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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

池澤夏樹さん編「文学全集」30巻完結 日本語文化の豊かさ紹介 現代作家が古典新訳

2020-02-26 | アイヌ民族関連
北海道新聞 02/26 05:00
 札幌在住の作家・池澤夏樹さんの個人編集による「日本文学全集」(全30巻、河出書房新社)が、27日刊行の「源氏物語 下」(角田光代さん訳、3850円)で完結する。2014年から刊行が始まった全集は、池澤さんが現代語訳した「古事記」や札幌出身の円城塔(えんじょうとう)さんが手がけた「雨月物語」など、第一線の作家による古典の新訳が特徴。累計発行部数が52万部を超える人気となっている。
 池澤さんは編集に当たり「日本人とは何かを問う」という視点から作品を選んだ。古典では、川上弘美さんが現代語訳した「伊勢物語」や、古川日出男さんの「平家物語」、島田雅彦さんの「好色一代男」など、文学の最前線で活躍する作家による新訳を収めた。
 このほか川上未映子さん新訳の樋口一葉「たけくらべ」をはじめとする近代文学作品、南方熊楠(みなかたくまぐす)ら民俗学の論文、大江健三郎さんや石牟礼(いしむれ)道子さんらの現代の小説やエッセー、さらに知里幸恵著訳「アイヌ神謡集」などアイヌ文学の作品、日本国憲法前文も所収。さまざまな分野の作品を取り上げ、日本語を用いた文化の豊かさを紹介している。
 道内は、札幌などを皮切りに28日から順次販売される。(中村康利)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/396613

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<ちとせ冬ザケ考>1 海からの恵み 湧き水で命つなぐ野生魚

2020-02-26 | アイヌ民族関連
北海道新聞 02/26 05:00
「おお」
 1月18日、千歳市蘭越地区の千歳川上流部。河畔に林立するミズナラやハルニレの巨木の上、天然記念物のオオワシ、オジロワシが5羽、青く澄み渡る冬空を一斉に舞う。見上げる人たちから感嘆の声が漏れた。
 市民団体「しこつ湖自然体験クラブ*トゥレップ」のワシ観察会だ。参加した市立北陽小5年の下口友瑞華(ゆずは)(11)は「オオワシってきれい。黄色いくちばしがつやつや光って」。悠然と風切り羽を広げ、眼光鋭く地上を見下ろすワシたちの姿を目に焼き付けた。
 この日確認されたワシは20羽以上。はるかロシア極東などから飛来する彼らの目当ては、ここで自然産卵し、命尽きてゆくサケたちだ。鋭い爪とくちばしで引き裂き、ついばむ。産卵後のサケ「ホッチャレ」は、ワシたちの命をつなぐ厳冬期の大切な糧だ。
■遡上2月まで
 千歳川では例年8月から、中流域の市花園にある捕獲施設「インディアン水車」で10万匹を超す「秋サケ」が捕獲される。取った魚は人工ふ化増殖に使う。捕獲は12月上中旬で終わるが、遡上(そじょう)は翌年2月ごろまで途切れない。冬、上流部に足を運ぶ人は、冷たい流れを傷んだ体で泳ぐ「冬ザケ」の多さに目を見張る。
 サケマスを研究する水産研究・教育機構北海道区水産研究所(札幌)主任研究員の森田健太郎(45)も、その一人だ。9年前に千歳川で冬ザケの多さに驚き、調査に通う。研究所では毎年、冬ザケの遡上数を調べており、「一冬で推定3千~5千匹、多い年では1万匹になる」という。
 森田によれば、12月以降に上るサケは「後期群」と呼ばれ、大半が自然産卵で生まれた野生魚。千歳川本来のサケの遺伝子を自力で受け継ぎ、遺伝的な固有性が高い群れだ。多くがふ化施設で生まれて放流され、9~11月に回帰する「前期群」とは遺伝的に異なり、体もぐっと大きい。
 後期群は千歳川の豊富な湧き水を産卵に利用する。湧き水は年中、水温7~8度で安定し、冬に3~4度まで下がる河川水より温かい。そこに産卵すると卵の発生が早くなる。稚魚は3~6月ごろに海へ下るが、後期群の稚魚は前期群より短い期間で成長して海へ行く。サケは前・後期と産卵時期を分散することで、絶滅のリスクを減らしていると考えられる。
■動物の糧にも
 石狩湾で漁獲される千歳川の前期群は、人間にとって「海からの恵み」だ。他方、川で自然産卵する後期群は動物たちへの恵み。雪の河畔ではキツネやタヌキもホッチャレをむさぼる。彼らが食い散らかすことで、サケの体に含まれる窒素などの栄養は植物が生い茂る河畔にばらまかれる。
 「後期群は湧水が豊富な道東の西別川などにもいたとされるが、今は確認できない。まとまった数が自然産卵するのは全国でも千歳川だけ」と森田は言う。
 産卵に適した自然環境が保たれた千歳川で、環境に適応しながら命をつないできた冬ザケ。その存在は、人とサケの関わりを考える上でさまざまな意味を持っている。(敬称略)
(中川大介、大谷佳奈が担当し4回連載します)
■<インタビュー 冬ザケを考える>1 瀬川拓郎さん(62)=札幌大教授 サケと人との関わり、時代で変遷 アイヌサケ漁復活に意義
 北海道におけるサケと人の関係は不変ではありません。時代や地域で変遷してきたことが、近年の考古学研究で分かっています。
 約1万5千年前に始まる縄文期(紀元前4世紀ごろまで)、そして続縄文期(紀元前3世紀~紀元7世紀ごろ)には、サケは植物や魚介、シカなど多様な自然資源の一つであり、自給食料でした。人々はこれを幅広く利用し、サケが上らない川の周辺にも集落を造りました。居住エリアは、川の流域なら洪水被害に遭わない段丘上でした。
 ところが擦文(さつもん)期(8~12世紀ごろ)やアイヌ文化期(13~16世紀)になると、石狩川水系では集落はサケが上る川の流域の内陸部に限られる。札幌や千歳、恵庭、旭川、それも本流ではなく湧き水の出る小川の周辺であり、サケが産卵する場所です。居住エリアも川べりに下がる。洪水のリスクより、サケを大量に捕獲・加工し、出荷しやすい利便性を優先したのです。
 9世紀の終わりから北海道アイヌは本州との交易に傾斜し、10世紀にはそれが顕著になります。現在の青森に関東から人が入り込み、刀や鍬(くわ)などの鉄製品や「須恵器(すえき)」と呼ばれる土器に入れた米などを北海道に出荷するようになった。北海道からは獣皮やサケ、アワビ、アシカなど特定の自然資源が大量に送られます。
 北海道アイヌは酒や漆器、衣類なども含め和人からの交易物資を求めてサケなどを集中的に捕るようになり、サケを常食とする生活様式が定着しました。アイヌ文化期、そして江戸期(17世紀~19世紀半ば)もこの延長上にあり、アイヌ世帯1戸で年に3千~5千匹の「干ザケ」(塩を使わず寒干ししたサケ)を出荷したと考えられます。
 こうした生活様式だからこそ、江戸期に進出した和人による河口でのサケ漁や、「場所請負制」(交易拠点を松前藩が定め、アイヌ民族の自由な交易を制限した制度)の下での搾取の影響は大きかった。アイヌ民族の男手は浜での強制労働にかり出され、集落に残された老人たちはそれでもサケを捕り続けるしかない。明治政府のサケ禁漁措置が追い打ちをかけました。
 アイヌ民族は交易を通じて和人の影響を受けましたが、大量に得られるシカなど大型の自然資源を巧みに利用するという縄文以来の生業のスタイルを受け継いでいた。近代以前の北海道は「縄文的なるもの」が根を張った、生態的には北東アジア的な特殊な土地だったのです。
 現代のアイヌ民族によるサケ漁の復活は、野生生物と交わり、利用してきた北海道の風土の固有性の復権につながると私は考えます。北海道固有の歴史文化を道民が認識し、誇りを持てば郷土意識も高まる。アイヌ民族のサケ漁復活に、それを託してはどうでしょうか。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/396574

