の場として大きな可能性を持っていると思います。
 大人にこそ冬ザケを見てほしい。現代の社会で野生生物と向き合う機会は大人にも多くありません。冬の千歳川を上流から中流までたどり、野生の生き物を通して見た「命の姿」について、子どもたちに伝えてあげてほしいのです。
 上流部は市街地に近いのに、豊かな自然環境が安定して保たれている希有(け う)な地域です。当館でも今後、冬ザケの観察会を企画したい。冬ザケと生息環境を守りながら、サケ資源の維持や教育・観光、そしてアイヌ伝統サケ漁に、いかに多面的に利用していくか、研究機関、環境団体、アイヌ民族団体などが話し合ってはどうでしょう。
 冬の「サケ観光」の認知度はまだ低いのが現状です。当館の水中観察窓でも、冬なら必ず自然産卵が見られるというわけではない。「サケは秋」というイメージが強く、当面はPRのてこ入れも必要でしょう。
 将来的に懸念されるのはオーバーユース(過剰利用)です。あまりに多くの人が上流部に不用意に近づけば、神経質な産卵前のサケやワシを驚かせてしまいます。川に立ち込めば産卵床を傷める恐れもある。上流部は千歳市が自然環境保全地区に指定していますが、魚の採捕は禁じられていません。道内各地や空港経由で道外から訪れる人も含め、どうコントロールしていくか。関係者の話し合いが必要な時ではないでしょうか。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/397759

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アイヌの文化 世界に届ける 東京五輪の聖火リレー走者、ウポポイ職員の山道さん

2020-02-29 | アイヌ民族関連
室蘭民報 2020/2/28 09:07 (JST)

聖火リレー走者に選ばれ「大変光栄なこと」と話す山道さん
 「体力には自信があるので、これから走るフォームを練習したい」。こう意欲を示すのは象徴空間・ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団の伝統芸能課に所属する山道ヒビキさん(30)。今年6月、東京五輪の聖火リレー走者として白老を駆ける。
 道実行委から出走の依頼があったのは昨年11月。「声が出ないくらいびっくりしました。自分でいいのかなという感覚はあったんですが、なんで選ばれたのかも分からなく、驚いていました」と振り返る。
 平取町出身。同財団に26人いる舞踊グループのリーダー。ウポポイオープンに向けて毎日のように踊りの練習をし、白老・ポロト湖を借景窓から望む体験交流ホールを会場にした舞踊プログラムの精度を上げている。
 「アイヌとして選ばれたのも一つありますし、ウポポイ職員として選ばれたのもありますし、北海道出身者として選ばれたのもある。この三つの要素があって、いろいろなPRになるかと思うんですが、白老町に住んでいる私がウポポイ職員としてアイヌの文化を少しでもいろんな世界の人々に見ていただけるように精いっぱい走りたい」
 物心ついたころからアイヌ民族の踊りや歌に触れていた。2011年(平成23年)、アイヌ文化振興・研究推進機構の伝承者(担い手)育成事業2期生として白老に移住した。その後、旧アイヌ民族博物館に勤務した。
 「前に走った人たちの思いを自分が受け止めて走るのは本当に光栄なことだなと思います」。ウポポイ開業後、自身の主戦場になる体験交流ホールでそう語った。
(富士雄志)
https://www.oricon.co.jp/article/1093912/

