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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

特攻を子どもに伝える本出版 道教大釧路校准教授 山元研二(やまもと・けんじ)さん

2023-01-20 | アイヌ民族関連
会員限定記事
北海道新聞2023年1月19日 10:20
 「本当に、そう子どもに教えていいのか」。約30年前、教員として生徒を引率して訪れた鹿児島県南九州市の知覧特攻平和会館で、説明員が「みんな喜んで出撃していった」と話すのを聞き、違和感を持ったのが著書「『特攻』を子どもにどう教えるか」(高文研、2090円)の出版のきっかけだ。特攻で死んだ隊員を「英霊」と呼び、美談として語られることに疑問を感じ、子どもたちに真実を伝えようと思い立った。
・・・・・・・
(宮口江梨子)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/789195

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空自機のアイヌ文様に抗議 市民団体、使用停止を要請

2023-01-20 | アイヌ民族関連
東京新聞2023年1月19日 12時45分 (共同通信)

 航空自衛隊第2航空団の練習機に塗装されたマーク(第2航空団提供)
 アイヌ民族や学者らでつくる市民団体「アイヌ政策検討市民会議」(札幌市)は19日までに、航空自衛隊第2航空団(千歳市)が多くのアイヌ民族の同意なく練習機にアイヌ文様をあしらったマークを使用しているとして抗議し、利用の差し止めを求める要請文を同団などに送付した。
 アイヌ文様は「先住民族の権利に関する国連宣言」の「伝統的知識」に該当し、当事者が管理・運用する権利を持つと指摘。だが、実質的な同意を欠いて「民族の自己決定の権利をないがしろにしている」と訴えた。
 同団司令部広報室によると、千歳アイヌ協会などに問い合わせたが、「特に意見はない」との回答が来たという。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/226119

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内田さん講演でウポポイ語る アイヌ文化振興調査官 白老

2023-01-20 | アイヌ民族関連
苫小牧民報2023/1/19配信
 白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の中核施設、国立アイヌ民族博物館で15日、文化庁アイヌ文化振興調査官内田祐一さんが講演し、町民らが耳を傾けた。  同館で2月12日まで開催中の第3回テーマ展「ウアイヌコロ コタン アカラ」の関連事…
この続き:405文字
ここから先の閲覧は有料です。
https://www.tomamin.co.jp/article/news/area2/97775/

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ボラはブリと同じ出世魚で最終段階の成魚はトドと呼ぶ…

2023-01-20 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2023/1/20 東京朝刊 605文字
 ボラはブリと同じ出世魚で最終段階の成魚はトドと呼ぶ。「とどのつまり」の語源だ。一方、海獣のトドはアイヌ語由来とする辞書が多い。だが、ボラの場合と同様の和語という説もある。アシカ科最大の海獣で大きさを極めた存在という解釈だ▲日本列島には明治までニホンアシカが幅広く生息していた。乱獲で戦後になって絶滅したとされるが、各地にアシカ岩やアシカ島とともにトド岩の名称が残る。混同して使われていたともいわれる▲本物のトドはオホーツク海周辺に生息し、冬を北海道周辺で過ごす。大食漢で漁場を荒らす「海のギャング」と呼ばれ、自衛隊が駆除に乗り出したこともあった。現在では保護と両立させるため、駆除数が制限されている▲本州ではめったに見かけることのないトドが東京湾に現れたという。大阪湾の淀川河口にクジラが迷い込んだばかり。東京湾でもクジラが目撃された。相次ぐ珍獣の出現である。大昔なら吉兆か凶兆かと騒ぎになったろう▲地球温暖化で海の生態にも異変が起きている。北海道ではサケの漁獲量が最盛期より大幅に減る一方でブリの豊漁が続く。現代人も海の生物の特異行動に無関心ではいられない▲大阪のクジラは弱って死にオモリをつけて和歌山沖の海底に沈められた。トドの健康状態も気になるが、大寒を迎えた気候は不快ではあるまい。週末以降は今季最強の寒気団が列島を覆うという。暖かくなる前に北の海へ帰ってほしい。<大寒の大々とした月よかな>小林一茶
https://mainichi.jp/articles/20230120/ddm/001/070/100000c

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『劇場版「永遠ノ矢 トワノアイ」』DVDが4⽉26⽇(⽔)に発売決定!

2023-01-20 | アイヌ民族関連
株式会社ハピネット2023年1月20日 00時00分
俳優の宇梶剛士が主宰する劇団PATHOS PACKで、自身が脚本・演出を務めた舞台公演を映像化した劇場版「永遠ノ矢 トワノアイ」を、4⽉26⽇(⽔)に発売いたします。レンタルも同⽇リリースいたします。

宇梶剛士が問う、アイヌとは―
公式サイト  https://towanoai.com/
公式Twitter https://twitter.com/towanoaimovie?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Eembeddedtimeline%7Ctwterm%5Escreen-name%3Atowanoaimovie%7Ctwcon%5Es1_c1
■2021年7月1日に釧路にて行われた舞台の上演記録
■宇梶剛士主宰の劇団PATHOS PACK(パトスパック)による舞台『永遠ノ矢=トワノアイ』は、宇梶が作・演出を務める。
■2019年東京・高円寺での初演では1週間と言う短い期間に2.000人近い観客動員を記録。
『劇場版「永遠ノ矢 トワノアイ」』作品情報
【キャスト】
■宇梶剛士
■金井良信
■平野貴大
■岡田優
■オバタアキラ
【スタッフ】
■監督:上林昌嗣
■作・舞台演出:宇梶剛士
■企画・総指揮:タイソン山﨑
■プロデューサー:巣内佳幸
■エンディング曲:『Ihunke』安東ウメ子
【ストーリー】
菅野家の次男・海は、母方の祖父の葬儀の席で、長男・一矢が出席していないこと、20年前に亡くなった海たちの父親の墓を建てていないことを叔父たちに責められていた。
のらりくらりと責めをかわす海に、興奮した叔父が受け入れ難い言葉を吐く…。
なんと、3歳下の妹・環菜が、自分とは本当の兄妹ではないと言うのだ。
帰宅後、母親に真実を問う海であったが埒はあかず、数年前に北海道に行ったきり戻ってこない不仲の長男・一矢に会うために、海は北の大地に向け旅立つのであった。
一方、亡き父の故郷で。
先祖代々受け継がれてきた矢筒の伝承を辿ろうとしている長男・一矢。
その伝承とは、自分たちの先祖、弓の名手・イソンクルが、敵の将を射ずに、矢を捨て姿を消したという言い伝えであった。
代々受け渡されて来たという矢筒を手に、一矢の思念は350年前のアイヌモシリへと飛び交錯し絡み合い始めるのであった。
※イソンクルの「ル」は小文字 
『劇場版「永遠ノ矢 トワノアイ」』商品情報
【発売⽇】
2023年4⽉26⽇(⽔) ※レンタル同⽇スタート
【価格】
4,180円(税込)
【特典内容】
映像特典(約1分)
※商品の仕様は変更になる場合がございます。
発売元:株式会社アイエス・フィールド
販売元:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
©オフィス33
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001145.000031422.html

