釧路新聞2023.01.01

釧路市阿寒湖温泉の通称光の森では、以前からエコな取り組みとして散策イベントが実施され、多くの市民らが大自然に親しんできた
新型コロナウイルス感染拡大で大きな影響を受けた観光は、コロナ対策の緩和などで国内は徐々に回復傾向にあるが、インバウンド(訪日外国客)復活はこれから。2023年9月に北海道で開催されるアドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)を機に来道者の増加が期待される中、今後の観光施策で重要なキーワードは、環境と経済が好循環する「持続可能な観光(サステナブルツーリズム=ST=)」だ。ひがし北海道自然美への道DMO(上野洋司会長)が昨年12月に実施したシンポジウムを基に、今後の世界標準となり得るSTの在り方を探る。
同DMOは観光地域づくり法人として、東北海道エリアの観光関係の事業者や団体などで組織。観光情報発信のほか、旅行商品の造成や販売、マーケティング、各観光地間を結ぶ2次交通の整備などに加え、最近は動画による魅力発信を盛んに行うなど、旅行客誘致に励んでいる。
同DMOなどによるとSTは、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に貢献できるとして、北欧などを中心に取り組みが進んでいる。自然環境を守りながら観光業を活性化させ、観光地住民の暮らしを良くすることを目指す旅の在り方。その一例として、電気自動車や自転車、徒歩によるエコな移動。マイボトルやエコバッグの持参によるごみの減量。アイヌ文化をはじめとする地域の文化を体験し学ぶほか、ローカルな食を楽しみ、地元のイベントに参加し地域住民との交流を図ることなどを挙げている。
国内でいち早くSTに取り組もうと同DMOは12月、「持続可能な地域観光戦略を考える」と題したシンポジウムを開催。スイスのリゾート、ツェルマットでは、地元で消費されるものは地元で作るという「地消地産」の取り組みが進み、地元経済に貢献していること、ハワイでは、環境に配慮した責任ある行動を旅行者に促す呼び掛けを行っていることなど、世界各地の事例が紹介された。
また釧路市阿寒湖温泉では、前田一歩園財団が以前の原始の森を目指して適正な森林管理を継続していること。知床国立公園内の開拓跡地と原生林の再生を目的に行われたナショナルトラスト運動。阿寒摩周・釧路湿原国立公園のゼロカーボンパーク登録。環境省の阿寒摩周国立公園満喫プロジェクトによる道東3空港をつなぐロングトレイルネットワークの構築など、これまでに行われてきたさまざまなサステナブル(持続可能)な取り組みが紹介された。
元フィンランド政府観光局日本局長でフォーサイトマーケティングCEOの能登重好氏は「サステナブルツーリズムが今後の観光のスタンダードになる」と明言。持続可能な旅のメッセージ発信が旅行者の共感を得て旅行中の責任ある行動につながり、その観光地のリピーターが増えることで旅行や地域の高付加価値化となり、それがさらに発信されていくという好循環になると説明。STの長期的な取り組みの重要性を示した。
能登氏と北大観光学高等研究センター客員教授の山田桂一郎氏、同DMOの野竹鉄蔵専務理事によるまとめの議論では、適度に発展した市街地とその周囲に広がる豊かな大自然、国立公園の中で住民が当たり前に暮らしているという道東地域は世界的にも誇ることができるSTの適地だとの認識で一致。旅行者の共感や共鳴を得ることで誘客がさらに進むとの意見が出され、今後の取り組みに生かしていくことを確認した。
野竹専務理事は「キーワードのサステナブルに取り組むことで付加価値を高めることがさらなる誘客促進につながる。道東地域のポテンシャルをさらに上げていきたい」と意欲を示している。
https://hokkaido-nl.jp/article/27720


釧路市阿寒湖温泉の通称光の森では、以前からエコな取り組みとして散策イベントが実施され、多くの市民らが大自然に親しんできた
新型コロナウイルス感染拡大で大きな影響を受けた観光は、コロナ対策の緩和などで国内は徐々に回復傾向にあるが、インバウンド(訪日外国客)復活はこれから。2023年9月に北海道で開催されるアドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)を機に来道者の増加が期待される中、今後の観光施策で重要なキーワードは、環境と経済が好循環する「持続可能な観光(サステナブルツーリズム=ST=)」だ。ひがし北海道自然美への道DMO(上野洋司会長)が昨年12月に実施したシンポジウムを基に、今後の世界標準となり得るSTの在り方を探る。
同DMOは観光地域づくり法人として、東北海道エリアの観光関係の事業者や団体などで組織。観光情報発信のほか、旅行商品の造成や販売、マーケティング、各観光地間を結ぶ2次交通の整備などに加え、最近は動画による魅力発信を盛んに行うなど、旅行客誘致に励んでいる。
同DMOなどによるとSTは、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に貢献できるとして、北欧などを中心に取り組みが進んでいる。自然環境を守りながら観光業を活性化させ、観光地住民の暮らしを良くすることを目指す旅の在り方。その一例として、電気自動車や自転車、徒歩によるエコな移動。マイボトルやエコバッグの持参によるごみの減量。アイヌ文化をはじめとする地域の文化を体験し学ぶほか、ローカルな食を楽しみ、地元のイベントに参加し地域住民との交流を図ることなどを挙げている。
国内でいち早くSTに取り組もうと同DMOは12月、「持続可能な地域観光戦略を考える」と題したシンポジウムを開催。スイスのリゾート、ツェルマットでは、地元で消費されるものは地元で作るという「地消地産」の取り組みが進み、地元経済に貢献していること、ハワイでは、環境に配慮した責任ある行動を旅行者に促す呼び掛けを行っていることなど、世界各地の事例が紹介された。
また釧路市阿寒湖温泉では、前田一歩園財団が以前の原始の森を目指して適正な森林管理を継続していること。知床国立公園内の開拓跡地と原生林の再生を目的に行われたナショナルトラスト運動。阿寒摩周・釧路湿原国立公園のゼロカーボンパーク登録。環境省の阿寒摩周国立公園満喫プロジェクトによる道東3空港をつなぐロングトレイルネットワークの構築など、これまでに行われてきたさまざまなサステナブル(持続可能)な取り組みが紹介された。
元フィンランド政府観光局日本局長でフォーサイトマーケティングCEOの能登重好氏は「サステナブルツーリズムが今後の観光のスタンダードになる」と明言。持続可能な旅のメッセージ発信が旅行者の共感を得て旅行中の責任ある行動につながり、その観光地のリピーターが増えることで旅行や地域の高付加価値化となり、それがさらに発信されていくという好循環になると説明。STの長期的な取り組みの重要性を示した。
能登氏と北大観光学高等研究センター客員教授の山田桂一郎氏、同DMOの野竹鉄蔵専務理事によるまとめの議論では、適度に発展した市街地とその周囲に広がる豊かな大自然、国立公園の中で住民が当たり前に暮らしているという道東地域は世界的にも誇ることができるSTの適地だとの認識で一致。旅行者の共感や共鳴を得ることで誘客がさらに進むとの意見が出され、今後の取り組みに生かしていくことを確認した。
野竹専務理事は「キーワードのサステナブルに取り組むことで付加価値を高めることがさらなる誘客促進につながる。道東地域のポテンシャルをさらに上げていきたい」と意欲を示している。
https://hokkaido-nl.jp/article/27720