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山道ヒビキさん 聖火とともにアイヌ文化を伝承

2020-02-29 | アイヌ民族関連
日刊スポーツ 2/28(金) 11:11配信

若きアイヌ文化伝承者が、聖火とともに民族の灯をともす。4月に白老町に誕生するアイヌ文化施設ウポポイ(民族共生象徴空間)の職員、山道ヒビキさん(30)が、東京オリンピック(五輪)の聖火ランナーを務める。アイヌ民族の家庭で育ち、現在は同施設の舞踊グループリーダーを務める。6月の聖火リレーを通して、自身のルーツであるアイヌ文化を国内外に発信する。
青天のへきれきだった。昨年11月、山道さんに東京五輪の聖火ランナー抜てきの一報が入った。「びっくりしました。電話の相手の方も驚くぐらい『えっ!』と言ってしまった」。北海道でも聖火リレーが走ることは知っていた。ただ自身がトーチを持って走る姿だけは想像できなかった。
今年4月、アイヌ文化を発信する拠点としてウポポイが白老町にオープンする。総事業費約200億円の国家プロジェクトは北海道にとっても一大事業。道は大会組織委員会に白老町を聖火リレーのルートに入るように要望し、6月14日の最終地点となるセレブレーション会場に決まった。同施設職員の山道さんは道実行委員会の選考枠で選ばれ約200メートルを走る予定だ。
聖火に思いを重ねる。リレーは3月12日にギリシャを出発し、人から人へ受け継がれていく。「それはアイヌ文化の伝承も同じ。いろんな人の思いがあって学んできた文化がある」。幼い頃からアイヌの舞踊や歌、木彫りを教わり「周りに期待されてスパルタのようだった」と振り返る。「思春期は古い文化だと感じ恥ずかしい気持ちがあった」と、10代には離れた時期もあった。19歳のとき、同世代の舞踊に感銘を受けたことをきっかけに伝える側に回った。ランナーに決まってからは各地域のアイヌ民族の人から激励され「僕たちウポポイの職員は、自分たちの文化をどんな形でも伝えていきたい」と話す。
さらに伝えたいのは多様性だ。ウポポイの職員には道外や海外からもアイヌ文化に思いを持った人が集まっている。山道さんがまとめる26人の舞踊グループも「全員がアイヌ民族ではなくシサム(隣人、和人の意味)が多くいる」。開業準備でさまざまなルーツの人の意見を取り入れることで深みが増している。「北海道にはいろんな文化がある。みんな違って当たり前というところも伝えたい」。
00年シドニー大会でのオーストラリア先住民アボリジニなど、過去の五輪でも開会式などで先住民族が紹介された。セレブレーション会場ではアイヌの舞踊を披露する可能性もある。昨年のラグビーワールドカップ(W杯)では、会場の札幌ドームで古式舞踊を披露。スタンド最上段の観客が、前の席まで来て見入ったという。「海外の方の反応はすごく良い。新しいものを見ることに目をキラキラさせている」。五輪という世界的なイベントの発信力に期待している。
スポーツの経験はない。幼い頃は山登りが得意で、今は舞踊で体を動かしているため体力には自信がある。本番に向けて家と職場の往復4キロを走って準備をしていくつもりだ。「自分たちの思いがバトンタッチされることを考えると楽しみの気持ちの方が強い」。緊張感と期待感を交錯させ、トーチを手にする日を待っている。【西塚祐司】
◆山道ヒビキ(やまみち・ひびき)1989年(平元)3月29日、平取町生まれ。アイヌの家庭で育ち、アイヌ文化伝承者育成事業を修了後、アイヌ民族博物館に就職。アイヌ語入門講座の講師やイベントなどで活動する。18年4月から公益財団法人アイヌ民族文化財団に所属。ウポポイでは文化振興部伝統芸能課の舞踊グループリーダー。独身。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200228-22280182-nksports-spo

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令和2年度「アイヌ中小企業振興対策事業費補助金」の公募を開始します

2020-02-29 | アイヌ民族関連
経済産業省令和2年2月28日
令和2年度「アイヌ中小企業振興対策事業費補助金」は、アイヌ中小企業の産業の振興を図るため、アイヌ民工芸品に関して、展示・販売会開催支援、技術研修支援を実施するものです。今回、下記の要領で公募を開始します。
事業内容
アイヌ中小企業振興対策のために、補助対象者が行う次の事業に必要な経費の一部を補助します。
(1)
展示・販売会の開催
アイヌ民工芸品の販路拡大を支援するため、大消費地等において展示・販売会等を開催します。
(2)
技術研修会等の実施
北海道内のアイヌ民工芸品制作者を対象に、技術の向上、新商品のアイディア開発等のため、研修等を行います。
公募期間
令和2年2月28日(金)~令和2年3月18日(水)【17時必着】
受付時間:10:00~12:00、13:30~17:00(土日、祝日を除く)
交付の対象
「民間事業者等」であって、アイヌ民工芸品に関する知見を持っている事業者。
なお、「民間事業者等」とは、国及び地方公共団体を除く企業または団体で、定款等により代表者、活動内容及び財産管理方法等について確認できる者をいいます。
補助率
補助対象経費の1/2以内
公募説明会の実施
本公募に関する説明会を以下の日程にて実施します。参加希望の方は、令和2年3月5日(木)17時までにFAXにてご連絡ください。
なお、参加者については、1提案者につき、3名以内とします。
日時:令和2年3月6日(金)11:00~
場所:経済産業省別館8階843会議室
   〒100-8912 東京都千代田区霞が関1-3-1
※会議室入口にて名刺を頂戴しますので、必ずご用意ください。
※本補助事業の採択にかかり、本説明会の参加を義務付けるものではありません。
その他
詳細は、以下の公募要領をご覧ください。
公募要領及び公募申請手続のための書類
公募要領等は、以下からダウンロードしてください。
公募要領(PDF形式:241KB)
公募申請書等の様式(WORD形式:99KB)
公募申請書等の記入要領(PDF形式:137KB)
参考
アイヌ政策推進会議に関する情報は以下のページをご覧ください。
アイヌ政策推進会議ホームページ
提出先・お問い合わせ先
中小企業庁事業環境部財務課
〒100-8912 東京都千代田区霞が関1-3-1
担当者:神谷
電話:03-3501-5803
FAX:03-3501-6868
提出方法:持参または郵送
https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/chiiki/japan_brand/2020/200228Ainu.html