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小さな音がする魚

2023-01-20 | アイヌ民族関連
宮崎日日新聞2023年01月19日 06:00更新
 この時期に鮮魚店をのぞくと、一夜干しや天日干しにされた「コマイ」が売られている。  主に北海道で漁獲される全長25センチほどの魚で、「コマイ」という名は、一説によるとアイヌ語で「小さな音がする魚」の意味だという。  漢字で「氷...
全文記事を読むには
https://pre-miya.com/health/kenkousaijiki/149059.html

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チリ新憲法、12月国民投票 昨年否決で制定仕切り直し

2023-01-20 | 先住民族関連
産経新聞2023/1/19 11:49
南米チリで新憲法制定に向けた法令が17日発布され、新憲法草案への賛否を問う国民投票を12月17日に行うことが決まった。専門家の委員会と選挙で選ばれる憲法審議会が草案を作成する。チリでは昨年9月にも国民投票が行われたが、内容が急進的だとして当時の草案が否決され、左派ボリッチ大統領は仕切り直しを余儀なくされていた。
法令では、24人からなる専門家委員会を3月6日に設立し、5月7日の選挙で憲法審議会のメンバー50人を選出。委員会と審議会が新憲法草案を作成し、12月17日に国民投票にかける。
チリの現行憲法はピノチェト軍事政権下(1973~90年)に制定され、格差拡大の元凶になったとして2019年の反政府デモにつながった。20年の国民投票で新憲法制定が決まったが、草案に先住民の自治領設置や資源開発の制限などが盛り込まれ、保守層の反発を招いて否決された。(共同)
https://www.iza.ne.jp/article/20230119-UIRBL5QINBISDN7AE5ZDWQ5HUU/

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ライツホルダー中心の人権デューデリジェンスのために企業に求められる役割とは ~2022国連ビジネスと人権フォーラムハイライト~

2023-01-20 | 先住民族関連
EY Japan2023年1月19日
2022年11月、「第11回ビジネスと人権に関する年次フォーラム」がスイス・ジュネーブの国連本部にて開催され、人権への影響を受ける人々の声を人権デューデリジェンスの取り組みの中心に置くために、政府や企業に求められる役割について3日間議論されました。
要点
* 「ビジネスと人権に関する年次フォーラム」は、「人権」に関する企業行動についての国際合意(「ビジネスと人権に関する指導原則」)に基づく実践について議論をする世界最大規模の国際会議である。
* 今回の年次フォーラムにおいても、政府、企業、市民社会、アカデミア等の関係者が、規制・ルール、人権リスク対応の企業の実践、取り組みの実効性向上の方策等について議論を交わした。
* 企業は、人権対応のための形式的な体制整備にとどまらず、課題解決に実際に貢献する取り組みを実践し、その実績を開示していくことが今後重要となると考えられる。
「第11回ビジネスと人権に関する年次フォーラム」から見える今後求められる企業行動
2022年11月28日から30日にかけて、スイス・ジュネーブの国連欧州本部にて、11回目となる「ビジネスと人権に関する年次フォーラム(11th UN Forum on Business and Human Rights)」が、対面とオンラインによるハイブリッド参加形式で開催されました。「ライツホルダーを中心に(Rights Holders at the Centre)」をテーマに掲げた本フォーラムでは、先住民や地域住民、その人々を支援する人権擁護家等の脆弱な立場にある人々の声を人権デューデリジェンスの取り組みの中心に置くことの重要性が議論され、実際に負の影響を受けている当事者が登壇する機会も多く設けられました。欧米を中心に、企業の人権対応と関連する法規制の強化も進む中、企業は、規制対応といった形式面での取り組みに加えて、関係者を巻き込みながら、サプライチェーンを含めた自社の事業活動に潜む人権課題の発見・解決のための実効的取り組みを進めていくことが求められています。
人権デューデリジェンス実践における政府と企業の役割
2021年に国連ビジネスと人権に関する作業部会が公表した「UNGPs 10+ ビジネスと人権の次の 10 年に向けたロードマップ」の進捗を確認するセッションでは、欧州委員会のコーポレート・サステナビリティ・デューデリジェンス指令案をはじめとする人権デューデリジェンス法制化の動向に対して、期待の声とともに、法制化による中小企業への影響に関しては、発展途上国における中小企業の能力強化を中心に、政府の役割が重要であることも強調されました。国連の専門機関の代表者も、企業と各分野の専門家が連携して人権尊重の取り組みを進める必要性を訴えました。日本からは、国際人権問題担当の中谷元内閣総理大臣補佐官が本フォーラムに登壇し、日本政府の取り組みとして、2022年9月の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」について説明することに加えて、公共調達の判断材料の一部に企業の人権対応を含める議論を開始したことを紹介したことは、日本政府内でのガイドラインを軸にしたさらなる取り組みの検討が進んでいることを示すものと言えます。
ライツホルダーの視点を取り入れた取り組みの必要性
機関投資家が登壇したセッションでは、ESG投資における環境や人権への影響の考慮がチェックリスト的な対応にとどまらないよう、ライツ・ベース・アプローチ(権利に基づくアプローチ)の投資行動の必要性がフォーカスされました。英国年金基金フォーラム(LAPFF)の議長を務めるダグ・マクマルド氏は、ブラジルの資源大手Vale社の鉱山ダム決壊事故により影響を受けたコミュニティを訪問した時の経験を踏まえ1、投資家として、救済を必要としている人々の声を直接聞き、期限を設けて投資先企業に行動を促すことを通じて説明責任を果たすことを強調しました。
非司法的な救済の仕組みを開発・運用する上で、ライツホルダーの視点が必要不可欠なことも強調されました。労働者主導型の苦情処理メカニズムとして、米国のCIW (Coalition of Immokalee Workers)によるフェア・フード・プログラム(FFP)のケースを例に、農業従事者がFFPモデルの発展にどのように貢献したかが紹介されました。先進的と評価されているこうした取り組みは、ライツホルダーと丁寧なコミュニケーションを行いながら進めるWSR(Worker-driven Social Responsibility)、すなわち労働者主導型の社会的責任という考え方が提唱される中、企業が、実効的な人権救済の仕組みの構築を進める際に参考にできる事例のひとつと言えるでしょう。
先住民や人権擁護家が直面する人権侵害
本フォーラムでは、開会式と閉会式を含む27のセッションが開催されましたが、多くのセッションで、地域住民や先住民、人権擁護家に対して発生している脅迫や暴力についての言及がなされ、人権への負の影響を受けやすい女性、先住民、地域住民、移民労働者、中小企業や労働組合員等が、人権擁護活動を行うことで迫害を受けやすい状況に置かれる状況に関し、先住民や人権擁護家との連帯を表明するシーンもありました。あるセッションでは、資源採掘プロジェクトの影響で、地域住民の水へのアクセスが脅かされている状況や、地域住民に対する情報共有や意見交換をする機会の不足について、インドネシアから人権擁護家が匿名でリモート登壇する場面もありました。
特に脆弱なライツホルダーを保護するための法的体制・苦情処理のツールやシステムに関しては、導入されたとしても、実際の運用で障壁にあたることが問題として提起され、法的代理人へのアクセスや金銭面のバリア、言語の壁等が挙げられました。今後の課題として、アクセスポイントの多様化や、ライツホルダーの利用しやすさを重視したツールや仕組みを構築していくことの重要性が強調されました。
日本企業への示唆
各国地域で加速する人権デューデリジェンス法制化に代表されるように、企業に対して、社内外のステークホルダーと対話・協議しながら、人権リスクを特定・評価し、顕在化した人権リスクについては、是正・救済を求める社会からの要求は高まりつつあると言えます。こうした要請に応えるためには、企業は、人権対応のための形式的な体制整備に止まらず、課題解決に実際に貢献する取り組みを実践し、その実績を開示していくことが今後重要となるでしょう。EYでは人権に関する豊富なデューデリジェンスの経験をもとに、事業者の皆さまが人権に対して実効的な対応を進めていく上での基盤として、人権デューデリジェンス体制の構築を支援しています。
脚注
1.  英国年金基金フォーラム(LAPFF)は複数の機関投資家が参加する投資家グループ。参加メンバーの一部は投資ポートフォリオにVale社を含めていたことから、LAPFFとしてVale社に対するエンゲージメントを展開した。
【共同執筆者】
EY新日本有限責任監査法人 CCaSS事業部
篠原 祥子、平井 采花、三浦 舞子、宇佐美 純
https://www.ey.com/ja_jp/start-ups/un-forum-on-business-and-human-rights-2022

