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2023年度政府予算案のポイント

2022-12-24 | アイヌ民族関連
北海道新聞12/24 02:02 更新
 1次産業振興、日ロ外交、エネルギー問題、アイヌ政策や新型コロナウイルス感染症対策など、日本・北海道を取り巻く課題は山積している。2023年度政府予算案は暮らしの安心につながるのか。内容を整理した。
■1次産業 食料安保強化へ麦・大豆国産化 

 農林水産関連は前年度比0・4%減の2兆2683億円となった。ウクライナ危機に伴う穀物の輸入価格高騰を受け、食料安全保障の強化に向けて283億円を計上した。食料自給率向上を目指し、海外依存度が高い麦や大豆などの国産化を進める事業に173億円を盛り込んだ。コメ余りが課題となる中、米粉を使った商品の開発・普及を支援する事業に8億円。海外に依存する化学肥料の安定供給対策に1億円を充てた。
 主食用米から麦や大豆などに転作した生産者に支払う「水田活用の直接支払交付金」は4・3%減の2918億円。麦や大豆、テンサイなど畑作物の生産を支援する交付金は3・6%減の1984億円、飼料高騰で経営環境が悪化する畜産・酪農家の経営安定対策は1・4%減の2265億円と、経営所得安定対策は軒並み減額となった。
 クリーン農業を目指す「みどりの食料システム戦略」関連では、化学肥料や農薬の使用を低減しつつ生産性を高める技術開発に32億円を計上。牛のげっぷから発生する温室効果ガスを減らす畜産・酪農家の支援費として63億円を確保した。
 水産分野では、引き続き水産物の資源管理に重点を置く。漁業資源減少の一因とされる外国漁船の違法操業の取り締まりを強化。サケの回帰率を高める放流体制への転換も支援する。資源低迷で漁業者が単一の魚種に頼れなくなる中、1隻で複数の漁法を使える多目的船の導入などに13億円を充てた。(佐々木馨斗)
■日ロ外交 侵攻で経済協力大幅減
 日ロ関連は、ロシアのウクライナ侵攻を受けた関係悪化により、大幅な減額が目立った。日本政府は対ロ制裁を続けており、経済協力分野の多くの事業は計上を取りやめた。
 経済産業省は、エネルギーなど8項目の日ロ経済協力プランの関連予算として、22年度当初予算では日本企業とロシアの現地企業を結び付ける貿易投資促進事業など16事業に21億円を計上したが、今回は見送った。農林水産省も同様に、同プラン関連の予算を計上しなかった。
 同プランは安倍晋三政権時代の16年にロシア側に提案。経済協力をてこに北方領土交渉を進展させようと予算を計上してきたが、ウクライナ侵攻を受け、岸田文雄首相は同プランを見直す方針を示していた。
 外務省の北方領土関連経費も前年度当初比16%減の3億1千万円。特に、北方四島での日ロ共同経済活動に向けた経費は前年度当初の3700万円から630万円へ大幅に減額した。
 一方、サハリン州との協力事業に関する援助金約1億5千万円は計上した。四島周辺水域での日本漁船の安全操業協定の履行条件としてロシア側が求めており、今後も継続して支払う意向を示した格好だ。
 内閣府の北方領土関連費は前年度当初予算と同額の約17億円。新規事業として、北方四島での生活史アーカイブを構築するための調査研究に1千万円、映画館CMや小学生新聞など多媒体を組み合わせた領土問題の広報・啓発に5千万円を盛り込んだ。(土屋航、玉邑哲也)
■アイヌ政策 ウポポイ関連費横ばい
 アイヌ政策関連は前年度当初比1%減の58億円となった。このうち胆振管内白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の管理運営などの費用は、前年度当初から横ばいの31億1400万円を計上した。
 アイヌ政策推進交付金は同2%減の20億300万円。交付金を巡っては、当初予算とは別に2日に成立した22年度補正予算で、道内各地にあるアイヌ文化の伝承などの拠点「生活館」の改修の支援などとして3億4千万円を計上しており、内閣官房は「市町村からのニーズの増加には対応できる」としている。
 このほかアイヌ文化の振興・普及啓発関連に3億1900万円、生活向上関連に3億4300万円を盛り込んだ。(松下文音)
■コロナ対策 司令塔新設で4億円
 新型コロナウイルス感染症関連では、感染症対策の司令塔機能を担う組織として2023年度中に内閣官房に新設する「内閣感染症危機管理統括庁(仮称)」関係費に4億円を計上した。厚生労働省は普段から対応力を高めるために、感染症対策部を設置し職員25人を増員する。
 統括庁では、危機的な感染症が国内で発生した場合に各省庁が的確に対処できるよう、初動対応の研究や実動訓練を実施する。
 新型コロナ対応で得た知見を基に、対策の有効性を分析したりシミュレーションしたりする。国際的な脅威となる感染症についても啓発し、予防を促す。
 厚労省は、健康局に感染症対策部を設け、統括庁と連携を図る。ワクチン接種や検疫の体制確保などの新型コロナ対応に関する費用は、22年度第2次補正予算で3兆円超を計上しており、97億円にとどまった。
 そのうち8億円を保健所や地方衛生研究所の体制強化に充てる。治療薬などの開発や供給を加速させるために、アジアでの臨床研究や臨床試験のネットワークを構築する事業費は3億円を計上した。
 その他、必要な対策は予備費5兆円のうち4兆円の枠の中から充てる。
■エネルギー 海底送電線開発に力
 2050年の脱炭素社会の実現などを目指すGX(グリーントランスフォーメーション)の推進に向け、脱炭素化関連事業に重点配分した。道内関連では、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた海底送電線の技術開発や石炭火力発電所から出る二酸化炭素(CO2)の利活用を進める。
 政府はGX関連に今後10年で20兆円規模の支出をし、民間投資を喚起する方針。23年度は新たに4896億円を計上。一般会計と切り離し、エネルギー対策特別会計で管理する。22年度補正を合わせたGX支援の「16カ月予算」は1兆5335億円に上る。
 北海道と首都圏をつなぐ海底送電線の整備に向けた技術開発費として新たに10億円を盛り込んだ。政府は脱炭素化や首都圏の需給逼迫(ひっぱく)の解消に向け、200万キロワット分の海底送電線を30年度に新設することを目指す。
 関西電力の石炭火力発電所「舞鶴発電所」(京都府舞鶴市)から出るCO2を液化し、苫小牧港まで海上輸送して再利用する実証事業は前年度当初比2・8%減の80億円を計上した。
 釧路コールマイン(KCM)などの炭鉱技術を外国に伝える国の研修事業などには、前年度当初と同額の13億5千万円を充てた。研修事業は例年KCMに委託しており、委託分も前年度と同じ10億3千万円だった。後志管内寿都町と神恵内村で調査が進む、原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場に関する技術開発は5・4%増の37億円とした。(土屋航)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/780085/
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