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ウイグル人迫害を支えるDNAデータ収集、背後に米企業の陰

2020-02-29 | 先住民族関連
ニューズウィーク 2/27(木) 18:07配信
<反体制的なウイグル人をあぶり出す中国政府の生体認証データ収集に、米企業のDNA解析機器が使用されている可能性がある>
中国政府の調達関連文書によると、2015年に新疆生産建設兵団公安局は、住民のDNAを解析して国のデータベースに登録するために、米バイオテクノロジー企業プロメガから分析機器を購入する計画を発表した。
生産建設兵団は新疆ウイグル自治区の準軍事組織で、中央政府と自治区政府の両指揮下にある。新疆に駐屯していた中国人民解放軍部隊が起源で、270万人以上の「屯田兵」が国境付近の警備と農地開拓や資源開発に従事する。
彼らのもう1つの使命は、この地域でウイグル人などの先住民族よりも、中国で9割以上を占める漢民族の人口を増やすことだ。この兵団公安局がDNA分析機器を購入したことを、数年前から人権活動家が危惧している。ウイグル人の監視と迫害に利用される可能性が高いとみているのだ。
2017年以降、新疆ではウイグル人などのイスラム系少数民族100万人以上が「職業訓練センター」に送り込まれている。実態はイスラム教徒を再教育する強制収容所だ。
一方で中国政府当局は、自治区政府の「住民サービス管理・実名登録作業指導小組弁公室」の下、新疆の全住民からDNAなどの生体認証データを収集。人権擁護団体は、これが反体制的なウイグル人のあぶり出しに利用されるのではないかと警鐘を鳴らす。
例えば、DNAの民族的な特徴から個人の顔のイメージを予測できる。これを、中国当局が構築している大規模な監視網や顔認識システムに取り入れることもできる。
「人権保護の基準としては、当局はこのような手法の必要性や使用条件、具体的な用途を説明できなければならず、個人が事前に情報の収集や利用を拒否できなければならない」と、国際的な人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのソフィー・リチャードソン中国部長は言う。「2015年の時点で、新疆ではこれらの基準がほとんど満たされていなかった」
<欧米の優生思想に類似>
もっとも、中国政府が生体認証データで国民を監視しようというのは、新疆だけの話ではない。中国全土で「無料健康診断」を口実に個人のDNAを収集し、学校で子供の唾液を採取している。公安当局は年内に、1億人分のDNA情報を国のデータベースに登録する計画だとされる。
ただし、このようなシステムはウイグル人にとって特に脅威だと、中国の新疆政策に詳しい米ワシントン大学の人類学者ダレン・バイラーは言う。「ウイグル人には法定代理人も制度的な支援もなく、中国当局は彼らを意のままに実験台にできる。1940年代に欧米で広まった優生思想と、現代の中国における生物医学の武器化が似ていることは、いやでも分かる」
中国公安省のDNAデータベース
2017年には、米医療機器メーカー、サーモ・フィッシャー・サイエンティフィックが新疆の警察に遺伝子解析機器を販売していることに対し、米議会とヒューマン・ライツ・ウォッチが懸念を表明。同社の技術が住民のDNA収集に利用されることが、人権とプライバシーの侵害に当たるのではないかと指摘した。
サーモ・フィッシャーは2019年に、新疆への機器販売を停止した。自社の倫理規範に従ったと説明したが、中国のほかの地域への販売の継続については言及しなかった。
兵団公安局は2015年、新疆にあるプロメガの販売代理店「杭州欣越生物科技有限公司」経由で同社のパワープレックス21の購入を計画。調達関連文書によれば、DNAのごくわずかな痕跡から全国規模のDNAデータベースに登録できるほど質の高い記録を作成するのが狙いだった。
そこまで精度の高い機器はほかになかったため、兵団公安局は単独調達通知を発行し公共入札の手間を省いた。7日以内に反対がなければ購入できたはずだ(プロメガは取材に対してノーコメント)。