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快活な思考のもたらす魅力『壊れゆく世界の標』(ノーム・チョムスキー、デヴィット・バーサミアン[聞き手]

2023-01-20 | 先住民族関連
レイバーネット(2023/1/19)毎木曜掲載・第284回
富永晶子訳、NHK出版新書、2022年11月刊、1078円)評者:志真秀弘

 これは談論風発で楽しい本だ。
「壊れゆく世界の標(しるべ)」。正直なところ辛気臭いタイトルで、どこが楽しいのかと問われるかもしれない。が、原題は“NOTES ON RESISTANCE”。つまり「抵抗の覚え書」である。このほうが内容とピッタリする。
 家を訪ねて居間に通され、老いてなお矍鑠たるチョムスキーさんの話を聞くーその臨場感がこの本には溢れている。聞き手はジャーナリストのデヴィット・バーサミアン。かれの質問も当意即妙でこのインタビューの面白さの一翼を担っている。アメリカ政治への批判、国際情勢、これからの運動のことなどがユーモアを交えて語られ、時に愛犬の話なども飛び出す。
 チョムスキーは著名な言語学者だが、ベトナム戦争以後反戦運動の活動家としてよく知られている。かれが今住んでいるアリゾナ州オロ・バレーは地図で見ると合衆国最南端と言っていい。インタビューは2020年5月に始まり2021年12月までの全7回。それぞれが本書の各章をなす。世界がコロナ禍にある最中に行われたわけで、とくに断りはないが、オンラインによるものだろう。
 開始された年の11月には大統領選挙が予定されていて最初の2回(本で言うと第一章と第二章)にはトランプが再び勝つかもしれないという切迫感が滲んでいる。
 トランプを支持しているのは労働者階級ではない。富裕層と大企業であって、中心はアメリカ人口の25%を占めるキリスト教福音派だ。共和党はならず者の党派になってしまい、民主党はウォール・ストリートに従う専門職高給取りのための党になっている。が、民主党内の女性や若者のつくる左派は、選挙のあとこそ地域で活動を続けて組織を広げることが必要だとチョムスキーは強調する。かれらは気候変動やパンデミックからアメリカ社会を救おうと努力している。政治動向を大所から見据えながら、リアルな視点もかれは忘れてはいない。
 パンデミックは国際主義抜きには何も解決できない現実を鮮明にした。スペインのモンドラゴンはじめ多くの場所で人々の共同が自然に生まれている。ブラック・ライブズ・マターさらに♯MeToo運動にも触れながら、カール・マルクスは今にも起こりそうな革命を老いたモグラと言ったが、それは「表面のすぐ下まで迫っていると思う」とチョムスキーは快活に語る。
 長い歴史軸と短い時間とを交差させるかれの語りは既製のアメリカ観を根底から崩してしまう。
 無数の先住民に対する虐殺を、アメリカは今も公的に認めていない。アメリカの植民地主義・侵略主義批判はチョムスキーに一貫しているが、それはこうした歴史認識による。
 本書の終章でグラムシの「知性の悲観主義、意志の楽観主義」を語っている。インタビュアーが「陰鬱な時代」の今、何があなたに希望を与えていますかと問う。チョムスキーは、あきらめるのは最悪の事態に手を貸すことになる。「インドの農民たちのように、ホンジュラスの貧しい小作民たちのように、世界中でつらい境遇に瀕した人々のように最善を尽くそう。」そうすれば「恥じることなく生きられるまともな世界」を実現できるかもしれない。「希望を持つしかないのだよ」とかれは結んでいる。
 なお本書に含まれないロシアのウクライナ侵攻をめぐるチョムスキーの考えは以下のインタビュー映像で知ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=yw5DvUgJlZA
*「週刊 本の発見」は毎週木曜日に掲載します。筆者は、大西赤人、志水博子、志真秀弘、菊池恵介、佐々木有美、根岸恵子、黒鉄好、加藤直樹、わたなべ・みおき、ほかです。
http://www.labornetjp.org/news/2023/hon284