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紋別アイヌ協会長らサケ捕獲で書類送検 無許可疑い

2020-02-26 | アイヌ民族関連
北海道新聞 02/25 23:52 更新
 【紋別、旭川】紋別アイヌ協会の畠山敏会長(78)が道の許可を得ずに河川でサケを捕獲したとして道に告発された問題で、道警は25日、水産資源保護法(サケの採捕禁止)と道内水面漁業調整規則(採捕の許可)違反の疑いで畠山会長ら2人を書類送検した。旭川地検が明らかにした。道警は起訴を求める「厳重処分」の意見を付けたとみられる。
 畠山会長らの送検容疑は共謀して昨年8月31日から9月1日にかけ、紋別市の藻別川で道の許可を得ずに、流し網を使ってサケを捕獲した疑い。捜査関係者によると、道警は、道職員の制止に従わずに漁を行った畠山会長らの行為は意図的だとして、立件は可能だと判断したとみられる。
 水産資源保護法は河川でのサケの捕獲を禁じているが、道内水面漁業調整規則は伝統儀式や漁法の伝承が目的の場合、道に申請して許可を得ることを条件に、特別に採捕を認めている。
 これに対し、畠山会長は「サケの捕獲は先住民族であるアイヌ民族の権利」と主張し、昨年8月31日に川に網を仕掛け、9月1日にサケを捕獲して伝統儀式で供えた。道はサケの捕獲直後に紋別署へ告発した。
 先住民族の水産資源権は、2007年に採択された国連先住民族権利宣言にも明記され、実際に儀式用に限らず、サケを捕る権利を認めている国もある。先住民族政策の専門家らは昨年9月、アイヌ民族によるサケの捕獲の正当性を訴え、道に告発取り下げを求める声明を出していた。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/396542

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サケ漁 アイヌ男性ら書類送検

2020-02-26 | アイヌ民族関連
NHK 02月25日 20時15分
川のサケ漁は先住民の権利だと主張する紋別市のアイヌの男性らが、去年、行政の許可を得ずに漁をしたことについて、警察は道の内水面漁業調整規則違反などの疑いで書類送検しました。
「紋別アイヌ協会」の畠山敏会長(78)はアイヌの伝統儀式で使うサケを取るのは先住民の権利だと主張し、去年8月から9月にかけて紋別市内の藻別川で行政の許可を得ずにサケ漁を行いました。
当時、道の担当者が現場で制止したにもかかわらずサケを取ったということで、警察は道からの告発を受けて捜査していました。
その結果、警察は畠山会長を含む複数の関係者を道の内水面漁業調整規則と水産資源保護法に違反した疑いで25日、書類送検しました。
去年施行されたアイヌ施策推進法は、伝統的な漁法の継承のため特別な配慮をするとしています。
これに対し、サケ漁をする際には道の許可が必要な状態が続いていて、サケ漁を先住民の権利として認めるよう求める意見書が道に提出されるなど議論が起きています。
https://www.nhk.or.jp/sapporo-news/20200225/7000018304.html

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ウポポイ 政府の式典4月18日

2020-02-26 | アイヌ民族関連
NHK 02月25日 08時12分
胆振の白老町で整備が進められているアイヌ文化の発信拠点「ウポポイ」のオープンに先立ち、政府が主催する記念式典がことし4月18日に行われることになりました。
アイヌ文化を発信する「民族共生象徴空間」=愛称「ウポポイ」は、ことし4月24日に白老町でオープンします。
これに先立ち、政府が主催する記念式典が4月18日に行われることになりました。
内閣官房アイヌ総合政策室によりますと、菅官房長官、赤羽国土交通大臣、それに萩生田文部科学大臣が出席する方針のほか北海道アイヌ協会やウポポイを運営するアイヌ民族文化財団などの関係者およそ300人が招かれるということです。
式典では、体験交流ホールでアイヌの古式舞踊などが披露されたあと、出席者が国立アイヌ民族博物館や、アイヌ伝統の木彫りや刺しゅうの体験ができる工房それに伝統的なアイヌの住居「チセ」などを見学することにしています。
内閣官房アイヌ総合政策室は「ウポポイの開業に携わった多くの関係者と施設の完成を祝うとともに、来場者数の目標である年間100万人の達成に向けて協力を呼びかけたい」と話しています。
https://www.nhk.or.jp/sapporo-news/20200225/7000018264.html

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カナダ警察が線路封鎖の先住民10人を逮捕、完全な運行再開は未定

2020-02-26 | 先住民族関連
朝日新聞 2020年2月25日12時37分
 [ティエンディナガ(加オンタリオ州) 24日 ロイター] - カナダ東部で居住地へのガスパイプライン建設に反対する先住民らが線路を数週間にわたり封鎖していた問題で、カナダ警察は24日、先住民グループの10人を逮捕し、線路上のバリケードを撤去した。
 カナディアン・ナショナル鉄道(CN)によると、オンタリオ州ベルビル一帯の線路の封鎖が解除され、夜に列車1本が通過できた。だがその後、抗議グループが線路に放火。消防が消火に当たったが、運行の安全性に懸念が生じている。
 これより先、CNは「ティエンディナガにおける違法な封鎖が終わったことを喜んでいる」との声明を発表したが、運行再開の時期には触れなかった。
 報道陣は接近を禁止されていたが、先住民族系リアル・ピープルズ・メディアはツイッターに、線路からの退去を拒否した2人の男性を警官が地面に押し倒している動画を投稿した。
 オンタリオ州警察はツイッターで、「抗議者全員が、退去か逮捕かの選択肢を与えられた。10人が逮捕され、複数の罪を問われているが、全員が条件付で釈放された」と説明した。
 一方、首都オタワでは、先住民グループに賛同して数百人が議会前に集合し、ダウンタウンを行進した。
http://www.asahi.com/international/reuters/CRWKCN20J0CF.html

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抗議デモ再燃に懸念、3月に複数の主要イベント開催が予定(チリ)