その直前数カ月の文書からは、兵団公安局が中国公安省物証鑑定センターと共同で「DNAデータベース構築プロジェクト」を計画していたことがうかがえる。中国公安省は既にFBIが犯罪や行方不明者の捜査に利用しているような大規模なDNAデータベースを保有。そこに一般のウイグル人のデータが加われば、差別と迫害に苦しんでいる人々の人種プロファイリングが可能になりかねない。
<悪用させないためには>
2015年に公安系機関誌に掲載された論文は、より大規模で質の高いDNAデータベースとデータマイニングを組み合わせれば、当局が行動を「予測」し「ハイリスク集団の早期警戒警報」を出すのに役立つと主張している。
確かにこうした機器を購入しても何に使うかは分からないと、ジョン・ジェイ・カレッジ法学部のラリー・コビリンスキー学部長は言う。DNA分析装置には、犯罪捜査、診断、治療、系譜学などさまざまな使い道があるという。同時に「民族を特定するのに使うのを止めることもできない。どんなものも乱用される恐れはあり、偉大なツールが悪用される危険はある」
プロメガの公式サイトには、遺伝子情報をウイグル人など中国の少数民族の識別に利用する方法に関する学術論文の概要が掲載されていた(既に削除)。プロメガとサーモ・フィッシャーの装置を使い、新疆のコルラ市で採取したウイグル人211人のDNAサンプルを、説明に基づく同意を得た上で調べたという。
中国各地の公安局が購入済み
だが中国のウイグル人は常に強制収容の脅威にさらされており、真の「同意」はあり得ない、と専門家は以前から懸念を表明している。出版社のシュプリンガー・ネイチャーとワイリーは、自社の科学誌に掲載した論文のうち「中国政府が支援する科学者がDNAや顔認識技術を使って、イスラム教徒が過半数を占めるウイグル人など国内の少数派を調査したもの」を対象に倫理審査を実施している。
2016年、兵団公安局は再び杭州欣越生物科技有限公司とDNA検査装置の購入契約を結んだ。プロメガの製品も含まれていたかどうかは不明だ。
プロメガの機器が計画どおり新疆で販売されたとの報告はまだないが、調達関連文書によれば中国各地の公安局が過去10年間(最近では2019年)に購入している。「自社の機器を人権侵害に利用させないためのしかるべき注意義務とは何か、同社に尋ねたい」とヒューマン・ライツ・ウォッチのリチャードソンは言う。「サーモ・フィッシャーからもまだ回答はない」
From Foreign Policy Magazine
<2020年3月3日号掲載>
ジェシカ・バッケ(チャイナファイル編集主任)、マレイク・オールベルグ(メルカトル中国研究所アナリスト)
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200227-00010005-newsweek-int

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文化部、先住民の歴史事件を調査 当事者納得の記念碑設置へ/台湾

2020-02-29 | 先住民族関連
中央社フォーカス台湾 2020年2月28日 20時33分
(台北中央社)清朝時代や日本統治時代に東部・花蓮県で発生した先住民にまつわる歴史事件について、文化部(文化省)が調査に着手している。27日に台北市内で開かれた「総統府原住民族歴史正義・移行期の正義委員会」(原転会)の会合で、同部の李連権常務次長が報告した。
李氏によれば、先住民の歴史事件は計18件。文化部と原転会は先月初旬、歴史事件の記念碑に関する会議を開き、まず花蓮県で起きた5件を調査し、結果に基づいて、先住民の立場に立った記念碑の設置を目指す要綱を制定することが決定された。
5件はそれぞれ、アミ族が土地の開発問題で清朝と衝突した「大港口事件」(1878年)▽タロコ族が旧日本軍と森林資源などを争った「新城事件」(1896年)と樟脳採取をめぐってぶつかり合った「威里事件」(1906年)▽アミ族の労働者と日本の警察との紛糾が武力衝突に発展した「七脚川事件」(1908年)▽タロコ族が武装蜂起して旧日本軍に平定された「タロコ戦役」(1914年)。いずれにも記念碑が設けられているが、当事者である先住民に寄り添ったものでなかったほか、設置場所や管理維持などが問題視されるケースもあるという。
https://news.livedoor.com/article/detail/17889632/