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【解説】装飾品を作り、壁画を描いた? 最新の研究で解明進む、ネアンデルタール人の新事実──そして我々のこと

2023-01-20 | 先住民族関連
ニューズウィーク1/19(木) 17:51
<ネアンデルタール人と現生人類との違いはごくわずかだった。では、どうして私たちが地球で生き残ったのか>

化石の骨を基に再現されたネアンデルタール人女性(右)と現代の女性 JOE MCNALLY/GETTY IMAGES
地球上から姿を消して4万年近く。いまネアンデルタール人が脚光を浴びている。
近年の研究によると、太古の時代に生きた太い眉の私たちの親戚たちは、料理人であり、宝石職人であり、画家でもあったらしい。昨年は、ネアンデルタール人の遺伝学的研究の業績により、スウェーデンの古遺伝学者スバンテ・ペーボがノーベル医学・生理学賞を受賞している。
最も新しい発見を見れば、いま科学者たちの目の色が変わっている理由がよく理解できる。
ロシア・シベリア南部のアルタイ山脈にあるチャギルスカヤ洞窟は、ネアンデルタール人の基準からすると、ゴージャスな邸宅と言えるだろう。崖近くの洞窟には2つの部屋があり、入り口からは広大な渓谷を見渡せる。洞窟の住人たちは、緑豊かな土地を移動する馬やバイソンなどの獲物をすぐに見つけられたはずだ。時には、素晴らしい眺望を楽しむこともあったのかもしれない。
「理想的な住居と言っていい」と、トロント大学のベンス・ビオラ准教授(古人類学)は言う。
だからビオラは2010年のある集まりで、ロシア人の共同研究者から「実はサプライズがあるんだ!」と言われたとき、あまり驚かなかった。共同研究者がシャツのポケットから取り出したビニール袋には、保存状態が良好な下顎骨の化石が入っていた。
その化石は、チャギルスカヤ洞窟で見つかった骨だった。ビオラは一目見てすぐに、それがネアンデルタール人の骨だと分かった。
しかし、このシベリアの洞窟から得られた考古学的発見の規模は、ビオラの予想を大きく超えていた。過去11年間の発掘調査により、9万点の石器、30万点の骨片が見つかっている。昨年10月には、ビオラやペーボも参加した共同研究の成果が科学誌ネイチャーに発表された。
遺伝学的研究により、この洞窟で見つかった骨の主たちは家族関係にあることが分かった。父親と10代の娘など、遺伝的つながりのある少なくとも11人の骨が特定されている。ネアンデルタール人の家族集団が確認されたのは、これが初めてだ。骨の主たちはほぼ同時期に、おそらく餓死したものとみられる。
考古学的発見と、この10年で導入された最先端のテクノロジーにより、ネアンデルタール人に関する古い固定観念が打ち砕かれ始めた。
ネアンデルタール人は、棍棒を握って背中を丸めて歩き、ごく簡単な言語だけを発する原始的な人々などではなかったようだ。もっと知的で洗練された文明を持っていたらしい。
近年の科学的研究により、ネアンデルタール人への理解が急速に深まっている。同時にネアンデルタール人との比較により、私たち現生人類の特徴も明らかになりつつある。
<DNAの違いは1.5~7%>
多くの「ヒト属」の種はアフリカで誕生し、まずヨーロッパや中東へ、そしてさらに遠方へ移り住んだ。ネアンデルタール人が移動したのは20万年前。現生人類は6万年ほど前に移動した。ネアンデルタール人と現生人類は2万年ほど共存していたが、その後、ネアンデルタール人が絶滅し、現生人類は地球上に生き残った唯一のヒト属の種になった。
「現生人類は6万年前、既にほかのヒト属が生きていた世界にやって来ると、進化のプロセス全体の中では極めて短い期間で、世界の全ての大陸に進出し、あらゆる生態系を支配し、行く先々でことごとく大量絶滅を引き起こした」と、カリフォルニア大学サンタクルーズ校のリチャード・グリーン助教(生体医工学)は指摘する。
「ネアンデルタール人はそのようなことを行わなかった。その点では、ほかのヒト属も同様だ。この違いを生み出した遺伝学的・生物学的変化はどのようなものだったのか」
現生人類とネアンデルタール人の類似点が明らかになるにつれて、この問いに答えるためのヒントが見えてきている。
21年のグリーンらの研究によると、現生人類とネアンデルタール人のDNAの違いはごくわずかだ。その違いは1.5~7%にすぎないという。
1つの可能性は、このごくわずかな遺伝学上の違いが現生人類の成功の要因だというものだ。そのDNAのおかげで現生人類の脳には、大規模で組織的な文明を築く能力や、敵の多い不確実な世界で生き延びるために必要なリスクを取る能力が備わったのかもしれない。
しかし、DNAの違いはあまりに小さく、大きな影響を生んでいない可能性もある。もしそうであれば、ネアンデルタール人が絶滅して、現生人類が生き残ったのは、運命のいたずら、言い換えれば些細な偶然が原因だったのかもしれない。状況が違えば、現生人類ではなく、ネアンデルタール人が地球上で繁栄を謳歌したのだろうか。
この問いの答えはまだ分からない。しかし、新しい手がかりが続々と登場している。
進化の系統樹で、ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)に至る枝と、ホモ・サピエンス・サピエンス(現生人類)に至る枝が分岐したのは、ざっと40万~45万年前のことだった。
アフリカを出発したネアンデルタール人は、ヨーロッパや中東を経て、シベリア南東端に到達した。その後、ヨーロッパの氷河期を生き延び、最終的には35万年にわたり存続した。これは、現生人類が誕生してから今日までの期間よりはるかに長い。
<低身長でずんぐりした体系>
しかし今から4万年ほど前、ネアンデルタール人は突如として姿を消した。その後、再び表舞台に登場したのは、19世紀半ばのことだった。
1856年、ドイツ西部デュッセルドルフ郊外のネアンデル渓谷で石灰岩を採掘していた作業員たちが、頭蓋骨などの骨の化石を掘り出したのだ。頭蓋骨は眉から下が欠けていて、左右がつながった太い眉の骨が前方に大きく突き出していた。
長い間、ネアンデルタール人は現生人類よりも進化レベルが低く、知能も劣る下等な親戚だと推測されてきた。ところがここ数十年で、その生活や人類の歴史における位置付けについて、これまで分かっていた(と思われていた)ことを見直す動きが専門家の間で広がり始めた。
「この10年でネアンデルタール人は、われわれが考えていたよりも現生人類に近かったことを認める動きが出てきた」と、ペーボは言う。
最近の生体力学的な分析により、ネアンデルタール人も直立二足歩行をしていたことが疑いの余地なく立証されたと、英リバプール大学の考古学者レベッカ・ウラッグサイクスは語る。彼女の著書『ネアンデルタール』(邦訳・筑摩書房)は、ネアンデルタール人について現在分かっていることに関する、最も信頼できる解説と評価されている。
<後ろから見たら「普通の人」>
ネアンデルタール人の身長は145~167センチで、現生人類よりもやや低い程度だったが、体重は63~82キロと、はるかにずんぐりした体格だった。体表面積が小さかったことは、アフリカ以外の寒冷地で体温を保つのに適していたはずだ。
頭蓋骨は私たちよりも大きく、額は前方に斜めに突き出ていた。大きな鼻は、凍えるように冷たく乾燥した外気を温めて、湿らせてから肺に送り込むのに役立った。眼窩(がんか)が大きいのは、暗い場所でも視力を確保するためだったと考えられている。
「ネアンデルタール人を後ろから見たら、普通の人だと思うだろう」と、ウラッグサイクスは語る。「ところが向こうが振り向いたら、『うわっ、こんな人見たことない』と思うだろう。それでも何らかの交流は持てるはずだ。つまり、ネアンデルタール人は太古の昔に存在した原始人だという認識は、進化のプロセスにおける真の位置付けと一致しない。ましてや考古学的な証拠とは全く矛盾している」