2020-02-26 | 先住民族関連
ジェトロ(日本貿易振興機構) 2020年02月26日
2019年10月に始まった反政府デモの影響が徐々に沈静化しつつあるチリにおいて、3月から複数の要因により、再度の治安の悪化が懸念されている。
各種イベントの多い3月
フェミニスト団体によるデモ活動が見込まれる3月8日の国際女性デーを皮切りに、翌9日にはゼネスト、20日にはチリの先住民族であるマプチェ族によるデモ活動などが予定されている。加えて11日は、ピニェラ大統領が第2次政権を発足させてから2周年の記念日で、2019年10月以降の支持率低迷が要因となり、反対派による何らかの抗議活動が見込まれている。
迫る新憲法の国民投票
反政府デモにおける国民の要求に応えるかたちで、4月26日に新憲法制定の是非を問う国民投票の実施が予定されており、3月27日からは各会派、政党が新憲法制定について、それぞれの立場を表明する政見放送が開始される。現在、反対の立場を示しているのは、独立民主連合(UDI)、共和党(PR)、国民革新党(RN)の3党で、うち、国民革新党のみが賛成と反対の双方の立場を主張している。
民間調査会社のアクティバ・リサーチ(ACTIVA RESEARCH)が18歳以上の男女を対象に実施したアンケート結果によれば、新憲法制定に賛成を唱える割合、国民投票への参加意思を示す割合は、2019年の11月から2020年の1月にかけて、ともに低下していることが見て取れる(表参照)。デモの発生からある程度、時間が経過し、国民が冷静さを取り戻しつつあるがゆえの傾向とも受け取れるが、投票実施日に向けて今後議論が過熱していき、それに伴うデモ活動の発生などが危惧されている。
バケーションシーズンの終了
南半球に位置するチリでは、1、2月に夏のバケーションとして数週間の長期休暇を取得し、国内外の避暑地で過ごす層が多く、首都サンティアゴにおいて3月は、バケーション帰りの人々で街があふれかえるシーズンとして知られる。特に2020年は、デモで破壊された信号機のうち、いまだ100機以上が修復されていないという事情も相まって、市内の交通状況の悪化に拍車がかかる見通しだ。同時に、2019年のデモの「原動力」となった学生たちにとっても、3月はバケーションが明け、学校での授業が再開される時期で、ソーシャルメディアなどを通じた呼び掛けにより、学生主導のデモ活動が活発化することも懸念される。
(佐藤竣平)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2020/02/0cb6987910dc625a.html

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「アイヌ文化を世界の人々に」 聖火ランナー・山道ヒビキさん 北海道白老町

2020-02-26 | アイヌ民族関連
HBC 2020/02/25 17:47
 6月14日と15日に道内をリレーする、東京オリンピックの聖火ランナーに、アイヌ民族として選ばれた山道(やまみち)ヒビキさんが、意気込みを語りました。
 山道ヒビキさんは、4月に白老町にオープンする、民族共生象徴空間「ウポポイ」の職員で、舞踊グループのリーダーとして、アイヌ文化を世界に発信します。
 聖火リレーのランナーと知らされた瞬間は…
 「びっくりした。自分でいいのかなという感覚があった。なんで選ばれたのかもわからず、驚いた」(山道ヒビキさん)
 山道さんはアイヌ文化のバトンをつなぐ使命からも、聖火ランナーは光栄と受け止めています。
 「自分が小さいころから、北海道に根付く文化を学んできて、それを人に伝える立場になっている。アイヌの文化を少しでもいろいろな世界の人々に見てもらえるように、走るのを頑張っていきたい」(山道ヒビキさん)
 道内の聖火リレーは、6月14日から2日間行われますが、山道さんは、白老町のウポポイがゴールとなる初日のランナーに決まっています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200225-00000011-hbcv-hok

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消滅危機言語 沖永良部島の言葉継承を 東京・立川で親子ら取り組み発表

2020-02-26 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2/25(火) 14:26配信
 鹿児島県・沖永良部(おきのえらぶ)島の和泊町で島のことばの継承に取り組む親子ら10人が、東京都立川市の国立国語研究所(田窪行則所長)で家庭や幼稚園、町役場での活動について発表した。小学生が島のことばを使ったクイズを出したり、家族で寸劇を披露したりして会場を沸かせた。同島にルーツを持つ首都圏在住者を含む約70人が参加し、交流を深めた。【鈴木玲子】
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は2009年、話者が極めて少なく、近い将来に消滅の恐れがあると指摘される「消滅危機言語」が、世界で約2500言語あると発表した。日本からは、アイヌや八丈島などで話されていることばも独立言語とみなされ、計8言語が指摘された。沖永良部語は沖縄県や奄美群島で話される琉球諸語の一つで消滅危機言語に含まれている。ユネスコは言語の多様性や母語の尊重推進を目指し、2月21日を「国際母語デー」に定めている。
 沖永良部島では、60歳以上の高齢世代は日常生活で島のことばを使っているが、孫の世代は聞いても理解できず、世代間の断絶が起こっている。若い世代は「生活に支障がない」と危機意識が乏しいのが現状だという。
 島では同研究所の協力を得ながら、島のことばの継承に取り組む「しまむにプロジェクト」を実施。「しまむに」とは島ことばの意味だ。同研究所で18年から発表会を開き、今年は16日に、島北部の和泊町の活動が披露された。
 小学3年生の柏原莉子さん(9)は母えりかさん(42)と一緒に昨夏に取り組んだ自由研究を発表した。町で島のことばで書かれた看板を調べた莉子さんは「『みへでぃろ』は『ありがとう』の意味です」などと説明。「島では方言を使おう、話そう、残そうと思う人が増えていてうれしい」と笑顔を見せた。
 町職員の永野敏樹さん(42)の一家6人は、童話「桃太郎」をヒントに作った妖怪退治の寸劇「ばんしろ太郎」を地元集落のことばで演じた。発表後、長男で中学1年生の隼樹(しゅんき)さん(13)は「方言のイントネーションがしっかり言えて良かった。おじいちゃんやおばあちゃんと話ができるので方言を使うのは楽しい」と話した。
 また、和泊町教育委員会の永井徹事務局長は、町役場で職員向けに窓口や電話での島ことばを使った対応集を作成したことを報告。和泊幼稚園の田中美保子教諭は、遊びを通して園児が島のことばに慣れ親しみ、親たちにも伝えている実例を紹介した。
 ◇沖永良部島
 奄美群島の南西部に位置し、九州から南へ552キロ、沖縄本島から北へ約60キロにある。周囲55・8キロ、面積93・8平方キロ、島は和泊町と知名町の2町からなり、人口は両町合わせて1万2996人(2015年)。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200225-00000043-mai-cul

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京都大学吉田寮の、ありのままの姿を知ってほしい―平林 克己,宮西 建礼,岡田 裕子『京大吉田寮』まえがき