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ゴールデンカムイのあのスープ、家庭用に簡単レシピ

2020-02-29 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2/28(金) 11:30配信
 マンガ「ゴールデンカムイ」で主人公がおいしそうに食べる場面などで知名度が高まっているアイヌ民族の主食「オハウ」(汁物)。これを普及させようと、北海道味の素(札幌市、高橋敏博社長)が家庭で作れるレシピ「かんたんオハウ」8種類を開発したと発表した。どんな料理なのか?
 オハウは肉や魚、昆布、ジャガイモ、ギョウジャニンニクやユキザサなどの野草や野菜を鉄鍋で煮込んだもので、アイヌ民族の食生活の中心となっている料理。かつては動物性脂肪や魚油、塩だけで味を調えていたという。
 4月24日には、アイヌ文化の復興拠点として北海道白老町に国立施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」がオープンする。今回、この運営本部の野本正博・文化振興部長らの協力を得て、味の素の調味料「ほんだし」を使った様々な味付けのオハウを編み出した。
 「鮭(さけ)のオハウ」は塩ザケにひと口大に刻んだジャガイモ、大根、ニンジンなど根菜を合わせた温かくオーソドックスな一品。
 対して「冷たいほっけのオハウ」はホッケの干物と薄切りのキュウリやナスを使ったみそ味の汁で、宮崎県などの郷土料理「冷や汁」にも似た味わいだ。
 記者会見で試食しつつ「ヒンナヒンナ」(アイヌ語で食事に感謝する表現)を繰り返した高橋社長は「ご家庭でつくっていただけるよう身近に手に入る素材、家にある調味料で味付けできる『かんたん』さを打ち出した。季節の食材と合わせて、様々な味を手軽に楽しんで欲しい。『食』がアイヌの伝統文化に親しみを持ってもらえるきっかけになれば」と話した。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200228-00000034-asahi-soci

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あの世界的名店のシェフも注目 アイヌの食の底力

2020-02-29 | アイヌ民族関連
YouTube 2019/09/23
札幌・円山のレストラン「TAKAO」では、テーブルを囲む人たちに最初に大きな円盆が運ばれてくる。盆にはスパイス状のものが入ったガラスの器が並ぶ。
 シェフの高尾僚将(たかおともゆき)さんが説明する。「これはシケレペ(キハダの実)。山椒と同じミカン科なのでいい香りがします。白い粉はトゥレプというオオウバユリの鱗茎からとったでんぷんです。こちらは絞りかすを発酵乾燥させたオントゥレプ。独特の香りがあります」
 高尾さんはこれらを野生の香辛料、調味料と捉え、肉や魚に香りづけしたり、でんぷんを手打ちパスタに配合している。食後に出すシケレペ入りのチョコレートも、人気の一品だ。
 高尾さんが修業したイタリア料理は「各地方の料理はあるが『イタリア料理』はない」と言われるほど地域に根ざしている。高尾さんはじめ、そうした郷土食の視点で野山や川の食材を採って使う料理人は多い。高尾さんは支笏湖畔のレストランを監修した頃から野山へ行く回数が増え、5年前から山野草に詳しい白老のアイヌ民族の男性に採り方や食べ方を教わっている。「野生の食材を追い求めた結果、出会ったのがアイヌ民族の知恵でした」といい、現代の北海道料理として提供し、アイヌ民族に学んだことを伝えている。
■シリーズ「食べて知る アイヌの食の知恵」 http://t.asahi.com/wd24
https://www.youtube.com/watch?v=qBzudJbkYuM&feature=youtu.be&fbclid=IwAR3oIHBiNEhRS3vazlgltfUzpbGF8jfqtQiAJ2nYZYa93NE9B7ahzcpuBzQ

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