近年は、ネアンデルタール人の骨の変形や歯のすり減り具合を分析して、コンピューターシミュレーションを行うことによって、従来なら考えられなかった推測も可能になった。
<利き腕が極端に発達>
例えば、多くのネアンデルタール人は右利きだった可能性が高く、極度にたくましい二の腕を持っていたようだ。利き腕の筋肉は反対の腕よりも25~60%大きく発達しており、狩猟中に強烈な力で木製の槍(やり)を振り下ろして獲物を仕留めるのを可能にしていたようだ。
ネアンデルタール人は歯を第3の手のように使ったようだ。万力のように動物の皮革を歯でがっちりくわえて、丁寧に加工して、暖かい衣服に仕上げていたらしい。
ネアンデルタール人が互いに深い愛着を抱いていたことも分かっている。初期のネアンデルタール人が仲間同士で交流し、死者を埋葬していた証拠は、初期の現生人類の埋葬の証拠よりも多く残っている。ただ、死者を解体して食していた地域もある。これについては、死者を悼むプロセスの一部だった可能性が指摘されている。
さらに、チャギルスカヤ洞窟に住んでいた家族の痕跡は、ネアンデルタール人に高度な社会組織があったことも示している。「注目すべきは、男性ではなく女性が集団の間を渡り歩いていたらしいことだ」と、ペーボは語る。ペーボはマックス・プランク進化人類学研究所の教授として、ネイチャー誌掲載論文の共著者を務めた。「これはこの論文で初めて明確に示されたことで、社会組織について重要なことを物語っている」
驚くべきことに、最近の研究ではネアンデルタール人に一定の調理技術があったことも分かってきた。複雑な方法で食料を食べやすく加工していたというのだ。リバプール大学の研究チームは、ネアンデルタール人の炉跡とその周辺で見つかった炭化物の分子構造を調べて、現代の調理食品の分子構造と比較した。
すると、炭化物の多くの断片に、「独特の風味特性」を持つ植物や種子が混ざっていることが分かった。その一部は、水に浸したり、細かく砕いたり、他の材料と混ぜるなどの処理せずに食べると体を壊しかねないと、リバプール大学の植物考古学者ゼレン・カブクチュは指摘する。
「現代でいうレシピがあったかのようだ」と、カブクチュは本誌に語った。「食料はエネルギーや栄養を摂取するためだけでなく、調理の対象にもなっていた。これは(ネアンデルタール人の)狩猟と採集の方法に文化的な複雑性があることを示唆している」。カブクチュが共同執筆した論文は、科学誌アンティクィティの22年11月号に発表された。
<現生人類の違いは何なのか>
ネアンデルタール人は火を使った加熱処理によって合成材料を作り、道具や武器を改良していたことも分かってきた。ウラッグサイクスによると、炉跡の堆積物を分析したところ、ネアンデルタール人が原始的な接着剤バーチタールを作っていたことが分かったという。これは北米の先住民がよく使っていた接着剤で、道具に持ち手を付けるのに使われた可能性が高いという。
「この接着剤を作るためには、カバの木(の樹皮)を加熱処理しなければならない。そのためには火加減を慎重に調整する必要がある」と、ウラッグサイクスは語る。
<脳の体積はほぼ同じだが>
こうしたことは全て、ネアンデルタール人に高度な知性があった証拠だ。では、ネアンデルタール人と現生人類の違いは何なのか。
具体的な結論を出すのは時期尚早だが、新たな発見は有力な手がかりを与えてくれる。
化石を見る限り、ネアンデルタール人の脳はかなり発達していた。現生人類の脳は、チンパンジーの脳の3~4倍の大きさだが、ヒト属の脳が最初からそんなに大きかったわけではない。急激に拡大し始めたのは約200万年前で、60万年前に現在と同等の大きさになった。現生人類がネアンデルタール人から分岐したのは、その20万年後のことだ。ネアンデルタール人の脳の形(楕円体)は、現生人類の脳(ほぼ球体)とは異なるが、体積はほぼ同じだ。
グリーンやペーボらの研究者は分子生物学の手法も活用している。ペーボはヒトゲノムの遺伝情報と遺伝子の各領域の機能に関する知見を参考にして、ネアンデルタール人と現生人類の遺伝子の差異のうち機能の違いをもたらした可能性が最も高そうな3万点のリストを作成した。グリーンも独自のリストを作っている。
遺伝情報の差異の多くは「特に神経組織で発現する遺伝子に集中している傾向がある」と、グリーンは言う。「われわれの神経の発達と、おそらく認知機能がネアンデルタール人と異なることを示唆するものだ」
この相違の理由を突き止めるため、ペーボやグリーンを含む多くの研究者は最先端のテクノロジーを駆使して、DNAと幹細胞からニューロン(神経細胞)の集合体「脳オルガノイド」を実験室で培養している。さまざまな細胞に変化する幹細胞の特性を利用した脳の3Dモデルだ。さらに遺伝子編集技術クリスパー・キャスナイン(CRISPR-Cas9)を用いて、培養した現生人類の脳モデルをネアンデルタール人の脳に近づけ、その「加工」が脳細胞の発達にどう影響するかを観察する。
<なぜ現生人類は競争に勝てたのか>
17年には、ペーボと頻繁に共同研究を行っている神経生物学者のグループが、発達中の大脳皮質、特に前頭葉(言語表現、創造性、作業記憶、行動などをつかさどる部位)で活発になる現生人類特有の遺伝子変異を特定した。彼らは昨年、この変異によって幹細胞は大脳新皮質のニューロンをより多く作り出し、私たちの祖先は前頭葉に余分なニューロンを蓄えることができたとする研究結果をサイエンス誌に発表した。
別の論文では、現生人類は他の変異によって、遺伝的欠陥の少ないニューロンを発達させることが可能になり、より多くのニューロンが発達過程で生き残れるようになったことが示唆された。
<装飾品を作り、壁画を描いた>
グリーンによれば、脳オルガノイドでネアンデルタール人に特有の遺伝子を1カ所だけ、現生人類の脳モデルの遺伝子と置き換えると、脳の形が「おかしくなる」という。この改変が正常な脳の発達に欠かせない重要なプロセスに干渉していることを示唆する発見であり、他の多くの遺伝子にも影響を与えている可能性が高いと、グリーンは指摘する。
干渉を受ける他の遺伝子は具体的にどれか、その結果、現生人類とネアンデルタール人を分けた行動や認知の変化をどのような形で引き起こしたのか――正確な答えが分かるのは、おそらく何年も先だろう。それまでの間、この変化が抽象的思考やその他の特性に関係しているのかどうかも確かめようがない。
トロント大学のビオラ(考古学の専門家であり、遺伝学者ではない)は、現生人類がネアンデルタール人との競争に勝てた理由をめぐる謎を遺伝学で解明できるという見方には懐疑的だ。それどころか、現生人類がネアンデルタール人に勝ったのは遺伝子の相違によるものでは全くない可能性もあると考えている。「DNAは多くのことを教えてくれるが、過去に起きた現実の出来事を説明できるとは思わない」
ネアンデルタール人のようなヒト属の小さな集団は絶滅のリスクが極めて高いと、ビオラは指摘する。自然災害や度重なる悪天候、パンデミックなどの外的要因で簡単に全人口が失われかねないというのだ。
最初にヨーロッパに現れた人類は現代ヨーロッパ人はもちろん、その1万年後のヨーロッパ人とも無関係な集団であり、外的脅威の前になすすべなく絶滅したと、ビオラは言う。
「運の重要性は強調してもしすぎることはないと思う。われわれと遺伝的に同じ現生人類の集団も、多くは移り住んだ地域で全滅した」
<装飾品を作っていた>
もしネアンデルタール人が私たちの代わりに生き残っていたら、彼らも現生人類と同レベルの発展を成し遂げたのか――その可能性については、ビオラも否定していない。近年、ネアンデルタール人の遺跡から最も人類らしい特徴、つまり複雑な象徴的思考能力と象徴を用いた初歩的なコミュニケーションの萌芽を示唆する考古学的証拠が見つかっているのだ。