2020-02-26 | アイヌ民族関連
ALL REVIEWS 2/26(水) 6:00配信
1913年竣工、現存する日本最古の木造学生寮である、京都大学吉田寮寄宿舎。この吉田寮は、運営に関わることは寮生たち自身で決定し、実行する「学生自治寮」です。初めは男子寮としてつくられた吉田寮ですが、今ではあらゆるジェンダー・年齢の人が入寮できます。そんな独自の文化と長い歴史を持ち、建築的にも価値がある吉田寮ですが、京都大学は2017年、耐震性を理由に寮から退舎するように通達を出しました。2020年現在、寮生は大学と立ち退きをめぐり裁判中です。
寮の存続が揺れていますが、まずは吉田寮のことを客観的に知ることが求められているのではないでしょうか。
今回は、どのようないきさつで吉田寮が写真に記録され、本書にまとめられることになったのかを伝えるまえがき(宮西氏の部分は書き下ろし)をご紹介いたします。
◆日本最古の学生寮の今を記録するフォトドキュメント
◇なぜ、吉田寮の【今】を記録することになったのか
「吉田寮の【今】を記録に残すのに協力してくれないか?」
寮の関係者からそんな相談を受け、吉田寮のことをまったく知らなかった私がネットで見つけた情報は、「退去問題で学生と大学がもめている」、「偏屈な学生たちが魔窟のような世界を作っている」という、なんとも近寄りがたい話ばかり。果たしてここに関わっていいのだろうか?と思ったのが正直なところでした。
しかし、実際に、その場に身を置き、寮生たちと一緒に写真を撮り続けるうちに、そこで感じたことは、彼らが、大切なものを、純粋な気持ちで真剣に守ろうとしている、ということでした。
吉田寮は、社会的、文化的、歴史的、そして建築的……様々な観点で、とても重要な存在です。その【今】を写真に残せる機会をいただけたことを光栄に思いつつ、これらの写真が、
単なる吉田寮の記録に終わらず、ここに写っているみなさんにとって、5 年後、10 年後、そして50 年後にも残る、人生の大切な一時期を切り取った記念となることを願っています。
また、これらの写真をご覧になった皆様には、純粋な気持ちで精一杯生きている学生たちの存在、そして、吉田寮とそれに関連した様々な事柄に、より多くの関心を持っていただ
けたら幸いです。(平林克己)
◇元寮生として、本書をつくるにあたって
「京大吉田寮」の制作にあたって、わたしや岡田さん、平林さんには、載せたい文章や写真が沢山ありました。しかし、本書に許されたページ数は80ページでした。わたしたちは取捨選択を迫られましたが、その作業は困難を極めました。
日本最古の学生寮である吉田寮は、歴史や文化、建築など様々な"価値"を秘めています。窓のひび割れや廊下の擦り傷、トイレの落書きにさえも、何らかのエピソードはあるはずです。ですから、一見ささいな事柄も、もしかしたらかけがえのない価値を反映しているかもしれません。迂闊に削除すれば本の中の吉田寮が現実の吉田寮とは異なる何かに変質してしまうかもしれません。そんな恐ろしい感覚にたびたび襲われました。
それでも、わたしたちは取捨選択を貫徹し、本書を80ページに収めました。苦労したかいあって胸を張ってひとに勧められる本になりました。「簡潔にはなったが、寮の真意は損なわれていなかった」 と寮関係者に言われ、安堵しました。
しかし本書は吉田寮のごく一部を記録し、編集したものです。記録や編集の過程で、やむを得ないこととはいえ、有形無形の沢山の"価値"がこぼれ落ちてしまいました。それらは現在のところ、吉田寮でのみ見出すことができます。しかし京都大学は寮生に立ち退きを求める裁判を起こしており、吉田寮の将来は危ぶまれています。
本書を通じ、吉田寮と吉田寮を取り巻く情勢に、関心を持っていただければ幸いです。また、もし機会がございましたら、実際に吉田寮を訪問し、本書では語り尽くせなかったさまざまな"価値"について、自分なりに考えていただければと思います。(宮西建礼)
◇本書をきっかけに寮のことを知って、考えてほしい
吉田寮は1913年(大正2年)に京都帝国大学寄宿舎として建設された、現存する学生寮の中で最古の木造建築です。2015年には旧吉田西寮の代替施設である西寮を建築し、築100年を超える建物と、築数年の建物を合わせて現在の吉田寮となりました。しかし2017年12月19日に京都大学から「耐震性」を理由に、吉田寮から退舎するよう通告が出されました。
その対象には、完成したばかりの西寮も含まれていました。吉田寮が今後どうなるか分からないという状況の中で、吉田寮を記録に残し情報の発信を行おうと協力者と検討を重ね、記録を蓄積していきました。その記録は写真展や寮の広告に使用され、そしてこの度写真集という形となりました。皆様の目に届くのは膨大な記録の中の一部に留まっており、そしてその一部も、吉田寮の長い歴史の中のほんの僅かな時間を切り取ったものになります。
世の中には様々な情報が溢れ、わたしたちも様々な問題に接する機会が増えています。勿論全ての問題を把握するのは、無理なことだと思います。しかしそこで諦めてしまっては、何も解決しないのではないでしょうか。相手が何を考え、感じ、生活しているかを受け止める姿勢が、多くの問題へのアプローチになるのではと願っています。その一つのきっかけに、この吉田寮写真集がなればとても嬉しく思います。(岡田裕子)
[書き手]
写真:平林克己(ひらばやし・かつみ)
東京生まれ。ウィーンを拠点に東ヨーロッパで写真を始める。外資系商社勤務を経て、写真家として独立。「撮った写真に仕事をさせる」ことを第一に掲げ、写真を通じて世界を、そして人をつなぐことを理念としている。
文:宮西建礼(みやにし・けんれい)
1989年、大阪府生まれ。吉田寮の元寮生。2013年に「銀河風帆走」で第四回創元SF短編賞を受賞。
文:岡田裕子(おかだ・ひろこ)
2006年、京都精華大学芸術学部ストーリーマンガコースを卒業。07年、北海道アイヌ民族と生活を送る。08年、知床ナチュラリスト協会に勤務。16年、鍼灸師/柔道整復師の資格を取得。17年、京都大学人間・環境学研究科入学。
[書籍情報]『京大吉田寮』
著者:平林 克己,宮西 建礼,岡田 裕子 / 出版社:草思社 / 発売日:2019年12月4日 / ISBN:4794224257
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200226-00004269-allreview-life