10年にはスペイン南東部で調査を行った考古学者のチームが、約5万年前(現生人類が到達する1万年前だ)の2つの洞窟で発見されたザルガイとホタテガイの貝殻に人工的に開けたと思われる穴と、装飾用の赤い顔料の跡を確認したと発表した。ネアンデルタール人が彩色した貝殻をひもでつなぎ、装飾品として身に着けていた可能性を示唆する発見だ。顔料が交じったワシの爪も見つかっている。さらに彼らは羽毛の装飾を身に着けていたとする説もある。
一部の遺物や骨、少なくとも1つの石には粗い斑点や線、彫刻の痕跡があった。英ダラム大学のポール・ペティット教授(旧石器時代考古学)は、明らかに塗料として使われた赤い顔料の斑点が25万年前のネアンデルタール人の居住地で見つかったと語る。控えめに見ても、ネアンデルタール人が非言語的コミュニケーションの初歩を理解し、ことによると象徴的思考や想像力を駆使していた可能性を示すものだという。
「20年ほど前から、彼らが自分の体を飾り立てていた事実が認められるようになった。この点については議論の余地はほぼなくなっている」
注目に値するのは、この顔料が原始的な洞窟美術にも使われていたことだ。ペティットらは18年、スペインの3つの洞窟で見つかった赤い顔料の奇妙な「壁画」を分析した。複数の点と線、長方形、数十の手形からなるこの壁画は、壁に手を当て、その上から口に含んだ顔料を吹き付けて作ったとみられるという。
3つの洞窟で見つかった遺物の年代測定から、その一部は現生人類が到達するずっと前の6万5000年前のものと推定された。ある専門家は「人類進化の分野における画期的大発見」と評し、ネイチャー誌にこう語った。「人類史の根本的な見直しを迫るものだ。現生人類とネアンデルタール人の行動の違いはほんのわずかしかなかったことになる」
「これらの洞窟で少なくとも彼らはメッセージを(描く対象を)体から外部の媒体である洞窟の壁へと広げるために、顔料を使い始めたようだ」と、ペティットは語った。
「これは認知的に非常に重要な分かれ道だった可能性があると思う。その場で相手と面と向かってやりとりするのではなく、壁に永続的に残すことでメッセージを時空を超えて伝える可能性を手にしたのだ」
これに洞窟の奥深く(そんなところを探検する理由など、好奇心以外に考えにくい)で命を落としたネアンデルタール人がいた証拠を併せて考えると、新たな可能性が見えてくると彼は言う。
<運命を分けたのは社会性?>
ネアンデルタール人には象徴的思考の能力があったのではという非常に興味深い仮説は、1990年代にフランス南西部の洞窟の奥深くで、折れた石筍(せきじゅん、洞窟の天井から落ちるしずくに含まれる石灰分が固まったもの)を積み上げて作った半円形の低い壁のような構造物が見つかったことに端を発する。2016年にこの構造物は、約17万6000年前のものだと突き止められた。
構造物のある場所は洞窟の入り口から300メートル以上離れていて、途中には四つんばいにならないと通れない狭い場所がいくつもある。見つかった構造物は6つで、それぞれ約400個の石筍が積み重ねられていた。石筍の大半が部分的に焼け焦げていたことから、構造物の内側では火がたかれていたとみられる。
「この謎めいた構造物はあまりに奇妙。日常生活との関連では説明できない」と、ペティットは言う。「明らかになりつつあるネアンデルタール人の知的好奇心について何かを物語っているに違いない。新しいデータが増えるほど、ネアンデルタール人は認知的にも行動的にも私たちに近いことが分かってくる」
だがグリーンもペーボも、現生人類がネアンデルタール人を圧倒したのは運がよかっただけだという考えには否定的だ。現生人類の先祖たちがアフリカを出て他の地域に広がり、新しいさまざまな技術を開発していったスピードはあまりに速く、先祖たちを大きく有利に導いた何かがあったはずだと言うのだ。
「長い長い年月、歴史のどの時点を取っても、初期のヒト属の数が数十万人を超えることはなかった」と、ペーボは言う。「技術は非常にゆっくりと時間をかけて進歩した。(生息域の)広がり方も他の哺乳類と変わらなかった。対岸に陸地が見えないのにわざわざ海や川を渡ったりはしなかった。そして遅くとも7万年前に現生人類が登場した。状況が変わり始めたのはそこからだ」
約10万年前に初期の現生人類が使っていた技術は、同時期のネアンデルタール人と大差なかった。だが5万~10万年前のいずれかの時点で「文化の発達が急加速」したと、彼は言う。ネアンデルタール人は現生人類と少なくとも1万年は共存したが、間もなく姿を消した。
「西ヨーロッパだろうが中央アジアだろうが、(使われていた)技術はどこのものも非常に似ていた」と、ペーボは言う。「だが現生人類では、技術は非常に急速に変化するようになり、地域ごとの違いが生じるようになった。専門家も道具を見ただけで、南ヨーロッパのものに違いないとか、中東のものだろうと言える」
<謎の全容解明までの道は遠い>
現生人類が優位に立った理由についてペーボは、大きな集団を形成したり考えを効率的に伝え合う能力がネアンデルタール人を上回っていたからだろうと考えている。7万年や10万年前に突然変異によって人類が賢くなったと考えるのには無理があると、彼は言う。一方、現生人類に「(ネアンデルタール人より)大きな社会集団、大きな社会をつくり上げる傾向」があり、「ほんの数万年で」ネアンデルタール人を打ち負かしたというなら理屈が通ると、ペーボは考える。小さな集団での生活は「たぶん初期の人類全てが置かれた状況だった。現生人類に特別な状態はここから始まる。何らかの変化が起きたのだ」と、彼は指摘する。
<クレイジーさが勝利の要因>
「ネアンデルタール人の一人一人は私たちと同じくらい賢かったのかもしれないと思う」とペーボは言う。「だが私は、現生人類には社会性に関係する特性があり、大きな集団を形成したり互いの世界観に影響を及ぼし合うことを可能にしているという確信がある。それは大きな社会を形成するのに必要な性質で、技術革新の頻度が上がるといった多くの影響をもたらしたかもしれない」
現生人類が優位に立てた理由はほかにもあるだろう。「現生人類には、ほかには例を見ないクレイジーなところがある」と、ペーボは言う。「太平洋に航海に出て、イースター島を見つける前に命を落とす人がたくさんいたなんて、どうかしているとしか言えない。今だって人類は火星に行こうとしている。私たちは探検をやめられない。それが文化なのはもちろんだが、そこには何らかの生物学的基礎があるように思える」
考古学者であるペティットは、現生人類という種全体が優れた「想像世界の探検家」ではないかと考える。グリーンもその考えに同意する。
「われわれ(現生人類)は、ネアンデルタール人とは違った意味で、言語とコミュニケーションの達人だ」と、グリーンは言う。「自分の知識のうち、書き言葉や話し言葉を介して他者から伝えられたものはどのくらいあるかを考えると、われわれは個人としては何も知らないことが分かる。私たちは、先人たちが親切にも書き残してくれたものに依拠している。もしネアンデルタール人がその点において(現生)人類より多少なりとも劣っていたら、われわれが勝利するのは当然だ」
謎の全容解明まで、まだ道は遠い。人類の言語やコミュニケーションをつかさどる遺伝的特徴もいまだ解明されていないと、グリーンは言う。チャギルスカヤ洞窟のような遺伝子データの宝庫がもっと見つかるといいのだが。
アダム・ピョーレ(ジャーナリスト)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2b6539e0581904fbbb468e2635858c9f0a3057a0

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プロ厳選!「2023年行きたい海外旅行先」ベスト8 日本から行きやすくなる場所も増えている

2023-01-20 | 先住民族関連
東洋経済2023/01/19 06:01
コロナ禍を経て旅行需要が復活しつつありますが、多くの人がしばらく旅行していない間に、例えばよりサステナブルな旅行先や旅行手段が選ばれるようになるなど、特に海外を中心に旅行のトレンドが大きく変わっています。本稿では前編(「5大変化」で日本人の旅行は2023年かなり変わる)で紹介した5つのトレンドを踏まえて、個人的におすすめの「2023年に行くべき海外旅行先ベスト8」を紹介します。
高価値な旅行を望むならブータンへ
ラオス
ポイント:新幹線で国内移動が便利に
一昨年12月に「中国ラオス鉄道」が開通。首都ビエンチャンから古都ルアンパバーンの移動が車で5~6時間から2時間弱に大幅短縮され、国内の移動が容易になりました。フランス植民地時代の面影が残る世界遺産都市ルアンパバーンは必見です。
ブータン
ポイント:「量より質」 観光の未来を提案する
昨年9月より1日200ドルの観光税を導入したものの、高価値な旅行の提供を掲げます。2019年に「シックスセンシズ ブータン」が開業。今年後半にはアフリカを中心に高級サファリロッジを展開する「& BEYOND プナカ リバー ロッジ」も開業予定。
イスラエル
ポイント:いよいよ3月に直行便が日本初就航
今年3月1日にエル・アル航空が成田~テルアビブ線開設。エル・アル航空は”世界で最も安全な航空会社”として厳重なセキュリティチェックでも有名です。テルアビブのベン・グリオン国際空港から1時間弱で行ける聖地エルサレムの旧市街は、一度は行きたい世界遺産です。
フランス・パリ
ポイント:聖地巡礼からスポーツ観戦まで見どころ満載
一度見るとパリへ行きたくなるドラマ「エミリー、パリへ行く」が大ヒット。さらには、昨年11月には『エル』誌がプロデュースする初のホテル「メゾン・エル」が開業し、ルイヴィトン本社では昨年12月から今年11月15日までの期間限定で展示スペース「LVドリーム」とカフェがオープン。また今年9~10月にはラグビーワールドカップも開催されます。
イギリス・エジンバラ
ポイント:高級ホテルオープンラッシュ
昨年は高級老舗リゾートの初のシティホテル「グレンイーグルスタウンハウス」や航空会社も所有するヴァージン・グループのイギリス初開業となる「ヴァージンホテル」が開業。さらに今年8月にはアレキサンダーマックイーンにインスパイアされた「100プリンセスストリート」、冬には「Wエジンバラ」も開業予定で高級ホテルのオープンが目白押しです。
エジプト
ポイント:エジプト文明に触れるなら今
建設に10年以上かかった国家プロジェクト「大エジプト博物館」がいよいよオープンを予定。ギザの三大ピラミッドから約2kmに位置し、収蔵品は約10万点。中でも5000点を超えるツタンカーメンの全遺物の展示が目玉です。
さらにエジプト文明を深く感じたい方はナイル川高級クルーズも外せません。昨年はバイキング・オシリス号、今年はバイキング・アトン号が加わり、優雅な旅が実現可能です。
ゴールデンウィークは2日休めば9連休に
オーストラリア・クイーンズランド州
ポイント:先住民とサステナブルな形で関わり合う
オーストラリアやカナダをはじめ世界各地で、先住民へ土地を返還し、その土地の運営や観光などへの活用を先住民主導で行う動きが始まっています。中でもゴールドコーストやケアンズがあるクイーンズランド州は過去2年間で数千ヘクタールを返還するなど積極的で、2021年9月には世界最古の熱帯雨林で世界遺産のデインツリー国立公園をクク・ヤランジ族へ返還しました。
また、今年6月28日にはヴァージン・オーストラリアが日本初就航。羽田とケアンズを毎日1便運航し、ANAとのコードシェアを行います。
ペルー・リマ
ポイント:世界が認めた美食の国へ
ワールドトラベルアワード「美食の国部門」でペルーは過去10年で9度の最優秀賞を受賞。世界のベストレストラン50 2022では2位のCentralをはじめ3軒のレストランが選ばれています。太平洋、アンデス山脈、アマゾンと全く異なる地域で採れる豊富な食材を有し、そこに多くの移民の文化もミックスされて今なお進化を遂げるペルー料理は必食です。
さて皆さんは、今年はどこへ行きますか?7月、9月、10月は毎月3連休があり、2月、3月には1日休めば4連休になる週末があります。そしてゴールデンウィークは2日休めば9連休に。これらの休みを活用すれば、たとえ会社員でも行けない旅先はありません。コロナ禍で諦めなくてはいけなかった海外旅行、復活するなら”今”です。
前編:「5大変化」で日本人の旅行は2023年かなり変わる
著者:東松 寛文
https://news.goo.ne.jp/article/toyokeizai/life/toyokeizai-646593.html