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北海道)アイヌの教育に尽力30年 永久保秀二郎の思い

2020-02-25 | アイヌ民族関連
朝日新聞 2020年2月23日 11時00分

 明治から大正期、現在の北海道釧路市春採地区でアイヌ民族の子どもたちの教育に尽力した教師の永久保秀二郎(1849~1924年)。学校跡地にある市春採生活館(同市春採1丁目)では、アイヌ民族にまつわる様々な催しが行われている。釧路アイヌ協会は2019年末、永久保の功績をたたえる石碑を敷地に再建した。
 石碑は高さ1・2メートル、幅80センチ。永久保の雅号から「春湖翁碑」と刻まれ、経歴とともに「約三十年に渡る愛に根差した教育を貫き退職」と記されている。
 もともとあった石碑は2015年9月の台風で倒壊したままになっていた。釧路アイヌ協会は、イベントで出したアイヌ料理の売上金を再建費に充てた。大勢から寄付の申し出もあったという。
ここから続き
 永久保はどんな人物だったのか。「永久保秀二郎の研究」(中村一枝著)などによれば――。
 キリスト教団体の聖公会は1891(明治24)年、移住政策でアイヌ民族の集落があった春採にアイヌ学校を開校した。宮城県出身の伝道師だった永久保は同年7月、函館から妻子とともに春採に移住、教壇に立った。
 この年の入校者は27人だった。教科書や文房具などが支給され、日本人の炭鉱労働者の子どもたちも学んだ。アイヌ語で聖書を学ぶ授業もあった。永久保は読書と作文、習字、算術などを教えた。集落を回り、熱心に入校を勧めたという。
 アイヌ民族に入浴の習慣がないからと、学校に浴室が設けられた。永久保は初めて児童と一緒に風呂に入った時の様子を日誌に楽しそうに記している。
 「余自ラ彼等三人ヲ浴セシメ、又而シテ膚垢ヲ洗ヒ去レリ。最初ハ容易ニ沈浴セズ」
 やがてアイヌ民族に黒い影が覆い始める。
 北海道旧土人保護法が99(明治32)年に制定された。アイヌ民族の日本人同化政策のなか、アイヌ語の聖書の授業は打ち切られた。
 1907(明治40)年、小学校令改正で尋常小学校の修業年限が6年間となった。だがアイヌ学校は官立の春採尋常小学校に移行したものの、16(大正5)年の道庁令で、「心性ノ発達和人ノ如クナラザル旧土人」として就学を遅らせ、修業年限を4年に短縮すると決まった。アイヌ差別は明らかだった。
 国や道の役人が学校に視察に訪れた際、永久保は撤回を求め、「秀逸ノモノアリ」と訴えたとされる。
 永久保はアイヌ民族の伝統文化に関心があった。熊送りの儀式で神に対する畏敬(いけい)の念を知り、感動を漢詩に残した。また聞き取ったアイヌ語や伝承を辞書にまとめている。
 20(大正9)年、退職した。4年後に75歳で亡くなるまで春採で暮らした。
 永久保に対して「結果としてアイヌ民族の同化政策を支えた」という批判もある。だが釧路アイヌ文化懇話会の佐藤寿子さん(71)は「永久保は熱くて優しい人だった。あの時代、抵抗していてはアイヌの人たちは生きていけぬと知っているから、子どもたちに社会で生きる術を教えたのだろう。地域住民の相談役で役所との橋渡し役も担っていて、地域からも信頼されていた」と評価する。
 最初の石碑は37(昭和12)年、教え子らが資金を出し合い、集落総出の労力で学校跡に建てたとされる。新しい石碑にはその思いが引き継がれ、「春湖翁碑」の文字や材料の一部に活用された。
 春採生活館には釧路アイヌ協会の事務局が入る。アイヌ民族の伝統儀式のほか、アイヌ語教室、古式舞踊や民族楽器の練習などが行われている。
 釧路アイヌ協会副会長の桃井芳子さん(70)は「石碑の再建にあたり、永久保さんの功績をあらためて知ることができた。大勢の人に関心を持ってほしい」と話している。(高田誠)
https://digital.asahi.com/articles/ASN2Q7785N1YIIPE006.html?_requesturl=articles%2FASN2Q7785N1YIIPE006.html&pn=4

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特別展「日本の伝統芸能」の記者発表及び 日本博オープニング・セレモニー制作発表会を実施

2020-02-25 | アイヌ民族関連
北海道新聞 02/24 18:30
2020年2月19日(水)
独立行政法人 日本芸術文化振興会
「日本人と自然」をテーマに、各分野に至る「日本の美」を国内外へ伝える一大プロジェクト!
特別展「体感!日本の伝統芸能-歌舞伎・文楽・
能楽・雅楽・組踊の世界-」の記者発表及び
日本博オープニング・セレモニー制作発表会を実施
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202002197036-O1-r5X8u6LM 】
2月14日(金)日本博オープニング・セレモニー制作発表会にて
(左から桐竹勘十様、尾上紫様、尾上菊之助様、観世清和様)
 文化庁及び独立行政法人 日本芸術文化振興会では、2019年より、日本が誇る様々な文化、「日本の美」を体現する美術展・舞台芸術公演・文化芸術祭等を展開する「日本博」を実施しています。
 日本博は、文化庁・日本芸術文化振興会を中心に、関係府省庁や文化施設、地方自治体、民間団体等の関係者と連携した総力を結集した大型国家プロジェクトであり、「縄文から現代」及び「日本人と自然」というコンセプトの下、日本が誇る様々な文化、「日本の美」を体現する美術展・舞台芸術公演・文化芸術祭等を展開していくものです。この度、数百年以上にわたり守り伝えられてきた、日本を代表する5つの伝統芸能―歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の歴史とそれぞれの芸能が持つ固有の美、それを成り立たせる実演及び舞台を支える「わざ」をご紹介する、特別展「体感!日本の伝統芸能-歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界-」の記者発表、及び日本博オープニング・セレモニーの制作発表を2020年2月14日(金)に国立能楽堂で行いました。当日は、日本博オープニング・セレモニーの出演者から観世清和さん(能)、桐竹勘十郎さん(文楽)、尾上菊之助さん(歌舞伎)、尾上紫(日本舞踊)さんにご挨拶をいただきました。
特別展「体感!日本の伝統芸能-歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界-」
記者発表について
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202002197036-O2-3gDPLA19 】
 記者会見では、河村潤子理事長が開会の挨拶を行い、日本博は日本の美を体現するさまざまな展覧会、舞台公演、芸術祭など日本人と自然という総合テーマのもと、日本全国で年間を通じて展開する文化の祭典であり、この春より本格始動することを宣言。「体感!日本の伝統芸能」については、体験型展覧会であり、日本の5つの伝統芸能がお互いに関連し合いながら先人たちに守り育てられ、現代に息づいていることを感じていただければと説明しました。河村理事長は「日本で育まれてきた芸能の真髄を味わっていただくと同時に、有形の文化財や現代アート、また先端技術とのコラボレーションによりまして、芸能自体にも新たな創造の地平を拓く挑戦であると考えております。このたびの企画は振興会内の劇場間の連携はもとより、多数の皆様の協力によって成立いたしました。これを機にさらにその繋がりが深いものとなりまして、これからも伝統芸能を内外に発信し続ける、そんなレガシーとして継承していけますように私どもも勤めて参りたいと存じます」と挨拶を締めくくりました。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202002197036-O3-10t9iCP3 】
 続いて、展覧会総括の櫻井弘理事が、特別展「体感!日本の伝統芸能」の3つのポイントについて説明をしました。
 特別展「体感!日本の伝統芸能」は3月10日(火)~5月24日(日)まで、上野の東京国立博物館 表慶館にて行われます。第一のポイントは、日本博の総合テーマ“日本人と自然”というテーマに従って、特に舞台装置とか衣裳・装束にデザインが織り込まれた日本人の自然観、美意識を解き明かせるような展示です。伝統芸能と自然の関わりを通して、伝統芸能が何百年もの間、日本人が愛し愛されてきたその理由を探ります。第二のポイントは、会場の中に歌舞伎、文楽、能楽、雅楽、組踊と、各ジャンルの伝統芸能の舞台をほぼ原寸で再現し、それぞれの代表的な舞台のワンシーンを再現し、お客様が舞台の中を歩く、近くまで寄って見て触ってみる、といった臨場感を味わっていただける、体験・体感型の展示です。歌舞伎や文楽の舞台の奥行や複雑な創りを体感していただいたり、最新のデジタルアートで実際に自分の身をもって伝統の技などを体験していただくなど、新しい試みも多数盛り込んでいます。そして第三のポイントは、実演家や裏方の方々によるデモンストレーションやワークショップ、トークショーの実施です。これらの3つのポイントにより、伝統芸能の技芸そのものと、それを支える技が体感・体験できるような、立体的な展示であることを説明しました。
 今回の展示について、櫻井理事は「伝統芸能、舞台芸術の世界では初めての試みなのではないかと自負しております。劇場空間と展示空間、国立劇場ではそれぞればらばらにして、これまでやってまいりましたけど、それらを一つにして、例えば私たちが初めて舞台裏に行った時のちょっとわくわくするような感じとか、あるいは衣裳とか人形、能面をすぐ近くで見たときのちょっとドキドキするような感じ、そういったものをお客様に味わっていただきたいなと考えております。それをきっかけにして次は生の舞台を見てみたい、あるいは自分でやってみたいというようなお客さまが一人でも増えれば、これに越したことはないと思っています」と述べ、この展示が日本の伝統芸能にとって非常に大きな意味を持つイベントになると述べました。
 特別展の記者発表の最後に、日本博事務局 大木晃弘チーム長より、特別展「体感!日本の伝統芸能」の詳細な説明を行いました。本展では会場である表慶館を7つの展示にわけ、歌舞伎、文楽、能楽、組踊、雅楽の世界を体験・体感する構成となっています。詳細は以下の通りです。
●エントランス:国宝「花下遊楽図屏風」の高精細複製品とプロジェクションマッピング
17世紀の国宝で大正12年の関東大震災で右屏の一部がしたも消失のを復元、プロジェクションマッピングの演出を加え、幻想的な空間を演出します。
●第1章:歌舞伎
歌舞伎三大名作のひとつ「義経千本桜」の道行初音旅の舞台を江戸時代の芝居小屋で再現。華やかな衣裳や仕掛け付きの小道具をはじめ、明治期の名優、九代目市川團十郎と、五代目尾上菊五郎が演じた「紅葉狩」(日本最古の映画でフィルム自体が重要文化財)の上映と、隈取体験ができるデジタルアートを展示します。
●第2章:文楽
「本朝廿四孝」の奥庭狐火の段の舞台を再現。会場に入ってすぐに、大きな狐忠信の人形を設置し、世界でも珍しい文楽の三人で一体の人形を遣うところをマネキンで再現し、誰がどこを操作して演じるのかが分かるように展示します。体験コーナーでは、一人で操作するツメ人形で、文楽の世界を体験できます。
●第3章:能楽
観世宗家 観世清和師の監修のもと、能「井筒」の舞台を再現。映像コーナーでは、国立能楽堂の開場35周年記念公演で、観世清和師が演じた「井筒」の上映と、3Dで制作した能面のレプリカを展示し、実際に能面体験ができます。
●第4章:組踊
「銘苅子」の舞台を再現し、紺地に松竹梅とか鶴亀を配したデザイン性のある綺麗な紅型幕を展示。また、独特の南国情緒あふれる造形と色彩感を持った紅型衣裳や小道具も展示します。
●第5章:雅楽
雅楽独自の楽器で和楽器の中で最大の「鼉(だ)太鼓(だいこ)」を展示し、「還城楽」という舞楽をマネキンで
再現します。映像コーナーでは、国立劇場雅楽公演の中から貴重な公演映像から色々なものを
ダイジェストで上映します。
●2階回廊:民俗芸能、アイヌ古式舞踊の紹介
ユネスコ無形文化遺産の民俗芸能をパネルで紹介します。
日本博オープニング・セレモニー制作発表について
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202002197036-O4-a0DnRj2K 】
 日本博オープニング・セレモニーについて、最初に構成・演出を担当する大和田理事が挨拶を行いました。
 オープニング・セレモニーは、3月14日、東京国立博物館にて行われます。当日は、本館の正面に、幅15メートル、9メートル、5メートルと大小三面の舞台を連結し、全体で幅40メートル以上の大きな舞台で開催します。その舞台には芸能で13ジャンル、出演者は80名以上の方々で、舞台でそれぞれの芸能のエッセンスを演じます。大和田理事は「これだけの大きな舞台を野外で、そして多くのジャンルの出演者が集まるのは、初めてのことではないかと思っています。また、先端テクノロジー、現代アートとのコラボレーションを行う予定です。これも日本芸術文化振興会としては非常にチャレンジングな公演だと思っています」と述べました。また、日本博のテーマが“日本人と自然”ということで、“月雪花”という主題を設定し、東博の本館の正面にプロジェクションマッピングを映し出したり、東博のシンボルである、ゆりの木にインスタレーションを施すなど最新技術との融合も行うことを述べました。最後に大和田理事は「3月14日は、春分の日の前でございますので、まだまだ寒い日が続きます。そして夜屋外での公演でございますが、我々スタッフはもとより出演者の皆様の熱意でその寒さも吹き飛ばすような公演を実現したいと考えております」とオープニング・セレモニーへの意気込みを語り、挨拶を締めくくりました。
 続いて、オープニング・セレモニーの詳細について担当チーム長の大木晃弘より説明を行いました。オープニング・セレモニーは二部構成で、第一部は、俳優の谷原章介さん、フリーアナウンサーの青山祐子さんを司会に記念式典を行います。アイヌ古式舞踊“鶴の踊り”の披露から始まり、主催者および広報大使である黒柳徹子さんのご挨拶に続いて、2.5次元ミュージカルの『刀剣乱舞』から刀剣男士(髭切・膝丸)の出演によるミュージカルを一部上演します。