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阿寒湖ICE・愛す・阿寒『冬華美』

2023-01-20 | アイヌ民族関連
イヴェントバンク2023/01/19 10:00

NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構
-20℃の澄みきった夜空に華が咲く
期間中、毎日全面氷結した湖上にて、19:30~「願い鍵」の販売(1500円)と阿寒アイヌ工芸組合による「カムイノミ」を特設ステージ(ニュー阿寒ホテル裏)にて行われる。また、20:00~の「冬華美」を目の前で鑑賞できる。氷点下の澄み切った空気の中、アイヌ民族による幻想的な儀式と夜空に浮かび上がる大輪の華をお楽しみに。
開催日時
2023年2月1日(水)~3月3日(金)
20:00~20:05
備考
花火打ち上げは20:00から5分程度。「冬華美」のみ3/19まで開催。
会場
阿寒湖温泉
北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉
料金
無料
アクセス
公共交通:-
車:釧路空港より約60分/JR釧路駅より約80分
駐車場
なし
お問い合わせ
0154-67-3200(NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構)
ホームページ
https://ja.kushiro-lakeakan.com/things_to_do/1855/
※掲載の情報は天候や主催者側の都合などにより変更になる場合があります
https://news.goo.ne.jp/article/eventbank/region/eventbank-10466418.html

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