 第二部は、記念公演「月(つき)雪花(ゆきはな)にあそぶ―日本の音と声と舞―」を上演します。雅楽の笙から始まり、日本舞踊、胡弓までが雪の世界、声明を挟んで、能、尺八、文楽、篠笛で月の世界、最後に琉球古典音楽、合唱、歌舞伎で花の世界を演じます。これらを三面の舞台を使って流れるように交互に上演して、一つの演目として上演します。最後に、一部、二部の出演者が集まり、フィナーレを迎えます。
 今回は伝統芸能の第一線の方々以外に、空間演出を現代アート作家の谷川じゅんじさんにお願いし、本館壁面のプロジェクションマッピングの演出をWOWさんが担当します。舞台で行われる伝統芸能に即した形で現代アートが一つとなって、この古典の芸能を楽しむ一つの試みとして新しい演出をします。また、会場の左側の大きなゆりの木に、小松宏誠さんが、特殊な素材で作ったゆりの葉を付けインスタレーションを行います。
 東博で行われるオープニング・セレモニーの様子は、前庭池の後方に大きなモニターを、上野公園にも2台のモニターを設置することで、東博に入れない方、あるいは通り掛かった方にもお楽しみいただけるような形でライブビューイングを考えています。さらに、上野公園の池にも現代アートを仕掛け、東博で行われるオープニング・セレモニーの進行に合わせた光の演出を行い、伝統芸能と現代アートの大いなるコラボレーションを演出します。
 最後に、大木チーム長がゆりの木のインスタレーションを担当する小松宏誠さんのメッセージを読んで、説明を締めくくりました。
小松宏誠さんからのメッセージ
 東京国立博物館のシンボルツリーであるゆりの木は、明治8、9年ごろ渡来した三十粒の種から育った一本の苗木が、明治14年に現在地に植えられたと言われています。樹齢約145年です。そんな唯一無二の枝ぶりがとても素晴らしいゆりの木に、和風とクリスタル調のフィルムでできたゆりの葉型約二万枚をインスタレーションさせていただきます。その葉は会場を吹き抜ける風により揺れ、光と音のざわめきを起こします。伝統と自然、そしてそこに集まった多様な背景を持つ一人一人が、今その瞬間にそこに集まっている。会場に吹き抜ける風とざわめきを一斉に感じることによって、場所に集まったエネルギーが味わえるきっかけとなることを望んでいます。変化の中、何世代も受け継がれ、当たり前になってしまった美しさがあります。その当たり前の美しさの現実とは思えない夢のような瞬間が何回も繰り返され、誰かから誰かに手渡されてきたのだと、感じることがあります。伝統を自然に加え私たち一人ひとりの中に受け継がれてきた大切な何かをすぐ上げることが今を輝かせると考えています。
 続いて、日本博オープニング・セレモニーに実際に出演する4名の方々がご登壇。お一人ずつご挨拶をいただき、記者会見は閉会しました。
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202002197036-O5-HH1JGPc0 】
観世流二十六世宗家 観世清和様
 「観世でございます。この能楽、文楽、歌舞伎、日本舞踊、日本の古典文化が一堂に会する機会っていうのは非常に少ないんでございます。このたび日本博のオープニング・セレモニーということで、それぞれの第一線でご活躍なさっている皆様方と共に、日本の古典文化の底力というものに、皆様に触れていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。」
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202002197036-O6-0jXnmdhJ 】
人形浄瑠璃・文楽の人形遣い 桐竹勘十郎様
 「桐竹勘十郎でございます。このたび日本博のオープニングに私も参加させていただきます。日本には古くから素晴らしい文化があり、芸能、美術、工芸、各地に伝わります色々な行事、お祭りがありますが、そういったものが日本人の宝物だと思います。私も文楽・人形浄瑠璃の世界で一生懸命修行をしてまいりました。他の方々と一緒にオープニングに参加できることは大変嬉しく思っております。また日本の方々のみならず、海外から来られた方にもそういった日本の文化を広く知ってただく良い企画だと思いますので、私も一所懸命勤めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。」
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202002197036-O7-gj45SdeS 】
歌舞伎俳優 尾上菊之助様
 「尾上菊之助でございます。このたびの日本博の公演に、お能、文楽、歌舞伎、舞踊、そして2.5次元ミュージカルですとか、沖縄の組踊も含めて、その皆さんとともに歌舞伎の一人として参加できますこと、こんな嬉しいことはありません。昨年のキックオフの時に宮田長官が仰ってました“これからは皆様一人ひとりが主役です”という言葉が非常に心に残っております。津川雅彦さんが発起人でこの日本博というものを作ってくださり、こんな素晴らしい企画がスタートできたことを本当に嬉しく思っております。日本各地にはさまざまな芸術、技術があります。世界は通信やインターネットが発達してグローバルになっておりますけれど、やはりこれからの時代グローバルと同時にグローカルが大事だという風に思っております。私もそのグローカルの文化の一つ歌舞伎の一人といたしまして、皆様によりその歌舞伎の魅力を伝えていく仕事をしていきたいと思っておりますし、この日本博というものが今回だけではなく毎年のように開催されて、日本各地の能、文楽、歌舞伎をはじめとする芸術が一堂に会する、そのような催し物が毎年あればいいなと思っております。この日本博で皆様に日本の伝統文化を知っていただき、そして海外の方にも日本の伝統文化の良さをもっと知っていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。」
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/202002197036-O8-4W1683ej 】
日本舞踊尾上流 尾上紫様
 「尾上紫でございます。このたび素晴らしい先生方とご一緒に、このような華やかなオープニング・セレモニーに参加させていただきますことを大変うれしく、光栄に思っております。感謝申し上げます。日本博のセレモニーで、今まで日本人でありながらも日本の文化に触れたことのない方もたくさんいらっしゃると思いますが、これを機会に日本の美しさや、奥深さを感じていただきながら、また普段はできないような演出をされるということで、私も楽しみにしておりますが、その新しい演出を皆様と一緒に楽しみながら共有していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。」
<実施概要>
日時:2020年2月14日(水)18:00~19:15
会場:国立能楽堂 2階 研修能舞台(東京・千駄ヶ谷)
主催:文化庁、独立行政法人 日本芸術文化振興会
内容:・特別展「体感!日本の伝統芸能-歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界-」記者発表
   ・日本博オープニング・セレモニー制作発表
登壇者:・独立行政法人 日本芸術文化振興会 理事長 河村潤子
    ・独立行政法人 日本芸術文化振興会 理事 大和田文雄
    ・独立行政法人 日本芸術文化振興会 理事長 櫻井弘
    ・独立行政法人 日本芸術文化振興会 日本博事務局 大木晃弘
    ・観世流二十六世宗家 観世清和様
    ・人形浄瑠璃・文楽の人形遣い 桐竹勘十郎様
    ・歌舞伎俳優 尾上菊之助様
    ・日本舞踊尾上流 尾上紫様
■「日本博」について
「日本博」主旨
日本博は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、総合テーマ「日本人と自然」の下、日本全国で日本の文化芸術に流れる「日本の美」を国内外へ発信し、次世代に伝えることで更なる未来の創生を目指す文化芸術の祭典です。文化庁と日本芸術文化振興会を中心に、関係府省庁や文化施設、地方自治体、民間団体等の関係者と連携した総力を結集した大型国家プロジェクトです。
「日本博」基本コンセプト
縄文時代から現代まで1万年以上もの間、私たちは大自然の多様性を尊重し、生きとし生けるもの全てに命が宿ると考えてきました。そして、それらを畏敬する「心」を文化芸術や日々の暮らしで表現してきました。縄文土器をはじめ、仏像のような彫刻、浮世絵や屏風といった絵画、漆器などの工芸、着物などの染織、能や歌舞伎で知られる伝統芸能、文芸、漫画・アニメなど含む様々な芸術分野も、この国の風土や日本人の自然観が反映されています。また、衣食住をはじめとする暮らし・生活様式等においても、人が自然に対して共鳴、共感する「心」を具現化し、その「美意識」を大切にしてきました。
日本博は、「日本人と自然」という総合テーマのもと「美術・文化財」、「舞台芸術」、「メディア芸術」、「生活文化・文芸・音楽」、「食文化・自然」、「デザイン・ファッション」、「共生社会・多文化共生」、「被災地復興」という8つの分野にわたる「日本の美」を国内外へ発信し、次世代に伝えることで更なる未来の創生を目指します。
縄文時代から現代まで続く文化芸術を伝えるこの祭典が、人々の交流を促して感動を呼び起こし、世界の多様性の尊重、普遍性の共有、平和の祈りへとつながることを希求しています。
※採択事業の詳細につきましては「日本博ホームページ」をご参照ください。
https://www.ntj.jac.go.jp/nihonhaku/
プレスリリース詳細へ https://kyodonewsprwire.jp/release/202002197036
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/396195


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【「ウポポイ」オープンまで2か月】「食」でアイヌを知る 家庭料理やカクテルも(北海道)

2020-02-25 | アイヌ民族関連
STV2/24(月) 18:50配信
2ヶ月後に迫った「ウポポイ」のオープンを前に、アイヌを知ろうという動きが広がっています。伝統料理やお酒を通して、アイヌ文化に触れてもらう取り組みが相次いでいます。ウポポイの認知度アップと、アイヌ文化への理解につながりそうです。
豚肉や野菜がふんだんに入ったこちらの料理。アイヌ伝統の「オハウ」という汁物料理です。この「オハウ」を家庭でも簡単に作ってもらおうと、食品メーカーがオリジナルのレシピを発表しました。
その名も「かんたんオハウ」。顆粒の出汁と塩など簡単な味付けで、食材そのものの味を生かしたシンプルな味わいに仕上がっています。
(北海道味の素 高橋敏博社長)
「食は文化の中では大切な役割を果たしている(オハウで)アイヌ文化に親しみを持ってもらいやすくなる」
札幌市内の専門学校では学生がアイヌ伝統のお酒「カムイトノト」をつかったオリジナルカクテルを考案しました。
カクテルの名前は「アンラコロ」。アイヌ語でクロユリの意味です。カクテルには、クロユリの深い紫色をイメージして赤ジソやブルーベリーが使われ、さっぱりとした味わいになっています。
(札幌観光ブライダル・製菓専門学校 小川千晴さん)
「(アイヌ文化への興味の)入り口の一つに自分のカクテルもなっていければなと思っています。たくさんの方に飲んでいただけたらうれしいです」
このカクテルは「ウポポイ」の中のレストランで提供されることになっています。
北海道の調べでは、道内でのウポポイの認知度は53.6パーセントに留まっていて依然、半数近い人はウポポイを知らない状態です。2ヶ月後のオープンに向けて、「食」を入り口に、アイヌ文化、そしてウポポイに思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200224-00000279-stv-hok

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松浦武四郎のふるさと松阪市で「武四郎まつり」

2020-02-25 | アイヌ民族関連
三重テレビ 2/24(月) 13:10配信
 北海道の名づけ親である松浦武四郎のふるさと松阪市では、新型コロナウイルスへの対策を強化する中で23日、毎年恒例の武四郎を称える「武四郎まつり」が開かれました。
 三重県と北海道は前日の22日に、武四郎やアイヌ文化を通じた交流連携をさらに強化しようと合意を取り交わしました。
 23日のステージでは、地元の小学生らが武四郎に関する劇を演じたほか、北海道旭川市の文化保存団体がアイヌの古式舞踊を披露しました。
 開催当初、札幌大学のメンバーもイベントに参加する予定でしたが、北海道内で新型肺炎の感染者と濃厚接触した人とメンバーが接触したとして参加を取りやめました。
 会場の出入り口では新型肺炎への対策として、スタッフが訪れた人にアルコール消毒を促したり、マスクを着用したりする姿も見られました。
 訪れた人たちは、北海道の特産品を堪能するなど思い思いに楽しんでいました。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200224-00010007-mietvv-l24

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島の宝を次世代へ 奄美市で方言サミット

2020-02-25 | アイヌ民族関連
奄美の南海日日新聞 2/24(月) 13:06配信
サミットで大会宣言を読み上げる(右から)日置さん、原さん、里村さん=23日、奄美市名瀬
 「ディ!ワキャダカ、ナキャダカ、クヮンタムィ、マガンタムィ、マージン、キバティ、イキョーロ(さあ!私たちも、あなたたちも、子どものため、孫のため、一緒に頑張っていきましょう)」
 2019年度危機的な状況にある言語・方言サミット(文化庁、鹿児島県、奄美市など共催)は最終日の23日、奄美市名瀬の奄美文化センターで各地の言語・方言の現況や伝承の取り組みなどについて報告があった。島内外から約750人が来場。島の宝である方言を日常生活で積極的に使い継承につなげていくことを確認し、次世代への方言伝承を誓う大会宣言を採択した。
 同サミットは国連教育科学文化機関(ユネスコ)が消滅の危機にあるとした国内8言語の状況改善につなげる目的で2014年度から開催している。奄美大会は22日から2日間の日程で実施。最終日は各地の言語・方言の現況や伝承活動について報告があったほか、奄美大島周辺の方言の聞き比べや奄美市の児童生徒による継承活動の成果発表も行われた。
 国立国語研究所の木部暢子教授と北海道大学アイヌ・先住民研究センターの北原次郎太准教授は八丈・奄美・琉球・アイヌの言語・方言の現況を報告。辞典やカルタ、絵本、教科書など方言資料の活用例などを紹介した。
 奄美市の名瀬幼稚園と東城小中学校、市小中学校、佐仁小学校が島唄や八月踊り、方言での校内放送などを取り入れた伝承活動を紹介。保護者や教員も一緒に楽しみながら、日常的に方言で話すことの大切さを強調した。
 聞き比べでは奄美大島と加計呂麻島、与路島の9地区の方言を披露した。
 同市のコミュニティーFM「あまみエフエム ディ!ウェイヴ」は方言番組「シマグチNEWSシマユムTIME」を実演。パーソナリティーの渡陽子さんと「シマユムタ(方言)伝える会」の会員が軽快な方言トークを展開した。
 琉球大学の猪俣繁久教授は総括で「奄美の継承活動の現状は入り口としての取り組みが多い。今の状況が続けば方言は消えてなくなるだろう」と指摘。今後の取り組みとして「学校などの継承活動を地域が支え、無理なく継続できるシステムの構築が必要だ」と提案した。
 佐仁八月踊り保存会と佐仁小学校児童が舞台で踊りの輪を広げた後、奄美市在住の日置幸男さん、里村強志さん、原二葉さんの三人が大会宣言を高らかに読み上げた。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200224-00010003-nankainn-l46

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